訪問リハビリの回数制限を徹底解説|介護保険・医療保険・要支援・訪問看護併用まで【令和6年度版】
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「訪問リハビリって、週に何回まで入れるの?」「要支援1の利用者さんでも介護保険で週6回大丈夫?」「医療保険の訪問リハと、訪問看護からのリハを併用したら、それぞれに回数制限がかかるの?」——制度の細部が複雑な訪問リハの世界で、現場のセラピストやケアマネジャーから繰り返し聞かれる質問です。
本記事では、現役の訪問理学療法士の視点で、訪問リハビリの回数制限を介護保険・医療保険・要支援・訪問看護リハとの併用まで横断的に整理しました。「1日に120分連続で入れるのか」「退院後3か月の取り扱い」「急性増悪時の例外」など、運用判断に直結する論点を令和6年度介護報酬改定の最新基準に沿って解説します。
- 介護保険の訪問リハの回数制限(週6回・退院後3か月は週12回)
- 1日のうちに連続して2回・3回提供できるかの判断
- 要支援1・要支援2の訪問リハの回数制限と支給限度額の関係
- 医療保険の在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の回数制限
- 急性増悪等で例外的に週14単位以上提供できる条件
- 訪問リハと訪問看護からのリハ(訪問看護Ⅰ5)を併用したときの上限
- ケアマネジャー・利用者・家族へ説明するときのポイント

リハウルフ先生、退院直後の利用者さんに集中的にリハを入れたいんだけど、どこまで入れていいのかドキドキしちゃって…。

その気持ちすごく大事だね。退院後3か月の優遇期間を活かせるかどうかで、利用者の回復スピードが大きく変わるからね。まずはルールを正確に押さえて、堂々と回数を組めるようにしよう。
訪問リハビリ(介護保険)に回数制限はあるのか?【令和6年度版】
まずは介護保険の訪問リハビリテーションから整理します。結論を先に示すと、介護保険の訪問リハには明確な回数制限があります。
原則:週6回まで(1回20分換算で週120分)
退院(所)から3か月以内:週12回まで(週240分)
制度上のルールと根拠
厚生労働省の通知では、訪問リハの算定について次のように規定されています。
指定訪問リハビリテーションは、利用者又はその家族等利用者の看護に当たる者に対して、1回当たり20分以上指導を行った場合に、1週に6回を限度として算定する。
ただし、退院(所)の日から起算して3月以内に、医師の指示に基づきリハビリテーションを行う場合は、週12回まで算定可能である。
つまり、ベースは週6回ですが、退院・退所からの3か月以内は週12回まで増やせる特例があるということ。これは、退院直後の集中的なリハがその後のADLや在宅生活継続に与える影響が大きいことを踏まえて、令和3年度介護報酬改定でも引き続き維持されている設計です。
「1回=20分」のカウント方法
訪問リハの算定の基本単位は「20分」です。週6回というのは「20分の訪問が6回」を意味し、合計時間としては週120分に相当します。退院後3か月以内なら週12回=週240分です。
40分連続で訪問した場合は「20分×2回」、60分なら「20分×3回」とカウントします。実際の現場では、20分の訪問だけでなく、40分・60分・80分の連続訪問を組み合わせて利用するケースが多くなります。
具体例:時間と回数の組み合わせ
| 1回の訪問時間 | 週の回数(原則) | 退院後3か月の回数 |
|---|---|---|
| 20分 | 週6回まで | 週12回まで |
| 40分(連続2回) | 週3回まで | 週6回まで |
| 60分(連続3回) | 週2回まで | 週4回まで |
| 80分(連続4回) | 週1回+20分2回 など | 週3回まで |
| 120分(連続6回) | 週1回(残り回数なし) | 週2回まで |
表のとおり、「短時間×多回数」と「長時間×少回数」のどちらでも、合計時間が上限を超えない限り組み合わせは自由です。利用者の生活パターンや疲労耐性に合わせて、最適なスケジュールを設計しましょう。
1日に訪問リハを連続で何回まで提供できるのか
「1日のうちに、120分連続で訪問リハを入れていいのか?」というのは、現場で非常に多い質問の1つです。
厚生労働省Q&Aによる解釈
平成30年度介護報酬改定に関するQ&Aで、次のように整理されています。
