重度訪問介護従業者養成研修とは?4つの課程と時間数

先に結論をお伝えします。重度訪問介護従業者養成研修は、常時介護が必要な重度の障害がある人の自宅などで、長時間の介護や外出時の支援を行うための研修です。厚生労働省の告示で4つの課程が定められており、時間数は10時間・10時間・20.5時間・12時間です。たん吸引などの医療的ケアの基本研修を含む課程もあります。
この記事では、重度訪問介護従業者養成研修の課程ごとの内容と時間数を、平成18年厚生労働省告示第538号の原文を確認して整理しました。
- 重度訪問介護従業者養成研修とはどんな研修か
- 4つの課程の時間数と内容
- 喀痰吸引等研修との関係
- どの課程を受ければよいか
- 受講前に確認したいこと
重度訪問介護従業者養成研修とは?
告示第538号では、重度訪問介護従業者養成研修を次の内容の研修としています。
重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって、常時介護を要するものに対する入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事、当該障害者の特性の理解及び居宅内や外出時における危険を伴う行動を予防又は回避するために必要な援護等に関する知識及び技術を習得することを目的として行われる研修
重度訪問介護は障害福祉サービスの1つで、見守りを含めて長時間にわたって支援するのが特徴です。障害福祉サービスと介護保険の関係は65歳問題とは?で解説しています。
重度訪問介護従業者養成研修の4つの課程
| 告示の別表 | 一般的な呼び方 | 時間数 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 別表第二 | 基礎課程 | 10時間 | 重度の肢体不自由者の地域生活、基礎的な介護技術の講義と、介護・コミュニケーション・外出時の介護の実習 |
| 別表第三 | 追加課程 | 10時間 | 医療的ケアが必要な利用者の障害と支援、緊急時の対応の講義と、サービス提供現場での実習(別表第二の修了者が対象) |
| 別表第四 | 統合課程 | 20.5時間 | 別表第二・第三の内容と、喀痰吸引等研修(第3号研修)の基本研修に相当する内容を含む |
| 別表第五 | 行動障害支援課程 | 12時間 | 強度行動障害の基本的理解、制度と支援技術、固有のコミュニケーションの理解などの講義・演習 |
課程の呼び方は研修機関によって異なることがあるため、申し込むときは告示のどの別表に対応する課程かを確認すると確実です。
基礎課程(10時間)
講義は、重度の肢体不自由者の地域生活等に関する講義(2時間、職業倫理を含む)と、基礎的な介護技術に関する講義(1時間)です。実習は、基礎的な介護とコミュニケーションの技術(5時間)、外出時の介護技術(2時間)です。
追加課程(10時間)
医療的ケアを必要とする利用者の障害と支援(4時間)、コミュニケーションの技術(2時間)、緊急時の対応と危険防止(1時間)の講義と、サービス提供現場での実習(3時間)です。実習には、在宅等で生活する障害支援区分5または6の肢体不自由者の現場を1か所以上含むこととされています。
統合課程(20.5時間)
基礎課程・追加課程の内容に加えて、喀痰吸引と経管栄養が必要な重度障害者の支援や緊急時の対応に関する講義、喀痰吸引等の演習を含みます。これらは社会福祉士及び介護福祉士法施行規則の喀痰吸引等研修(第3号研修)の基本研修に相当するものとされています。
行動障害支援課程(12時間)
重度の知的障害や精神障害で行動上著しい困難がある人を支援するための課程です。強度行動障害の基本的理解(1.5時間)、制度と支援技術の基礎的な知識(5時間)の講義と、情報収集と記録の共有、固有のコミュニケーションの理解、行動障害の背景にある特性の理解の演習で構成されています。
ちびウルフ統合課程を受ければ、すぐにたん吸引ができるの?
リハウルフ統合課程で学ぶのは、喀痰吸引等研修の第3号研修の「基本研修」に相当する部分です。実際に行うには、特定の利用者さんでの実地研修を修了して、都道府県知事の認定を受ける必要があります。事業所の登録も必要なので、勤務先と一緒に進めるのが現実的ですよ。
喀痰吸引等研修との関係
統合課程の基本研修は、喀痰吸引等研修の第3号研修(特定の利用者を対象とする課程)の基本研修に相当します。第3号研修の基本研修は合計9時間と定められており(同法施行規則別表第三)、実地研修は医師等の評価で知識と技能を修得したと認められるまで行います。
修了後は、都道府県知事に認定特定行為業務従事者認定証の交付を申請し、登録を受けた事業所で、医師の指示の下で行います。
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どの課程を受ければよいか
- 肢体不自由の人の支援が中心:基礎課程から始め、医療的ケアが必要な利用者を担当するなら追加課程または統合課程を検討する
- たん吸引・経管栄養が必要な利用者を担当する予定:統合課程で基本研修に相当する内容まで学び、実地研修と認定に進む
- 知的障害・精神障害で行動上の困難がある人の支援:行動障害支援課程を受ける
勤務する事業所で担当する利用者が決まっている場合は、その利用者に必要な支援から課程を選ぶのが基本です。
受講前に確認したいこと
- 研修機関が都道府県の指定を受けているか:修了証明書を受け取れる研修かどうかを確認する
- 実習の場所:追加課程・統合課程は、サービス提供現場での実習がある
- 費用と日程:研修機関ごとに異なる。事業所が費用を負担する場合もある
- ほかの資格との関係:初任者研修や介護福祉士を持っている場合の扱いを、勤務先や指定権者に確認する
視覚障害者の外出支援の研修は同行援護従業者養成研修とは?で解説しています。
よくある質問
重度訪問介護従業者養成研修は何時間ですか?
告示では、基礎課程10時間、追加課程10時間、統合課程20.5時間、行動障害支援課程12時間と定められています。
無資格・未経験でも受講できますか?
基礎課程は資格がなくても受講できる研修機関が一般的です。追加課程は、基礎課程(別表第二)の内容以上の課程を修了した人が対象とされています。
統合課程と基礎課程+追加課程の違いは何ですか?
統合課程は、基礎課程・追加課程の内容に加えて、喀痰吸引等研修の第3号研修の基本研修に相当する内容を含む課程です。
行動障害支援課程はどんな人向けですか?
重度の知的障害や精神障害により行動上著しい困難がある人の支援にあたる人向けの課程です。強度行動障害の理解や支援技術を学びます。
修了すると介護保険の訪問介護でも働けますか?
介護保険の訪問介護員になれるのは、介護福祉士か初任者研修などの養成研修修了者です。共生型訪問介護などの例外を除き、重度訪問介護従業者養成研修だけでは介護保険の訪問介護には従事できないと考えてください(介護保険法施行令第3条)。
- 重度訪問介護従業者養成研修は、常時介護が必要な重度の障害者を長時間支援するための研修
- 告示で基礎10時間・追加10時間・統合20.5時間・行動障害支援12時間の4課程が定められている
- 統合課程は、喀痰吸引等研修の第3号研修の基本研修に相当する内容を含む
- たん吸引を行うには、実地研修・都道府県知事の認定・事業所の登録が必要
- 担当する利用者に必要な支援から課程を選ぶ
- 指定居宅介護の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの等(平成18年厚生労働省告示第538号)第1条第5号・別表第二〜第五
- 社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(e-Gov法令検索)別表第三
- 介護保険法施行令(e-Gov法令検索)第3条
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。研修の目的・課程・時間数は告示第538号、喀痰吸引等研修の基本研修は社会福祉士及び介護福祉士法施行規則にもとづいて整理しています(2026年10月確認)。課程の呼び方、受講要件、費用は研修機関や都道府県によって異なります。課程の選び方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。



