高齢者の歯周病予防|歯みがき・歯磨き粉の選び方と受診の目安

先に結論をお伝えします。高齢者の歯周病予防は「歯と歯ぐきの境目を磨く」「歯と歯の間を掃除する」「歯科で定期的に歯石を取る」の3つが基本です。歯みがき粉はこの3つを助けるもので、歯みがき粉だけで歯周病を防ぐことはできません。
この記事では、厚生労働省の情報サイト「e-ヘルスネット」の解説を確認して、高齢者の歯周病の特徴、家でできる予防、歯みがき粉の選び方、歯科を受診する目安を整理しました。
- 歯周病とはどんな病気か、むし歯との違い
- 自分でできる歯周病のセルフチェック
- 年をとると歯周病が増えやすい理由
- 歯ブラシ・歯間ブラシ・歯みがき粉の選び方
- 歯科での歯石除去とメインテナンスの間隔
- 糖尿病・喫煙がある人が特に気をつけること
高齢者の歯周病とは?歯を失う大きな原因
e-ヘルスネットでは、歯周病を次のように説明しています。
「歯と歯ぐき(歯肉)の隙間(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こした状態(歯肉炎)、それに加えて歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてグラグラにさせてしまう状態(歯周炎)を合わせて、歯周病といいます。」(e-ヘルスネット「歯周病とは」)
原因は、歯と歯ぐきの境目にたまる歯垢(プラーク)の中の細菌です。歯垢が石のように固まると歯石になり、細菌はそれを足がかりにさらに奥へ進みます。
e-ヘルスネットが紹介している2018年の全国調査では、抜歯の原因で最も多かったのが歯周病(37%)でした。中高年以降は、むし歯より歯周病で歯を失う人が増えていきます。
ちびウルフ歯周病って、痛くなったら気づくものじゃないの?
リハウルフ初期はほとんど症状がないんです。e-ヘルスネットでも、初期の段階では自分で気づける症状がなかなか出ないとされています。だからこそ、症状がなくても歯科で定期的にチェックしてもらうことが大事なんですよ。
歯周病のセルフチェック
e-ヘルスネットでは、次のような症状がある場合は歯周病の可能性があり、歯科で検査を受ける必要があるとしています。
- 朝起きたときに、口のなかがネバネバする
- 歯みがきのときに出血する
- 硬いものが噛みにくい
- 口臭が気になる
- 歯肉がときどき腫れる
- 歯肉が下がって、歯と歯の間にすきまができてきた
- 歯がグラグラする
1つでも当てはまれば、一度歯科で歯周ポケットの検査を受けてみてください。e-ヘルスネットでは、中年期以降の方・喫煙者・糖尿病の方・歯みがきのしかたが悪い方は歯周病が起こりやすいとされています。
年をとると歯周病が増えやすい理由
e-ヘルスネットによると、歯周ポケット(4mm以上)がある人の割合は年齢とともに高くなり、45歳以上では過半数を占めます。また、昔に比べて高齢者に残っている歯が増えたため、歯周病にかかる可能性のある歯そのものが増えている、と説明されています。
ほかにも、高齢者には歯周病を進めやすい条件が重なりがちです。
- 糖尿病:体の防御の働きが落ち、歯周病が進行しやすい
- 口の乾き:殺菌作用のある唾液が減り、歯周病の危険が高まる
- 薬の影響:高血圧の薬などの副作用で歯ぐきが腫れることがある
- 手指の力・視力の低下:磨き残しが増える
- かぶせ物・部分入れ歯:段差やバネのかかる歯に歯垢がたまりやすい
訪問の現場では、手や肩の動きが悪くなって奥歯の内側まで歯ブラシが届かなくなっている方をよく見かけます。本人は「毎日磨いている」と思っていても、届いていない場所があるのです。
家でできる高齢者の歯周病予防
