訪問介護の夜間・早朝加算は25%、深夜加算は50%。時間帯で決まる、シンプルな加算に見えます。

ところが実務では2か所でつまずきます。ひとつは判定するのは「サービス開始時刻」であって、提供時間帯全体ではないこと。もうひとつは、長時間の訪問で、加算対象の時間帯にかかる部分がごくわずかな場合は算定できないという通知の但し書きです。

さらに、他の加算と重ねるときの計算順序も間違えやすいところ。通知は「絶えず整数値に割合を乗じていく計算になる」と明記し、まとめて掛け算してはいけないと計算例まで示しています。

この記事では、指定居宅サービス介護給付費単位数表(厚生省告示第19号)訪問介護費 注9、老企第36号を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 夜間・早朝25%、深夜50%という加算率と時間帯の定義
  • 判定は「サービス開始時刻」で行うこと
  • 加算対象時間帯にかかる部分がごくわずかなら算定できないこと
  • 届出が不要であること
  • 算定の単位が「1回につき」であること
  • 他の加算と重ねるときの計算順序(通知の計算例つき)
  • 特別地域加算等とは端数処理の考え方が違うこと
  • 2人訪問200%との関係
  • 時間帯をまたぐ訪問の考え方
  • ケアプラン上の位置づけが判定の起点になること

加算率と時間帯の定義

区分時間帯加算率
早朝午前6時から午前8時まで所定単位数の25%
夜間午後6時から午後10時まで所定単位数の25%
深夜午後10時から午前6時まで所定単位数の50%

告示 訪問介護費 注9の原文です。

夜間(午後6時から午後10時までの時間をいう。)又は早朝(午前6時から午前8時までの時間をいう。)に指定訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の25に相当する単位数を所定単位数に加算し、深夜(午後10時から午前6時までの時間をいう。)に指定訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の50に相当する単位数を所定単位数に加算する。

1日の時間帯は3種類ですき間がない

6時〜8時が早朝、8時〜18時が通常、18時〜22時が夜間、22時〜翌6時が深夜。1日24時間が、加算なし・25%・50%のいずれかに割り振られています。

体制の届出は不要です。時間帯の要件を満たせば、その都度算定できます。

判定するのは「サービス開始時刻」

この加算のいちばんの論点です。老企第36号がはっきり書いています。

居宅サービス計画上又は訪問介護計画上、訪問介護のサービス開始時刻が加算の対象となる時間帯にある場合に、当該加算を算定するものとすること。なお、利用時間が長時間にわたる場合に、加算の対象となる時間帯におけるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合がごくわずかな場合においては、当該加算は算定できない。

  • 判定の基準はサービス開始時刻(終了時刻ではない)
  • 根拠は居宅サービス計画上または訪問介護計画上の時刻
  • ただし加算対象時間帯がごくわずかなら算定できない
ちびウルフちびウルフ

17時55分に始めて19時に終わったら、夜間加算は付きますか?

リハウルフリハウルフ

付かない。開始時刻が17時55分=通常の時間帯だからね。18時をまたいでも、開始が18時前なら夜間加算にはならない。

逆に、17時55分開始で計画を組むか、18時開始で組むかで報酬が変わるということでもある。ここは意図的に調整するものではなくて、利用者の生活パターンに合わせた結果として決まるべきものだと思っている。

ただ、実態が18時からの支援なのに計画上17時55分になっている、というズレがあるなら、それはケアプランを直す話。計画と実態を合わせておくことが、結果的に正しい請求につながる。

「ごくわずか」なら算定できない

長時間の訪問では注意

通知の但し書きは、利用時間が長時間にわたる場合を想定しています。

たとえば早朝の要件を満たす7時55分に開始し、3時間の訪問を行った場合。加算対象時間帯(8時まで)にかかるのは5分間だけで、全体3時間のうちごくわずかです。この場合、開始時刻の要件は形式上満たしていても、加算は算定できないと読むのが通知の趣旨です。

ただし通知は「ごくわずか」の具体的な割合を示していません。判断に迷う場合は、事前に指定権者へ確認してください。

1回につき——訪問ごとに判定する

加算は「1回につき」です。1日に複数回訪問する場合、訪問ごとに開始時刻を見て判定します。

訪問開始時刻加算
1回目7:00早朝 25%
2回目12:00なし
3回目19:00夜間 25%
4回目22:30深夜 50%

1日に複数回の訪問を行う利用者では、加算が付く訪問と付かない訪問が混在するのが通常です。定期巡回型のような頻回訪問を行っている事業所では、時間帯の管理が請求精度に直結します。

