看多機の初期加算とは?算定要件やポイントを解説

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の初期加算は、1日につき30単位です。登録した日から起算して30日以内の期間について算定します。単純に計算すると、30日分で最大900単位になります。
この加算で見落とされやすいのが、後段の一文です。30日を超える入院のあと利用を再開した場合も、改めて30日以内について算定できます。長期入院からの復帰を「継続」ではなく「再スタート」として扱う規定で、知らないと毎回900単位を取りこぼします。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)複合型サービス費のハの原文を確認して整理しました。
- 初期加算30単位の算定要件と算定期間
- 30日以内で最大900単位になること
- 30日を超える入院後の再開でも改めて算定できること
- 「病院又は診療所への入院」に限られ、施設入所は含まれないこと
- 届出が不要な加算であること
- 小規模多機能型居宅介護の初期加算との比較
- 退院時共同指導加算との併算定の考え方
- 実務での取りこぼしが起きやすい場面
ちびウルフ30日以内なら毎日30単位ですか? 利用していない日も入るんでしょうか。
リハウルフ条文は「登録した日から起算して30日以内の期間については、1日につき所定単位数を加算する」とだけ書いています。「利用した日につき」ではなく「期間について1日につき」という書き方です。ただし実際の日数の数え方は留意事項通知と保険者の取扱いによるので、そこは確認してください。
看多機の初期加算とは?
看護小規模多機能型居宅介護の初期加算は、登録直後の一定期間について、1日あたり定額を加算する仕組みです。告示126号 複合型サービス費のハに規定されています。
登録の初期は、事業所にとって最も手間がかかる時期です。アセスメント、看護小規模多機能型居宅介護計画の作成、主治医との連携、家族との関係づくり、緊急時の体制の説明。これらは登録後しばらくの間に集中します。しかし看多機の基本報酬は要介護度別の月額包括なので、その手間は反映されません。初期加算はその差を埋めるものです。
令和6年度介護報酬改定では、この加算の単位数・要件に変更はありませんでした。
初期加算の単位数
ハ 初期加算 30単位
注 イについては、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所に登録した日から起算して30日以内の期間については、1日につき所定単位数を加算する。30日を超える病院又は診療所への入院後に指定看護小規模多機能型居宅介護の利用を再び開始した場合も、同様とする。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 30単位 |
| 算定頻度 | 1日につき |
| 算定期間 | 登録した日から起算して30日以内 |
| 最大 | 30日×30単位=900単位 |
| 対象 | イ(看護小規模多機能型居宅介護費) |
| 届出 | 条文上、届出の定めはない |
基本報酬に対する比率
| 要介護度 | 基本報酬(1月) | 初期加算(30日分) | 上乗せ率 |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 12,447単位 | 900単位 | 約7.2% |
| 要介護3 | 24,481単位 | 900単位 | 約3.7% |
| 要介護5 | 31,408単位 | 900単位 | 約2.9% |
定額なので、軽度の方ほど上乗せ率が大きくなります。
初期加算の算定要件
要件はシンプル
- 指定看護小規模多機能型居宅介護事業所に登録していること
- 登録した日から起算して30日以内の期間であること
他の看多機の加算と違い、ハの注には「別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして届出を行った事業所が」という文言がありません。体制の届出を前提としない加算です。要件も体制ではなく期間だけで決まります。
「30日を超える入院後の再開」
後段が実務上の要点です。整理すると次のようになります。
| 場面 | 初期加算 |
|---|---|
| 新規に登録した | 登録日から30日以内について算定 |
| 30日を超える病院・診療所への入院後に利用を再開した | 改めて30日以内について算定 |
| 30日以内の入院後に利用を再開した | 再算定の対象にならない |
「30日を超える」がどこにかかるかを取り違えないでください。入院期間が30日を超えている場合に限って、再び初期加算を算定できます。2週間の入院で戻ってきた方は対象外です。
「病院又は診療所への入院」に限られる
条文は病院または診療所への入院と明記しています。介護老人保健施設や介護医療院への入所は含まれていません。老健に3か月入所して戻った方について再算定できるかは、条文の文言からは肯定できません。市町村に確認してください。
この点は退院時共同指導加算と対照的です。退院時共同指導加算は病院・診療所・老健・介護医療院の4つを列挙していますが、初期加算の再算定は病院・診療所の2つだけ。同じ告示のなかで書き分けられています。
小規模多機能型居宅介護の初期加算との比較
| 項目 | 看多機 | 小多機 |
|---|---|---|
| 単位数 | 30単位/日 | 30単位/日 |
| 算定期間 | 登録日から30日以内 | 同じ |
| 入院後の再算定 | 30日を超える病院・診療所への入院後 | 同じ |
| 根拠条文 | 告示126号 複合型サービス費のハ | 同 小規模多機能型居宅介護費 |
単位数も要件も同じです。看多機と小多機で違いが出ないので、両方を運営している法人でも取扱いを分ける必要はありません。
