看多機のサテライト体制未整備減算とは?

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)のサテライト体制未整備減算は、所定単位数の100分の97で算定するものです。1月につき適用されます。
この減算がわかりにくいのは、サテライトを持っていること自体が減算の理由ではない点です。条文が求めているのは、サテライト型事業所またはその本体事業所が訪問看護体制減算の届出をしていること。つまり「サテライト体制を持ちながら、看護の実績が乏しい」という二重の条件がそろったときにかかります。名前だけ見ると誤解しやすい減算です。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)複合型サービス費の注8・注14と、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第171条第8項の原文を確認して整理しました。
- サテライト体制未整備減算は97%算定であること
- サテライトを持つだけでは減算されないこと
- 訪問看護体制減算の届出が条件になっていること
- サテライト型事業所と本体事業所のどちらが該当しても対象になること
- 訪問看護体制減算と重ねてかかること
- 要介護5では合計でどれだけ減るか
- 回避する方法は3指標を上げること
- 小規模多機能型居宅介護にはない減算であること
ちびウルフサテライトを作ると減算されるんですか? それだと事業を広げにくいですよね。
リハウルフ誤解です。条文は「注14における届出をしている場合にあっては」と条件を付けています。注14は訪問看護体制減算。看護の実績が乏しい事業所だけが対象です。看護をきちんとやっているサテライト体制なら、この減算はかかりません。
看多機のサテライト体制未整備減算とは?
看護小規模多機能型居宅介護のサテライト体制未整備減算は、サテライト型事業所または本体事業所が訪問看護体制減算に該当している場合に、基本報酬をさらに減額する仕組みです。告示126号 複合型サービス費の注8に規定されています。
看多機は、本体事業所とサテライト型事業所という形で複数拠点を展開できます。サテライトは人員基準が緩和されており、本体の支援を前提に小規模に運営できる仕組みです。地域に拠点を広げやすくする一方、質の確保が課題になります。
とくに看多機の場合、サテライトに看護職員を十分に配置できるかが問われます。本体の看護職員に依存しながら拠点だけ増やすと、看護の提供が薄くなる恐れがある。この減算は、その状態を報酬面から抑止するために置かれています。
令和6年度介護報酬改定では、この減算の要件に変更はありませんでした。
サテライト体制未整備減算の減算率
8 イについては、サテライト型指定看護小規模多機能型居宅介護事業所(指定地域密着型サービス基準第171条第8項に規定するサテライト型指定看護小規模多機能型居宅介護事業所をいう。)又は当該サテライト型指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の本体事業所において、注14における届出をしている場合にあっては、サテライト体制未整備減算として、1月につき所定単位数の100分の97に相当する単位数を算定する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 算定方法 | 所定単位数の100分の97で算定(3%減) |
| 適用の単位 | 1月につき |
| 条件 | サテライト型事業所または本体事業所が注14(訪問看護体制減算)の届出をしていること |
| 対象 | イ(看護小規模多機能型居宅介護費)のみ |
金額の影響
| 要介護度 | 基本報酬 | 97%で算定 | 差 |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 12,447単位 | 12,074単位 | △373単位 |
| 要介護3 | 24,481単位 | 23,747単位 | △734単位 |
| 要介護5 | 31,408単位 | 30,466単位 | △942単位 |
※端数処理により実際の請求額とは異なります。
単独では3%減にとどまります。ただしこの減算は、訪問看護体制減算に重ねてかかる点に意味があります。
サテライト体制未整備減算の適用要件
2つの条件がそろって初めて適用される
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ①サテライト体制 | サテライト型指定看護小規模多機能型居宅介護事業所であること、またはそのサテライト型事業所の本体事業所であること |
| ②訪問看護体制減算の届出 | ①のいずれかが注14における届出をしていること |
