看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の口腔・栄養スクリーニング加算は、(Ⅰ)20単位・(Ⅱ)5単位です。利用開始時および利用中6月ごとに、口腔の健康状態と栄養状態のスクリーニングを行った場合に、1回につき算定します。

4倍の差がある2区分ですが、分けているのは手間の量ではありません。(Ⅰ)は口腔と栄養の両方、(Ⅱ)は他の加算でカバーされていない片方だけという切り分けです。栄養アセスメント加算や口腔機能向上加算を算定していると(Ⅰ)が取れなくなり、(Ⅱ)に落ちる。この連動を理解しないと、算定できるはずの5単位も落とします。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)複合型サービス費のリと、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第19号の2の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)20単位・(Ⅱ)5単位の違い
  • 6月ごとに1回という算定頻度
  • ケアマネジャーへの情報提供が要件であること
  • 栄養アセスメント加算・栄養改善加算との連動
  • 口腔機能向上加算との連動
  • 他事業所で口腔連携強化加算を算定していると算定できないこと
  • 他事業所で既に算定されている場合の扱い
  • (Ⅱ)に落ちても算定を続ける意味
ちびウルフちびウルフ

5単位って50円ですよね。手間を考えると、算定しなくてもいい気がします。

リハウルフリハウルフ

金額だけ見ればそのとおりです。ただこの加算の要件はケアマネジャーへの情報提供です。スクリーニングをして担当ケアマネに渡す、という動きは加算がなくてもやるべきこと。やっているなら算定しない理由がない、という順序で考えるほうが自然だと思います。

看多機の口腔・栄養スクリーニング加算とは?

看護小規模多機能型居宅介護の口腔・栄養スクリーニング加算は、利用者の口腔の健康状態と栄養状態を定期的に確認し、その情報を担当の介護支援専門員に提供した場合に算定する加算です。告示126号 複合型サービス費のリに規定されています。

口腔機能の低下と低栄養は、要介護状態が進む入口になりやすい問題です。どちらも本人からの訴えが出にくく、家族も気づきにくい。気づいたときには体重が大きく落ちている、ということが起こります。

この加算は、専門的な評価や改善サービスを求めるものではありません。定期的に「確認する」ことと、その結果をケアプランを立てる人に「渡す」ことを評価しています。異変を早く見つけて、必要な専門職につなぐための仕組みです。

令和6年度介護報酬改定では、この加算の単位数・要件に変更はありませんでした。同じ改定で新設された口腔連携強化加算との調整規定が置かれている点は、あわせて押さえておく必要があります。

口腔・栄養スクリーニング加算の単位数

リ 口腔・栄養スクリーニング加算
注 イについて、別に厚生労働大臣が定める基準に適合する指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の従業者が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の口腔の健康状態のスクリーニング又は栄養状態のスクリーニングを行った場合に、次に掲げる区分に応じ、1回につき次に掲げる所定単位数を加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定せず、当該利用者について、当該事業所以外で既に口腔・栄養スクリーニング加算を算定している場合にあっては算定しない。
(1) 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ) 20単位
(2) 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ) 5単位

区分単位数算定頻度対象
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)20単位1回につき(利用開始時・6月ごと)イ(看護小規模多機能型居宅介護費)
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)5単位同上同上

6月ごとなので、年に2回が上限です。(Ⅰ)を年2回算定しても40単位。金額の規模としては小さい加算です。

口腔・栄養スクリーニング加算の算定要件

告示95号 第19号の2が定める基準です。

(Ⅰ)20単位=口腔と栄養の両方

要件内容
(1) 口腔の確認と情報提供利用開始時および利用中6月ごとに口腔の健康状態について確認を行い、その情報(低下しているおそれがある場合は改善に必要な情報を含む)を担当の介護支援専門員に提供していること
(2) 栄養の確認と情報提供利用開始時および利用中6月ごとに栄養状態について確認を行い、その情報(低栄養状態の場合は改善に必要な情報を含む)を担当の介護支援専門員に提供していること
(3) 定員超過等でないこと通所介護費等算定方法に規定する基準のいずれにも該当しないこと
(4) 他加算との重複がないこと栄養アセスメント加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算に係る期間ではないこと(後述)
(5) 口腔連携強化加算がないこと他の介護サービスの事業所において、その利用者について口腔連携強化加算を算定していないこと

(Ⅱ)5単位=片方だけ

(Ⅱ)は、他の加算でどちらか一方がカバーされている場合の受け皿です。条文は2つのパターンを定めています。

パターン行うスクリーニング状況
ロ(1)口腔のみ栄養アセスメント加算を算定中、または栄養改善サービスを受けている間・終了月
ロ(2)栄養のみ口腔機能向上サービスを受けている間・終了月

栄養の側が別の加算で手当てされているなら口腔だけ、口腔の側が手当てされているなら栄養だけ。そのぶん単位数が20単位から5単位に下がる、という構造です。

他の加算との連動を整理する

同時に算定している加算口腔・栄養スクリーニング加算
なし(Ⅰ)20単位
栄養アセスメント加算(Ⅱ)5単位(口腔のみ)
栄養改善加算(Ⅱ)5単位(口腔のみ)
口腔機能向上加算(Ⅱ)5単位(栄養のみ)
他事業所で口腔・栄養スクリーニング加算を算定算定できない
他事業所で口腔連携強化加算を算定算定できない

