老健の入所者が家に帰る日、施設は所定単位数に代えて別の単位数を算定します。単なる外泊なら362単位、居宅サービスを提供しながらの試行的な退所なら800単位。どちらも1月6日が限度です。

これは加算ではありません。基本報酬の代わりに算定するものなので、外泊した日は通常の施設サービス費が入らなくなります。

そして計算でつまずきやすいのが日数の数え方。初日と最終日は含まれません。連続7泊しても算定できるのは6日分です。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(厚生省告示第21号)、老企第40号を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 外泊時費用362単位と試行的退所時の費用800単位の違い
  • 加算ではなく「所定単位数に代えて」算定するものであること
  • 初日・最終日は含まない日数の数え方
  • 月をまたぐ場合は最大13泊(12日分)まで算定できること
  • 外泊に旅行や親戚宅での宿泊も含まれること
  • 外泊期間中は居宅介護サービス費が算定されないこと
  • ベッドを短期入所療養介護に使う場合の扱い
  • 外泊中にそのまま退所・入院した場合の扱い
  • 800単位を算定するために必要な準備
  • 試行的退所時指導加算400単位との関係

2つの費用を並べて整理する

項目外泊時の費用試行的退所時の費用
単位数362単位/日800単位/日
日数1月に6日を限度
性格所定単位数に代えて算定
初日・最終日算定できない(所定単位数を算定)362単位を算定
居宅サービスの提供なしあり
届出不要必要

注14 入所者に対して居宅における外泊を認めた場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき362単位を算定する。ただし、外泊の初日及び最終日は、算定できない。

注15 (中略)届出を行った介護老人保健施設において、入所者であって、退所が見込まれる者をその居宅において試行的に退所させ、介護老人保健施設が居宅サービスを提供する場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき800単位を算定する。ただし、試行的な退所に係る初日及び最終日は算定せず、注14に掲げる単位数を算定する。

加算ではなく「代えて」算定する

ここを取り違えると計算が合いません。外泊した日は、施設サービス費に362単位が上乗せされるのではなく、施設サービス費の代わりに362単位だけになります。

介護保健施設サービス費が1日900単位前後であることを考えると、外泊した日は収入が3分の1程度に下がるということです。

試行的退所時の800単位は、居宅サービスを提供する手間を反映して高く設定されています。それでも所定単位数は下回ります。

日数の数え方——初日と最終日は含まない

外泊時の費用の算定について、外泊の期間は初日及び最終日は含まないので、連続して7泊の外泊を行う場合は、6日と計算されること。

(例)外泊期間:3月1日〜3月8日(8日間)
3月1日 外泊の開始……所定単位数を算定
3月2日〜3月7日(6日間)……1日につき(外泊時の費用)を算定可
3月8日 外泊の終了……所定単位数を算定

  • 外泊の初日と最終日は所定単位数を算定する
  • その間の日数について外泊時の費用を算定する
  • 連続7泊(8日間)なら6日分
ちびウルフちびウルフ

初日と最終日は普通の単位数がもらえるんですね。

リハウルフリハウルフ

そう。出かける日と帰ってくる日は、施設で過ごす時間があるから所定単位数という整理だね。

だから施設にとっては「1泊2日の外泊」がいちばん影響が小さい。初日も最終日も所定単位数だから、外泊時費用を算定する日が発生しない。

逆に長く帰るほど362単位の日が増える。6日が上限なので、それを超える外泊の日はどうなるかというと——費用の算定ができない。ここは後で触れるね。

月をまたぐ場合は最大13泊(12日分)

外泊時の費用の算定にあたって、1回の外泊で月をまたがる場合は、最大で連続13泊(12日分)まで外泊時の費用の算定が可能であること。

(例)1月25日〜3月8日の場合
1月25日……所定単位数を算定
1月26日〜1月31日(6日間)……算定可
2月1日〜2月6日(6日間)……算定可
2月7日〜3月7日……費用算定不可
3月8日……所定単位数を算定