e-ヘルスネットでは、歯周病予防の基本は歯垢がつかないようにすることで、毎日の歯みがきと定期的な歯石除去が有効としています。家でできることを道具ごとに整理します。
歯ブラシは「境目」に当てる
歯周病の原因になる歯垢は、歯と歯ぐきの境目にたまります。毛先を境目に軽く当て、小刻みに動かして磨きましょう。力を入れすぎると歯ぐきを傷めるので、やわらかめの毛が向いています。歯ブラシの選び方は高齢者向け歯ブラシおすすめ13選|介護用・口腔ケア用品も紹介で詳しく紹介しています。
歯と歯の間は歯間ブラシ・フロスで
e-ヘルスネットでは、歯ブラシは歯の表裏や噛み合わせには有効でも、歯と歯の間の清掃には十分ではないとしています。
| 道具 | 向いている場所 | 使い方のポイント |
|---|---|---|
| デンタルフロス | すき間の小さい歯と歯の間 | のこぎりのように前後に動かして入れ、歯の面に沿わせてかき出す |
| 歯間ブラシ(ストレート) | 前歯のすき間 | すき間より少し小さめのサイズを選び、表側と裏側から数回往復 |
| 歯間ブラシ(L字型) | 奥歯のすき間 | 角度を少しずつ変えながら動かす |
高齢になると歯ぐきが下がって歯と歯のすき間が広がるため、歯間ブラシが使いやすくなる方が多いです。サイズはかかりつけの歯科で合わせてもらうと安心です。
歯みがき粉は「薬用成分」で選ぶ
e-ヘルスネットでは、歯みがき粉(歯磨剤)を次の3つに分けて説明しています。
| 種類 | 中身 |
|---|---|
| 化粧品 | 研磨剤・発泡剤・湿潤剤などの基本成分だけでつくられている |
| 医薬部外品 | 基本成分に薬用成分が配合されている。市場に出回っている大部分がこれ |
| 医薬品 | 医薬品として承認された歯磨剤 |
医薬部外品に入っている薬用成分には、フッ化物(歯の質を強くする)、抗炎症剤(炎症をおさえる)、殺菌剤(歯垢の中の細菌の増殖をおさえる)、酵素(歯垢を分解して付着を防ぐ)などがあり、目的に応じて選ぶとよいとされています。歯周病が気になる方は、歯肉炎予防や殺菌成分をうたった薬用歯みがき粉が候補になります。
e-ヘルスネットでは「歯磨剤は歯みがきを助け、効果を高めるものなので、薬用成分に頼りすぎないように気をつけなくてはいけません」とされています。どの歯みがき粉を選んでも、境目を磨く・歯間を掃除するという基本は変わりません。
歯周病・虫歯・口臭・ステイン。
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電動歯ブラシは手の力が落ちた人の味方
手指の力が落ちてうまく磨けない方には、電動歯ブラシも選択肢です。e-ヘルスネットでは、歯と歯ぐきの境目に毛先を軽く当てて3〜5秒ずつずらしていく使い方が紹介されており、長く使いすぎると歯や歯ぐきを傷つける可能性があるため3分以内が推奨されています。歯と歯の間は電動歯ブラシでも磨きにくいので、歯間ブラシやフロスと組み合わせてください。
歯科での歯石除去とメインテナンス
歯石は自分の歯みがきでは取れません。e-ヘルスネットでは、定期的に歯科を受診して歯石を取ってもらうことが必要とされています。
歯周病の治療が終わったあとの定期的な管理(メインテナンス)の間隔は、e-ヘルスネットで次のように説明されています。
| 状態 | メインテナンスの間隔の目安 |
|---|---|
| 治療前の状態が悪かった、歯みがきがあまりできない | 1〜3か月ごと |
| 軽度の歯周炎だった、歯みがきが上手 | 半年に1度で大丈夫な場合がある |
間隔は歯科医師とよく話し合って決めることが必要とされています。通院が難しい方は、訪問歯科も利用できます。
ちびウルフ歯医者に行くのがおっくうで…年に1回でもいいの?
