看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の過少サービス減算は、所定単位数の100分の70で算定するものです。減算率ではなく「70%で算定する」という書き方をしている点に注意してください。3割減です。

そして看多機には、小規模多機能型居宅介護にはない判定基準がもう1つあります。「登録者1人当たり週4回未満」に加えて「事業所全体で週平均1回未満」という下限が置かれている。小多機から転換した事業所は、この違いを見落とすと想定外の減算を受けます。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)複合型サービス費の注7の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 過少サービス減算は70%算定(3割減)であること
  • 判定基準が2つあり、いずれかに該当すると減算になること
  • 小多機にはない「週平均1回未満」という基準
  • 通い・訪問・宿泊の合計で数えること
  • 短期利用居宅介護費を算定する者は登録者から除くこと
  • 判定期間が算定月であること
  • 訪問体制強化加算の「訪問」とは数え方が違うこと
  • 要介護5では月8,000単位を超える影響が出ること
ちびウルフちびウルフ

「週平均1回未満」って、事業所全体で週1回しかサービスしていない、ということですか? そんな事業所あります?

リハウルフリハウルフ

通常の運営ではまず起きません。ただ開設直後で登録者が数名しかいない時期や、登録者が相次いで入院した月は話が別です。条文は「算定月における提供回数について、週平均1回に満たない場合」としか書いていない。状況を問わず適用される書き方です。

看多機の過少サービス減算とは?

看護小規模多機能型居宅介護の過少サービス減算は、登録者へのサービス提供量が一定水準を下回った場合に、基本報酬を減額して算定する仕組みです。告示126号 複合型サービス費の注7に規定されています。

看多機は要介護度別の月額包括報酬です。利用回数にかかわらず定額のため、登録だけしてほとんど利用していない状態でも満額が入るという構造上の問題が生じます。

この減算は、その「登録だけ」の状態を抑止するために置かれています。包括報酬制のサービスに固有の仕組みで、回数に応じて報酬が決まる訪問介護や通所介護にはない考え方です。

看多機の減算のなかで、金額の影響がもっとも大きいのがこの減算です。身体拘束廃止未実施減算・高齢者虐待防止措置未実施減算・業務継続計画未策定減算がわずかな率にとどまるのに対して、過少サービス減算だけが桁違いの重さを持っています。

令和6年度介護報酬改定では、この減算の要件に変更はありませんでした。

過少サービス減算の減算率

7 イについては、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が提供する通いサービス(略)、訪問サービス(略)及び宿泊サービス(略)の算定月における提供回数について、週平均1回に満たない場合又は登録者(短期利用居宅介護費を算定する者を除く。)1人当たり平均回数が、週4回に満たない場合は、所定単位数の100分の70に相当する単位数を算定する。

項目内容
算定方法所定単位数の100分の70で算定(3割減)
判定基準①提供回数が週平均1回に満たない場合
判定基準②登録者1人当たり平均回数が週4回に満たない場合
数える対象通いサービス+訪問サービス+宿泊サービス
判定期間算定月
対象イ(看護小規模多機能型居宅介護費)のみ

金額の影響

要介護度通常(同一建物以外)70%で算定
要介護112,447単位8,713単位△3,734単位
要介護324,481単位17,137単位△7,344単位
要介護531,408単位21,986単位△9,422単位

※端数処理により実際の請求額とは異なります。

要介護5では1人あたり月9,000単位以上の差になります。登録者20人が全員この減算にかかれば、月に十数万単位の減収です。

過少サービス減算の判定要件

2つの基準は「または」でつながる

条文は「週平均1回に満たない場合又は(略)週4回に満たない場合」です。いずれか一方に該当すれば減算になります。両方に該当する必要はありません。

基準見ているもの単位
①週平均1回未満事業所全体の提供回数事業所単位の下限
②1人当たり週4回未満登録者1人当たりの平均回数利用者あたりの下限

小規模多機能型居宅介護との違い

項目看多機(注7)小多機
週平均1回未満ありなし
1人当たり週4回未満ありあり
減算率70%算定70%算定

小多機の注7は「登録者1人当たり平均回数が、週4回に満たない場合」だけを定めています。看多機にはこれに加えて、事業所全体での下限が入っています。

登録者が極端に少ない時期でも、事業所として最低限の稼働がなければ減算されるという設計です。看多機は小多機より基本報酬が高いぶん、稼働の下限も厳しく見られていると読めます。

数えるのは通い・訪問・宿泊の合計

条文は「通いサービス、訪問サービス及び宿泊サービスの算定月における提供回数」です。通いだけで数えるのではありません。

回数の数え方
  • 通いサービス(事業所に通ってもらう)
  • 訪問サービス(居宅を訪問する)
  • 宿泊サービス(事業所に泊まってもらう)

この3つの合計回数で判定します。看護サービスを除くという定めはありません。

訪問体制強化加算の200回は「訪問サービス(看護サービスを除く)」でしたが、過少サービス減算の訪問サービスにはその除外がありません。同じ「訪問」でも数え方が違います。集計表を1つで済ませようとすると混乱します。