「1月6日を限度」は暦月ごとに数えます。月をまたげば2か月分で12日まで。それを超えた期間は費用の算定ができません(ベッドは確保したままで報酬は入らない状態)。

「外泊」の範囲は広い

「外泊」には、入所者の親戚の家における宿泊、子供又はその家族と旅行に行く場合の宿泊等も含むものであること。

自宅でなくてもよい

告示の本文は「居宅における外泊」ですが、通知は親戚宅での宿泊や家族との旅行も含むとしています。

お盆や正月に子どもの家へ、法事で親戚宅へ、家族旅行に——いずれも外泊時の費用の対象です。「自宅に帰らないから対象外」ではありません。

外泊期間中の3つの注意点

①居宅介護サービス費は算定されない

外泊の期間中は、当該入所者については、居宅介護サービス費は算定されないものであること。

外泊中に訪問介護やデイサービスを使うことはできません。家族が支える前提の期間です。居宅サービスを使いたい場合は、次に説明する試行的退所(800単位)の枠組みを使います。

②ベッドを短期入所療養介護に使う場合

外泊の期間中で、かつ、外泊時の費用の算定期間中にあっては、当該入所者が使用していたベッドを他のサービスに利用することなく空けておくことが原則であるが、当該入所者の同意があれば、そのベッドを短期入所(療養介護)に活用することは可能であること。ただし、この場合に、外泊時の費用は算定できないこと。

ベッドの扱い外泊時の費用
空けておく(原則)算定できる
本人の同意を得て短期入所に活用算定できない

短期入所として使えば短期入所の報酬が入ります。362単位を取るか、短期入所の報酬を取るかの選択です。稼働率を考えれば後者が有利な場面もあります。

③外泊中に退所・入院した場合

入所者の外泊の期間中にそのまま退所した場合は、退所した日の外泊時の費用は算定できる。

また、入所者の外泊の期間中にそのまま併設医療機関に入院した場合には、入院日以降については外泊時の費用は算定できない。

  • 外泊中にそのまま退所 → 退所日の外泊時費用は算定できる
  • 外泊中にそのまま併設医療機関へ入院 → 入院日以降は算定できない

試行的退所時の費用800単位——居宅サービスを提供する

外泊時費用との最大の違いは、施設が居宅サービスを提供することです。

① (試行的退所時の)在宅サービスの提供を行うに当たっては、その病状及び身体の状況に照らし、医師、看護・介護職員、生活相談員、介護支援専門員等により、その居宅において在宅サービス利用を行う必要性があるかどうか検討すること。

② 当該入所者又は家族に対し、この趣旨を十分説明し、同意を得た上で実施すること。

③ 施設の介護支援専門員が、(中略)在宅サービスの計画を作成するとともに、従業者又は指定居宅サービス事業者等との連絡調整を行い、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるように配慮した計画を作成すること。

⑤ 算定期間中は、施設の従業者又は指定居宅サービス事業者等により、計画に基づく適切な居宅サービスを提供することとし、居宅サービスの提供を行わない場合はこの(費用の算定の)対象とならないこと。

居宅サービスを提供しなければ800単位にならない

通知は「居宅サービスの提供を行わない場合は対象とならない」と明記しています。

試行的に家へ帰しただけでは、通常の外泊(362単位)です。施設の職員または居宅サービス事業者が、計画に基づいて実際にサービスを提供して初めて800単位になります。

施設の介護支援専門員が在宅サービスの計画を作り、連絡調整まで行うことが要件です。

家族等への事前指導(望ましい)

指導の内容
食事、入浴、健康管理等在宅療養に関する指導
運動機能・日常生活動作能力の維持向上を目的とした体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練の指導
家屋の改善の指導
介助方法の指導

これらは「事前に行うことが望ましい」とされています。試行的退所時指導加算400単位の指導内容とほぼ同じなので、あわせて実施すれば加算にもつながります。

初日・最終日は362単位

試行的退所の初日・最終日の扱いが独特

告示は「試行的な退所に係る初日及び最終日は算定せず、注14に掲げる単位数を算定する」としています。

通常の外泊なら初日・最終日は所定単位数ですが、試行的退所の場合は外泊時費用362単位になります。

7日間の試行的退所なら、初日362+中5日800×5+最終日362=4,724単位。所定単位数(900単位前後×7日=6,300単位前後)よりは低くなります。

試行的退所時指導加算400単位との関係

項目試行的退所時の費用試行的退所時指導加算
単位数800単位/日400単位
性格所定単位数に代えて加算
回数1月に6日を限度最初の試行的退所の月から3月の間、1月1回
内容居宅サービスの提供退所後の療養上の指導

