通所リハビリの同一建物減算・送迎減算とは?

通所リハビリの同一建物減算は1日94単位、送迎を行わない場合の減算は片道47単位です。この2つは連動していて、同一建物減算がかかっている人は、送迎減算の対象になりません。二重には引かれない仕組みです。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)と老企第36号の原文を確認して、2つの減算額・対象になる人・例外・重複の扱いを整理しました。
この記事でわかること
- 通所リハビリの同一建物減算は1日94単位だということ
- 送迎を行わない場合の減算は片道47単位だということ
- 同一建物減算の対象は「居住する者」と「同一建物から通う者」の2種類
- やむを得ない事情で送迎した場合は減算されないこと
- 同一建物減算がかかると送迎減算は適用されないこと
- 利用者が自ら通う場合・家族が送迎する場合が送迎減算の対象になること
- 片道ごとに数えるという計算
- 訪問系の同一建物減算とは仕組みが違うこと
通所リハビリの同一建物減算とは?
同一建物減算は、事業所と同じ建物に住んでいる利用者、または同じ建物から通ってくる利用者について、1日94単位を差し引く仕組みです。
サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームの1階に通所リハビリがある、という形が典型です。移動にかかる手間とコストがほとんどないため、その分を報酬から差し引くという考え方になっています。
ちびウルフサ高住に併設のデイケアです。全員が94単位引かれるんですか。
リハウルフ同一建物に住んでいる人と、同一建物から通ってくる人が対象です。ただし、傷病などやむを得ない事情で送迎が必要な人に実際に送迎したなら、その人は減算されません。
同一建物減算の減算額と対象
告示第19号の通所リハビリテーション費の注23に定められています。
23 指定通所リハビリテーション事業所と同一建物に居住する者又は指定通所リハビリテーション事業所と同一建物から当該指定通所リハビリテーション事業所に通う者に対し、指定通所リハビリテーションを行った場合は、1日につき94単位を所定単位数から減算する。ただし、傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要であると認められる利用者に対して送迎を行った場合は、この限りでない。
| 区分 | 減算額 | 頻度 |
|---|---|---|
| 同一建物減算 | 94単位 | 1日 |
対象は2種類
- 事業所と同一建物に居住する者
- 事業所と同一建物から事業所に通う者
2つ目が分かりにくいところですが、住んでいなくても、同じ建物から通ってくれば対象になります。
やむを得ない事情による例外
送迎が必要な人に実際に送迎したなら減算しない
但し書きは「傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要であると認められる利用者に対して送迎を行った場合」を例外としています。2つの条件が必要です。送迎が必要と認められること、そして実際に送迎したこと。同じ建物でも、状態によっては送迎が要る人がいます。その場合は減算されません。
送迎を行わない場合の減算とは?
告示第19号の通所リハビリテーション費の注24に定められています。
24 利用者に対して、その居宅と指定通所リハビリテーション事業所との間の送迎を行わない場合は、片道につき47単位を所定単位数から減算する。
| 状況 | 減算額 |
|---|---|
| 片道だけ送迎しない | 47単位 |
| 往復とも送迎しない | 94単位 |
「1日につき」ではなく「片道につき」です。行きだけ家族が送ってきて帰りは事業所が送る、という場合は47単位だけになります。
対象になる場面
老企第36号 (26)は、次のように説明しています。
利用者が自ら通う場合、利用者の家族等が送迎を行う場合など事業者が送迎を実施していない場合は、片道につき減算の対象となる。ただし、注23の減算の対象となっている場合には、当該減算の対象とはならない。
- 利用者が自ら通う場合
- 利用者の家族等が送迎を行う場合
- その他、事業者が送迎を実施していない場合
2つの減算の関係
ちびウルフ家族が送り迎えしている人は、送迎減算のほうですか。
リハウルフそうです。ただ同一建物減算がかかっている人は、送迎減算の対象になりません。二重に引かれることはない、という整理です。
| 状況 | 同一建物減算 | 送迎減算 |
|---|---|---|
| 同一建物の利用者(送迎なし) | 94単位 | 適用しない |
| 同一建物の利用者だが、やむを得ない事情で送迎した | 減算しない | 送迎しているので対象外 |
