通所リハビリの感染症・災害による利用者減の加算とは?

通所リハビリの感染症・災害による利用者減の加算は、所定単位数の100分の3、つまり3%の加算です。前年度の月平均より利用者が5%以上減った場合に、減った月の「翌々月」から3か月以内に限って算定できます。翌月からではありません。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)と老企第36号の原文を確認して、加算率・算定できる期間・延長できる場合・届出の要否を整理しました。
この記事でわかること
- 通所リハビリの感染症・災害による利用者減の加算は3%だということ
- 対象は厚生労働大臣が認める感染症・災害に限られること
- 前年度の月平均より5%以上減ったことが要件だということ
- 算定は「翌々月」から3か月以内だということ
- 特別の事情があればさらに3か月延長できること
- 届出が必要なこと
- 事業所規模別の報酬区分の特例とは別の仕組みだということ
- 詳細が別途通知に置かれていること
通所リハビリの感染症・災害による利用者減の加算とは?
この加算は、感染症や災害の発生によって利用者が大きく減った通所リハビリ事業所を、一時的に支える仕組みです。
通所系サービスは、利用者が来なければ収入が立ちません。一方で人件費や家賃は変わらず出ていきます。感染症の流行や災害で利用控えが起きたとき、事業所の側には何の落ち度もないのに経営が傾く。その構造への対応として設けられました。
ちびウルフコロナで利用者が減ったときに使えた加算ですか。
リハウルフその流れで作られた仕組みです。ただし対象は「厚生労働大臣が認めるもの」に限られるので、感染症なら何でもというわけではありません。まず自分の地域・時期が対象になっているかの確認からです。
感染症・災害による利用者減の加算の加算率
告示第19号の通所リハビリテーション費の注4に定められています。
4 イ及びロについて、感染症又は災害(厚生労働大臣が認めるものに限る。)の発生を理由とする利用者数の減少が生じ、当該月の利用者数の実績が当該月の前年度における月平均の利用者数よりも100分の5以上減少している場合に、(中略)届出を行った指定通所リハビリテーション事業所において、指定通所リハビリテーションを行った場合には、利用者数が減少した月の翌々月から3月以内に限り、1回につき所定単位数の100分の3に相当する単位数を所定単位数に加算する。
| 区分 | 加算率 | 算定できる期間 |
|---|---|---|
| 感染症・災害による利用者減の加算 | 所定単位数の3% | 減少した月の翌々月から3か月以内 |
感染症・災害による利用者減の加算の算定要件
3つの要件
- 感染症または災害(厚生労働大臣が認めるものに限る)の発生を理由とする利用者数の減少が生じていること
- 当該月の利用者数の実績が、当該月の前年度における月平均の利用者数よりも5%以上減少していること
- 届出を行っていること
「厚生労働大臣が認めるもの」という限定
感染症や災害であれば何でも対象になるわけではありません。厚生労働大臣が認めたものに限られます。該当するかどうかは、その時点で発出される通知等で確認する必要があります。事業所の判断だけで算定を始めることはできません。
比較の対象は「前年度の月平均」
「当該月の前年度における月平均の利用者数」との比較です。前年の同じ月ではなく、前年度全体を平均した数が基準になります。
なお、令和3年5月31日までの間は「月平均又は前年同月」と読み替える経過措置がありましたが、これは既に終了しています。
対象になるのは「イ及びロ」
注4は「イ及びロについて」としています。通所リハビリテーション費のイ(通常規模型)とロ(大規模型)が対象です。
算定できる期間
ちびウルフ5%減ったら翌月から加算できますか。
リハウルフ翌々月からです。減った月とその翌月は加算されません。ここは間違えやすいところで、減収が最も苦しい時期には入らない仕組みになっています。
| 時点 | 算定 |
|---|---|
| 利用者数が5%以上減った月 | 加算なし |
| 翌月 | 加算なし |
| 翌々月から3か月以内 | 3%を加算 |
| 特別の事情がある場合 | 加算の期間が終了した月の翌月から3か月以内に限り、引き続き加算できる |
延長できる場合
告示の但し書きは、次のように定めています。
ただし、利用者数の減少に対応するための経営改善に時間を要することその他の特別の事情があると認められる場合は、当該加算の期間が終了した月の翌月から3月以内に限り、引き続き加算することができる。
最初の3か月に加えて、さらに3か月。合計で最長6か月という設計です。
タイムラグを織り込んで資金繰りを考える
減った月から数えると、加算が入るのは3か月目からです。減収が始まってから加算が入るまで、2か月の空白があります。この加算をあてにして資金繰りを組むと、最も苦しい時期を乗り切れません。加算は「後から補填されるもの」と考えて、当座の資金は別に確保しておく必要があります。
事業所規模別の報酬区分の特例とは別