短期利用者は登録者から除く

基準②の「登録者」からは、短期利用居宅介護費を算定する者が除かれます。分母に短期利用者を入れると平均回数が変わってしまうため、明示的に除かれています。

判定は算定月

「算定月における提供回数」です。前3月間の平均ではなく、その月の実績で判定します。年末年始やお盆で稼働が落ちる月は、月末に集計して確認する運用が必要です。

訪問体制強化加算との比較

項目過少サービス減算(注7)訪問体制強化加算(ソ)
数える対象通い+訪問+宿泊訪問のみ
看護サービス含む除く
基準週平均1回未満/1人当たり週4回未満延べ200回以上
判定期間算定月算定日が属する月
影響70%算定+1,000単位

2つの集計は別々に作ってください。片方の数字をもう片方に流用すると、加算を落とすか減算を見逃すかのどちらかになります。

過少サービス減算の注意点

「1回」の定義

告示は訪問の時間や内容による区別を設けていません。短時間の訪問も1回として数えられると読めます。ただし取扱いは市町村によって異なる可能性があるため、確認してください。

入院中の登録者

登録者が入院している間はサービスを提供できません。この方を分母に含めるかどうかは告示本文からは読み取れません。入院者が多い月は平均回数が下がるため、実務上の影響が大きい論点です。市町村に確認してください。

月途中で登録した者

月の途中で登録した方について、その月の平均回数をどう計算するのかも告示に定めがありません。新規登録が集中した月に、意図せず基準を下回ることがあります。

短期利用居宅介護費への影響

注7は「イについては」と書かれています。短期利用居宅介護費(ロ)そのものが70%になるわけではありません。ただしロの取扱いについては市町村に確認してください。

サテライト体制未整備減算との関係

看多機には、注8のサテライト体制未整備減算(97%算定)もあります。注7の70%と注8の97%が重複した場合の計算順序は、告示からは読み取れません。市町村に確認してください。

毎月確認したいこと
  • 登録者台帳から短期利用者を分けて分母を確定させる
  • 通い・訪問・宿泊の提供回数を月ごとに集計する
  • 事業所全体の回数を週平均に直し、1回を下回っていないか確認する
  • 登録者1人当たりの平均回数を週に直し、4回を下回っていないか確認する
  • どちらかを下回っていれば70%で算定する

よくある質問

過少サービス減算の減算率は?

条文は「所定単位数の100分の70に相当する単位数を算定する」と定めています。3割減にあたります。

判定基準は何ですか?

2つあります。提供回数が週平均1回に満たない場合、または登録者1人当たり平均回数が週4回に満たない場合です。

2つとも該当しないと減算されませんか?

違います。条文は「又は」でつないでいるため、いずれか一方に該当すれば減算になります。

小多機と基準は同じですか?

違います。小多機は「1人当たり週4回未満」だけですが、看多機には「週平均1回未満」という事業所全体の基準が加わっています。

通いだけで週4回必要ですか?

いいえ。通いサービス・訪問サービス・宿泊サービスの提供回数の合計で判定します。

看護サービスの訪問も回数に数えますか?

注7に看護サービスを除くという定めはありません。訪問体制強化加算とは扱いが異なります。

個人ごとに判定しますか?

基準②は登録者1人当たり平均回数、つまり事業所全体の平均で判定します。個人単位ではありません。

短期利用の人は含めますか?

条文は登録者から短期利用居宅介護費を算定する者を除くとしています。

判定はいつの期間ですか?

算定月です。月ごとに判定されます。

入院中の登録者はどう扱いますか?

告示本文に定めはありません。市町村の取扱いを確認してください。

訪問の時間が短くても1回と数えますか?

条文に時間による区別の記載はありません。取扱いは市町村に確認してください。

サテライト体制未整備減算と重複しますか?

告示上は別々の規定です。重複した場合の計算順序は市町村に確認してください。

まとめ
  • 看多機の過少サービス減算は所定単位数の100分の70で算定(3割減)
  • 看多機の減算のなかで最も影響が大きい
  • 判定基準は2つあり、いずれか一方に該当すれば減算になる
  • ①提供回数が週平均1回に満たない場合(事業所全体の下限)
  • ②登録者1人当たり平均回数が週4回に満たない場合
  • ①は小規模多機能型居宅介護にはない看多機固有の基準
  • 通いサービス・訪問サービス・宿泊サービスの合計回数で判定する
  • 注7に「看護サービスを除く」という定めはない
  • 訪問体制強化加算の200回とは数え方が違うため、集計は別にする
  • 短期利用居宅介護費を算定する者は登録者から除く
  • 判定は前3月間の平均ではなく算定月の実績
  • 対象はイ(看護小規模多機能型居宅介護費)
  • 要介護5では月9,000単位以上の差になる
  • 入院中の登録者や月途中で登録した者の扱いは告示に定めがない
  • サテライト体制未整備減算(97%)との計算順序も告示からは読み取れない
参考にした情報

※本記事の減算率・判定基準は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに「1人当たり平均回数」の具体的な計算方法、月途中で登録した者の扱い、入院中の登録者の扱い、訪問の時間による回数の数え方、サテライト体制未整備減算との重複時の計算順序については告示本文に明記がなく、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。記事中の単位数の計算例は概算であり、端数処理により実際の請求額とは異なります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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