通所介護の共生型減算とは?

通所介護(デイサービス)の共生型通所介護の減算は、事業者の種別に応じて所定単位数の93%・95%・90%で算定するものです。1つの率ではなく、どの障害福祉サービス等の事業者が行うかで3段階に分かれています。
ハブ記事などでは「共生型通所介護の減算」と一括りにされがちですが、条文(注7)は4つの事業者種別を列挙し、それぞれに率を割り当てています。指定生活介護事業者なら93%、指定自立訓練事業者なら95%、指定児童発達支援事業者と指定放課後等デイサービス事業者なら90%。自事業所がどれに当たるかで7ポイントの差が生じます。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)通所介護費の注7・注8の原文を確認して整理しました。
- 共生型通所介護の減算が93%・95%・90%の3段階であること
- 事業者種別ごとの率の割り当て
- 重症心身障害児を主とする事業所が除かれること
- 生活相談員配置等加算13単位との関係
- 共生型の場合に算定できなくなる加算
- 共生型通所介護とは何か
- 率の差が生まれる理由
- 届出が必要であること
ちびウルフなぜ事業者の種類で率が違うんですか? 同じ通所介護を提供するのに。
リハウルフもともとの人員配置が違うからです。生活介護は日中の介護が主体で高齢者への支援と近い。自立訓練は訓練が主体。児童発達支援や放課後等デイは対象が子どもです。高齢者の通所介護としての体制にどれだけ近いかで、率が段階的に設定されていると読めます。
通所介護の共生型減算とは?
通所介護の共生型減算は、障害福祉サービス等の事業所が共生型通所介護を行った場合に、通所介護の基本報酬を一定割合で算定する仕組みです。告示19号 通所介護費の注7に規定されています。
共生型サービスは、障害福祉サービスの事業所が高齢者も受け入れられるようにする仕組みです。障害福祉サービスを利用していた方が65歳になると、原則として介護保険が優先されます。それまで通っていた事業所に通えなくなるという問題を解消するために設けられました。
ただし障害福祉サービスの事業所は、介護保険の通所介護としての人員基準を満たしているわけではありません。その差を報酬で調整するのが、この減算の役割です。受け入れを可能にしつつ、体制の違いを反映させる仕組みといえます。
共生型減算の減算率
7 共生型居宅サービスの事業を行い、かつ、(略)届出を行った指定生活介護事業者(略)が当該事業を行う事業所において共生型通所介護(略)を行った場合は、所定単位数の100分の93に相当する単位数を算定し、共生型居宅サービスの事業を行う指定自立訓練(機能訓練)事業者(略)又は指定自立訓練(生活訓練)事業者(略)が(略)行った場合は、所定単位数の100分の95に相当する単位数を算定し、共生型居宅サービスの事業を行う指定児童発達支援事業者(略、主として重症心身障害児を通わせる事業所において指定児童発達支援を提供する事業者を除く。)が(略)行った場合は、所定単位数の100分の90に相当する単位数を算定し、共生型居宅サービスの事業を行う指定放課後等デイサービス事業者(略、主として重症心身障害児を通わせる事業所において指定放課後等デイサービスを提供する事業者を除く。)が(略)行った場合は、所定単位数の100分の90に相当する単位数を算定する。
| 事業者の種別 | 算定する割合 | 実質の減算幅 |
|---|---|---|
| 指定生活介護事業者 | 93% | △7% |
| 指定自立訓練(機能訓練)事業者 指定自立訓練(生活訓練)事業者 | 95% | △5%(最も軽い) |
| 指定児童発達支援事業者(重症心身障害児を主とする事業所を除く) | 90% | △10%(最も重い) |
| 指定放課後等デイサービス事業者(重症心身障害児を主とする事業所を除く) | 90% | △10% |
金額のイメージ
| 基本報酬(通常規模型・要介護3・7〜8時間900単位) | 算定額 | 差 |
|---|---|---|
| 通常(共生型でない) | 900単位 | — |
| 自立訓練事業者(95%) | 855単位 | △45単位 |
| 生活介護事業者(93%) | 837単位 | △63単位 |
| 児童発達支援・放課後等デイ(90%) | 810単位 | △90単位 |
※端数処理により実際の請求額とは異なります。
最も軽い95%と最も重い90%では、要介護3で1日45単位の差になります。
重症心身障害児を主とする事業所は除かれる
児童発達支援と放課後等デイサービスには、「主として重症心身障害児を通わせる事業所において(略)を提供する事業者を除く」という限定が付いています。
