先に結論をお伝えします。特養(特別養護老人ホーム)の介護職の仕事内容は、入浴・排せつ・食事の介助、起床や就寝の介助、夜間の見守りなど、入所者の24時間の生活を支えることです。早番・日勤・遅番・夜勤のシフト制が一般的で、夜勤があるぶん、平均給与額は介護職員の中でも高めです。基準上、介護職員になるための資格は定められていないため、無資格から始めることもできます。

この記事では、特養の介護職の仕事内容を、指定介護老人福祉施設の基準・夜勤の告示・厚生労働省の調査の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 特養の介護職の具体的な仕事内容
  • シフトごとの1日の流れ
  • 人員基準と夜勤の人数
  • 従来型とユニット型の働き方の違い
  • 特養の介護職の給料と必要な資格

特養の介護職の仕事内容

指定介護老人福祉施設の基準(平成11年厚生省令第39号)では、特養が行う介護として、次のようなことを定めています(第13条)。

  • 入浴:1週間に2回以上、入浴させるか清しきする
  • 排せつ:排せつの自立に必要な援助を行い、おむつが必要な人のおむつを適切に交換する
  • 褥瘡の予防:褥瘡(床ずれ)が発生しないよう、適切な介護と予防の体制を整える
  • 日常生活の介護:離床、着替え、整容などの介護を行う
  • 食事:可能な限り離床して、食堂で食事をとれるよう支援する(第14条)

このほか、体位変換、夜間の巡回、レクリエーションや行事、介護記録、家族との連絡なども介護職の仕事です。看護職員、生活相談員、介護支援専門員、機能訓練指導員、管理栄養士と連携して進めます。生活相談員の仕事は生活相談員の仕事内容とは?で解説しています。

特養の介護職の1日の流れ(シフト別の一例)

シフト時間の例主な仕事
早番7:00〜16:00起床介助、着替え、朝食の介助、口腔ケア、排せつ介助
日勤9:00〜18:00入浴介助、昼食の介助、レクリエーション、記録
遅番11:00〜20:00昼食・夕食の介助、就寝介助、夜勤への申し送り
夜勤16:00〜翌10:00夕食・就寝介助、巡回、体位変換、おむつ交換、起床介助

時間は施設によって違い、夜勤は16時間程度の「2交代制」と、8時間程度の「3交代制」があります。夜勤は少ない人数でフロアを見るため、急変時の連絡手順を最初に確認しておくことが大切です。

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夜勤って、一人でフロアを見るの?

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施設の規模やフロアの分け方によりますが、少人数で見るのは確かです。看護職員はオンコールで対応する施設が多いので、何かあったときに誰へ連絡するかを先に覚えておくと安心ですよ。最初の何回かは、先輩と一緒に入る施設がほとんどです。

特養の人員基準と夜勤の人数

介護職員と看護職員の人数

指定介護老人福祉施設の基準 第2条第1項第3号イ

介護職員及び看護職員の総数は、常勤換算方法で、入所者の数が三又はその端数を増すごとに一以上とすること。

いわゆる「3対1」の基準です。入所者60人なら、介護職員と看護職員を合わせて常勤換算で20人以上が必要になります。あわせて、常時1人以上の常勤の介護職員を介護に従事させることも定められています(第13条第7項)。

夜勤の人数(従来型)

夜勤を行う介護職員・看護職員の数は、告示(平成12年厚生省告示第29号)で決まっています。

入所者の数(併設ショートステイの利用者を含む)夜勤職員の数
25人以下1人以上
26〜60人2人以上
61〜80人3人以上
81〜100人4人以上
101人以上4人+100人を超えて25人またはその端数を増すごとに1人

見守り機器を入所者の数以上設置するなどの要件を満たす場合は、26人以上の区分で必要数を0.8倍にできる規定もあります。夜勤の配置を手厚くした施設が算定する加算は特養の夜勤職員配置加算とは?で解説しています。

ユニット型の配置

ユニット型特養では、基準の第47条第2項で次の配置が求められます。

  • 昼間は、ユニットごとに常時1人以上の介護職員または看護職員
  • 夜間・深夜は、2ユニットごとに1人以上の介護職員または看護職員
  • ユニットごとに、常勤のユニットリーダー

従来型とユニット型の働き方の違い

項目従来型ユニット型
居室多床室が中心個室と共同生活室
介護の進め方フロア全体で、入浴・食事などを時間を決めて行うことが多い少人数のユニットで、一人ひとりの生活リズムに合わせる
担当する人フロアの入所者全体決まったユニットの入居者
大変なところ入浴日などに業務が集中しやすいユニット内の少人数で調理や家事も担うことがある

