地域密着型通所介護のADL維持等加算は、(Ⅰ)が30単位、(Ⅱ)が60単位で、いずれも1月につきです。他の加算と違い、1年間の利用者のADLの変化という「結果」で判定される点が最大の特徴です。取り組みを行ったから算定できる加算ではありません。

この記事では、この加算を、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • (Ⅰ)30単位・(Ⅱ)60単位で1月につきであること
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できないこと
  • 評価対象期間の翌月から12月以内が算定期間であること
  • 結果で判定されるアウトカム評価であること
  • Barthel Indexで測ること
  • 評価対象となる利用者の条件
  • LIFEへの提出が前提であること
  • 算定できなくなる年があること

地域密着型通所介護のADL維持等加算とは?

ADL維持等加算は、利用者のADL(日常生活動作)が維持または改善された事業所を評価する加算です。平成30年度の改定で導入され、その後の改定で単位数と要件が見直されてきました。

介護報酬の加算の多くは「体制を整えた」「取り組みを行った」ことを評価します。これに対しADL維持等加算は、実際に利用者のADLがどう変化したかという結果で判定されます。いわゆるアウトカム評価型の加算です。

ADL維持等加算の単位数

区分単位数算定
ADL維持等加算(Ⅰ)30単位1月につき
ADL維持等加算(Ⅱ)60単位1月につき

算定できる期間は、評価対象期間の満了日の属する月の翌月から12月以内です。つまり1年分の実績で判定し、その結果にもとづいて次の1年間算定するという流れになります。いずれかを算定している場合、もう一方は算定できません。

ADL維持等加算の算定要件

基本的な考え方

  • 評価対象期間に、一定数以上の評価対象利用者がいること
  • 利用者のADLをBarthel Index(バーセルインデックス)で評価すること
  • 評価対象期間の最初の月と、そこから起算して一定期間後の月にADLを測定すること
  • 測定したADL値等の情報を厚生労働省に提出していること(LIFE)
  • ADL利得の平均値が、区分ごとに定められた値以上であること

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは、求められるADL利得の水準です。(Ⅱ)のほうが高い水準が求められます。評価対象利用者の人数要件、ADL利得の具体的な計算方法と基準値は、厚生労働大臣が定める基準に定められています。

Barthel Indexは「できるADL」ではなく実際の状態で Barthel Indexは、食事・移乗・整容・トイレ動作・入浴・歩行・階段・更衣・排便・排尿の10項目を100点満点で評価する指標です。
測定でつまずきやすいのは、職員によって点数がばらつくことです。
・誰が測っても同じ点になるよう、判定基準を共有する
・測定する職員をできるだけ固定する
・測定した日と測定者を記録に残す
ばらつきがあると、実際にはADLが維持できていても数値上は下がったように見えてしまいます。

ADL維持等加算の注意点

  • 取り組みの有無ではなく、結果で判定されます
  • 評価対象期間の実績次第では、翌年は算定できなくなります
  • LIFEへの情報提出が要件です。提出していなければ算定できません
  • 測定のタイミングが決まっています。任意の時期に測ればよいわけではありません
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)の同時算定はできません
  • 届出が必要です
収支に組み込みにくい加算 ADL維持等加算は、翌年度も算定できるとは限りません。利用者の入れ替わりや重度化によって、事業所の努力とは関係なく数値が下がることがあります。
この加算を前提にした人員計画は立てないほうが安全です。取れたら上乗せ、という位置づけで考えてください。
一方で、ADLを定期的に測ること自体には価値があります。「なんとなく落ちてきた」ではなく、数値で変化を捉えられるようになります。
ちびウルフちびウルフ

重度の人を受け入れると、数値が下がって不利になるんじゃないの?

リハウルフリハウルフ

その懸念は制度設計の段階から議論されていて、ADL利得の計算では、利用開始時のADLや要介護度に応じた調整が行われる仕組みになっています。単純な点数の増減だけで判定されるわけではありません。
とはいえ、受け入れを絞る方向に働かないかという懸念が完全に消えたわけではないです。加算のために利用者を選ぶことにならないよう、事業所として線を引いておく必要はあると思います。

ADL維持等加算のQ&A

ADL維持等加算のQ&A

単位数はいくらですか?

(Ⅰ)が30単位、(Ⅱ)が60単位で、いずれも1月につきです。

(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できますか?

できません。いずれか一方です。

いつからいつまで算定できますか?

評価対象期間の満了日の属する月の翌月から12月以内です。

ADLは何で測りますか?

Barthel Indexで測定します。

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは何ですか?

求められるADL利得の水準です。(Ⅱ)のほうが高い水準が必要です。

重度の利用者が多いと不利になりませんか?

ADL利得の計算には、利用開始時の状態等に応じた調整の仕組みがあります。具体的な計算方法は厚生労働大臣が定める基準をご確認ください。

LIFEへの提出は必須ですか?

必須です。測定したADL値等の情報を厚生労働省に提出していることが要件です。

翌年も必ず算定できますか?

できるとは限りません。毎年の実績で判定されます。

測定する職員に資格は必要ですか?

資格要件よりも、評価の一貫性が重要です。判定基準を共有し、測定者と測定日を記録してください。

まとめ
  • ADL維持等加算は(Ⅰ)30単位・(Ⅱ)60単位、いずれも1月につき
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できない
  • 算定期間は評価対象期間の満了日の属する月の翌月から12月以内
  • 取り組みではなく結果で判定されるアウトカム評価型の加算
  • ADLはBarthel Indexで測定する
  • 測定したADL値等をLIFEに提出することが要件
  • (Ⅱ)のほうが高いADL利得の水準が求められる
  • 評価対象利用者の人数要件がある
  • 測定の時期が定められている
  • 職員によるばらつきを防ぐため判定基準を共有する
  • 測定日と測定者を記録に残す
  • 実績次第で翌年は算定できなくなる
  • この加算を前提にした人員計画は立てないほうが安全
  • ADL利得の計算には利用開始時の状態に応じた調整がある
  • 算定には市町村長への届出が必要
参考にした情報

※本記事の単位数および算定期間は、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準にもとづいて整理したものです。評価対象期間の定義、評価対象利用者の人数要件、ADL利得の具体的な計算方法と(Ⅰ)(Ⅱ)それぞれの基準値、測定の時期については、厚生労働大臣が定める基準および留意事項通知をご確認ください。本記事ではこれらの数値を断定していません。地域密着型サービスは市町村が指定・指導監督を行うため、取扱いが市町村によって異なる場合があります。個別の算定の可否は、必ず保険者にご確認ください。2026年9月時点の内容として整理しています。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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