この2つは別のものです。試行的退所を行い、居宅サービスを提供し、あわせて本人・家族に指導を行えば、800単位(費用)と400単位(加算)の両方が発生します。

実務での確認ステップ

  • 外泊の希望が出たら、期間と行き先(自宅・親戚宅・旅行等)を確認する
  • 居宅サービスを使う必要があるかを検討する(必要なら試行的退所の枠組みへ)
  • 試行的退所とする場合は、多職種で在宅サービス利用の必要性を検討する
  • 本人・家族に趣旨を説明し、同意を得る
  • 施設の介護支援専門員が在宅サービスの計画を作成し、連絡調整を行う
  • 家族等へ在宅療養・訓練・家屋改善・介助方法の指導を事前に行う
  • ベッドを空けておくか、同意を得て短期入所療養介護に活用するかを決める
  • 初日・最終日を除いて日数を数える(連続7泊なら6日分)
  • 1月6日、月をまたぐ場合は最大12日分を限度として算定する
  • 外泊中に退所・入院した場合の取扱いを確認する
  • 試行的退所の場合は、初日・最終日に362単位を算定する

2つ目が分岐点です。居宅サービスを使うかどうかで、362単位か800単位かが決まります。

よくある質問

外泊時の費用はいくらですか?

1日につき362単位です。1月に6日を限度として、所定単位数に代えて算定します。

加算として上乗せされるのですか?

違います。「所定単位数に代えて」算定するため、外泊した日は施設サービス費の代わりに362単位となります。

初日と最終日はどうなりますか?

外泊時の費用は算定できず、所定単位数を算定します。連続7泊の外泊なら6日分が算定対象です。

月をまたぐ場合は何日まで算定できますか?

最大で連続13泊(12日分)まで算定が可能とされています。

旅行に行く場合も外泊になりますか?

なります。通知は「親戚の家における宿泊、子供又はその家族と旅行に行く場合の宿泊等も含む」としています。

外泊中にデイサービスを使えますか?

使えません。外泊の期間中は居宅介護サービス費は算定されないとされています。

外泊中のベッドは他の人に使えますか?

空けておくのが原則ですが、本人の同意があれば短期入所に活用できます。ただしその場合、外泊時の費用は算定できません。

外泊中にそのまま退所した場合は?

退所した日の外泊時の費用は算定できます。

外泊中に併設医療機関へ入院した場合は?

入院日以降については外泊時の費用は算定できません。

試行的退所時の800単位との違いは?

試行的退所時の費用は、施設が居宅サービスを提供する場合に算定します。居宅サービスの提供を行わない場合は対象となりません。

試行的退所の初日・最終日は?

800単位は算定せず、外泊時の費用(362単位)を算定します。

試行的退所時指導加算400単位と両方算定できますか?

性格の異なるものです。試行的退所時の費用は所定単位数に代えて算定するもの、試行的退所時指導加算は指導を行った場合の加算です。それぞれの要件を満たせば発生します。

まとめ
  • 老健の外泊時の費用は1日362単位、試行的退所時の費用は800単位
  • いずれも1月に6日を限度
  • 加算ではなく「所定単位数に代えて」算定する
  • 外泊した日は施設サービス費が入らない
  • 初日・最終日は含まないため、連続7泊なら6日分
  • 外泊の初日・最終日は所定単位数を算定する
  • 月をまたぐ場合は最大で連続13泊(12日分)まで
  • 6日(12日)を超える期間は費用の算定ができない
  • 外泊には親戚宅での宿泊や家族との旅行も含まれる
  • 外泊期間中は居宅介護サービス費が算定されない
  • ベッドは空けておくのが原則
  • 同意があれば短期入所に活用できるが、その場合は外泊時費用を算定できない
  • 外泊中にそのまま退所した日の外泊時費用は算定できる
  • 外泊中に併設医療機関へ入院した場合、入院日以降は算定できない
  • 試行的退所時の800単位は居宅サービスの提供が前提
  • 居宅サービスを提供しなければ対象とならない
  • 多職種による必要性の検討と本人・家族の同意が必要
  • 施設の介護支援専門員が在宅サービスの計画を作成し連絡調整を行う
  • 試行的退所の初日・最終日は362単位を算定する
  • 試行的退所時指導加算400単位とは別のもの
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および老企第40号の留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。本文中で介護保健施設サービス費を「900単位前後」として例示している箇所は、施設類型・要介護度・居室形態により実際の単位数が大きく異なります。自施設の単位数に置き換えてご確認ください。外泊と試行的退所の区分、ベッドの活用の可否、月をまたぐ場合の日数の数え方については、指定権者によって取扱いが異なる場合があります。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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