- 1日のうちに連続して40分以上のサービスを提供した場合、各サービスが20分以上である限り、連続していてもケアプラン上の位置づけ通り複数回算定して差し支えない
- ただし、訪問リハビリテーションは1週に6回を限度として算定することに留意
つまり、1日に60分・80分・120分など連続して訪問リハを提供することは制度上可能です。ケアプランで「1日に連続提供」と位置づけられていて、各セッションが20分以上であれば、複数回算定して問題ありません。
1日120分連続訪問が活きるシーン
1日に120分(連続6回)を入れられるとなると、訪問リハの可能性が大きく広がります。具体的には次のような実践が現実的になります。
- 公共交通機関を使った外出練習(バス停まで歩く・電車に乗る・帰宅する)
- 近隣スーパーへの買い物動作練習
- 調理動作練習(材料の確認→調理→片付け)
- 入浴・整容など、時間がかかるADLの実環境での練習
- 退院直後の家屋環境調整と動作練習を一体で行う訪問

退院直後の3か月は、週12回まで使える「ゴールデンタイム」と覚えておいて。利用者の希望や家族のサポート体制を踏まえて、必要なら1日120分の集中訪問もアリだよ。ただし、利用者の体力的な負担にもしっかり配慮して、休憩を組み込みながら設計しよう。
「制度上可能」と「ケアマネジメント上適切」は別物です。回数を入れすぎて利用者が疲弊する、支給限度額を圧迫して他のサービスが入れられなくなる、といった本末転倒は避けましょう。サービス担当者会議で他職種と合意形成しながら回数を決めるのが大切です。
訪問リハビリ(要支援1・2)の回数制限
介護予防訪問リハビリテーション(要支援1・要支援2の利用者)の回数制限は、要介護と基本ルールは同じです。
要支援でも週6回・退院後3か月は週12回
「要支援1だから週1回」「要支援2だから週2回」という決まったルールはありません。要支援者でも、制度上は週6回まで(退院後3か月以内は週12回まで)の訪問リハを算定できます。
実際は支給限度額で頻度が制約される
とはいえ、要支援者は介護予防の支給限度額が低いため、現実には週6回も入れることはほぼありません。
| 区分 | 支給限度基準額(月額) |
|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 |
| 要支援2 | 10,531単位 |
介護予防訪問リハは1回約298単位(地域単価×7.27円)程度ですから、要支援1なら月14〜15回、要支援2なら月30回前後が支給限度額内で組める上限の目安です。週単位に直すと、要支援1で週3回前後、要支援2で週6〜7回が現実的な上限になります。
さらに、介護予防訪問リハだけでなく、福祉用具貸与・通所サービス・短期入所など、他の予防サービスも限度額の中で組む必要があるため、訪問リハに割ける回数はさらに少なくなります。ケアマネジャーと相談しながら、生活全体の予防プログラムをデザインする視点が必須です。
要支援者の長期介入は12月超減算に注意
要支援者の場合、もう1つ注意したいのが「予防訪問リハ12月超減算」の存在。利用開始月から12か月を超えると、要件未充足の場合に1回30単位の減算が適用されます。回数を組むこととセットで、長期介入の運用も意識しておきましょう。
訪問リハビリ(医療保険)の回数制限
医療保険で提供する訪問リハは、診療報酬の「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料」として算定されます。介護保険とは別の制度なので、回数のカウント方法・上限・特例ルールも異なります。
原則:週6単位まで(退院後3か月は週12単位)
医療保険の訪問リハも、1単位=20分という単位の数え方をします。原則は週6単位(週120分)まで、退院日から3か月以内は週12単位(週240分)までです。介護保険と上限の数値は同じですが、「回」ではなく「単位」と呼ぶのが医療保険の特徴です。
原則:週6単位(週120分)まで
退院後3か月以内:週12単位(週240分)まで
急性増悪等による例外:6か月に1回、14日間は1日4単位まで
医療保険の特徴的なルールが、急性増悪等への例外です。FIM(機能的自立度評価表)またはBI(バーセルインデックス)が5点以上悪化するなど、一時的に頻回の指導管理が必要となった場合、6か月に1回に限り、14日間は1日4単位まで(≒週28単位まで)提供できます。
具体的には、急性増悪・状態悪化・退院直後のフォローなど、医師が「集中的な介入が必要」と判断したタイミングで、医療保険の枠から短期間の集中訪問が可能になる仕組みです。要件は次のとおり。
