デイサービスの運営指導で押さえるべき点は、通所リハビリとは違います。通所介護計画を作成するのは管理者と基準に明記されており、医師の関与は求められていません。その代わり、個別機能訓練加算と入浴介助加算の要件が重点的に確認されます。この2つは算定率が高く、要件も多いためです。

この記事では、デイサービス(通所介護)の運営指導対策を、指定居宅サービス等基準の原文を確認して整理しました。運営指導と監査の違いなど全体の流れは運営指導と監査の違いにまとめています。

この記事でわかること
  • 通所介護計画を作成するのは管理者であること
  • 実施状況と目標の達成状況を記録する義務があること
  • 個別機能訓練加算で確認される記録
  • 入浴介助加算で見落とされやすい要件
  • 送迎と定員に関する確認点
  • 勤務形態一覧表で指摘が出やすい理由
  • 記録の保存期間が条例で異なること
  • 当日に提示を求められる書類

デイサービスの運営指導で見られること

根拠は介護保険法第76条第1項で、都道府県知事または市町村長が、報告や帳簿書類の提出を命じ、事業所に立ち入って検査できると定められています。確認は次の3つの観点で行われます。

観点デイサービスで特に見られること
サービスの実施状況通所介護計画に沿った提供か。個別性があるか
運営体制人員配置、定員、設備、各種委員会・研修の実施
報酬請求個別機能訓練加算、入浴介助加算、送迎に関する減算

通所介護計画の要件|作成者は管理者

指定居宅サービス等基準 第99条第1項
  • 指定通所介護事業所の管理者は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所介護計画を作成しなければならない。

通所リハビリでは「医師及び理学療法士等が共同して」作成しますが、通所介護では管理者が作成者として明記されています。ここを取り違えて、生活相談員や機能訓練指導員が作成し、管理者が関与していない運用になっている事業所があります。

見落とされやすいのは第5項

指定居宅サービス等基準 第99条第5項
  • 通所介護従業者は、それぞれの利用者について、通所介護計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録を行う。

計画を作って終わりではなく、実施状況と目標の達成状況を記録する義務があります。日々のサービス提供記録はあっても、「目標に対してどうだったか」の記録がない事業所は多く、ここは指摘されやすい部分です。

  • 計画に書いた目標が、記録の中で追跡されているか
  • モニタリングの記録が定期的に残っているか
  • 目標を達成した、または達成できなかった場合の見直しが行われているか
  • 居宅サービス計画が変更されたとき、通所介護計画も見直しているか

個別機能訓練加算で確認される記録

デイサービスの運営指導で、報酬請求の観点から最も時間をかけて見られる加算です。

確認項目よくある不備
機能訓練指導員の配置配置時間が要件を満たしていない。兼務の時間が重複している
個別機能訓練計画通所介護計画と一体で作成しているが、必要な項目が抜けている
居宅訪問訪問した記録がない、または実施の間隔が空きすぎている
説明と同意説明の記録がない。同意の日付が提供開始後になっている
訓練の実施記録実施した事実は残っているが、計画の項目と対応していない
目標の個別性複数の利用者で目標の文言がほぼ同じ
居宅訪問の記録は必ず見られる 個別機能訓練加算では、利用者の居宅を訪問して生活状況を確認することが求められる区分があります。「訪問したが記録がない」は、実施していないのと同じ扱いになります。
訪問日、訪問者、確認した内容(動線、段差、生活動作の状況)、計画への反映を、様式に落として残してください。訪問の間隔にも定めがあるため、要件を確認しておく必要があります。

入浴介助加算で見落とされやすい要件

算定率が高い一方で、区分ごとの要件の違いが理解されていないことがあります。

  • 入浴介助を行う体制と、実際の職員の配置が一致しているか
  • 上位区分では、居宅の浴室の環境を評価した記録があるか
  • その評価にもとづく個別の入浴計画があるか
  • 利用者の身体状況に応じた入浴の方法が記録されているか
  • 入浴を実施しなかった日に算定していないか

「入浴させたから算定できる」加算ではありません。上位区分は、自宅での入浴の自立を目指す取り組みを求めており、その過程の記録が必要です。要件の詳細は通所介護の加算・減算一覧で確認してください。

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加算って、届出を出していれば大丈夫じゃないの?

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届出は入口で、運営指導で見られるのは「届出後も要件を満たし続けているか」です。届け出た当時は配置できていたのに、職員が退職して満たせなくなっていた、というケースが実際にあります。この場合、満たさなくなった時点まで遡って返還になります。人員が変わったときは、算定要件への影響を必ず確認してください。

送迎と定員の確認点

項目確認されること
送迎の実施送迎を行わなかった場合の減算が適用されているか
同一建物同一建物に居住する利用者への減算が適用されているか
送迎記録誰を、どこから、何時に送迎したかが記録されているか
利用定員定員超過が発生していないか。発生時に減算しているか
サービス提供時間実際の提供時間と、算定している時間区分が一致しているか

とくに最後の項目は要注意です。送迎の時間はサービス提供時間に含まれません。到着から退出までの時間で区分を判断する必要があり、実際の記録と算定区分がずれている事業所があります。定員超過・人員欠如の減算は通所介護の定員超過・人員欠如減算を参照してください。