計算順序を間違えない——「絶えず整数値に割合を乗じる」

老企第36号の通則が、端数処理の原則を定めています。

単位数の算定については、基本となる単位数に加減算の計算(何らかの割合を乗ずる計算に限る。)を行う度に、小数点以下の端数処理(四捨五入)を行っていくこととする。つまり、絶えず整数値に割合を乗じていく計算になる。

そして、この加算を使った計算例が示されています。

(例1)訪問介護(身体介護中心 30分以上1時間未満で387単位)
夜間又は早朝にサービスを行う場合、所定単位数の25%を加算
 387×1.25=483.75→484単位
・この事業所が特定事業所加算Ⅳを算定している場合、所定単位数の3%を加算
 484×1.03=498.52→499単位
387×1.25×1.03=498.2625として四捨五入するのではない。

1単位の差が生まれる

通知の例では、正しい計算=499単位、まとめて掛けた計算=498単位。1回あたり1単位の差ですが、訪問回数の多い事業所では月間・年間で無視できない差になります。

請求ソフトが正しく処理していれば問題ありませんが、手計算で検算するときは順序に注意してください。

特別地域加算等とは扱いが違う

同じ「割合を乗じる」加算でも、計算方法が別立てになっているものがあります。

ただし、特別地域加算等の支給限度額管理対象外となる加算(中略)を算定する場合等については、対象となる単位数の合計に当該加減算の割合を乗じて、当該加減算の単位数を算定することとする。

加算計算方法
夜間・早朝加算/深夜加算1回ごとに割合を乗じ、その都度四捨五入
特別地域加算等月の対象単位数の合計に割合を乗じる

通知が挙げる特別地域加算の例では、387単位×月6回=2,322単位を合計してから0.15を乗じています。夜間・早朝加算はこの扱いではなく、1回ごとの計算です。

2人訪問200%との関係

2人の訪問介護員等による訪問(所定単位数の200%)と、夜間・早朝加算・深夜加算は別の規定です。それぞれの要件を満たせば、両方が働きます。

「深夜だから2人」では200%にならない

ここは必ず切り分けてください。深夜加算はサービス提供の時間帯で決まります。一方、2人訪問の200%は利用者の身体的理由・暴力行為等・それに準ずる事情利用者または家族等の同意で決まります。

老企第36号は「単に安全確保のために深夜の時間帯に2人の訪問介護員等によるサービス提供を行った場合は、利用者側の希望により利用者や家族の同意を得て行った場合を除き、所定単位数の100分の200に相当する単位数は算定されない」と明記しています。

深夜訪問を2人体制にしても、それだけでは200%の要件を満たしません。

時間帯をまたぐ訪問の考え方

開始時刻で判定するため、時間帯をまたぐ訪問の扱いは次のように整理できます。

開始終了加算
5:306:30深夜 50%(開始が深夜帯)
6:307:30早朝 25%
7:458:30早朝 25%(開始が早朝帯)
17:4518:45なし(開始が通常帯)
21:4522:45夜間 25%(開始が夜間帯)

ただし、いずれも「加算の対象となる時間帯におけるサービス提供時間が全体に占める割合がごくわずか」でないことが前提です。上の表は原則の考え方であり、長時間訪問の場合は個別に判断が必要になります。

ケアプラン上の位置づけが起点になる

通知は「居宅サービス計画上又は訪問介護計画上」の開始時刻としています。つまり計画に位置付けられた時刻が判定の起点です。

  • 計画上の開始時刻が加算対象の時間帯にあるか
  • 実際の訪問時刻と計画がずれていないか
  • ずれが常態化しているなら、計画の見直しが必要

訪問介護の所要時間についても、通知は「実際に行われた指定訪問介護の時間ではなく、訪問介護計画において位置付けられた内容の指定訪問介護を行うのに要する標準的な時間」としています。計画と実態を合わせておくことが、時間帯加算でも所要時間でも正しい請求の前提になります。

算定にあたっての実務ステップ

  • 居宅サービス計画・訪問介護計画上の開始時刻を確認する
  • 開始時刻が早朝(6〜8時)・夜間(18〜22時)・深夜(22〜6時)のどれに当たるかを判定する
  • 長時間の訪問の場合、加算対象時間帯にかかる部分がごくわずかでないかを確認する
  • 訪問ごとに(1日複数回なら各回について)判定する
  • 他の加算と重ねる場合は、1回ごとに割合を乗じて四捨五入する順序で計算する
  • 2人訪問の200%を算定する場合は、時間帯とは別に要件を確認する
  • 実際の訪問時刻と計画の時刻にずれが常態化していないかを点検する
  • ずれがある場合はケアマネジャーと調整し、計画を見直す

3つ目が見落とされやすいところです。開始時刻さえ合っていれば必ず算定できる、というわけではありません。

よくある質問

夜間・早朝・深夜の時間帯はいつですか?

