夜勤専従の介護職はいくら稼げる?給料・手取りの目安と収入を増やす方法を解説

結論から書きます。夜勤専従の月収は「基本給部分+深夜割増+夜勤手当」の3階建てで決まります。このうち法律で最低額が保証されているのは深夜割増だけで、夜勤手当は各事業所が自由に決めています。つまり同じ回数・同じ時間働いても、事業所によって月4〜5万円の差が出ます。求人票を比べるときは、時給や月給の額面ではなく「夜勤1回あたりの手当」と「深夜割増が別建てかどうか」を見てください。
この記事では、労働基準法と同施行規則、厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査、協会けんぽの令和8年度保険料率、厚生労働省の令和8年度雇用保険料率の原文を確認して整理しました。夜勤手当の全国相場を示した公的統計は存在しないため、相場を断定するのではなく、自分の給与明細から正確に計算する方法をお伝えします。
この記事でわかること
- 夜勤専従の収入を構成する3つの要素と、法律で保証されている部分
- 深夜割増賃金の正確な計算式(労基則第19条)
- 割増賃金の基礎から除外できる手当は5つだけという事実(労基則第21条)
- 夜勤手当は除外できない=残業代の単価が上がるという仕組み
- 月10回入った場合の収入シミュレーション
- 手取りの計算に使う社会保険料率(令和8年度の実数)
- 夜勤があるサービス種別とないサービス種別の給与差
- 夜勤専従で収入を増やす4つの方法
ちびウルフ夜勤専従だと月いくらくらいになるの?相場が知りたい。
リハウルフ正直に言うと、夜勤手当の全国相場を示した公的な統計はありません。だから「相場は◯◯円」と書いてある記事は、根拠が弱い。それより自分の条件で計算できるようになったほうが確実です。式は3つだけなので、この記事で押さえてください。
夜勤専従の介護職はいくら稼げる?
夜勤専従の収入は、次の3つを足したものです。
| 要素 | 決め方 | 法的な位置づけ |
|---|---|---|
| ①基本給部分 | 時給×時間、または月給 | 最低賃金は法定。額は事業所が決める |
| ②深夜割増 | 基礎時給×0.25×深夜の労働時間 | 労働基準法第37条4項で義務 |
| ③夜勤手当 | 1回いくらの固定額が多い | 法定ではない。事業所が自由に設定 |
差が生まれるのは③です。②は法律で下限が決まっているので、事業所を変えても劇的には変わりません。一方で③には下限も上限もなく、まったく支給しない事業所も、1回1万円を超える事業所もあります。「夜勤専従は稼げる」と言えるかどうかは、③次第ということです。
夜勤手当の「相場」に公的データはない
厚生労働省の賃金統計や介護従事者処遇状況等調査には、夜勤手当だけを切り出した全国平均の項目がありません。ネット上で見かける「夜勤手当の相場は◯円」という数字は、求人サイトの集計や労働組合の独自調査によるものです。参考にはなりますが、公的統計と同じ確度では扱えません。この記事では相場の断定を避け、計算方法と、確認できる公的データだけを示します。
深夜割増賃金の正しい計算方法
労働基準法第37条4項は、「午後十時から午前五時まで…の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と定めています。
ここでいう「通常の労働時間の賃金の計算額」の出し方は、労働基準法施行規則第19条に書かれています。月給制の場合は第4号です。
月給制の割増基礎時給
月給 ÷ 1年間における1か月平均所定労働時間数 = 割増基礎時給
※ 月によって所定労働時間が異なる場合の規定。年間所定労働時間を12で割った数を使います。
たとえば年間休日120日・1日8時間の職場なら、年間所定労働時間は(365−120)×8=1,960時間。1か月平均は1,960÷12≒163.3時間です。月給22万円なら、割増基礎時給は220,000÷163.3≒1,347円になります。
深夜割増はこの1,347円の25%以上なので、1時間あたり約337円。夜勤1回で深夜帯(22時〜5時)を7時間通して働くなら、1回あたり約2,359円。月10回で約23,590円です。
| 状況 | 割増率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 深夜(22時〜5時) | 25%以上 | 労基法第37条4項 |
