ショートステイの基本報酬についてわかりやすく解説

ショートステイ(短期入所生活介護)の基本報酬は、1日につき603単位〜1,028単位です。要介護度だけでなく、単独型か併設型か、多床室か個室かユニット型かという4つの類型の組み合わせで決まります。
実務でいちばん取り違えが起きるのは、単独型と併設型で1日あたり40単位前後の差がある点です。特別養護老人ホームに併設されたショートステイは併設型、単独で運営しているものは単独型。同じ要介護3でも787単位と745単位で、30日利用すれば1,260単位の差になります。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表「短期入所生活介護費」の原文を確認して整理しました。
- 単独型・併設型・ユニット型それぞれの要介護度別単位数
- (Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは多床室か従来型個室かであること
- 単独型と併設型で1日40単位前後の差が生じる理由
- (Ⅱ)を算定する3つのケース(注18)
- 夜勤職員基準を満たさない場合は97%で算定すること
- ユニット型で施設基準を満たさない場合も97%になること
- 連続30日を超えると算定できなくなること
- 基本報酬から差し引かれる減算の全体像
ちびウルフ(Ⅰ)と(Ⅱ)で単位数が同じですよね。分ける意味があるんですか?
リハウルフ単位数は同じですが、(Ⅰ)は多床室、(Ⅱ)は従来型個室です。違いは報酬ではなく、利用者が支払う居住費のほう。そして(Ⅱ)を算定できるのは注18が定める3つの場面に限られます。個室が空いているから使う、という運用はできません。
ショートステイの基本報酬とは?
短期入所生活介護の基本報酬は、利用者が事業所に宿泊してサービスを受けた日数に応じて算定する日額報酬です。告示19号の別表「短期入所生活介護費」に規定されています。
ショートステイは、在宅で暮らす方が一時的に宿泊し、入浴・食事・排泄などの介護を受けるサービスです。家族の負担軽減(レスパイト)と、利用者本人の心身の状況に応じた支援の両方を目的としています。
報酬の構造は、居室のかたちと事業所の運営形態を反映しています。特別養護老人ホームと同じ建物で運営していれば効率がよく、単独で運営していればコストがかかる。個室とユニット型では職員の動き方が変わる。その差が報酬区分として組み込まれています。
令和6年度介護報酬改定では、基本報酬の区分構成そのものに大きな変更はありませんでした。改定の中心は生産性向上推進体制加算の新設や長期利用の適正化などです。
ショートステイの基本報酬の単位数
単独型短期入所生活介護費
| 要介護度 | 単独型(Ⅰ)多床室 | 単独型(Ⅱ)従来型個室 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 645単位 | 645単位 |
| 要介護2 | 715単位 | 715単位 |
| 要介護3 | 787単位 | 787単位 |
| 要介護4 | 856単位 | 856単位 |
| 要介護5 | 926単位 | 926単位 |
併設型短期入所生活介護費
| 要介護度 | 併設型(Ⅰ)多床室 | 併設型(Ⅱ)従来型個室 | 単独型との差 |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 603単位 | 603単位 | △42単位 |
| 要介護2 | 672単位 | 672単位 | △43単位 |
| 要介護3 | 745単位 | 745単位 | △42単位 |
| 要介護4 | 815単位 | 815単位 | △41単位 |
| 要介護5 | 884単位 | 884単位 | △42単位 |
ユニット型短期入所生活介護費
| 要介護度 | 単独型ユニット型 | 併設型ユニット型 | 差 |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 746単位 | 704単位 | 42単位 |
| 要介護2 | 815単位 | 772単位 | 43単位 |
| 要介護3 | 891単位 | 847単位 | 44単位 |
| 要介護4 | 959単位 | 918単位 | 41単位 |
| 要介護5 | 1,028単位 | 987単位 | 41単位 |
ユニット型には「経過的単独型ユニット型」「経過的併設型ユニット型」という区分もありますが、単位数はそれぞれ通常のユニット型と同額です。ユニット型個室的多床室に対応する区分です。
4類型を並べて比較する
| 類型 | 要介護3 | 要介護5 | 1割負担・30日利用の目安 |
|---|---|---|---|
| 併設型 | 745単位 | 884単位 | 約22,350円〜26,520円 |
| 単独型 | 787単位 | 926単位 | 約23,610円〜27,780円 |
| 併設型ユニット型 | 847単位 | 987単位 | 約25,410円〜29,610円 |
| 単独型ユニット型 | 891単位 | 1,028単位 | 約26,730円〜30,840円 |
※1単位10円で計算した概算です。実際は地域区分による単価と負担割合により変わります。居住費・食事代は別途かかります。
同じ要介護3でも、併設型745単位とユニット型891単位では146単位の差があります。30日利用すれば4,380単位。区分支給限度基準額の使い方にも影響します。
ショートステイの基本報酬の算定要件
注1が定める前提
