「看護小規模多機能型居宅介護(かんたき)を立ち上げたいけれど、人員基準がよく分からない」「本体事業所とサテライト型でどう違うの?」——かんたきは訪問看護・通い・泊まり・訪問を1つの事業所で一体的に提供できる地域密着型サービスで、近年とても注目されています。その分、人員基準は他サービスより複雑です。

この記事では、かんたき(看護小規模多機能型居宅介護)の人員基準を本体事業所・サテライト型事業所に分けて一覧表で整理し、看護職員2.5人以上の考え方や訪問看護ステーションとの一体運営、さらに令和6年度(2024年度)介護報酬改定で押さえておきたい加算の動きまで、開設を考える管理者・看護師・ケアマネ・経営者の方に向けて分かりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 看護小規模多機能型居宅介護(かんたき)の人員基準【本体事業所】
  • サテライト型事業所の人員基準と本体との違い
  • 看護職員2.5人以上・訪問看護との一体運営の考え方
  • 令和6年度改定で関係する報酬・加算のポイント
  • 厚生労働省Q&Aを踏まえた実務上の注意点

看護小規模多機能型居宅介護(かんたき)とは?

看護小規模多機能型居宅介護(通称「かんたき」「看多機」)は、「通い」「泊まり」「訪問介護」「訪問看護」の4つの機能を1つの事業所でまとめて提供できる地域密着型サービスです。要介護者が住み慣れた地域で、医療ニーズが高くなっても在宅生活を続けられるよう支える仕組みとして整備されました。

大きな特徴は、小規模多機能型居宅介護(小多機)に「訪問看護」が加わっている点です。これにより、退院直後の方やターミナル期の方、医療処置が必要な方など、従来は在宅が難しかったケースにも柔軟に対応できます。

ちびウルフちびウルフ

小多機と看多機って、どこが違うの?

リハウルフリハウルフ

一番の違いは「訪問看護」があるかどうかだよ。看多機は看護職員の配置が手厚く決められていて、医療依存度の高い人も支えられるんだ。だから人員基準も看護中心に組まれているんだよ。

かんたきの人員基準【本体事業所・一覧表】

結論から言うと、かんたきの本体事業所の人員基準は次のとおりです。職種ごとに「誰を・何人・どんな資格で」置くかが決まっています。

職種・区分本体事業所の人員基準
代表者認知症対応型サービス事業開設者研修を修了した者、又は保健師・看護師
管理者認知症対応型サービス事業管理者研修を修了した者、又は保健師・看護師(常勤専従。支障がない場合は併設事業所等との兼務可)
通いサービス(日中)常勤換算で利用者3人に対し1以上(うち1以上は保健師・看護師・准看護師)
訪問サービス(日中)常勤換算で2人以上(うち1以上は保健師・看護師・准看護師)
夜勤職員(夜間)時間帯を通じて1以上(宿泊利用者がなく連絡体制を整備していれば置かないことも可)
宿直職員(夜間)宿直勤務に必要な数以上(同上の条件で置かないことも可)
看護職員常勤換算で保健師・看護師・准看護師 2.5人以上
介護支援専門員(ケアマネ)介護支援専門員であって、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修を修了した者
ポイント「通い」「訪問」のスタッフのうちそれぞれ1人以上は看護職(保健師・看護師・准看護師)であることが求められます。介護職だけで日中の体制を満たすことはできません。

サテライト型事業所の人員基準

かんたきには、本体事業所の支援を受けて運営する「サテライト型事業所」を設けることができます。サテライト型は本体があることを前提に、一部の基準が緩和されています。

職種・区分サテライト型事業所の人員基準
代表者本体事業所の代表者
管理者本体事業所の管理者が兼務可能
通いサービス(日中)常勤換算で利用者3人に対し1以上(うち1以上は看護職)
訪問サービス(日中)常勤換算で2人以上(うち1以上は看護職/本体・他サテライトの利用者にも提供可)
夜勤職員(夜間)時間帯を通じて1以上(宿泊利用者がなく連絡体制があれば置かないことも可)
宿直職員(夜間)本体事業所から適切な支援を受けられる場合は置かないことができる
看護職員常勤換算で保健師・看護師・准看護師 1人以上
介護支援専門員本体のケアマネが適切に計画作成を行う場合は、計画作成担当者研修修了者を置けば可
注意本体が常勤換算2.5人以上であるのに対し、サテライト型は看護職員1人以上と緩和されています。ただし「本体が近くにあり支援を受けられる」ことが前提です。本体の体制が崩れるとサテライトも維持できなくなる点に注意しましょう。
ちびウルフちびウルフ

サテライトの方がラクに作れそうだね!

