通所介護(デイサービス)の感染症・災害による利用者減の加算は、1回につき所定単位数の100分の3です。感染症や災害で利用者が大きく減った事業所の経営を支えるために置かれています。

この加算の特徴は、算定できる期間が「利用者数が減少した月の翌々月から3月以内」と、時間差で始まることです。減った月にすぐ付くのではなく、2か月後から。実績の確定と届出に時間がかかることを織り込んだ設計ですが、資金繰りの感覚とはずれるため、見落とされやすい加算になっています。

この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)通所介護費の注5の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 感染症・災害による利用者減の加算は所定単位数の3%であること
  • 前年度の月平均から5%以上減少という基準
  • 算定できるのが「減少した月の翌々月から3月以内」であること
  • 特別の事情があればさらに3月延長できること
  • 対象となる災害は「厚生労働大臣が認めるもの」に限られること
  • 届出が必要であること
  • 比較対象が「前年度における月平均の利用者数」であること
  • 実務での届出のタイミング
ちびウルフちびウルフ

利用者が減った月に付くわけじゃないんですか? それだと苦しいときに助けにならない気が。

リハウルフリハウルフ

そのとおりで、タイムラグがあります。ただ減少した月の実績が確定しないと5%以上減ったかどうかを判定できません。翌月に集計して届出、翌々月から算定という流れです。だからこそ、減った月のうちに気づいて動かないと、算定開始がさらに遅れます。

通所介護の感染症・災害による利用者減の加算とは?

通所介護の感染症・災害による利用者減の加算は、感染症や災害の発生を理由に利用者が大きく減った事業所について、基本報酬に一定割合を上乗せする仕組みです。告示19号 通所介護費の注5に規定されています。

通所介護は、利用者が通ってこなければ報酬が発生しません。感染症の流行で利用控えが起きたり、災害で送迎ができなくなったりすると、収入が直接落ち込みます。一方で職員の人件費や施設の維持費は減りません。

そのまま放置すれば、地域の通所介護そのものが失われかねない。この加算は、非常時に事業所が事業を継続できるようにするための下支えです。職員の処遇や利用者の受け入れ体制を守ることが目的で、平常時の減収を補うものではありません。

感染症・災害による利用者減の加算の加算率

5 イからハまでについて、感染症又は災害(厚生労働大臣が認めるものに限る。)の発生を理由とする利用者数の減少が生じ、当該月の利用者数の実績が当該月の前年度における月平均の利用者数よりも100分の5以上減少している場合に、(略)届出を行った指定通所介護事業所において、指定通所介護を行った場合には、利用者数が減少した月の翌々月から3月以内に限り、1回につき所定単位数の100分の3に相当する単位数を所定単位数に加算する。ただし、利用者数の減少に対応するための経営改善に時間を要することその他の特別の事情があると認められる場合は、当該加算の期間が終了した月の翌月から3月以内に限り、引き続き加算することができる。

項目内容
加算率所定単位数の100分の3
算定の単位1回につき
算定期間利用者数が減少した月の翌々月から3月以内
延長特別の事情があれば、加算期間終了月の翌月から3月以内
対象イ・ロ・ハ(通常規模型・大規模型(Ⅰ)(Ⅱ))
届出都道府県知事等への届出が必要

金額のイメージ

基本報酬(通常規模型・7〜8時間)3%加算月20日稼働・延べ200回の場合
要介護1:658単位約20単位約4,000単位
要介護3:900単位27単位約5,400単位
要介護5:1,148単位約34単位約6,800単位

※概算です。実際は所定単位数に乗じます。

3%という率は、失われた収入を埋め合わせる水準ではありません。5%以上減った状態に対する3%の上乗せなので、あくまで下支えという位置づけです。

感染症・災害による利用者減の加算の算定要件

要件内容
①原因感染症または災害厚生労働大臣が認めるものに限る)の発生を理由とする利用者数の減少であること
②減少幅当該月の利用者数の実績が、当該月の前年度における月平均の利用者数よりも5%以上減少していること
③届出都道府県知事等への届出を行っていること

「厚生労働大臣が認めるもの」という限定

感染症も災害も、厚生労働大臣が認めるものに限られます。どのような事象が該当するかは告示本文に列挙がなく、個別の通知や事務連絡によって示されます。

自事業所で起きた利用控えが対象になるかどうかは、指定権者に確認するのが確実です。「利用者が減ったから算定できる」という単純な話ではありません。

比較対象は「前年度における月平均」

ここが読み取りにくい部分です。条文は「当該月の利用者数の実績が当該月の前年度における月平均の利用者数よりも」としています。

比較の考え方
  • 比較するのは前年同月の実績ではなく、前年度の月平均
  • 季節変動が大きい事業所では、この違いが結果を左右する
  • 前年度の総利用者数を12で割った数が基準になる

前年同月と比べるのではない点に注意してください。具体的な算出方法は留意事項通知および指定権者の取扱いによります。

5%以上の減少

基準は5%です。前年度の月平均が200人だったなら、当該月が190人以下になった場合に該当します。

算定できる期間の考え方

時期状態
X月感染症・災害により利用者数が5%以上減少
X+1月実績を集計し、届出を行う
X+2月〜X+4月3%加算を算定(3月以内)
X+5月〜X+7月特別の事情があれば、引き続き算定できる(さらに3月以内)

