老健の再入所時栄養連携加算とは?

老健の再入所時栄養連携加算は、入所者1人につき1回を限度として200単位です。いったん退所して入院し、食事の形態が変わって戻ってくる。その入院先まで管理栄養士が出向いて栄養ケア計画を作り直すことを評価します。同じ人に生涯1回しか算定できないという、老健の加算では珍しい構造です。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)、老企第40号の原文を確認して、単位数・算定要件・「二次入所」の考え方・実務でつまずく点を整理しました。
この記事でわかること
- 老健の再入所時栄養連携加算は入所者1人につき1回・200単位という単位数
- 「二次入所」という考え方と、対象になる流れ
- 医師が特別食または嚥下調整食の必要性を認めることが前提だということ
- 管理栄養士が入院先の医療機関を訪問する必要があること
- テレビ電話装置等を使う場合の同意のルール
- 栄養ケア計画に本人・家族の同意が必要なこと
- 嚥下調整食は日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づくこと
- 栄養管理の基準を満たさない場合の減算中は算定できないこと
老健の再入所時栄養連携加算とは?
再入所時栄養連携加算は、老健を退所して医療機関に入院した人が、退院後に再びその老健へ戻ってくる場面を対象にした加算です。入院中に嚥下機能が落ちたり、疾患の治療で食事内容が変わったりすると、入院前と同じ食事では戻れません。その調整を、退院を待たずに入院先で始めることを評価するのがこの加算です。
老企第40号 5の(24)①は、この場面を「二次入所」と呼んでいます。一度目の入所があり、退所して入院し、退院後に再び同じ施設へ入所する。この二度目の入所が二次入所です。
ちびウルフ退院してから施設で栄養ケア計画を作り直すのでは駄目なんですか。
リハウルフそれだと加算になりません。要件は、入院先を訪問して、向こうの管理栄養士と連携して計画を作ることです。戻ってきてから作るのは通常の栄養ケアであって、この加算が評価しているものではありません。
再入所時栄養連携加算の単位数
告示第21号の介護保健施設サービスのホに定められています。
ホ 再入所時栄養連携加算 200単位
注 別に厚生労働大臣が定める基準に適合する介護老人保健施設に入所している者が退所し、当該者が病院又は診療所に入院した場合であって、当該者が退院した後に再度当該介護老人保健施設に入所する際、当該者が別に厚生労働大臣が定める特別食等を必要とする者であり、当該介護老人保健施設の管理栄養士が当該病院又は診療所の管理栄養士と連携し当該者に関する栄養ケア計画を策定したときに、入所者1人につき1回を限度として所定単位数を加算する。ただし、イ及びロの注7を算定している場合は、算定しない。
| 区分 | 単位数 | 算定頻度 |
|---|---|---|
| 再入所時栄養連携加算 | 200単位 | 入所者1人につき1回 |
「1月につき1回」ではなく「入所者1人につき1回」です。同じ人が二度、三度と入退院を繰り返しても、算定できるのは1回だけです。
再入所時栄養連携加算の算定要件
対象になる流れ
次の順序をすべて満たす必要があります。
- 老健に入所していた人が退所する
- その人が病院または診療所に入院する
- 入院中に、医師が特別食または嚥下調整食を提供する必要性を認める
- 施設の管理栄養士が入院先を訪問し、栄養に関する指導またはカンファレンスに同席する
- 入院先の管理栄養士と連携して、二次入所後の栄養ケア計画を作成する
- 退院後、直ちに再度同じ老健に入所する(二次入所)
- 栄養ケア計画について本人または家族の同意を得る
「直ちに」再入所することが条件
老企第40号 5の(24)①は「当該者が退院した後、直ちに再度当該指定介護老人福祉施設に入所(以下「二次入所」という。)した場合を対象とすること」としています。退院後に自宅を経由して、しばらく在宅で過ごしてから入所した場合の扱いは通知に明示がありません。判断に迷う場合は指定権者に確認してください。
入院先の医療機関を訪問する
老企第40号 5の(24)③は、次のとおり求めています。
当該指定介護老人福祉施設の管理栄養士が当該者の入院する医療機関を訪問の上、当該医療機関での栄養に関する指導又はカンファレンスに同席し、当該医療機関の管理栄養士と連携して、二次入所後の栄養ケア計画を作成すること。
指導又はカンファレンスへの同席は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、当該者又はその家族(以下この③において「当該者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該者等の同意を得なければならない。
テレビ電話は可、ただし本人・家族が参加するなら同意が必要