1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、かつ、別に厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たすものとして、(略)届出を行った指定短期入所生活介護事業所(略)において、指定短期入所生活介護を行った場合に、(略)利用者の要介護状態区分に応じて、それぞれ所定単位数を算定する。ただし、当該夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たさない場合は、所定単位数の100分の97に相当する単位数を算定する。なお、利用者の数又は介護職員若しくは看護職員の員数が別に厚生労働大臣が定める基準に該当する場合は、別に厚生労働大臣が定めるところにより算定する。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①施設基準 | 厚生労働大臣が定める施設基準に適合していること |
| ②夜勤職員の基準 | 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たすこと |
| ③届出 | 都道府県知事への届出 |
| ②を満たさない場合 | 所定単位数の97%で算定 |
| 定員超過・人員基準欠如 | 別に厚生労働大臣が定めるところにより算定(70%算定) |
(Ⅱ)を算定できる3つの場面(注18)
単独型(Ⅱ)・併設型(Ⅱ)は従来型個室に対応する区分です。誰にでも算定できるわけではなく、注18が3つの場面を限定列挙しています。
| 区分 | 対象者 |
|---|---|
| イ | 感染症等により、従来型個室の利用の必要があると医師が判断した者 |
| ロ | 別に厚生労働大臣が定める基準に適合する従来型個室を利用する者 |
| ハ | 著しい精神症状等により、同室の他の利用者の心身の状況に重大な影響を及ぼすおそれがあるとして、従来型個室の利用の必要があると医師が判断した者 |
イとハは医師の判断が要件です。事業所の都合で個室に入れて(Ⅱ)を算定する、という運用はできません。
ユニット型の施設基準(注2)
注2は、ロ(ユニット型)について別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たさない場合、1日につき所定単位数の97%を算定すると定めています。夜勤職員基準とは別に、ユニット型固有の施設基準があるということです。
基本報酬から差し引かれる減算
| 減算 | 根拠 | 影響 |
|---|---|---|
| 夜勤職員の勤務条件基準を満たさない場合 | 注1ただし書き | 97%で算定 |
| ユニット型の施設基準を満たさない場合 | 注2 | 97%で算定 |
| 身体拘束廃止未実施減算 | 注3 | △1% |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 注4 | △1% |
| 業務継続計画未策定減算 | 注5 | △1% |
| 共生型短期入所生活介護 | 注6 | 92%で算定 |
| 長期利用者に対する減算 | 注22 | △30単位/日 |
| 長期利用の適正化 | 注23 | 別の単位数に置き換え |
連続30日を超えると算定できない(注21)
21 利用者が連続して30日を超えて指定短期入所生活介護を受けている場合においては、30日を超える日以降に受けた指定短期入所生活介護については、短期入所生活介護費は、算定しない。
31日目は保険給付の対象外です。全額自費になります。連続利用を続ける場合、1日空けて再開するという運用が行われることがありますが、注22・注23の長期利用に関する規定は「連続して30日/60日を超えて同一の事業所に入所している場合」を対象としており、自費利用の日数も通算される構造になっています。
ショートステイの基本報酬の注意点
単独型と併設型の判定
併設型は、特別養護老人ホームなどの本体施設に併設して運営される事業所です。指定居宅サービス基準第121条第2項の適用を受けるもの、同条第4項に規定する併設事業所が該当します。単独型はそれ以外です。
担当したケースでも、特養に併設されているのに単独型で請求していた事業所の話を聞いたことがあります。1日40単位程度でも、年間の稼働日数を掛ければ相当な額の返還になります。指定内容と請求区分が一致しているか確認してください。
居住費・食費は別
基本報酬は介護サービスの費用です。居住費(滞在費)と食費は、利用者と事業所の契約により別途負担します。従来型個室・多床室・ユニット型個室で居住費の水準が変わるため、(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分は利用者の自己負担額に直結します。
区分支給限度基準額を圧迫する
ショートステイは日額報酬なので、利用日数が増えるほど限度額を消費します。要介護3の区分支給限度基準額は27,048単位。併設型745単位で30日利用すると22,350単位で、限度額の8割以上を使います。訪問介護や通所介護を併用する場合は、日数の調整が必要です。
介護予防短期入所生活介護は別の単位数
要支援1・2の方が利用する介護予防短期入所生活介護は、別の区分・単位数です。この記事の単位数は要介護1〜5の方が対象です。
- 自事業所が単独型か併設型か、指定内容と一致しているか
- ユニット型か従来型か
- (Ⅱ)を算定する場合、注18の3つの場面のいずれかに該当するか
- 医師の判断を記録に残しているか
- 夜勤職員の勤務条件に関する基準を満たしているか
- 連続利用が30日を超えていないか
- 区分支給限度基準額に収まるか
よくある質問
ショートステイの基本報酬はいくらですか?