感染症・災害で利用者が減ったときの仕組みは、実はもう1つあります。事業所規模別の報酬区分の決定に係る特例です。
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| この加算(注4) | 所定単位数に3%を加算する |
| 事業所規模別の報酬区分の特例 | 大規模型から通常規模型へ、報酬区分の判定を変える |
通所リハビリの基本報酬は事業所の規模で区分が分かれ、規模が大きいほど単位数が低く設定されています。利用者が減って実態は小規模になっているのに、前年度実績で決まった大規模型の報酬のままだと不利になります。その調整が特例のほうです。
老企第36号 (10)⑤は「感染症又は災害の発生を理由とする利用者数の減少が一定以上生じている場合の事業所規模別の報酬区分の決定に係る特例については、別途通知を参照すること」としています。
感染症・災害による利用者減の加算の注意点
詳細は別途通知にある
老企第36号 (5)は、この加算について次の一文だけです。
感染症又は災害の発生を理由とする利用者数の減少が一定以上生じている場合の基本報酬への加算の内容については、別途通知を参照すること。
告示と老企第36号だけでは、対象となる感染症・災害の範囲も、届出の様式も、利用者数の具体的な算定方法も分かりません。実際に算定を検討する際は、必ずその時点の別途通知にあたってください。本記事で扱っているのは告示に書かれている骨格の部分です。
届出が必要
告示の注4は「届出を行った指定通所リハビリテーション事業所において」としています。利用者が減った事実があっても、届出をしなければ算定できません。
利用者への説明
加算されると利用者の負担も3%増えます。事業所の減収を利用者が補う形になるため、算定を始める際は説明が必要です。利用控えをしている人ほど、来たときの負担が増えるという構造でもあります。
通所介護にも同じ加算がある
通所介護(デイサービス)にも、同じ内容の加算が設けられています。要件・加算率・期間は同じ構造です。
感染症・災害による利用者減の加算のQ&A
どんな感染症でも対象になりますか?
なりません。「厚生労働大臣が認めるものに限る」とされています。その時点の通知等で対象を確認してください。
比較するのは前年の同じ月ですか?
前年度における月平均の利用者数です。前年同月との比較ではありません。
何%減ったら対象ですか?
5%以上です。
いつから算定できますか?
利用者数が減少した月の翌々月からです。減った月とその翌月は算定できません。
何か月算定できますか?
3か月以内です。特別の事情がある場合はさらに3か月延長でき、最長6か月になります。
「特別の事情」とは何ですか?
告示は「経営改善に時間を要することその他の特別の事情」としています。具体的な判断は別途通知および指定権者の解釈によります。
届出は必要ですか?
必要です。
利用者の負担も増えますか?
増えます。所定単位数に3%が加算されるため、自己負担もその分増えます。
事業所規模別の報酬区分の特例と同時に使えますか?
別の仕組みです。取扱いは別途通知および指定権者に確認してください。
まとめ
- 通所リハビリの感染症・災害による利用者減の加算は所定単位数の3%
- 対象は厚生労働大臣が認める感染症・災害に限られる
- 当該月の利用者数が前年度の月平均より5%以上減っていることが要件
- 比較の基準は前年同月ではなく前年度の月平均
- 算定できるのは利用者数が減少した月の翌々月から3か月以内
- 減った月とその翌月は算定できない(2か月のタイムラグがある)
- 特別の事情がある場合はさらに3か月延長でき、最長6か月
- 届出が必要
- 対象は通所リハビリテーション費のイ(通常規模型)とロ(大規模型)
- 加算されると利用者の自己負担も3%増える
- 事業所規模別の報酬区分の決定に係る特例とは別の仕組み
- 対象の範囲・届出様式・利用者数の算定方法は別途通知に置かれている
- 通所介護にも同じ内容の加算がある
参考にした情報
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)通所リハビリテーション費 注4
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)等の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号)
※本記事の加算率・算定要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。対象となる感染症・災害の範囲、届出様式、利用者数の具体的な算定方法は別途通知に定められているため、実際の算定にあたっては同通知および保険者の解釈をご確認ください。取扱いは市町村(保険者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。
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