オンラインでの同席が認められているのは実務上ありがたい緩和ですが、本人や家族が参加する場合は、テレビ電話装置等を使うことについて本人等の同意が必要です。職員だけのカンファレンスなら同意は求められていません。参加者が誰かで手続きが変わります。活用にあたっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等の遵守が求められています。
栄養ケア計画への同意
老企第40号 5の(24)④は「当該栄養ケア計画について、二次入所後に入所者又はその家族の同意が得られた場合に算定すること」としています。同意を得るタイミングは二次入所後です。計画は入院中に作りますが、同意は戻ってきてから取る流れになります。
施設側の要件
告示は「別に厚生労働大臣が定める基準に適合する介護老人保健施設」としており、その中身は告示第95号の第65号の2に置かれています。内容は「通所介護費等算定方法第十号、第十二号、第十三号及び第十五号に規定する基準のいずれにも該当しないこと」、つまり人員基準欠如や定員超過の状態にないことです。
対象になる特別食と嚥下調整食
告示は「別に厚生労働大臣が定める特別食等」としています。特別食は告示第94号の第65号の2が第12号を引く形で、次の11種類です。
- 腎臓病食
- 肝臓病食
- 糖尿病食
- 胃潰瘍食
- 貧血食
- 膵臓病食
- 脂質異常症食
- 痛風食
- 嚥下困難者のための流動食
- 経管栄養のための濃厚流動食
- 特別な場合の検査食(単なる流動食および軟食を除く)
これに加えて、老企第40号 5の(24)②が嚥下調整食を定義し、対象を広げています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 嚥下調整食 | 硬さ、付着性、凝集性などに配慮した食事であって、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づくもの |
| 心臓疾患等に対する減塩食 | 含まれる |
| 十二指腸潰瘍に対する潰瘍食 | 含まれる |
| 侵襲の大きな消化管手術後の潰瘍食 | 含まれる |
| クローン病・潰瘍性大腸炎等の低残渣食 | 含まれる |
| 高度肥満症の治療食 | 肥満度+40%以上またはBMI30以上 |
| 高血圧に対する減塩食 | 食塩相当量の総量6.0g未満に限り含まれる |
| 嚥下困難者のための流動食 | そのために摂食不良となった者も含む |
ここでも通知は「療養食加算の場合と異なり、再入所時栄養連携加算の対象となる特別食に含まれる」と書き分けています。療養食加算では対象外だった高血圧の減塩食と嚥下困難者の流動食が、この加算では対象です。
嚥下調整食の分類は学会分類
「日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づくもの」と明示されています。施設独自の食事形態の呼び方(きざみ食、ソフト食など)を使っていると、入院先との情報のやりとりが噛み合いません。学会分類のコードで話せるようにしておくと、この加算に限らず連携がスムーズになります。
再入所時栄養連携加算の注意点
栄養管理の減算中は算定できない
告示の但し書きにある「イ及びロの注7」とは、栄養管理について厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合の1日14単位の減算です。この減算を受けている期間は算定できません。
なお退所時栄養情報連携加算とは異なり、栄養マネジメント強化加算との併算定は排除されていません。但し書きに書かれているのは注7だけです。老健で栄養マネジメント強化加算を算定していても、この加算は算定できます。
| 加算 | 栄養マネジメント強化加算との併算定 |
|---|---|
| 退所時栄養情報連携加算 | できない |
| 再入所時栄養連携加算 | できる |
同じ人には1回きり
「入所者1人につき1回を限度として」という書き方は、月や年での区切りがありません。過去に一度算定した人が再び入退院しても、二度目は算定できないと読むのが自然です。算定済みの人を管理する台帳がないと、気づかずに二重請求になります。
ちびウルフ200単位で1回きりだと、手間に見合わない気もします。
リハウルフ単位数だけ見ればそうです。ただ、食事形態が変わった人をそのまま受け入れて誤嚥性肺炎で再入院、という流れを一度でも防げれば話は変わります。入院先の管理栄養士と顔がつながることの価値も、加算の額には表れません。
訪問できる体制があるかを先に確認する
この加算の最大のハードルは、管理栄養士が施設を離れて入院先へ出向けるかどうかです。管理栄養士が1人の老健では、その日の給食管理を誰が担うのかという問題が先に立ちます。オンラインでの同席が認められているのは、この点への配慮でもあります。
再入所時栄養連携加算のQ&A
別の老健に入所する場合も算定できますか?