- 急性増悪等により一時的に頻回の指導管理が必要
- FIMまたはBIで5点以上の悪化が確認できる
- 医師がこの特例の適用を判断・指示している
- 適用は6か月に1回まで、最長14日間
- その期間は1日4単位(80分)まで提供可能
医療保険の訪問リハが活きるシーン
医療保険の訪問リハ(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)は、原則として要介護認定を受けていない、または要介護認定はあるが医療保険優先となる特定の傷病・状態にある利用者が対象です。介護保険の訪問リハに比べて使用機会は限られますが、難病・末期がん・小児リハなど、医療保険優先のケースで重要な選択肢になります。
訪問リハと訪問看護(リハ)を併用したときの回数制限
もう1つの実務上の論点が、「訪問リハ事業所からの訪問リハ」と「訪問看護ステーションからのリハ提供(訪問看護Ⅰ5)」の併用です。同じ「セラピストの自宅訪問」でも、根拠制度が違うので、回数制限の数え方も別です。
制度上はそれぞれ別カウント
介護保険の訪問リハと、訪問看護からのPT・OT・ST訪問は、別のサービス区分です。そのため、それぞれが独立して回数制限を持ちます。
| サービス | 原則の回数制限 |
|---|---|
| 訪問リハビリテーション | 週6回(退院後3か月は週12回) |
| 訪問看護からのリハ(訪問看護Ⅰ5) | 週6回(退院後3か月の特例はなし/訪看の運用ルールに従う) |
制度上は、両方を併用して合計で週12回以上のリハを入れることも形式上は可能です。しかし、これは実務上は慎重に検討すべき論点です。
併用の判断は「目的」で考える
そもそも、「訪問リハ」と「訪問看護からのリハ」は、医師の指示の出方も、報酬体系も、運営事業所も異なります。「とにかく回数を増やしたいから両方使う」というケアマネジメントは、利用者にとっても支給限度額にとっても望ましくない場合があります。
併用が有意義なケースとしては、次のような例が挙げられます。
- 訪問リハ事業所が地理的・キャパシティ的に対応できる回数に限界がある
- 主治医とのつながりが訪問看護ステーション経由で強い
- 看護師の医療的ケアと、セラピストのリハが密に連動する必要がある
- 訪問看護指示書の枠で医師の指示を一本化したい
同じ事業所内の異なる職種が同時並行で介入する場合や、複数事業所が連携する場合は、必ずサービス担当者会議で目的と役割分担を明確にしましょう。「ただ単に上限まで入れる」は禁じ手です。
訪問リハの回数を増やす前に確認すべきポイント
「回数制限の上限まで使えるか」を考えるとき、セラピストとして押さえておきたい論点を整理します。利用者の利益・支給限度額・ケアプラン全体のバランスを意識した運用が大切です。
ポイント1:利用者の体力的負荷を見極める
退院直後の高齢利用者にいきなり週12回・1日120分を入れると、過負荷で全身状態を崩すリスクがあります。最初の1〜2週間は週3〜4回でスタートし、状態を見ながら段階的に増やすのが安全です。バイタル・自覚的疲労・睡眠・食欲などをモニタリングしながら、本人と家族の合意のもとで頻度を調整しましょう。
ポイント2:支給限度額を圧迫しないか
訪問リハを増やすと、他のサービス(通所介護・福祉用具・短期入所など)が支給限度額の中に入らなくなる可能性があります。ケアマネジャーと相談し、「在宅生活全体を支えるサービス構成の中で、訪問リハの最適頻度はどこか」を一緒に検討してください。
ポイント3:目的を計画書に明示する
「なぜこの頻度なのか」をリハビリテーション計画書に明示しておくことが大切です。実地指導の場面で「週12回入れている理由」が曖昧だと、不適切な算定とみなされる可能性もあります。退院後3か月の集中介入、急性増悪後のADL再獲得、家屋環境調整との一体的介入など、頻度の根拠を明確に書きましょう。
ポイント4:頻度を減らすタイミングも設計する
頻度を「増やす」設計と同じくらい大切なのが、「減らす」設計です。たとえば、退院後3か月の週12回特例を活用したら、3か月を過ぎた段階で週6回または週4回に再設計するなど、段階的な頻度ダウンと自立支援の流れを計画書に組み込んでおくと、利用者・家族・ケアマネに対しても説明しやすくなります。
訪問リハの回数制限まわりでよくある質問(FAQ)
退院(所)日の3か月の起算日はいつですか?
