「認知症カフェに行ってみては」とすすめられて、戸惑う方は多いと思います。カフェという名前なのに喫茶店ではないし、行ったら何をさせられるのかも分からない。「うちの親を連れて行って、認知症だと決めつけられたら嫌だ」という声も、実際によく聞きます。

この記事では、理学療法士・介護支援専門員として地域の集まりに関わってきた立場から、認知症カフェとは何か、参加して何が得られるのか、そしてどう探せばいいのかを整理します。「合わなかった」と感じる人がいる理由も、正直に書きます。

この記事でわかること
  • 認知症カフェの国が示している定義と位置づけ
  • 実際にどんなことをする場所なのか
  • デイサービスや家族会との違い
  • 本人・家族それぞれにとってのメリット
  • 「行っても意味がなかった」となりやすい理由
  • 自分の地域のカフェの探し方と、初回の流れ

認知症カフェとは何か

国の定義があります。認知症施策推進基本計画(令和6年12月・認知症基本法にもとづき国会に報告されたもの)は、認知症カフェをこう説明しています。

国の定義認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う場。地域の実情に応じて認知症地域支援推進員が企画する等、様々な実施主体・方法で開催されている。

この定義から読み取れることが2つあります。ひとつは、サービスを受けに行く場所ではなく、双方向の「場」だということ。もうひとつは、実施主体も方法もバラバラだということです。だから「認知症カフェ」とひとくくりにできず、実際に行ってみないと分からない部分が残ります。

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ここが一番大事です。同じ「認知症カフェ」でも、月1回の茶話会もあれば、専門職の講話が中心のところ、当事者同士の語り合いが中心のところもある。1か所行って合わなくても、それはカフェ全体が合わないという意味ではありません。

誰が運営しているのか

運営主体は地域によって異なります。よくあるのは次のような形です。

  • 市町村・地域包括支援センター|認知症地域支援推進員が企画するもの
  • 介護事業所・グループホーム|施設の一角やホールを開放して開催
  • NPO・住民ボランティア・当事者団体|住民主体で運営されるもの
  • 医療機関・社会福祉協議会|専門職の相談機能を組み込んだもの

企画の中心になることが多い認知症地域支援推進員は、基本計画で「市町村に配置され、地域の支援機関間の連携づくりや、認知症カフェ・認知症ケアパス・社会参加活動などの地域支援体制づくり、認知症の人やその家族を支援する相談業務等を実施する者」と定義されています。つまりカフェは、相談窓口とつながっているということです。

実際に何をするのか

私が関わってきた範囲では、おおむね次のような組み合わせです。決まった型はありません。

お茶と雑談これが中心。飲み物と菓子を囲んで話すだけの回も多い
ミニ講座専門職による短い話。制度、介護の工夫、口腔ケア、栄養など
個別の相談専門職が同席していれば、その場で相談できることが多い
レクリエーション体操、音楽鑑賞、手芸、季節の行事など
家族同士の情報交換「うちはこうしている」という現場の知恵が回るのは、ここです

デイサービス・家族会との違い

認知症カフェ介護保険のサービスではない。認定を受けていなくても参加できるのが原則。本人と家族が一緒に行ける。診断がついていない段階でも行ける
デイサービス介護保険サービス。要介護認定とケアプランが必要。本人が利用するもので、家族は同行しない
家族会介護している家族が中心。本人は同席しないことが多く、家族が本音を吐き出す場としての性格が強い
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認定を受けてなくても行けるんだ。それは知らなかった

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むしろ診断前・認定前の人にこそ価値があると思っています。「病院に行くほどではないけれど不安」という段階で相談できる場所は、そう多くありません。ただし、参加条件は主催者によって違うので、事前確認はしてください。

認知症カフェに参加するメリット

本人にとって

  • 役割と居場所ができる|認知症になると外出も会話も減ります。基本計画も、社会参加の機会の確保を施策の柱に据えています
  • 同じ立場の人に会える|「自分だけではない」と分かることの効果は大きい
  • 家族以外と話せる|家族相手だと出ない言葉が、他人には出ます
  • 専門職と自然に接点ができる|受診や介護保険申請への抵抗が下がることがあります