できません。告示は「再度当該介護老人保健施設に入所する際」としており、退所前と同じ施設に戻ることが前提です。
入院ではなく他の介護保険施設に移った場合はどうですか?
対象外です。告示は「病院又は診療所に入院した場合」に限定しています。
訪問は必ず対面でなければいけませんか?
指導またはカンファレンスへの同席はテレビ電話装置等で行うことができます。ただし本人や家族が参加する場合は、その活用について本人等の同意が必要です。
入院先に管理栄養士がいない場合は算定できますか?
要件は「当該病院又は診療所の管理栄養士と連携し」とされています。連携先の管理栄養士がいなければ要件を満たしません。
同意は誰から取ればよいですか?
入所者またはその家族です。同意のタイミングは二次入所後とされています。
栄養マネジメント強化加算と一緒に算定できますか?
できます。但し書きが排除しているのは栄養管理の基準を満たさない場合の減算(注7)だけです。退所時栄養情報連携加算とはこの点が異なります。
嚥下調整食に該当するかはどう判断しますか?
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づく食事であることが前提です。あわせて医師が提供の必要性を認めていることが必要です。
2回目の入退院でも算定できますか?
「入所者1人につき1回を限度として」とされているため、同一人について複数回の算定はできない読み方になります。
転換老健でも算定できますか?
算定できます。基本型・在宅強化型に限る規定は付いていません。ただし人員基準欠如・定員超過の状態にないことが要件です。
まとめ
- 老健の再入所時栄養連携加算は入所者1人につき1回、200単位
- 「1月に1回」ではなく「1人につき1回」で、生涯1回の構造
- 老健を退所して病院・診療所に入院し、退院後に直ちに同じ老健へ戻る「二次入所」が対象
- 入院先が他の介護保険施設の場合は対象外
- 医師が特別食または嚥下調整食の必要性を認めることが前提
- 施設の管理栄養士が入院先を訪問し、指導・カンファレンスに同席する
- 同席はテレビ電話装置等でも可、ただし本人・家族が参加するならその活用への同意が必要
- 入院先の管理栄養士と連携して二次入所後の栄養ケア計画を作成する
- 栄養ケア計画への同意は二次入所後に本人または家族から得る
- 特別食は11種類、嚥下調整食は日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づくもの
- 高血圧の減塩食(6.0g未満)も対象に含まれる(療養食加算では対象外)
- 栄養管理の基準を満たさない減算(1日14単位)を受けている場合は算定できない
- 栄養マネジメント強化加算とは併算定できる(退所時栄養情報連携加算との違い)
- 施設が人員基準欠如・定員超過の状態にないことが要件
参考にした情報
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第65号の2
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第12号・第65号の2
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準等に関する留意事項について(老企第40号)5の(24)、8の(23)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。