サテライトを持っているだけでは減算されません。逆に、訪問看護体制減算に該当しているだけで、サテライト体制がなければこの減算はかかりません。
本体側が該当してもサテライトが減算される
条文は「サテライト型事業所又は当該サテライト型事業所の本体事業所において」としています。
- サテライト型事業所が訪問看護体制減算に該当 → 対象
- 本体事業所が訪問看護体制減算に該当 → 対象
- 両方が該当 → 対象
本体とサテライトは一体として評価されるということです。サテライト側が看護をしっかり提供していても、本体側の実績が乏しければ減算の対象になります。
訪問看護体制減算の判定基準
注14の届出は、告示95号 第75号の3つの基準すべてに該当した場合に行うものです。
| 指標 | 基準 | 判定期間 |
|---|---|---|
| 主治医の指示に基づく看護サービスを提供した利用者の割合 | 30%未満 | 算定日が属する月の前3月間 |
| 緊急時対応加算を算定した利用者の割合 | 30%未満 | 同上 |
| 特別管理加算を算定した利用者の割合 | 5%未満 | 同上 |
3つすべてに該当した場合にのみ、注14の届出が必要になります。1つでも上回っていれば訪問看護体制減算に該当せず、サテライト体制未整備減算もかかりません。
訪問看護体制減算と重ねてかかる
| 要介護度 | 基本報酬 | 訪問看護体制減算 | 97%算定 | 合計の影響(概算) |
|---|---|---|---|---|
| 要介護1・2・3 | 24,481単位(要介護3) | △925単位 | △3% | 約△1,632単位 |
| 要介護4 | 27,766単位 | △1,850単位 | △3% | 約△2,627単位 |
| 要介護5 | 31,408単位 | △2,914単位 | △3% | 約△3,769単位 |
※計算順序により結果が変わります。概算です。
要介護5では、2つの減算で月3,700単位以上が減ります。看多機と小多機の基本報酬差4,199単位のほとんどが失われる計算です。
サテライト体制で拠点を広げながら看護の実績が乏しい事業所は、実質的に小多機と変わらない報酬水準まで落ちるという設計になっています。
計算順序は告示から読み取れない
注14は定額の減算、注8は97%算定です。どちらを先に適用するかで結果が変わりますが、告示本文に順序の定めはありません。市町村に確認してください。
小規模多機能型居宅介護にはない減算
| 項目 | 看多機 | 小多機 |
|---|---|---|
| サテライト型事業所 | あり(省令34号第171条第8項) | あり(同第63条第7項) |
| サテライト体制未整備減算 | あり(注8・97%) | なし |
| 訪問看護体制減算 | あり(注14) | なし |
小多機にもサテライト型事業所の仕組みはありますが、この減算はありません。看多機だけに置かれているのは、訪問看護体制減算という前提規定が看多機固有のものだからです。
「看護を内包していることを評価した報酬」を守るための仕組みが、サテライト展開の場面にも及んでいるという構造です。
サテライト体制未整備減算の注意点
回避する方法は3指標を上げること
この減算を単独で回避する方法はありません。訪問看護体制減算に該当しなくなれば、自動的にこの減算もかからなくなります。
3指標のうち「主治医の指示に基づく看護サービスを提供した利用者の割合30%以上」がもっとも達成しやすい水準です。医療ニーズのある方を一定数受け入れている看多機なら、通常は自然に超えます。本体・サテライトの両方について、直近3か月の実績を確認してください。
本体とサテライトの実績を分けて管理する
条文は本体とサテライトのどちらが該当しても対象としています。それぞれの事業所単位で3指標を集計し、どちらも基準を上回っているかを確認する必要があります。
担当したケースでも、本体は医療ニーズの高い方が多いのにサテライトは軽度の方が中心、という運営を見たことがあります。この状態はサテライト側が注14に該当するリスクを抱えます。登録者の構成を拠点ごとに把握しておく必要があります。
サテライト型事業所の定義
サテライト型指定看護小規模多機能型居宅介護事業所は、省令34号 第171条第8項に定義されています。本体事業所との関係、人員基準の緩和の内容は同省令によります。指定を受ける段階で市町村と確認してください。
対象はイのみ
注8は「イについては」と書かれています。短期利用居宅介護費(ロ)には適用されません。
- 自事業所がサテライト型または本体事業所に該当するか
- 本体・サテライトそれぞれで訪問看護体制減算の3指標を集計しているか
- いずれかが3指標すべてに該当していないか
- 該当している場合、注14の届出を行っているか
- 訪問看護体制減算との計算順序を市町村に確認したか
- 拠点ごとの登録者の構成に偏りがないか
よくある質問
サテライト体制未整備減算はいくら減りますか?