| 時間外+深夜 | 50%以上 | 労基則第20条1項 |
| 時間外が月60時間超+深夜 | 75%以上 | 労基則第20条1項 |
| 休日労働+深夜 | 60%以上 | 労基則第20条2項 |
夜勤手当は割増賃金の基礎から除外できない
ここが実務でいちばん見落とされている点です。労働基準法第37条5項は、割増賃金の基礎となる賃金から一部の手当を除外できると定めており、その具体的な範囲が労働基準法施行規則第21条に列挙されています。
- 家族手当(法第37条5項に明記)
- 通勤手当(同上)
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
この7つがすべてです。条文は「次に掲げる賃金は…算入しない」という限定列挙の形になっており、ここに書かれていない手当を勝手に除外することはできません。
つまり夜勤手当・資格手当・役職手当・皆勤手当などは、割増賃金の基礎に算入しなければならないということです。夜勤手当を含めた金額で基礎時給を計算し、そこから時間外や深夜の割増を出すのが正しい扱いになります。
ちびウルフ「夜勤手当に深夜割増も含んでいます」って言われたことがあるよ。
リハウルフその扱い自体は、深夜割増に相当する部分がいくらかを明確に区分できていれば違法とは限りません。ただ「区分できていること」が条件です。給与明細で夜勤手当が一本の金額になっていて内訳が分からないなら、就業規則か給与規程を見せてもらってください。それでも分からなければ労働基準監督署に相談する話です。
月の収入シミュレーション
実際に組み立ててみます。月給制・年間休日120日・夜勤1回16時間拘束(休憩2時間・実働14時間、うち深夜7時間)・月10回のモデルです。金額は計算例であり、実在する事業所の水準ではありません。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 基本給等(月給) | ― | 220,000円 |
| 割増基礎時給 | 220,000 ÷ 163.3時間 | 約1,347円 |
| 深夜割増(1回) | 1,347 × 0.25 × 7時間 | 約2,359円 |
| 深夜割増(月10回) | 2,359 × 10 | 約23,590円 |
| 夜勤手当(仮に1回6,000円) | 6,000 × 10 | 60,000円 |
| 総支給額 | ― | 約303,590円 |
夜勤手当が1回4,000円なら総支給は約283,590円、1回8,000円なら約323,590円。手当1回あたり2,000円の差が、月2万円・年24万円の差になります。求人票で見るべき数字はここです。
手取りはいくらになる?
総支給額からは社会保険料と税金が引かれます。令和8年度の料率で、本人負担分を整理します。
| 保険 | 料率(全体) | 本人負担 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 健康保険(東京支部) | 9.85% | 4.925% | 協会けんぽ 令和8年度 |
| 介護保険(40〜64歳) | 1.62%(全国一律) | 0.81% | 同上 |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23%(全国一律) | 0.115% | 同上(令和8年4月分から) |
| 厚生年金 | 18.3% | 9.15% | 厚生年金保険法第81条4項 |
| 雇用保険(一般の事業) | 13.5/1,000 | 5/1,000=0.5% | 厚生労働省 令和8年度 |
| 本人負担 合計 | 約15.5% | 40歳以上・東京の場合 | |
40歳未満なら介護保険料がかからないため、約14.7%です。これに所得税と住民税が加わります。所得税・住民税は扶養の状況や各種控除で大きく変わるため一律には言えませんが、ざっくり「総支給額の75〜80%が手取り」と見ておくと大きく外しません。
総支給30万円なら手取りは22万5千〜24万円程度。ただし健康保険料率は都道府県支部ごとに異なるため、正確に知りたい場合は協会けんぽの保険料額表(お住まいの都道府県支部)を確認してください。