これらの事業所は共生型通所介護の対象から外れるという読み方になります。医療的ケアを要する重症心身障害児を対象とする体制と、高齢者の通所介護は前提が大きく異なるためと考えられます。
共生型通所介護とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 指定居宅サービス基準第105条の2に規定する共生型通所介護 |
| 前提 | 共生型居宅サービスの事業を行うこと |
| 届出 | 都道府県知事等への届出が必要 |
共生型サービスは、平成30年度から設けられた仕組みです。障害福祉サービスの事業所が介護保険の指定を受けやすくすることで、65歳を迎えた方が使い慣れた事業所に通い続けられるようにすることを目的としています。
担当したケースでも、障害のある方が65歳になって介護保険に切り替わる場面に何度も立ち会いました。それまで10年以上通っていた場所に通えなくなる、というのは本人にとって大きな断絶です。共生型サービスは、その断絶を避けるための制度的な受け皿といえます。
生活相談員配置等加算との関係
8 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(略)届出を行った指定通所介護事業所において、注7を算定している場合は、生活相談員配置等加算として、1日につき13単位を所定単位数に加算する。
注8は、注7(共生型減算)を算定している場合にのみ算定できる加算です。共生型通所介護の事業所が生活相談員を配置している場合に13単位が付きます。
| 事業者種別 | 減算後(要介護3・900単位) | +生活相談員配置等加算 | 実質 |
|---|---|---|---|
| 自立訓練(95%) | 855単位 | +13単位 | 868単位 |
| 生活介護(93%) | 837単位 | +13単位 | 850単位 |
| 児童発達支援等(90%) | 810単位 | +13単位 | 823単位 |
13単位では減算分を埋められません。ただし共生型の事業所が高齢者への支援体制を整えることを後押しする位置づけです。
共生型の場合に算定できない加算
| 加算 | 単位数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 中重度者ケア体制加算 | 45単位/日 | 注11ただし書き「注7を算定している場合は、算定しない」 |
| 認知症加算 | 60単位/日 | 注15ただし書き「注7を算定している場合は、算定しない」 |
共生型通所介護では、中重度者ケア体制加算と認知症加算を算定できません。いずれも高齢者向けの体制を評価する加算であり、共生型の事業所には適用しないという整理です。
減算に加えて、これら2つの加算を落とすことになる点は収支の検討で見落とせません。要介護3で試算すると、中重度者ケア体制加算45単位と認知症加算60単位で計105単位。減算幅より大きくなる場合があります。
共生型減算の注意点
事業者種別を正確に確認する
93%・95%・90%のどれに当たるかは、障害福祉サービス等の指定内容で決まります。自事業所がどの指定を受けているかを、指定通知書等で確認してください。
「所定単位数の◯%を算定する」
条文は「減算する」ではなく「所定単位数の100分の◯に相当する単位数を算定する」という書き方です。率を掛けた額が所定単位数になるため、その後に率で乗る加算(処遇改善加算など)の基礎も変わります。
届出が必要
注7は「共生型居宅サービスの事業を行い、かつ、(略)届出を行った」事業者を対象としています。共生型居宅サービスの事業を行うこと自体と、届出の両方が必要です。
生活相談員配置等加算は別に届出が要る
注8は「別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして届出を行った」事業所を対象としています。注7の届出とは別に、加算の届出が必要です。
他サービスにも共生型の規定がある
ショートステイ(短期入所生活介護)にも共生型の規定があり、そちらは92%で算定します。訪問介護にも同種の規定があります。サービスごとに率が違うため、他サービスの解説を流用しないでください。
- 自事業所の障害福祉サービス等の指定内容を確認したか
- 93%・95%・90%のどれに当たるか
- 重症心身障害児を主とする事業所に該当していないか
- 共生型居宅サービスの届出を済ませているか
- 生活相談員配置等加算の届出を別に行っているか
- 中重度者ケア体制加算・認知症加算を算定していないか
よくある質問
通所介護の共生型減算は何%ですか?