1日につき603単位〜1,028単位です。単独型・併設型・ユニット型の別と要介護度で決まります。
単独型と併設型の差はどれくらいですか?
1日あたり41〜44単位です。要介護3なら単独型787単位、併設型745単位で42単位の差になります。
(Ⅰ)と(Ⅱ)の単位数は同じですか?
同じです。(Ⅰ)は多床室、(Ⅱ)は従来型個室に対応する区分で、違いは利用者が負担する居住費のほうに表れます。
(Ⅱ)は誰でも算定できますか?
できません。注18により、感染症等で医師が個室の必要を判断した場合、大臣が定める基準に適合する従来型個室を利用する場合、著しい精神症状等で医師が判断した場合の3つに限られます。
ユニット型はいくらですか?
単独型ユニット型で要介護1が746単位、要介護5が1,028単位です。併設型ユニット型は要介護1が704単位、要介護5が987単位です。
「経過的」ユニット型とは何ですか?
ユニット型個室的多床室に対応する区分です。単位数は通常のユニット型と同額です。
夜勤の基準を満たさないとどうなりますか?
注1のただし書きにより、所定単位数の97%で算定します。
連続30日を超えるとどうなりますか?
注21により、30日を超える日以降は短期入所生活介護費を算定できません。全額自費になります。
居住費や食費は基本報酬に含まれますか?
含まれません。利用者と事業所の契約により別途負担します。
定員を超えて受け入れるとどうなりますか?
注1のなお書きにより、別に厚生労働大臣が定めるところにより算定します。定員超過利用・人員基準欠如による70%算定にあたります。
要支援の方も同じ単位数ですか?
違います。介護予防短期入所生活介護は別の区分・単位数です。
限度額はどれくらい使いますか?
要介護3で併設型745単位を30日利用すると22,350単位となり、区分支給限度基準額27,048単位の8割以上を使います。
- ショートステイの基本報酬は1日につき603単位〜1,028単位
- 単独型・併設型・単独型ユニット型・併設型ユニット型の4類型がある
- 単独型は併設型より1日41〜44単位高い
- (Ⅰ)は多床室、(Ⅱ)は従来型個室で、単位数は同じ
- (Ⅱ)は注18の3つの場面に限定され、うち2つは医師の判断が要件
- ユニット型には経過的区分があるが単位数は同額
- 要介護3では併設型745単位とユニット型891単位で146単位の差
- 算定には施設基準への適合と夜勤職員の勤務条件基準の充足が必要
- 夜勤職員の基準を満たさない場合は97%で算定
- ユニット型の施設基準を満たさない場合も97%で算定(注2)
- 連続30日を超える日以降は算定できない(注21)
- 身体拘束・虐待防止・BCPの3減算は各1%
- 共生型短期入所生活介護は92%で算定
- 居住費・食費は基本報酬に含まれず、別途負担
- 要介護3で30日利用すると区分支給限度基準額の8割以上を消費する
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月10日厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表「短期入所生活介護費」イ・ロ、注1〜注23(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年2月10日厚生省告示第29号)第1号(厚生労働省法令等データベース)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第120条・第121条・第124条(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに単独型・併設型の判定、注18ロの「厚生労働大臣が定める基準に適合する従来型個室」の範囲、定員超過利用・人員基準欠如の判定方法、連続利用日数の数え方については告示本文だけでは確定できず、留意事項通知および指定権者の取扱いによります。指定権者にご確認ください。記事中の金額は1単位10円で計算した概算であり、地域区分・負担割合・端数処理により実際の請求額とは異なります。居住費・食費は別途かかります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




