「訪問看護は医療保険と介護保険があるの?」
「訪問看護の医療保険と介護保険の優先順位はどう決まる?」
このような疑問がある人に向けた記事です。
・訪問看護における医療保険と介護保険
・訪問看護の医療保険と介護保険の優先順位
訪問看護における医療保険と介護保険について学んでいきましょう!
訪問看護は医療保険と介護保険がある!その違いとは?
訪問看護には医療保険と介護保険があります。
1つの訪問看護ステーションの中でも介護保険で実施している利用者と医療保険で実施している利用者がそれぞれいます。
利用者さんが「医療保険にしたい!」「介護保険にしたい!」と選べる訳ではありません。
国が定めたルールに沿って、医療保険になるか、介護保険になるかが決められます。
訪問看護の医療保険と介護保険の優先順位
訪問看護は医療保険と介護保険の優先順位があります。
下記は、訪問看護の医療保険と介護保険の使い分けについてまとめたチャートです。
介護保険の訪問看護の対象者
まずは介護保険の訪問看護の対象になる場合を説明していきます。
介護保険で訪問看護の対象となる利用者は、40歳以上で要介護(要支援1、2、要介護1、2、3、4、5)の認定を受けている者(ただし、例外あり)です。
要介護認定を受けていない者、もしくは40歳未満で要介護認定を受けることができない者は自然と医療保険の訪問看護が対象となります。
しかし、要介護認定(要支援1、2、要介護1、2、3、4、5)をいても、医療保険が優先となる場合があります。
要介護認定を受けていても医療保険の訪問看護が優先となる場合は下記の通りです。
- 別表7の疾患の場合
- 特別訪問看護指示書の交付を受けた場合
- 精神科訪問看護指示書の交付を受けた場合
別表7
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患
- 多系統萎縮症
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
医療保険の訪問看護の対象者
介護保険の認定を受けていても、医療保険の対象になる者は医療保険に切り替えて訪問看護が提供されます。
- 別表7の疾患の場合
- 特別訪問看護指示書の交付を受けた場合
- 精神科訪問看護指示書の交付を受けた場合
さらに、40歳未満の場合は全員が医療保険になります。
なぜならば、年齢制限で介護保険の認定を受けることができないからです。
医療保険の中でも2つのパターンに分けることができます。
それは、「別表7・別表8・特別訪問看護指示書の場合」と、そうでない場合です。
別表8
- 在宅悪性腫瘍等患者指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者
- 以下のいずれかを受けている状態にある者
・在宅自己腹膜灌流指導管理
・在宅血液透析指導管理
・在宅酸素療法指導管理
・在宅中心静脈栄養法指導管理
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
・在宅自己導尿指導管理
・在宅人工呼吸指導管理
・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
・在宅自己疼痛管理指導管理
・在宅肺高血圧症患者指導管理 - 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者
- 真皮を超える褥瘡の状態にある者
- 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
「別表7・別表8・特別訪問看護指示書の場合」の場合は、医療保険の中でも特別な扱いをされます。
その特別な扱いとは下記の通りです。
・週4回以上訪問可能
・複数回利用可能
・2ヶ所以上の訪問看護ステーションが可能
訪問看護の医療保険と介護保険の優先順位に関するQ&A(厚生労働省)
厚生労働省で出されている訪問看護の医療保険と介護保険の優先順位に関するQ&Aは下記の通りです。
利用者が末期がん患者や神経難病など難病患者等の場合の取扱いについて
利用者が末期がん患者や難病患者等の場合は、訪問看護は全て医療保険で行い、介護保険の訪問看護費は算定できない。
医療保険の給付対象である訪問看護では、週3日の回数制限や2カ所以上のステーションから訪問看護を受けられない等の制限があるが、介護保険においてはこうした制限はあるか
介護保険の給付対象となる訪問看護については、週あたりの訪問回数に特段の制限はなく、又、2カ所のステーションから訪問看護の提供を受けることも可能である。
死亡日及び死亡日前14日前に介護保険、医療保険でそれぞれ1回、合計2回ターミナルケアを実施した場合にターミナルケア加算は算定できるのか。
算定できる。最後に実施した保険制度において算定すること。
※ 平成21年Q&A(vol.1)(平成21年3月23日)問40は削除する。
第2号被保険者(特定疾病該当者)で訪問看護のみを希望した場合、要介護認定を受けずに医療保険の訪問看護を利用してよいか。あるいは要介護認定を受けた上で介護保険の訪問看護を利用すべきか。
要介護認定を受けていただくのが原則であるが、介護保険のサービス利用は申請主義であり、利用者本人が専ら医療保険のサービスしか利用しない場合には、必ずしも要介護認定を受けなければならないものではない。
介護保険の訪問看護の対象者が、急性増悪等により「特別訪問看護指示書」の交付を受けて医療保険の訪問看護を利用していた期間に死亡した場合の算定方法について
死亡前24時間以内の訪問看護が医療保険の給付対象となる場合は、「ターミナルケア療養費」として医療保険において算定する。
利用者が月の途中で医療保険の訪問看護の対象となった場合は看護・介護職員連携強化加算を算定できるのか。
介護保険の訪問看護の利用期間中に、介護職員と同行訪問又は会議を行った場合は算定できる。
※ 平成24年Q&A(vol.1)(平成24年3月16日)問43は削除する。
訪問看護の医療保険と介護保険の優先順位を動画で解説
訪問看護の医療保険と介護保険の優先順位を動画で解説しています。
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