70代の女性が疲れやすくなる背景には、この年代の女性に多い病気があります。鉄欠乏性貧血、甲状腺機能低下症、骨粗鬆症による背中の痛み、心不全。いずれも女性に多く、しかも「年のせい」と思われて見過ごされやすいものばかりです。

この記事では、70代女性の疲れやすさについて、この年代・性別で頻度が高い原因を中心に整理しました。原因全般については別の記事にまとめているので、ここでは70代女性という条件で考えたときに、とくに疑うべきものに絞って書いています。

この記事でわかること
  • 70代女性に多い、疲れやすさの原因
  • 貧血と甲状腺の病気が女性に多い理由
  • 閉経後に骨密度が下がることと、疲れやすさの関係
  • 背中が丸くなると疲れやすくなる仕組み
  • 心不全の症状が女性では気づかれにくいこと
  • 家事は運動にならないという誤解
  • 血液検査で最初に確認するとよい項目
  • 今日から始められる対策

70代の女性が疲れやすい原因

原因疲れやすさ以外の症状確認の方法
鉄欠乏性貧血立ちくらみ、動悸、息切れ、顔色不良、氷を食べたくなる血液検査
甲状腺機能低下症寒がり、便秘、むくみ、体重増加、動作が遅い、肌の乾燥血液検査
骨粗鬆症・脊椎圧迫骨折背中や腰の痛み、身長が縮んだ、背中が丸い骨密度検査、レントゲン
心不全むくみ、息切れ、夜に横になると苦しい、体重増加受診・検査
サルコペニア・低栄養体重減少、握力低下、歩くのが遅くなった体重・食事量の確認
うつ・不眠気分の落ち込み、食欲低下、早朝に目が覚める受診

鉄欠乏性貧血は「閉経後だから安心」ではない

月経がある年代の女性に貧血が多いのはよく知られています。ただし閉経後の女性に貧血が見つかった場合は、別の理由を考える必要があります。消化管からの出血など、原因を調べるべき状態が隠れていることがあるためです。

加えて、70代では食事量そのものが減り、肉や魚が食卓から減ることで、鉄とたんぱく質が同時に不足しがちです。「あっさりしたものばかり食べている」という方は、特に注意が必要です。

甲状腺機能低下症は女性に多い

甲状腺の機能が落ちると、全身の代謝が下がります。だるい、寒い、動きたくない、便秘、むくみ、体重が増える、といった症状が出ますが、これらはすべて「年のせい」と説明がついてしまうため、見過ごされやすい病気です。血液検査で確認できます。疲れやすさが続くなら、一度は調べておく価値があります。

閉経後の骨粗鬆症が、疲れやすさにつながる

女性は閉経後に骨密度が下がりやすくなります。骨がもろくなると、はっきりした転倒がなくても背骨がつぶれる(脊椎圧迫骨折)ことがあります。

背中が丸くなると、立っているだけで疲れる 背骨が前に曲がると、体を起こしておくために背中とお尻の筋肉が常に働き続けることになります。何もしていなくても筋肉が休めない状態です。加えて胸が圧迫されて呼吸が浅くなり、胃も圧迫されて食事量が減ります。「疲れる→食べない→筋肉が減る→もっと疲れる」という流れに入りやすくなります。
身長が若い頃より4cm以上縮んでいる、背中が丸くなってきた、という場合は、骨密度の検査を受けてください。

心不全は女性で気づかれにくい

心不全というと胸の痛みを想像しがちですが、実際には疲れやすさ、息切れ、足のむくみとして現れます。とくに家事を中心に生活している場合、「動くと苦しい」場面を自分で減らして生活を組み替えてしまうため、悪化に気づくのが遅れます。

  • 布団の上げ下ろしがつらくなった
  • 階段や坂道を避けるようになった
  • 枕を高くしないと眠れない
  • 靴下のゴムの跡が残るようになった
  • 数日で体重が2〜3kg増えた

これらは「衰え」ではなく、心臓のサインである可能性があります。

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母は毎日家事をしてるから、運動不足ではないと思うんだけど。

リハウルフリハウルフ

これは本当によく聞きます。ただ、家事の多くは前かがみ・立ちっぱなしの動作で、太ももの筋肉にはあまり負荷がかかりません。実際、家事を毎日されている方でも、椅子から手を使わずに立てない方は多いです。家事と、筋肉に負荷をかける運動は別物と考えてください。

まず確認するとよい検査項目

かかりつけ医を受診するときに、次の点を伝えると話が早く進みます。

調べたいこと関係する項目
貧血の有無ヘモグロビン、赤血球、鉄・フェリチンなど
甲状腺の働き甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン
腎臓の働きクレアチニンなど
栄養状態アルブミン、総たんぱく
炎症の有無CRP、白血球
骨の状態骨密度検査(別途)

どの検査を行うかは医師が判断します。「だるいだけ」と言うより、「いつから」「どんな場面でつらいか」「体重の変化」を具体的に伝えるほうが、必要な検査につながりやすくなります。