家族にとって

  • 同じ経験をした人の実例が聞ける|制度の説明ではなく「うちはこうやって乗り切った」が聞けるのは、ここだけです
  • 専門職に気軽に相談できる|受診や窓口相談ほど身構えずに聞ける
  • 孤立感が減る|介護をしていて一番つらいのは、誰にも分かってもらえないと感じることです
  • 次の支援につながる|企画側に認知症地域支援推進員がいれば、相談業務が本業です。そのまま制度の話に進めます
ちびウルフちびウルフ

本人を連れて行かなくても、家族だけで行っていいのかな

リハウルフリハウルフ

家族だけの参加を受け入れているところは多いです。ただしこれも主催者次第なので、電話で「家族だけでも行っていいですか」と聞いてください。断られることはまずありません。

「行っても意味がなかった」となりやすい理由

ここは正直に書きます。合わなかったという声には、だいたい理由があります。

1参加者の状態がそろっていない:症状の進んだ方と、初期で不安を抱えている方が同じ場にいると、初期の方が「将来の自分」を見せられてつらくなることがあります。
2「認知症の人の集まり」として連れて行った:本人に伝え方を誤ると、それだけで拒否されます。「地域の茶話会に一緒に行こう」で十分です。
31回で判断した:メンバーもテーマも回ごとに変わります。少なくとも2〜3回、できれば2か所は試してから判断してください。
4目的がはっきりしていなかった:相談したいのか、本人の居場所がほしいのか、家族が話を聞いてほしいのか。事前に主催者へ伝えておくと、当日の対応が変わります。

費用・持ち物・服装

  • 費用|無料のところと、飲み物代程度の実費を集めるところがあります。金額は主催者によって異なるため、申し込み時に確認してください
  • 持ち物|基本的に不要。相談したいことがあるなら、お薬手帳と、症状の様子を書いたメモがあると話が早い
  • 服装|普段着でかまいません
  • 時間|2時間前後の設定が多い印象ですが、途中入室・途中退室を認めているところが大半です

認知症カフェの探し方

1地域包括支援センターに電話する:最短です。「認知症カフェを探しています」と伝えれば、開催日と場所を教えてもらえます。無料で、認定の有無も関係ありません。
2市町村の高齢福祉担当課に聞く:カフェを所管している部署です。「認知症地域支援推進員につないでほしい」と言うと確実です。
3「認知症ケアパス」を入手する:多くの市町村が作成しています。基本計画では、認知症の始まりから人生の最終段階まで、相談先やいつ・どこで・どんなサービスを受ければよいかの流れを標準的に示したものと定義されています。カフェもここに載っていることが多い。
4市町村のサイトを「認知症カフェ 〇〇市」で検索する:一覧をPDFで公開している自治体が多くあります。ただし更新が止まっていることもあるので、必ず電話で確認を。
5担当ケアマネジャー・かかりつけ医に聞く:すでに介護保険を使っているなら、実際の雰囲気まで知っている可能性が高い相手です。
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探すときのコツをひとつ。電話で「どんな方が来ていますか」と聞いてください。年齢層、進行の程度、家族だけの参加者がいるか。ここが合うかどうかで、続くか続かないかが決まります。

初めて参加するまでの流れ

STEP 1候補を1〜2か所に絞る

通いやすさが最優先です。続けられない距離のカフェは、いくら良くても意味がありません。

STEP 2電話で3つ確認する

「予約は必要か」「費用はいくらか」「家族だけでも参加できるか」。あわせて、何を期待して行くのかも伝えておきます。

STEP 3本人への伝え方を決める

「認知症の人の集まり」とは言いません。「近所でお茶会があるから一緒に行こう」で十分です。

STEP 4初回は短時間で切り上げる

最後までいる必要はありません。「今日は少しだけ」と決めて行くほうが、次につながります。

STEP 5帰り道に本人の反応を確認する

言葉より表情です。嫌がっていなければ、次回も誘います。強い拒否があれば別の場所を探します。

カフェ以外の「集まる場」も知っておく

基本計画には、カフェ以外の場も位置づけられています。カフェが合わなかった場合の選択肢になります。

本人ミーティング認知症の人が集い、本人同士が主になって体験や希望、必要としていることを語り合い、これからの暮らしや地域のあり方を話し合って発信していく場
チームオレンジ認知症サポーターが、実際に認知症の人や家族の手助けとなる活動につながるよう整備が進められている取り組み
一体的支援事業認知症の人とその家族を一体的に支援する事業。話し合いを通じて思いの共有や気づきを促し、本人と家族の思いのずれや葛藤を調整し、関係の再構築を図るもの
ピアサポート活動認知症の当事者による相談支援。今後の生活の見通しに不安を抱える人の精神的負担の軽減と社会参加の促進を図るもの