リハウルフリハウルフ

基準は緩いけれど、本体がしっかり支援できることが条件なんだ。本体とサテライトを合わせて全体の体制が回るか、という視点で考えるのが大切だよ。

看護職員2.5人以上の考え方と訪問看護との一体運営

かんたきで特に質問が多いのが「看護職員2.5人以上」の考え方です。ここは訪問看護事業所の指定とセットで考えると理解しやすくなります。

訪問看護の指定を併せて受ける場合

厚生労働省のQ&Aでは、訪問看護事業所の指定を併せて受け、同一事業所で一体的に運営している場合は、訪問看護ステーションの人員基準(看護職員2.5人以上)を満たすことで、かんたきの看護職員基準も満たしたものとみなせるとされています。つまり看護職員を二重に確保する必要はありません。

病院・診療所である訪問看護事業所についても、看護職員が常勤換算2.5以上で一体運営している場合は、かんたきの看護職員基準を満たすものとみなせるとされています。

ポイントサテライト型については、本体が訪問看護の指定を受けて一体運営している場合、サテライトの看護職員1.0以上を訪問看護のサテライト事業所として一体で行うことも差し支えないとされています。ただしかんたきで看護が必要な利用者がいるのに、看護職員が訪問看護のみに従事するのは適切でない、と明記されています。

【令和6年度改定】かんたきで押さえる報酬・加算の動向

人員基準そのものの骨格は維持されていますが、令和6年度(2024年度)介護報酬改定でかんたきの報酬・加算は見直されました。開設・運営を考えるなら、人員配置とあわせて加算要件も押さえておきましょう。

項目令和6年度改定の主な内容
総合マネジメント体制強化加算区分が見直され、(Ⅰ)1,200単位/月(新設)・(Ⅱ)800単位/月に。(Ⅰ)は地域連携・多職種協働などの要件が追加
専門管理加算(新設)250単位/月。緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門/膀胱ケアの専門研修修了者、又は特定行為研修修了者が計画的に管理する場合に算定
緊急時対応加算「緊急時訪問看護加算」から名称変更され、評価が見直された
柔軟なサービス利用週平均1回に満たない利用の場合、基本報酬が30%減算となる取扱いが整理された
注意加算の単位数・算定要件は告示や解釈通知、自治体の集団指導資料で必ず最新版を確認してください。数値や要件は改定・通知で変わることがあり、本記事は令和6年度改定時点の整理です。

開設前に押さえる管理者・代表者の要件

人員基準のうち、つまずきやすいのが管理者・代表者の資格要件です。研修要件を中心に整理します。

  1. 代表者は「認知症対応型サービス事業開設者研修」修了者、又は保健師・看護師であること。保健師・看護師の場合は当該研修の修了は不要。
  2. 管理者は「認知症対応型サービス事業管理者研修」修了者、又は保健師・看護師であること。常勤専従が原則だが、支障がなければ併設事業所等と兼務可。
  3. 診療所をかんたきとし病床を宿泊室に兼用する場合などは、一定の条件下で医師が管理者・代表者となることも差し支えないとされる。
  4. ケアマネは「小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修」を修了していること。
ちびウルフちびウルフ

看護師なら、開設者研修や管理者研修は受けなくていいの?

リハウルフリハウルフ

保健師・看護師の場合は、その研修の修了は不要とされているよ。ただし管理者としての資質を高めるための研修受講は望ましいとされているから、現場運営のためにも受けておくと安心だね。

かんたきの人員基準に関するよくある質問(FAQ)

看護職員はかならず常勤でないとダメ?
本体事業所の看護職員は常勤換算で2.5人以上が基準です。常勤換算なので非常勤の組み合わせでも基準を満たせますが、人員配置や夜間・緊急対応の体制を踏まえ、一定の常勤者を確保しておくのが実務上は安心です。
通いと訪問の看護職員は常勤換算で各1以上が必要?
厚労省Q&Aでは、日中の通いと訪問の各サービスで1名以上の看護職員が必要ですが、「常勤換算で各1以上」までは求めていないとされています。利用者の状態に応じて必要な看護が提供できる配置にすることが重要です。
訪問看護と一体運営すれば看護職員を共有できる?
同一事業所で一体的に運営している場合、訪問看護ステーションの人員基準を満たすことでかんたきの看護職員基準を満たしたものとみなせます。ただし、かんたき利用者に必要な看護が提供されることが前提です。
管理者は他の事業所と兼務できる?
管理上支障がない場合、同一敷地内の他事業所・併設施設等の職務に従事できるとされています。一体的に運営する認知症対応型共同生活介護事業所等との兼務も可能とされています。
同じ職員・設備を小多機と看多機で両方申請できる?
できません。同じ人員・設備を両方のサービスの人員・設備として重複して申請することはできない、とQ&Aで明示されています。
まとめ
  • かんたきは通い・泊まり・訪問介護・訪問看護を一体提供する地域密着型サービス
  • 本体事業所の看護職員は常勤換算2.5人以上、サテライト型は1人以上が基準
  • 通い・訪問は各1以上が看護職であることが必要
  • 訪問看護の指定を併せて受け一体運営すれば看護職員基準をみなしで満たせる
  • 令和6年度改定で総合マネジメント体制強化加算の見直し・専門管理加算の新設などがあり、加算要件も最新の公的資料で確認を
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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