退院または退所した日(その月の何日でも)が起算日になります。退院日から起算して3か月(暦上の3か月)以内に提供した訪問リハが、週12回の特例の対象です。たとえば令和8年4月15日退院なら、令和8年7月14日までが特例期間となります。
1回の訪問を20分未満で終わらせた場合は、算定できますか?
訪問リハの基本単位は「20分」であり、1回20分以上の指導を行った場合に算定可能です。20分未満で終わった場合は算定できません。利用者の体調不良などで途中終了する場合は、訪問時の記録に状況を残し、算定の可否を確認しましょう。
訪問リハと通所リハを同日に組み合わせて利用できますか?
制度上、訪問リハと通所リハの同日利用は可能ですが、両方の目的や役割分担が明確で、ケアプランに合理的に位置づけられている必要があります。詳しくは別記事で整理しているので、併用を検討する際は事前に確認してください。
退院後3か月の週12回特例は、退院した病院からの訪問リハでなくても適用されますか?
制度上、退院日からの起算が前提なので、退院した病院から提供する訪問リハに限定されません。たとえば、急性期病院を退院後、別法人の訪問リハ事業所が引き継いで提供する場合も、退院日から3か月以内であれば週12回の特例を活用できます。
急性増悪時の医療保険の特例(1日4単位×14日)は、訪問看護リハでも同じですか?
医療保険の訪問看護にも「特別訪問看護指示書」による頻回訪問の枠組みがありますが、本記事で紹介した「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の急性増悪等の特例」とは別物です。訪問看護リハの急性増悪対応は、訪問看護指示書の特別指示書のルールに従います。
退院後3か月の特例期間中に再入院した場合、再退院後の3か月特例はもう一度使えますか?
再入院し、改めて退院した場合は、その新しい退院日から3か月の特例が再度適用されます。1人の利用者が病状経過の中で何度か入退院を繰り返すケースでは、退院のたびに特例期間がリセットされる仕組みです。
支給限度額を超えて訪問リハを利用できますか?
支給限度額を超えて利用すること自体は可能ですが、超過分は全額自己負担になります。生活全体のサービス構成のバランスと、利用者の経済的負担を踏まえて慎重に判断してください。
まとめ|「回数制限」を正しく理解して、訪問リハの可能性を最大化する
訪問リハビリの回数制限は、「週何回まで」というシンプルな数字の話のようでいて、退院後の特例・要支援者の限度額・医療保険の急性増悪特例・訪看リハとの併用など、多層的なルールが絡んでいます。制度を正確に押さえることは、利用者の利益を最大化する出発点です。
- 介護保険の訪問リハは原則週6回(週120分)まで、退院後3か月以内は週12回(週240分)まで算定可能。
- 1日に連続して40分以上の提供は可能。20分以上の各セッションを連続算定できる。
- 要支援1・2でも回数制限は同じだが、支給限度額の制約で実質的な回数は要介護より少なくなる。
- 医療保険の訪問リハは週6単位(退院後3か月は週12単位)まで。急性増悪時は6か月に1回・14日間・1日4単位まで提供可能な特例あり。
- 訪問リハと訪問看護リハ(訪問看護Ⅰ5)は別カウント。制度上は併用可能だが、目的を明確にした上で慎重に運用する。
- 回数を増やすときは、利用者の体力・支給限度額・ケアプラン全体のバランスを意識し、リハ計画書に頻度の根拠を明示する。
- 頻度を増やすだけでなく、段階的に減らすタイミングも計画的に設計し、自立支援に向けた出口戦略を描く。
制度を正しく押さえ、ケアマネ・主治医・利用者・家族と合意形成しながら頻度を設計することで、訪問リハは「制度の枠の中での提供」から「在宅生活を支える戦略的な介入」へと進化します。一人ひとりの目標に合わせた最適な回数設計を、自信をもって描いていきましょう。




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