同じ特養でも、従来型とユニット型では働き方がかなり違います。決まった入居者とじっくり関わりたいならユニット型、チームで効率よく動くのが得意なら従来型が合いやすいです。

特養の介護職の給料

厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所で、月給・常勤の介護職員の平均給与額は次のとおりです。

サービス平均給与額(月)平均年齢
介護老人福祉施設(特養)361,860円42.2歳
介護老人保健施設(老健)352,900円43.6歳
通所介護(地域密着型を含む)294,440円45.6歳
介護職員全体338,200円45.7歳

平均給与額は、基本給に手当と一時金(4〜9月支給額の6分の1)を足した額で、手取り額ではありません。特養が高めなのは、夜勤手当が含まれることが大きいと考えられます。夜勤の回数で収入を増やす働き方は夜勤専従の介護職はいくら稼げる?で解説しています。

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特養の介護職に必要な資格

指定介護老人福祉施設の基準には、介護職員の資格要件は書かれていません。無資格・未経験でも介護職員として働けます。

ただし、施設には、無資格の従業者に認知症介護基礎研修を受講させるための措置が義務づけられています(第24条第3項、ユニット型は第47条第4項)。入職後に施設の案内で受講します。働きながら初任者研修や実務者研修、介護福祉士へと進むと、資格手当がつき、リーダーなどの役割も任されやすくなります。資格の全体像は介護・福祉の資格おすすめ10選で比べられます。

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特養はきついって聞くけど、どうなの?

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入所者の多くが介護の必要度が高い方なので、体を使う介助は多いです。その分、介護の技術は一番身につく職場だと思います。きつさは施設の人員配置で大きく変わるので、夜勤の人数や1フロアの入所者数は面接で必ず聞いておきましょう。

求人を見るときの確認点

  • 従来型かユニット型か:働き方が大きく違う
  • 夜勤の形:2交代か3交代か、月の夜勤回数、夜勤1回の手当
  • 夜勤の人数:1人で何人の入所者を見るか、看護職員のオンコール体制
  • 見守り機器や移乗の機器:センサーやリフトなど、負担を減らす機器があるか
  • 資格取得の支援:研修費用の補助や、シフトの配慮があるか

特養と老健の違いは老健と特養の違いとは?で比べています。

よくある質問

特養の介護職は無資格でも働けますか?

働けます。指定介護老人福祉施設の基準では、介護職員に資格要件は定められていません。無資格の場合は、施設の案内で認知症介護基礎研修を受講します。

特養の夜勤は何人ですか?

従来型では、入所者25人以下で1人以上、26〜60人で2人以上、61〜80人で3人以上、81〜100人で4人以上と告示で定められています。ユニット型は2ユニットごとに1人以上です。

特養の介護職の給料はいくらですか?

令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、処遇改善加算を取得している事業所の月給・常勤の介護職員で、介護老人福祉施設の平均給与額は361,860円です。手当と一時金を含む額で、手取りではありません。

特養の入浴は週に何回ですか?

基準では、1週間に2回以上、入浴させるか清しきすることとされています。入浴介助は介護職の主な仕事の1つです。

ユニット型と従来型はどちらが働きやすいですか?

人によります。決まった入居者とじっくり関わりたい人はユニット型、チームで業務を分担して動きたい人は従来型が合いやすいです。見学で実際の動きを見て判断するのがおすすめです。

まとめ
  • 特養の介護職は、入浴・排せつ・食事・起床や就寝の介助など、入所者の24時間の生活を支える
  • 介護職員と看護職員は、常勤換算で入所者3人に1人以上が基準
  • 夜勤の人数は告示で決まっており、従来型は入所者25人以下で1人以上から段階的に増える
  • 月給・常勤の平均給与額は361,860円。夜勤手当があるぶん高め
  • 資格要件はなく、無資格から始めて資格を取りながら働ける
参考にした情報

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。人員基準と介護の内容は指定介護老人福祉施設の基準、夜勤の人数は告示第29号、給与額は令和6年度介護従事者処遇状況等調査にもとづいて整理しています(2026年10月確認)。給与額は調査対象の平均で、地域・法人・資格・夜勤回数によって異なります。シフトの時間・1日の流れ・従来型とユニット型の働き方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、施設によって異なります。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味