早朝は午前6時から午前8時まで、夜間は午後6時から午後10時まで、深夜は午後10時から午前6時までです。

加算率はいくらですか?

夜間・早朝は所定単位数の25%、深夜は50%を加算します。

どの時刻で判定しますか?

サービス開始時刻です。通知は「居宅サービス計画上又は訪問介護計画上、訪問介護のサービス開始時刻が加算の対象となる時間帯にある場合に、当該加算を算定する」としています。

17時55分開始で18時をまたいだら夜間加算は付きますか?

付きません。判定は開始時刻で行うため、開始が通常の時間帯であれば加算の対象外です。

7時55分開始で3時間訪問した場合は?

通知は「利用時間が長時間にわたる場合に、加算の対象となる時間帯におけるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合がごくわずかな場合においては、当該加算は算定できない」としています。判断に迷う場合は指定権者にご確認ください。

「ごくわずか」とは何割ですか?

通知に具体的な割合の定めはありません。個別の判断になるため、指定権者への確認が必要です。

届出は必要ですか?

告示の注に体制の届出を求める規定は置かれていません。時間帯の要件を満たせば算定できます。

1日に複数回訪問した場合はどうなりますか?

「1回につき」の加算なので、訪問ごとに開始時刻を見て判定します。加算が付く訪問と付かない訪問が混在します。

他の加算と重ねるときの計算方法は?

基本となる単位数に割合を乗じるたびに四捨五入します。まとめて掛け算してから四捨五入するのではありません。

特別地域加算と計算方法は同じですか?

違います。特別地域加算等の支給限度額管理対象外となる加算は、対象となる単位数の合計に割合を乗じて算定します。夜間・早朝加算は1回ごとの計算です。

深夜に2人で訪問したら200%になりますか?

なりません。2人訪問の200%は利用者の身体的理由や暴力行為等、それに準ずる事情と同意が要件です。通知も「単に安全確保のために深夜の時間帯に2人の訪問介護員等によるサービス提供を行った場合」は算定されないとしています。

実際の訪問時刻が計画とずれている場合は?

判定の起点は計画上の開始時刻です。ずれが常態化している場合は、ケアマネジャーと調整して計画を見直す必要があります。

まとめ
  • 訪問介護の夜間・早朝加算は所定単位数の25%
  • 深夜加算は所定単位数の50%
  • 早朝は6時から8時、夜間は18時から22時、深夜は22時から6時
  • 1日24時間が加算なし・25%・50%のいずれかに割り振られている
  • 体制の届出は不要
  • 算定は「1回につき」で、訪問ごとに判定する
  • 判定するのはサービス開始時刻
  • 終了時刻や提供時間帯全体では判定しない
  • 根拠は居宅サービス計画上または訪問介護計画上の時刻
  • 開始が通常帯なら、時間帯をまたいでも加算は付かない
  • 長時間訪問で加算対象時間帯がごくわずかな場合は算定できない
  • 「ごくわずか」の具体的な割合は通知に定めがない
  • 他の加算と重ねるときは1回ごとに割合を乗じて四捨五入する
  • まとめて掛け算してから四捨五入すると1単位ずれることがある
  • 特別地域加算等は月の合計に割合を乗じる別の計算方法
  • 2人訪問の200%とは別の規定で、それぞれ要件を満たせば両方働く
  • 「深夜だから2人」では200%の要件を満たさない
  • 実際の訪問時刻と計画のずれが常態化している場合は計画を見直す
参考にした情報

※本記事の加算率・算定要件は、厚生労働省の告示および老企第36号の留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。「加算の対象となる時間帯におけるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合がごくわずかな場合」の具体的な割合について通知に定めはなく、本文中の例示は考え方を示したものです。個別の判断は必ず指定権者にご確認ください。時間帯をまたぐ訪問の取扱いについても、指定権者によって解釈が異なる場合があります。加算率は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。計画の調整に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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