1つではありません。事業者の種別に応じて所定単位数の93%・95%・90%で算定します。
指定生活介護事業者の場合は?
所定単位数の93%で算定します。
指定自立訓練事業者の場合は?
機能訓練・生活訓練とも所定単位数の95%で算定します。3種別のなかで最も減算幅が小さくなります。
児童発達支援・放課後等デイサービスの場合は?
いずれも所定単位数の90%で算定します。最も減算幅が大きくなります。
重症心身障害児を対象とする事業所も対象ですか?
児童発達支援・放課後等デイサービスについては、主として重症心身障害児を通わせる事業所において提供する事業者は除かれます。
なぜ率が違うのですか?
もともとの人員配置や支援の性質が異なるためと読めます。高齢者の通所介護としての体制にどれだけ近いかで段階的に設定されています。
生活相談員配置等加算は算定できますか?
できます。注8は注7を算定している場合に1日13単位を加算すると定めています。別途届出が必要です。
13単位で減算分は埋まりますか?
埋まりません。要介護3で試算すると減算幅は45〜90単位です。
算定できなくなる加算はありますか?
あります。中重度者ケア体制加算(45単位)と認知症加算(60単位)は、注7を算定している場合は算定できません。
共生型通所介護とは何ですか?
障害福祉サービス等の事業所が高齢者も受け入れられるようにする仕組みです。65歳を迎えた方が使い慣れた事業所に通い続けられるようにすることが目的です。
届出は必要ですか?
必要です。共生型居宅サービスの事業を行うことと、都道府県知事等への届出の両方が要件です。
ショートステイの共生型と同じ率ですか?
違います。短期入所生活介護の共生型は92%です。サービスごとに率が異なります。
- 通所介護の共生型減算は1つの率ではなく93%・95%・90%の3段階
- 指定生活介護事業者は93%
- 指定自立訓練(機能訓練・生活訓練)事業者は95%で最も軽い
- 指定児童発達支援事業者・指定放課後等デイサービス事業者は90%で最も重い
- 児童発達支援・放課後等デイは、主として重症心身障害児を通わせる事業所を除く
- 要介護3では95%と90%で1日45単位の差になる
- 条文は「減算する」ではなく「所定単位数の◯%に相当する単位数を算定する」
- そのため率で乗る加算の基礎も置き換わった額になる
- 共生型居宅サービスの事業を行うことと届出の両方が必要
- 注7を算定していると生活相談員配置等加算13単位を算定できる
- ただし13単位では減算分を埋められない
- 中重度者ケア体制加算45単位と認知症加算60単位は算定できなくなる
- 減算に加えてこの2加算を落とす点が収支検討の要
- 短期入所生活介護の共生型は92%で、サービスごとに率が違う
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月10日厚生省告示第19号)別表「通所介護費」注7、注8、注11、注15、「短期入所生活介護費」注6(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第105条の2(共生型通所介護)(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日厚生労働省告示第95号)(生活相談員配置等加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の算定割合・要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに自事業所がどの事業者種別に該当するか、「主として重症心身障害児を通わせる事業所」の判断、他の加算・減算との計算順序については告示本文だけでは確定できず、留意事項通知および指定権者の取扱いによります。指定権者にご確認ください。障害福祉サービス等の指定内容については、障害福祉サービスの指定権者にご確認ください。記事中の単位数の計算例は概算であり、端数処理により実際の請求額とは異なります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