条文は「利用者数が減少した月の翌々月から3月以内」です。減少した月そのものには加算が付きません。

延長できる「特別の事情」

ただし書きは「利用者数の減少に対応するための経営改善に時間を要することその他の特別の事情があると認められる場合」に、さらに3月の延長を認めています。

最大で6月間の算定が可能になる計算です。ただし「認められる場合」なので、指定権者の判断が入ります。延長を見込むなら、経営改善の取り組み状況を記録に残しておく必要があります。

実務での動き方

気づいてから算定までの流れ
  • 利用者数の減少に気づいた時点で、前年度の月平均と比較する
  • 減少の原因が感染症・災害によるものか整理する
  • 当該月の実績を確定させる
  • 指定権者に対象となる事象か確認し、届出を行う
  • 翌々月から3月間、所定単位数の3%を加算して請求する
  • 経営改善に時間を要する場合は、延長の可否を指定権者に相談する

担当したケースでも、感染症の流行で利用控えが続いた事業所がありました。減った月の翌月は請求業務に追われ、この加算の存在を思い出したのは3か月後。その時点では算定開始が遅れ、算定できる期間の一部を失っていました。

減少に気づいた月のうちに、前年度の月平均と照らす習慣を持っておくことが実務上の要です。

感染症・災害による利用者減の加算の注意点

1回につき加算する

条文は「1回につき所定単位数の100分の3」です。サービスを提供した回数分だけ加算されます。利用者が減っている状況なので、回数自体も減っている点は考慮が必要です。

所定単位数に乗じる

「所定単位数の100分の3」なので、基本報酬だけでなく、その回に算定した加算を含めた所定単位数に乗じます。

3区分すべてが対象

注5は「イからハまでについて」です。通常規模型・大規模型(Ⅰ)・大規模型(Ⅱ)のいずれも対象になります。

届出をしないと算定できない

注5は「届出を行った指定通所介護事業所において」と定めています。要件を満たしていても、届出をしていなければ算定できません。

同種の規定は他サービスにもある

通所リハビリテーションなど、通所系のサービスには同種の規定が置かれています。ただし加算率や期間はサービスごとに確認が必要です。

算定前に確認したいこと
  • 減少の原因が「厚生労働大臣が認める」感染症・災害か(指定権者に確認)
  • 比較対象を前年同月ではなく前年度の月平均としているか
  • 減少幅が5%以上あるか
  • 都道府県知事等への届出を済ませているか
  • 算定開始が「減少した月の翌々月」からになっているか
  • 3月を超える場合、延長の可否を指定権者に相談したか

よくある質問

通所介護の感染症・災害による利用者減の加算は何%ですか?

1回につき所定単位数の100分の3です。

どれくらい減ったら対象ですか?

当該月の利用者数の実績が、当該月の前年度における月平均の利用者数よりも5%以上減少している場合です。

前年同月と比べるのですか?

違います。条文は「前年度における月平均の利用者数」としています。前年同月の実績ではありません。

いつから算定できますか?

利用者数が減少した月の翌々月から3月以内です。減少した月そのものには加算が付きません。

3月を超えて算定できますか?

経営改善に時間を要することその他の特別の事情があると認められる場合は、加算期間が終了した月の翌月から3月以内に限り引き続き算定できます。

最大で何か月算定できますか?

延長が認められれば、合計で6月間となる計算です。ただし延長には指定権者の判断が入ります。

どんな感染症・災害が対象ですか?

厚生労働大臣が認めるものに限られます。告示本文に列挙はなく、個別の通知や事務連絡によります。指定権者に確認してください。

利用者が減れば必ず算定できますか?

できません。原因が感染症・災害であること、それが厚生労働大臣の認めるものであること、5%以上の減少、届出のすべてが必要です。

届出は必要ですか?

必要です。届出を行った事業所でなければ算定できません。

何に対して3%を計算しますか?

所定単位数です。基本報酬だけでなく、その回に算定した加算も含まれます。

大規模型でも算定できますか?

できます。注5は「イからハまでについて」とあり、3区分すべてが対象です。

減収分は補填されますか?

されません。5%以上減った状態に対する3%の上乗せであり、あくまで事業継続の下支えという位置づけです。

まとめ
  • 通所介護の感染症・災害による利用者減の加算は1回につき所定単位数の3%
  • 対象は通常規模型・大規模型(Ⅰ)(Ⅱ)の3区分すべて
  • 原因が感染症または災害(厚生労働大臣が認めるものに限る)であること
  • 該当する事象かは告示に列挙がなく、通知・事務連絡と指定権者の判断による
  • 比較対象は前年同月ではなく「前年度における月平均の利用者数」
  • 減少幅は5%以上
  • 都道府県知事等への届出が必要
  • 算定できるのは「利用者数が減少した月の翌々月から3月以内」
  • 減少した月そのものには加算が付かない
  • 経営改善に時間を要する等の特別の事情があれば、さらに3月延長できる
  • 延長が認められれば合計6月間となる計算
  • 所定単位数に乗じるため、その回に算定した加算も対象に含まれる
  • 3%は減収を補填する水準ではなく、事業継続の下支え
  • 減少に気づいた月のうちに前年度の月平均と照らす習慣が要
参考にした情報

※本記事の加算率・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに「厚生労働大臣が認める」感染症・災害の範囲、「前年度における月平均の利用者数」の具体的な算出方法、「特別の事情」に該当するかの判断、届出の時期と様式については告示本文に明記がなく、留意事項通知および関連する事務連絡、指定権者の取扱いによります。指定権者にご確認ください。記事中の金額は概算です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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