| 別の場所に住む利用者を家族が送迎(往復) | — | 94単位(47×2) |
| 別の場所に住む利用者を家族が送り、帰りは事業所が送る | — | 47単位 |
同一建物減算が優先し、二重には引かれない
老企第36号 (26)の但し書きが明確です。注23(同一建物減算)の対象になっている場合は、送迎減算の対象にならない。結果として引かれる額は1日94単位が上限になります。金額が同じなので見落としやすいのですが、根拠となる減算は別物です。
2つの減算の注意点
同一建物減算は「1日」、送迎減算は「片道」
単位の数え方が違います。同一建物減算は1日94単位で固定、送迎減算は片道47単位なので往復すれば94単位。偶然どちらも94単位になりますが、数え方の考え方は別です。
やむを得ない事情は記録に残す
同一建物減算の例外を使う場合、「傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要であると認められる」ことの根拠が要ります。なぜ送迎が必要なのか、実際に送迎したのかを記録に残してください。
通所介護と同じ内容
老企第36号 (25)は、同一建物減算の取扱いについて「通所介護と同様であるので、7(22)を参照されたい」としています。通所介護の同一建物減算と同じ考え方です。
訪問系の同一建物減算とは仕組みが違う
| サービス | 同一建物減算の形 |
|---|---|
| 通所リハビリ・通所介護 | 定額(1日94単位) |
| 訪問リハビリ・訪問看護・訪問入浴 | 率(所定単位数の90%または85%) |
訪問系は人数によって90%・85%と率が変わる仕組みですが、通所系は定額です。訪問リハの記事の数字を通所リハに持ち込まないでください。
介護予防にも同様の規定がある
介護予防通所リハビリテーション費にも、同一建物に関する規定が置かれています。単位数の考え方が異なるため、別に確認してください。
同一建物減算・送迎減算のQ&A
同一建物減算はいくらですか?
1日につき94単位です。
住んでいなくても対象になりますか?
なります。「同一建物から当該事業所に通う者」も対象です。
同じ建物でも減算されない場合がありますか?
あります。傷病その他やむを得ない事情により送迎が必要と認められる利用者に対して、実際に送迎を行った場合は減算されません。
送迎減算はいくらですか?
片道につき47単位です。往復とも送迎しなければ94単位になります。
家族が送迎する場合は減算されますか?
されます。利用者が自ら通う場合、家族等が送迎を行う場合など、事業者が送迎を実施していない場合が対象です。
2つの減算が重なることはありますか?
ありません。同一建物減算の対象になっている場合、送迎減算の対象にはなりません。
行きだけ家族が送ってきた場合は?
片道分の47単位が減算されます。
訪問リハビリと同じ減算率ですか?
違います。訪問系は所定単位数の90%・85%という率ですが、通所リハビリは1日94単位の定額です。
やむを得ない事情はどう記録しますか?
告示・通知に様式の定めはありません。送迎が必要と認められる理由と、実際に送迎した記録を残してください。
まとめ
- 通所リハビリの同一建物減算は1日につき94単位
- 対象は事業所と同一建物に居住する者、および同一建物から通う者
- 住んでいなくても同じ建物から通えば対象になる
- 傷病その他やむを得ない事情で送迎が必要と認められ、実際に送迎した場合は減算されない
- 送迎を行わない場合の減算は片道につき47単位
- 往復とも送迎しなければ94単位
- 利用者が自ら通う場合、家族等が送迎する場合が対象
- 同一建物減算の対象になっている場合、送迎減算は適用されない
- 2つの減算が二重に引かれることはない
- 同一建物減算は「1日」、送迎減算は「片道」で数える
- やむを得ない事情による例外を使う場合は理由と送迎の記録を残す
- 同一建物減算の取扱いは通所介護と同じ
- 訪問系の同一建物減算は率(90%・85%)で、通所系の定額とは仕組みが違う
参考にした情報
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)通所リハビリテーション費 注23・注24
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)等の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号)
※本記事の減算額・要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および保険者の解釈をご確認ください。取扱いは市町村(保険者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。