退院時共同指導加算との併算定
| 加算 | 単位数 | 評価している内容 |
|---|---|---|
| 初期加算 | 30単位/日(最大900単位) | 登録直後・再開直後の手厚い支援 |
| 退院時共同指導加算 | 600単位/回 | 退院前の病院等との共同指導 |
告示に併算定を制限する定めはありません。長期入院から退院してきた方については、退院時共同指導加算600単位と初期加算900単位の両方の対象になり得ます。
担当したケースでも、肺炎で2か月入院した看多機の登録者が退院してきたことがありました。退院前カンファレンスに看護師が参加し、退院後の初回に訪問看護を入れ、再開日から初期加算を算定する。この3点を意識して組むかどうかで、1,500単位が変わります。
初期加算の注意点
取りこぼしが起きやすいのは「再開」の場面
新規登録時の初期加算は、契約事務の流れで自然に算定されます。取りこぼしが起きるのは再開の場面です。
- 入院期間が30日を超えていたことに気づかず、そのまま継続扱いにする
- 入院中も登録は継続していたため「新規ではない」と判断してしまう
- 入院日数の起算を退院日ベースで数えて、30日を下回ると誤認する
入院の連絡を受けた時点で入院日を記録し、退院時に日数を確認する。この習慣があるだけで防げます。
日数の数え方
告示は「登録した日から起算して30日以内の期間については、1日につき」とのみ定めています。利用実績のない日も算定できるのか、月をまたぐ場合にどう区切るのかは、条文からは読み取れません。留意事項通知および市町村の取扱いによります。
短期利用居宅介護費には加算されない
ハの注は「イについては」と書かれています。対象は看護小規模多機能型居宅介護費であり、短期利用居宅介護費には加算されません。短期利用は登録を伴わないため、初期加算の考え方自体がなじみません。
他事業所からの移行
別の看多機事業所から自事業所に登録を移した場合、自事業所にとっては新規の登録です。条文には他事業所からの移行を除く定めがないため、算定できると読めます。ただし取扱いは市町村に確認してください。
- 登録日を台帳に記録し、30日後の日付を控える
- 入院の連絡を受けたら入院日を記録する
- 退院の連絡を受けたら入院日数を計算する
- 30日を超えていれば、再開日から改めて初期加算を算定する
- 退院時共同指導加算の要件も満たしていないか確認する
よくある質問
看多機の初期加算はいくらですか?
1日につき30単位です。登録した日から起算して30日以内の期間について算定します。
合計で最大いくらになりますか?
30日×30単位で900単位です。
入院後に再開した場合も算定できますか?
できます。ただし30日を超える病院または診療所への入院後に利用を再開した場合に限られます。
2週間の入院後でも再算定できますか?
できません。入院期間が30日を超えていることが条件です。
老健に入所していた場合はどうなりますか?
条文は「病院又は診療所への入院」と定めており、介護老人保健施設・介護医療院への入所は含まれていません。市町村に確認してください。
届出は必要ですか?
ハの注に届出の定めはありません。体制の届出を前提としない加算です。
利用していない日も算定できますか?
条文は「30日以内の期間については、1日につき」と書いていますが、日数の具体的な数え方は告示本文からは確定できません。市町村の取扱いを確認してください。
退院時共同指導加算と併算定できますか?
告示に併算定を制限する定めはありません。長期入院からの退院では両方の対象になり得ます。
小多機の初期加算と違いはありますか?
ありません。単位数・算定期間・入院後の再算定の条件はいずれも同じです。
他の看多機から移ってきた場合は?
自事業所にとっては新規の登録です。条文に除外規定はありませんが、取扱いは市町村に確認してください。
短期利用の利用者にも算定できますか?
できません。ハの注は「イについては」とあり、対象は看護小規模多機能型居宅介護費です。
月をまたぐ場合はどう請求しますか?
告示に区切り方の定めはありません。市町村の取扱いを確認してください。
- 看多機の初期加算は1日につき30単位
- 算定期間は登録した日から起算して30日以内
- 30日分で最大900単位になる
- 対象はイ(看護小規模多機能型居宅介護費)で、短期利用は対象外
- 条文上、届出の定めがない加算である
- 30日を超える病院・診療所への入院後の再開でも改めて算定できる
- 入院期間が30日以内なら再算定の対象にならない
- 介護老人保健施設・介護医療院への入所は条文に含まれていない
- 退院時共同指導加算は病院・診療所・老健・介護医療院を対象としており、書き分けられている
- 退院時共同指導加算との併算定を制限する定めはない
- 長期入院からの退院では600単位+900単位の対象になり得る
- 取りこぼしが起きやすいのは新規登録時ではなく再開の場面
- 入院日を記録し、退院時に日数を確認する運用が有効
- 単位数・要件は小規模多機能型居宅介護の初期加算と同じ
- 利用実績のない日の扱いや月をまたぐ場合の区切りは告示本文からは確定できない
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年3月14日厚生労働省告示第126号)別表「複合型サービス費」ハ、ル(厚生労働省法令等データベース)
- 同 別表「小規模多機能型居宅介護費」初期加算(比較のため)(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに利用実績のない日の取扱い、月をまたぐ場合の区切り方、介護老人保健施設・介護医療院への入所後に再開した場合の可否、他の看多機事業所から移行した場合の取扱いについては告示本文に明記がなく、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