人員と勤務体制

デイサービスで指摘が多いのが、勤務形態一覧表と実際の勤務実績の不一致です。

  • 勤務形態一覧表の予定と、出勤簿・タイムカードの実績が一致しているか
  • 生活相談員の配置時間が、サービス提供時間を通じて確保されているか
  • 看護職員の配置または連携体制が要件を満たしているか
  • 機能訓練指導員の資格証を確認できるか
  • 兼務している職員の時間が、複数の職種で重複計上されていないか
  • 管理者が常勤専従の要件を満たしているか(兼務可能な範囲を超えていないか)

人員基準の詳細は通所介護の人員基準・設備基準に、勤務形態一覧表の書き方は介護保険の勤務表 作成方法にまとめています。

記録の保存期間

省令は2年、条例は5年のことがある 基準では、サービス提供に関する記録を完結の日から2年間保存することとされています。ただし運営基準は都道府県・市町村の条例で定められており、保存期間を5年としている自治体が少なくありません。
2年で処分してしまい、運営指導で提示できないという事態が起きています。指定権者の条例を確認し、迷うなら5年保存にしてください。

当日に提示を求められる書類

  • 運営規程、重要事項説明書、契約書、同意書
  • 勤務形態一覧表、出勤簿・タイムカード、資格証の写し
  • 通所介護計画(アセスメント、同意、交付、モニタリングの記録を含む)
  • 個別機能訓練計画と、居宅訪問・実施の記録
  • 入浴に関する記録(上位区分を算定している場合は評価の記録も)
  • サービス提供記録、送迎記録、利用者ごとの利用実績
  • 各種加算の届出書控えと、要件を裏づける記録
  • 苦情記録、事故記録、身体的拘束等に関する記録
  • 感染症対策委員会・虐待防止委員会の議事録、指針、研修記録
  • 業務継続計画と、研修・訓練の記録

下2つは義務化された項目です。委員会を開いていても議事録がない、研修を口頭で済ませて記録がないという状態が多く見られます。実施したことを示せなければ、実施していないものとして扱われます。

よくある質問

通所介護計画は誰が作成するのですか?

基準第99条第1項により、指定通所介護事業所の管理者です。通所リハビリのように医師の関与は求められていません。

計画を作ったあとに必要なことはありますか?

基準第99条第5項により、計画に従ったサービスの実施状況と、目標の達成状況を記録する必要があります。日々の記録だけでは足りません。

個別機能訓練加算で最も多い指摘は何ですか?

居宅訪問の記録がないこと、目標に個別性がないこと、機能訓練指導員の配置時間が要件を満たしていないことです。

入浴介助加算は入浴させれば算定できますか?

できません。区分によって要件が異なり、上位区分では居宅の浴室環境の評価と、それにもとづく個別の計画・記録が求められます。

サービス提供時間に送迎の時間は含まれますか?

含まれません。到着から退出までで時間区分を判断します。記録と算定区分がずれていないか確認してください。

届出を出していれば加算は算定できますか?

届出後も要件を満たし続けている必要があります。職員の退職などで満たせなくなった場合、その時点まで遡って返還になることがあります。

記録は何年保存すればよいですか?

省令上は完結の日から2年間ですが、条例で5年としている自治体があります。指定権者の条例を確認してください。

委員会の議事録は必要ですか?

必要です。感染症対策、虐待防止、業務継続計画に関する委員会・指針・研修・訓練は、記録がなければ実施していないものとして扱われます。

指摘を受けたらどうなりますか?

文書で通知され、期限までに改善報告書を提出します。報酬請求に誤りがあれば過誤調整による返還が必要です。重大な場合は監査へ移行することがあります。

まとめ
  • デイサービスの運営指導は、実施状況・運営体制・報酬請求の3観点で行われる
  • 法的根拠は介護保険法第76条第1項
  • 通所介護計画の作成者は、基準第99条第1項により管理者
  • 通所リハビリと違い、医師の関与は求められていない
  • 基準第99条第5項により、実施状況と目標の達成状況の記録が必要
  • 日々のサービス記録だけでは、目標の追跡になっていない
  • 個別機能訓練加算では、居宅訪問の記録が必ず見られる
  • 訪問したが記録がない状態は、実施していないのと同じ扱いになる
  • 複数の利用者で目標の文言が同じだと、個別性を問われる
  • 入浴介助加算は、入浴させれば算定できる加算ではない
  • 上位区分は居宅の浴室環境の評価と個別計画が必要
  • 送迎の時間はサービス提供時間に含まれない
  • 勤務形態一覧表と出勤簿の不一致、兼務時間の重複計上が指摘されやすい
  • 記録の保存は省令2年、条例で5年としている自治体がある
  • 委員会・研修は記録がなければ実施していないものとして扱われる
参考にした情報

※本記事の制度に関する記述は、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準および介護保険法にもとづいて整理したものです。運営基準は都道府県または市町村の条例で定められるため、記録の保存期間をはじめ具体的な取扱いが自治体によって異なります。個別機能訓練加算および入浴介助加算の詳細な要件は告示および留意事項通知で定められており、本記事では具体的な単位数や区分ごとの数値要件を記載していません。算定にあたっては原文をご確認ください。運営指導の実施方法や確認項目は指定権者によって異なるため、公表されている実施要綱および自己点検表をご確認ください。実務上の注意点は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。2026年9月時点の内容として整理しています。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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