いずれも実施状況は市町村によって差があります。「うちの地域にはあるか」を地域包括支援センターに聞くのが確実です。

9月は認知症月間

認知症基本法にもとづき、9月21日が「認知症の日」、9月が「認知症月間」と定められています。この時期は普及啓発イベントが集中するため、初めての人が参加しやすい特別開催が組まれることがあります。いきなり定例のカフェに行くのが不安なら、この時期のイベントから入るのもひとつの手です。

よくある質問
認知症と診断されていなくても参加できますか?
多くのカフェでは参加できます。国の定義でも、認知症の人やその家族が地域の人や専門家と情報を共有し理解し合う場とされており、要介護認定を条件とするものではありません。ただし実施主体・方法は地域ごとに異なるため、事前に主催者へ確認してください。
介護保険の認定を受けていないと行けませんか?
認知症カフェは介護保険サービスではないため、認定は前提ではありません。デイサービスとはこの点が大きく違います。
本人が「行きたくない」と言います。
無理に連れて行かないでください。まずは家族だけで参加して様子を見るのが現実的です。そのうえで「知り合いができたから、今度一緒に行かない?」と誘うほうが通りやすくなります。
費用はどのくらいかかりますか?
無料のところと、飲み物代程度の実費を集めるところがあります。金額は主催者によって異なるため、申し込み時に確認してください。介護保険の自己負担とは別のものです。
近所の人に知られたくないのですが。
隣接する市町村のカフェに参加している方もいます。参加資格を居住地で厳密に限定していないところも多いので、電話で相談してみてください。
まとめ
  • 認知症カフェは、本人・家族が地域の人や専門家と相互に情報を共有し、理解し合う場(国の定義)。
  • 実施主体も方法も地域ごとにバラバラ。1か所行って合わなくても、他が合う可能性がある。
  • 介護保険サービスではないため、要介護認定や診断がなくても参加できるところが多い。
  • 企画の中心は認知症地域支援推進員であることが多く、相談窓口と直結している。
  • 本人には居場所と社会参加、家族には実例の共有と孤立感の軽減という価値がある。
  • 「参加者の状態が合わない」「連れて行き方を誤った」「1回で判断した」で合わないと感じやすい。
  • 探し方は、地域包括支援センターへの電話が最短。次いで市町村の高齢福祉担当課、認知症ケアパス。
  • 電話では「予約の要否・費用・家族だけで参加可能か」の3点を確認する。
  • 本人には「認知症の人の集まり」と言わない。初回は短時間で切り上げる。
  • カフェ以外にも、本人ミーティング、チームオレンジ、一体的支援事業、ピアサポート活動がある。
  • 9月21日は認知症の日、9月は認知症月間。イベントから入る手もある。
参考にした情報
  • 厚生労働省「認知症施策」(認知症施策推進基本計画〈令和6年12月〉。認知症カフェ・認知症地域支援推進員・認知症ケアパス・本人ミーティング・チームオレンジ・一体的支援事業・ピアサポート活動の定義、認知症の日および認知症月間)
  • 厚生労働省「認知症に関する相談について」(相談窓口)
  • 厚生労働省「政策レポート(認知症を理解する)」(認知症の症状と、周囲の関わり方の考え方)

※本記事のうち、認知症カフェ等の定義および施策上の位置づけは認知症施策推進基本計画(令和6年12月)にもとづきます。運営内容・費用・参加条件・実施の有無は市町村および主催者によって大きく異なるため、必ず地域包括支援センターまたは主催者にご確認ください。参加時の進め方に関する記述は筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづくものです。内容は2026年8月時点の情報です。

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リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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