リハウルフ状態によっては半年に1回でいい人もいますが、歯みがきがうまくできていない人は1〜3か月ごとが目安とされています。自分で決めずに、歯医者さんに「次はいつ来ればいいですか」と聞いて予約して帰るのが続けるコツです。
糖尿病・喫煙がある人は特に注意
e-ヘルスネットでは、喫煙者は非喫煙者と比べて歯周病に3倍以上かかりやすいといわれていること、糖尿病の方は歯周病が進行しやすいことが紹介されています。また喫煙者は、血行が悪くなるために歯ぐきの出血や腫れが出にくく、気づいたときには進んでいることがあります。
- 歯みがきのたびに出血する、歯ぐきが腫れている
- 歯がぐらぐらする、噛むと痛い
- 糖尿病があり、しばらく歯科検診を受けていない
- 部分入れ歯のバネがかかる歯の周りが腫れている
禁煙は、ある程度進んだ歯周病にも有効とされています。e-ヘルスネットでは「禁煙の実行に遅いことはありません」と書かれています。
よくある質問
歯周病は歯みがき粉で治りますか?
歯みがき粉だけでは治りません。e-ヘルスネットでも、歯磨剤は歯みがきを助けるもので、薬用成分に頼りすぎないよう注意するとされています。すでに歯周病がある場合は、歯科での歯石除去や治療が必要です。
歯ぐきから血が出るときは、磨くのをやめたほうがいいですか?
出血は歯ぐきの炎症のサインです。やわらかめの歯ブラシで、力を入れずに境目を磨きましょう。出血が続く場合や腫れている場合は、歯科を受診してください。
入れ歯の人も歯周病になりますか?
自分の歯が残っていれば歯周病になります。特に部分入れ歯のバネがかかる歯は歯垢がたまりやすく、e-ヘルスネットでも歯を失うリスクが高い歯の1つに挙げられています。入れ歯を外して、残っている歯を丁寧に磨きましょう。
電動歯ブラシは高齢者に向いていますか?
手の力が落ちて細かく動かせない方には向いています。ただし長く使いすぎると歯や歯ぐきを傷つける可能性があり、3分以内の使用が推奨されています。歯と歯の間は歯間ブラシなどを併用してください。
歯科のメインテナンスはどのくらいの間隔で受ければいいですか?
歯みがきがあまりできない場合は1〜3か月ごと、軽度で歯みがきが上手な方は半年に1度で大丈夫な場合があるとされています。歯科医師と相談して決めてください。
家族が仕上げ磨きをしてもいいですか?
本人が磨いたあとに、家族が奥歯の内側や歯と歯ぐきの境目を仕上げ磨きするのは有効です。むせやすい方は、うがいの水の量や姿勢に注意し、訪問看護や歯科衛生士にやり方を確認すると安心です。
- 歯周病は歯垢の細菌が歯ぐきに炎症を起こし、歯を支える骨を溶かす病気
- 抜歯の原因で最も多いのが歯周病で、初期はほとんど自覚症状がない
- 予防の基本は、境目の歯みがき・歯間の掃除・歯科での定期的な歯石除去
- 歯みがき粉は薬用成分で選ぶが、頼りすぎずに基本の歯みがきを続ける
- 糖尿病・喫煙がある人は歯周病が進みやすいので、定期検診を欠かさない
- 出血・腫れ・ぐらつきがあれば早めに歯科へ
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病とは」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周疾患の自覚症状とセルフチェック」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周疾患の有病状況」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病の予防と治療」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯みがきを助けるもの(電動歯ブラシ・歯磨剤・洗口液)」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯間部清掃(デンタルフロス・歯間ブラシ)」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「メインテナンス」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯の喪失の原因」
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。歯周病の定義・セルフチェック・予防法・メインテナンスの間隔は、厚生労働省 e-ヘルスネットの記載にもとづいて整理しました(2026年10月確認)。高齢者の磨き残しや仕上げ磨きに関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、診断や治療に代わるものではありません。症状がある場合は歯科医師にご相談ください。