70代女性が今日からできる対策

1. 太ももの筋肉に負荷をかける

  • 椅子からの立ち座りを、手をつかずにできるか試す(できなければ手を添えてよい)
  • できる回数を数えて、毎日同じ時間に行う
  • 慣れたら、座るときにゆっくり下ろす(ここがいちばん筋肉を使います)
  • 台所仕事の合間に、つかまってかかと上げをする

2. 朝食にたんぱく質を入れる

70代女性で最も抜けやすいのが朝のたんぱく質です。パンと紅茶だけ、ご飯と漬物だけという朝食は、筋肉の材料が入っていません。卵、納豆、牛乳、ヨーグルト、しらすなど、手のかからないものを1つ足すところから始めてください。

3. 背中を伸ばす時間をつくる

丸くなった背骨をまっすぐに戻すことは難しくても、それ以上曲がらないようにすることはできます。1日に数回、壁に背中とお尻をつけて立つ、両手を上に伸ばす、といった動きを入れてください。痛みが出る場合は無理をせず、受診してください。

4. 家の中に「立つ用事」をつくる

テレビを見る時間が長い方ほど、座位時間が伸びます。洗濯物を畳む場所を立ったままにする、電話は立って出る、といった小さな設計変更のほうが、「運動しましょう」より続きます。

こんなときは早めに受診を ・数週間で急に疲れやすくなった
・意図せず体重が減っている
・息切れやむくみを伴う
・背中や腰に強い痛みがある(骨折の可能性があります)
・立ちくらみやふらつきで転びそうになる
・気分が落ち込み、食欲がない状態が続く

よくある質問

70代で疲れやすいのは普通のことですか?

体力の低下はありますが、日常生活に支障が出るほどの疲れやすさは、原因を確認したほうがよい状態です。とくに急に変化した場合は受診してください。

閉経しているのに貧血と言われました。なぜですか?

閉経後の貧血は、食事からの鉄・たんぱく質の不足のほか、消化管からの出血など調べるべき原因が隠れていることがあります。医師の指示に従って原因を確認してください。

甲状腺の検査は自分から頼んでよいですか?

症状を伝えたうえで相談してください。だるさ、寒がり、便秘、むくみ、体重増加がそろっている場合は、検査を検討する材料になります。

家事をしていれば運動は不要ですか?

家事は前かがみや立ち仕事が中心で、太ももの筋肉への負荷は多くありません。椅子からの立ち座りなど、下肢に負荷のかかる運動を別に取り入れてください。

身長が縮んだ気がします。関係ありますか?

脊椎圧迫骨折や骨粗鬆症の可能性があります。若い頃より4cm以上縮んでいる場合は、骨密度の検査を受けることを勧めます。

サプリで鉄をとってもよいですか?

自己判断での鉄の摂取は勧められません。鉄が不足しているかは検査で確認する必要があり、原因の特定が先です。医師に相談してください。

運動すると余計に疲れませんか?

最初は疲れを感じますが、続けることで持久力が上がり、日常の疲れやすさは軽くなります。ただし心臓や貧血の問題がある場合は、先に治療が必要です。

どのくらいで効果が出ますか?

筋力は数週間から変化が出始め、生活での実感は3か月程度かかることが多いです。続けることが前提になります。

介護保険は使えますか?

要介護認定を受ければ、通所リハビリや訪問リハビリを利用できます。認定に至らない場合も、総合事業の通いの場を利用できることがあります。地域包括支援センターに相談してください。

まとめ
  • 70代女性の疲れやすさには、この年代・性別に多い原因がある
  • 鉄欠乏性貧血、甲状腺機能低下症、骨粗鬆症、心不全がとくに見過ごされやすい
  • 閉経後に貧血が見つかった場合は、別の原因を調べる必要がある
  • 食事量が減り、鉄とたんぱく質が同時に不足しやすい
  • 甲状腺機能低下症の症状は「年のせい」で説明がついてしまう
  • 閉経後は骨密度が下がりやすく、転倒がなくても背骨がつぶれることがある
  • 背中が丸くなると、立っているだけで筋肉が休めなくなる
  • 身長が4cm以上縮んでいたら骨密度の検査を検討する
  • 心不全は胸痛ではなく、疲れやすさ・息切れ・むくみとして現れる
  • 生活を組み替えて症状を避けてしまうため、悪化に気づきにくい
  • 家事は太ももの筋肉への負荷が少なく、運動の代わりにはならない
  • 受診時は「いつから」「どんな場面でつらいか」「体重の変化」を伝える
  • 椅子からの立ち座りは、座るときにゆっくり下ろすと効果が高い
  • 朝食にたんぱく質を1品足すところから始める
  • 急な変化、体重減少、強い背部痛があるときは早めに受診する
参考にした情報

※本記事は、一般の方向けに70代女性の疲れやすさの考え方を整理したものであり、医学的な診断を目的としたものではありません。記載した症状と原因の対応は代表的な例にすぎず、実際の原因は診察と検査によってのみ判断できます。どの検査を行うかは医師が判断します。サプリメントや鉄剤の使用、運動の可否については、必ず主治医にご相談ください。心臓や腎臓の病気がある場合、運動や食事に制限が必要なことがあります。運動・生活面に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。2026年9月時点の情報として整理しています。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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