グループホームの初期加算とは?

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の初期加算は、1日につき30単位。入居した日から起算して30日以内の期間について算定します。30日フルで算定すれば900単位です。
要件は「入居したこと」だけで、体制の届出も研修も条文上は求められていません。取りこぼしがそのまま損失になる加算です。
実務で迷うのは、入院して戻ってきた入居者にもう一度算定できるかという点です。条文は「30日を超える病院又は診療所への入院後に指定認知症対応型共同生活介護事業所に再び入居した場合も、同様とする」としています。入院が30日以内なら再算定できません。入院時の費用(1月6日を限度に246単位)とあわせて、入院の日数管理が請求に直結します。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のハ、指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(同第128号)の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 初期加算の単位数(30単位/日)と算定期間(入居日から30日以内)
- 届出や体制要件が条文上定められていないこと
- 入院後にもう一度算定できる条件(30日を超える入院)
- 30日以内の入院では再算定できないこと
- 起算点が「入居した日」であること
- 短期利用(ロ)では算定できないこと
- 入院時の費用(246単位)との関係
- 介護予防(要支援2)でも30単位で算定できること
ちびウルフ30単位なら、取り逃しても大した金額ではないですよね?
リハウルフ1人あたり900単位です。年に6人の入退居があれば5,400単位。届出も研修も要らない加算でこれを落とすのは、単純にもったいないです。入院からの再入居の判定を含めて、事務のチェックリストに入れておくべき項目です。
初期加算は30単位。入居日から30日以内
告示126号の認知症対応型共同生活介護費「ハ 初期加算 30単位」の注は、次のとおりです。
イについて、入居した日から起算して30日以内の期間については、初期加算として、1日につき所定単位数を加算する。30日を超える病院又は診療所への入院後に指定認知症対応型共同生活介護事業所に再び入居した場合も、同様とする。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1日につき30単位 |
| 期間 | 入居した日から起算して30日以内 |
| 最大 | 30日分=900単位 |
| 対象 | 「イ」=認知症対応型共同生活介護費(本体入居者) |
| 届出 | 条文上の定めなし |
| 再算定 | 30日を超える入院後に再び入居した場合 |
起算点は「入居した日」です。契約日でも、居室の準備が整った日でもありません。入居日が月末にかかる場合、加算は翌月にまたがります。月をまたぐ分の請求漏れが起きやすいので、入居日から30日目がいつかを最初に確定させてください。
「30日を超える入院」がひとつの分かれ目
再算定の可否は、入院日数だけで決まります。
| 入院日数 | 退院して再入居したときの初期加算 |
|---|---|
| 30日以内 | 算定できない |
| 30日を超える | 再び30日を限度に算定できる |
グループホームには、入院中に居室を確保しておく場合の取扱いとして「1月に6日を限度に、所定単位数に代えて1日246単位」という規定(注9)があります。これは初期加算とは別の仕組みです。
- 入院中の6日分 → 注9の246単位(入院の初日と最終日は算定できない)
- 30日超の入院から戻った日以降 → 初期加算30単位を再算定
入院が30日以内だった場合は、注9の246単位は算定できても初期加算の再算定はできません。ここを取り違えた請求は返戻・過誤の原因になります。
短期利用(ロ)では算定できない
注の書き出しが「イについて」であるため、短期利用認知症対応型共同生活介護費を算定している利用者には初期加算を算定できません。短期利用はあらかじめ30日以内の利用期間を定めて受け入れる仕組みなので、初期加算の趣旨(新しい環境への適応を支える手間の評価)と重ならないという整理です。
体制要件も届出も条文にはない
他の加算と違い、初期加算の注には「別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして……届出を行った事業所」という文言がありません。体制の届出をしていなくても、入居した事実があれば算定できます。
ただし、算定した根拠(入居日、入院期間、再入居日)は記録として残す必要があります。入退居台帳と入院日数の記録が、そのまま加算の根拠資料になります。
介護予防(要支援2)でも同じ30単位
介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)にも初期加算(ハ)が設けられており、単位数も算定期間も同じです。医療連携体制加算や看取り介護加算と違い、要支援2の入居者についても算定できます。
- 入居日を確定し、30日目の日付をカレンダーに記入する
- 月をまたぐ場合は、翌月分の請求にも初期加算が乗ることを確認する
- 入院が発生したら、入院初日・最終日と日数を記録する
- 退院・再入居時に入院日数が30日を超えているかを確認し、超えていれば初期加算を再度起算する
よくある質問
初期加算の届出は必要ですか?
条文上、体制の届出は求められていません。入居した日から起算して30日以内の期間について算定します。ただし入居日や入院日数の記録は必要です。
起算日は契約日ですか、入居日ですか?
「入居した日」から起算します。契約日ではありません。
入院から戻ったら必ず再算定できますか?
できません。再算定できるのは「30日を超える病院又は診療所への入院後」に再び入居した場合です。30日以内の入院では再算定できません。
入院中も初期加算を算定できますか?
できません。入院中は注9の入院時の費用(1月6日を限度に1日246単位、初日と最終日は算定不可)の取扱いになります。
短期利用の利用者にも算定できますか?
できません。注が「イについて」と限定しており、短期利用認知症対応型共同生活介護費は対象外です。
月をまたぐ場合はどう請求しますか?
入居日から30日以内の日数分を、それぞれの月の請求に計上します。月末入居では翌月にも初期加算が乗ります。
要支援2の入居者にも算定できますか?
できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にも同じ30単位の初期加算が設けられています。
他の事業所から転居してきた場合も算定できますか?
自事業所への入居であれば、入居日から30日以内の期間について算定します。詳細な取扱いは市町村に確認してください。
- 初期加算は1日30単位。入居した日から起算して30日以内が対象
- 30日フルで算定すると900単位
- 条文上、体制要件や届出の定めはない
- 起算点は契約日ではなく「入居した日」
- 30日を超える入院の後に再入居した場合は、あらためて30日を限度に算定できる
- 30日以内の入院では再算定できない
- 入院中は注9の入院時の費用(1月6日を限度に246単位)の対象
- 短期利用(ロ)では算定できない
- 介護予防(要支援2)でも同じ30単位で算定できる
- 入退居台帳と入院日数の記録が加算の根拠資料になる
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のハ(初期加算)、注9(入院時の費用)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費のハ(初期加算)(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第58号の5(入院時の費用に係る基準)(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、取扱いが自治体によって異なる場合があります。他事業所からの転居や、入院日数の数え方など個別の判断は所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