スクリーニングの結果サービスを開始した月は例外

条文には細かい例外が入っています。スクリーニングを行った結果、栄養改善サービスや口腔機能向上サービスが必要と判断され、そのサービスが開始された日の属する月は、除外の対象から外れます。

つまり「スクリーニングした → 必要とわかった → その月から改善サービスを始めた」という流れの月は、スクリーニング加算を算定できます。スクリーニングが後続のサービスにつながった場面を、報酬上ペナルティにしないための配慮です。

他事業所との調整が必要

この加算は、同じ利用者について複数の事業所が算定することを認めていません。看多機の登録者は他の居宅サービスとの併用が限られますが、福祉用具貸与や居宅療養管理指導などは併用できます。

さらに(5)により、他の介護サービスの事業所で口腔連携強化加算を算定していると、この加算は算定できません。担当ケアマネジャーに確認するのが確実です。

口腔・栄養スクリーニング加算の注意点

実施するのは「従業者」でよい

条文は「指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の従業者が」としています。管理栄養士や歯科衛生士である必要はありません。介護職員や看護職員が実施できます。栄養アセスメント加算・口腔機能向上加算と比べて、体制のハードルが低い加算です。

情報提供が要件の核

確認しただけでは足りません。担当の介護支援専門員への情報提供が要件です。提供した日付・方法・内容を記録に残してください。実地指導で確認されるのはここです。

「6月ごと」の起算

利用開始時に1回、その後6月ごとに1回です。起算日は利用開始日と考えられますが、告示に明記はありません。月単位で管理するのか日単位なのかを含め、市町村の取扱いを確認してください。

届出の定めがない

リの注は「別に厚生労働大臣が定める基準に適合する指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の従業者が」とあり、届出を求める文言がありません。他の加算と扱いが異なるため、市町村の運用を確認してください。

短期利用居宅介護費には加算されない

リの注は「イについて」と書かれています。対象は看護小規模多機能型居宅介護費であり、短期利用居宅介護費には加算されません。

算定前に確認したいこと
  • 口腔と栄養の両方を確認しているか((Ⅰ)を算定する場合)
  • 担当の介護支援専門員に情報提供した記録があるか
  • 栄養アセスメント加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算の算定状況を確認したか
  • 他事業所で口腔・栄養スクリーニング加算を算定していないか
  • 他事業所で口腔連携強化加算を算定していないか
  • 前回のスクリーニングから6月が経過しているか

よくある質問

看多機の口腔・栄養スクリーニング加算はいくらですか?

(Ⅰ)が20単位、(Ⅱ)が5単位です。1回につき算定します。

いつ算定できますか?

利用開始時および利用中6月ごとです。年に2回が上限になります。

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは何ですか?

(Ⅰ)は口腔と栄養の両方のスクリーニングを行う場合です。(Ⅱ)は他の加算で一方がカバーされているため、片方だけを行う場合です。

栄養アセスメント加算を算定していると?

(Ⅰ)は算定できません。口腔のスクリーニングのみを行い(Ⅱ)5単位を算定する形になります。

口腔機能向上加算を算定していると?

(Ⅰ)は算定できません。栄養のスクリーニングのみを行い(Ⅱ)5単位を算定する形になります。

スクリーニングの結果サービスを始めた月は算定できますか?

できます。スクリーニングの結果、栄養改善サービスや口腔機能向上サービスが必要と判断され開始された月は、除外の対象から外れます。

誰がスクリーニングを行いますか?

事業所の従業者です。管理栄養士や歯科衛生士である必要はありません。

確認するだけで算定できますか?

できません。担当の介護支援専門員への情報提供が要件です。

他の事業所でも算定している場合は?

算定できません。同じ利用者について、他の事業所で既に算定している場合は対象外です。

口腔連携強化加算との関係は?

他の介護サービスの事業所でその利用者について口腔連携強化加算を算定している場合、この加算は算定できません。

届出は必要ですか?

リの注に届出を求める文言はありません。市町村の運用を確認してください。

短期利用の利用者にも算定できますか?

できません。リの注は「イについて」とあり、対象は看護小規模多機能型居宅介護費です。

まとめ
  • 看多機の口腔・栄養スクリーニング加算は(Ⅰ)20単位・(Ⅱ)5単位
  • 利用開始時および利用中6月ごとに、1回につき算定する(年2回が上限)
  • 対象はイ(看護小規模多機能型居宅介護費)で、短期利用は対象外
  • (Ⅰ)は口腔と栄養の両方、(Ⅱ)は片方だけのスクリーニング
  • 栄養アセスメント加算・栄養改善加算を算定中は(Ⅱ)で口腔のみ
  • 口腔機能向上加算を算定中は(Ⅱ)で栄養のみ
  • 要件の核は担当の介護支援専門員への情報提供
  • 低下・低栄養のおそれがある場合は改善に必要な情報も提供する
  • スクリーニングの結果、改善サービスが開始された月は除外の対象から外れる
  • 同じ利用者について他事業所で算定している場合は算定できない
  • 他事業所で口腔連携強化加算を算定している場合も算定できない
  • 実施するのは事業所の従業者でよく、管理栄養士や歯科衛生士でなくてよい
  • リの注に届出を求める文言はない
  • 「6月ごと」の起算方法は告示に明記がなく、市町村の取扱いによる
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに「6月ごと」の起算方法、スクリーニングの具体的な様式・項目、情報提供の方法、届出の要否については告示本文に明記がなく、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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