社会保険料は「標準報酬月額」で決まる
毎月の総支給額にそのまま料率を掛けるのではなく、4〜6月の報酬をもとに決まる標準報酬月額に料率を掛けます。夜勤回数が多い月と少ない月があっても、その月ごとに保険料が変わるわけではありません。逆にいえば、4〜6月に夜勤を多く入れると、その年の社会保険料が高くなります。知っておくと損をしません。
夜勤があるサービス種別は給与が高い
公的データで確認できるのは、サービス種別ごとの給与差です。厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」による介護職員の平均給与額(常勤・月額)は次のとおりです。
| サービス種別 | 平均給与額 | 夜勤 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 361,860円 | あり |
| 特定施設入居者生活介護 | 361,000円 | あり |
| 介護老人保健施設 | 352,900円 | あり |
| 訪問介護 | 349,740円 | ― |
| 介護医療院 | 330,030円 | あり |
| 通所リハビリテーション | 319,310円 | なし |
| 認知症対応型共同生活介護 | 302,010円 | あり |
| 通所介護 | 294,440円 | なし |
特養と通所介護の差は月約6万7千円、年間で約80万円です。この差の大部分は夜勤の有無によるものと考えられます。ただしグループホームのように夜勤があっても給与が低めの種別もあるため、「夜勤がある=高い」と単純化はできません。
保有資格別では、介護福祉士350,050円、実務者研修327,260円、初任者研修324,830円、資格なし290,620円。介護福祉士と無資格の差は月約6万円です(同調査)。
夜勤専従で収入を増やす4つの方法
1. 夜勤手当が高い事業所に移る
いちばん効きます。深夜割増は法定なのでどこでも大差ありませんが、夜勤手当は事業所の裁量です。1回2,000円の差で年24万円変わります。応募前に「夜勤1回あたりの手当はいくらですか」と単刀直入に聞いてください。
2. 介護福祉士を取る
資格別で月約6万円の差があります。夜勤手当に資格加算を設けている事業所もあります。実務経験3年+実務者研修が必要なので、早めに動き始めるほど早く効きます。
3. 処遇改善加算の区分を確認する
介護職員等処遇改善加算は事業所ごとに取得区分が違い、区分によって職員1人あたりに配分される原資が変わります。求人票では分からないため、面接で「処遇改善加算の区分はいくつですか」と確認してください。答えられない事業所は、配分ルールも曖昧な可能性があります。
4. 夜勤回数を増やす(ただし上限に注意)
回数を増やせば収入は増えますが、労働時間の上限は労働基準法の枠内です。また4〜6月に集中させると標準報酬月額が上がり、その後1年間の社会保険料が高くなります。年間で均すほうが手取りは有利になることがあります。
よくある質問
夜勤専従の月収はいくらくらいですか?
夜勤手当の額で大きく変わるため、一律の相場は示せません。夜勤手当の全国平均を示した公的統計が存在しないためです。この記事の計算式(基礎時給=月給÷1か月平均所定労働時間、深夜割増=基礎時給×0.25×深夜の労働時間)に、応募先の夜勤手当を当てはめて計算してください。
深夜割増は何時間分つきますか?
午後10時から午前5時までの7時間分です(労働基準法第37条4項)。16時間拘束の夜勤でも、割増がつくのはこの7時間分だけで、それ以外の時間は通常の賃金または時間外の割増になります。
割増賃金の基礎から外していい手当は何ですか?
家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金の7つだけです(労働基準法第37条5項、同施行規則第21条)。限定列挙なので、夜勤手当や資格手当は除外できません。
夜勤手当に深夜割増が含まれていると言われました。問題ないですか?
深夜割増に相当する部分の金額が明確に区分でき、法定額を下回っていなければ直ちに違法とは限りません。ただし内訳が不明な場合は確認が必要です。就業規則・給与規程で確認し、疑義があれば所轄の労働基準監督署にご相談ください。
時間外労働が深夜に及んだ場合の割増率は?