所定単位数の100分の97で算定します。3%減にあたります。
サテライトを持っていると必ず減算されますか?
されません。サテライト型事業所または本体事業所が訪問看護体制減算(注14)の届出をしている場合に限られます。
本体が該当するとサテライトも減算されますか?
条文は「サテライト型事業所又は当該サテライト型事業所の本体事業所において」としています。どちらが該当しても対象になります。
訪問看護体制減算の判定基準は?
前3月間の実績で、看護サービスの提供割合30%未満・緊急時対応加算30%未満・特別管理加算5%未満の3つすべてに該当する場合です。
回避する方法はありますか?
3指標のいずれか1つでも基準を上回れば、訪問看護体制減算に該当しなくなり、この減算もかかりません。
訪問看護体制減算と重複しますか?
します。注14の定額の減算に加えて、注8の97%算定がかかります。
計算の順序はどうなりますか?
告示本文に定めはありません。市町村に確認してください。
要介護5ではどれくらい減りますか?
訪問看護体制減算2,914単位と97%算定を合わせて、月3,700単位以上の影響になります(概算)。
小多機にも同じ減算はありますか?
ありません。小多機にはサテライト型事業所の仕組みはありますが、この減算と訪問看護体制減算は看多機固有です。
サテライト型事業所の定義はどこにありますか?
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(省令34号)第171条第8項です。
短期利用にも適用されますか?
されません。注8は「イについては」とあり、対象は看護小規模多機能型居宅介護費です。
拠点ごとに指標を集計する必要がありますか?
あります。本体とサテライトのどちらが該当しても減算の対象になるため、それぞれで確認してください。
- 看多機のサテライト体制未整備減算は所定単位数の100分の97で算定(3%減)
- 1月につき適用され、対象はイ(看護小規模多機能型居宅介護費)
- サテライトを持っているだけでは減算されない
- サテライト型事業所または本体事業所が訪問看護体制減算の届出をしていることが条件
- 本体・サテライトのどちらが該当しても対象になる
- 訪問看護体制減算は3指標すべてに該当した場合にのみ生じる
- 3指標のいずれか1つでも上回れば、この減算もかからない
- 訪問看護体制減算に重ねてかかる
- 要介護5では2つの減算で月3,700単位以上の影響(概算)
- 看多機と小多機の基本報酬差のほとんどが失われる水準になる
- 計算順序は告示から読み取れない
- 小規模多機能型居宅介護にはない看多機固有の減算
- 本体とサテライトで登録者の構成に偏りがあるとリスクになる
- 拠点ごとに3指標を集計して管理する必要がある
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年3月14日厚生労働省告示第126号)別表「複合型サービス費」注8、注14、イ(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日厚生労働省告示第95号)第75号(訪問看護体制減算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第171条第8項(サテライト型指定看護小規模多機能型居宅介護事業所)、第63条第7項(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の減算率・適用要件は、厚生労働省の告示および省令にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに訪問看護体制減算との計算順序、本体とサテライトで指標を集計する単位、届出の時期については告示本文に明記がなく、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。記事中の単位数の計算例は概算であり、計算順序や端数処理により実際の請求額とは異なります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