50%以上です(労働基準法施行規則第20条1項)。時間外25%+深夜25%の合算です。時間外が月60時間を超える部分については75%以上になります。
手取りは総支給額の何割ですか?
社会保険料の本人負担は、40歳以上・東京の場合で約15.5%(健康保険4.925%+介護保険0.81%+子ども・子育て支援金0.115%+厚生年金9.15%+雇用保険0.5%/令和8年度)。これに所得税・住民税が加わるため、おおむね総支給額の75〜80%が手取りの目安です。
夜勤を4月から6月に集中させるとどうなりますか?
社会保険料は4〜6月の報酬をもとに決まる標準報酬月額に料率を掛けて算出されるため、この時期に収入が増えると、その後の社会保険料が高くなります。年間で回数を均すほうが手取りが有利になる場合があります。
夜勤がある職場は本当に給料が高いのですか?
種別による差はあります。令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、特養361,860円に対し通所介護294,440円で、月約6万7千円の差があります。ただし認知症対応型共同生活介護は夜勤があっても302,010円で、夜勤の有無だけで決まるわけではありません。
資格を取ると夜勤の収入は増えますか?
同調査の保有資格別では、介護福祉士350,050円、実務者研修327,260円、初任者研修324,830円、資格なし290,620円です。介護福祉士と無資格で月約6万円の差があります。夜勤手当に資格ごとの差を設けている事業所もあります。
パートの夜勤専従でも深夜割増はつきますか?
つきます。労働基準法第37条4項に雇用形態の限定はありません。時給制の場合は、時給の25%以上を深夜の労働時間分だけ上乗せします(労基則第19条1号)。
まとめ
- 夜勤専従の収入は「基本給部分+深夜割増+夜勤手当」の3階建て
- 法律で下限が保証されているのは深夜割増だけ。差がつくのは夜勤手当
- 夜勤手当の全国相場を示した公的統計は存在しない
- 月給制の割増基礎時給=月給÷1年間における1か月平均所定労働時間(労基則第19条4号)
- 深夜割増は基礎時給の25%以上×深夜の労働時間(労基法第37条4項)
- 深夜は午後10時〜午前5時の7時間。16時間全部ではない
- 時間外+深夜は50%以上、月60時間超+深夜は75%以上(労基則第20条)
- 割増の基礎から除外できるのは7種類だけの限定列挙(労基則第21条)
- 夜勤手当・資格手当・役職手当は除外できず、基礎に算入される
- 社会保険料の本人負担は40歳以上・東京で約15.5%(令和8年度)
- 厚生年金18.3%の労使折半で本人9.15%、雇用保険は本人0.5%
- 手取りの目安は総支給額の75〜80%
- 社会保険料は4〜6月の報酬で決まる標準報酬月額がベース
- 特養361,860円と通所介護294,440円で月約6万7千円の差(令和6年度調査)
- 介護福祉士と資格なしで月約6万円の差。収入を上げるなら資格と事業所選び
参考にした情報
- 労働基準法(e-Gov法令検索)
- 労働基準法施行規則(e-Gov法令検索)
- 厚生年金保険法(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
- 全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率」
- 厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」
※本記事の割増賃金・保険料率に関する記述は、労働基準法および同施行規則、厚生年金保険法、全国健康保険協会が公表する令和8年度保険料率、厚生労働省「令和8年度雇用保険料率のご案内」、厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」にもとづいて整理したものです。本文中の収入シミュレーションは計算方法を示すための例であり、特定の事業所の給与水準を示すものではありません。健康保険料率は都道府県支部ごとに異なります。所得税・住民税は扶養親族の数や各種控除により変動するため、手取り額は目安です。夜勤手当の額は事業所が独自に定めるもので、公的な統計は存在しません。制度に関する記述は2026年9月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。賃金の計算や支払いについて疑義がある場合は、所轄の労働基準監督署にご相談ください。

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