老健の短期集中リハビリテーション実施加算とは?

老健の短期集中リハビリテーション実施加算は、令和6年度改定で(Ⅰ)258単位・(Ⅱ)200単位の2区分になりました。改定前は240単位の1本でしたから、従来の要件のままだと200単位に下がっていることになります。
差を生むのはADL等の評価とLIFEへの提出。入所時と月1回以上の評価を行い、その結果をLIFEへ提出して計画を見直していれば(Ⅰ)です。
そしてもうひとつ、算定できるかどうかを左右する要件があります。この加算は「過去3月間に老健に入所したことがない場合」に限って算定できます。ただし入院を挟んだ再入所には例外があり、その線引きが4週間です。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(厚生省告示第21号)、老企第40号、令和6年度介護報酬改定における改定事項についてを突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- (Ⅰ)258単位・(Ⅱ)200単位という単位数と改定前からの変化
- 「集中的なリハビリテーション」の定義(20分以上・週おおむね3日以上)
- (Ⅰ)に必要なADL評価とLIFE提出
- 過去3月間の入所歴による制限
- 4週間以上の入院後の再入所という例外
- 4週間未満でも算定できる疾患・状態
- 認知症短期集中リハビリテーション実施加算と別に算定できること
- 算定期間が入所後3月以内であること
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できないこと
- 特養・通所リハの同名加算との違い
単位数は258単位と200単位
| 区分 | 改定前 | 改定後(令和6年度〜) |
|---|---|---|
| 短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) | 240単位/日 | 258単位/日(新設) |
| 短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ) | 200単位/日(変更) |
入所者に対して、医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が、その入所の日から起算して3月以内の期間に集中的にリハビリテーションを行った場合であって、かつ、原則として入所時及び1月に1回以上ADL等の評価を行うとともに、その評価結果等の情報を厚生労働省に提出し、必要に応じてリハビリテーション計画を見直している場合においては、短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)として、1日につき258単位を所定単位数に加算する。また、入所者に対して、医師等が、その入所の日から起算して3月以内の期間に集中的にリハビリテーションを行った場合は、短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)として、1日につき200単位を所定単位数に加算する。ただし、短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)を算定している場合にあっては、短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)は算定しない。
改定前は240単位でした。ADL評価とLIFE提出に取り組まなければ(Ⅱ)の200単位——改定前より40単位のマイナスです。
1日40単位の差は、3月フルで算定すれば約3,600単位(1単位10円換算で約3万6,000円)。入所者1人あたりの差です。新規入所が月10人あれば、月36万円の差になります。
(Ⅰ)と(Ⅱ)の差は58単位。LIFE提出の体制を整える価値は十分にあります。
「集中的なリハビリテーション」の定義
短期集中リハビリテーション実施加算における集中的なリハビリテーションとは、20分以上の個別リハビリテーションを、1週につきおおむね3日以上実施する場合をいう。
- 1回20分以上
- 個別リハビリテーション(集団は含まない)
- 1週につきおおむね3日以上
「おおむね」とあるため、週によって多少の変動は許容されると読めますが、週2日が常態化していれば要件を満たしません。実施記録に時間と日数を残してください。
(Ⅰ)の追加要件——ADL評価とLIFE提出
短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)は、入所者に対して、原則として入所時及び1月に1回以上ADL等の評価を行うとともに、その評価結果等の情報を厚生労働省に提出し、必要に応じてリハビリテーション計画の見直しを行うこととする。
厚生労働省への情報の提出については、LIFEを用いて行うこととする。
| タイミング | 行うこと |
|---|---|
| 入所時 | ADL等の評価 |
| 1月に1回以上 | ADL等の評価 |
| 随時 | 評価結果等をLIFEへ提出 |
| 必要に応じて | リハビリテーション計画の見直し |
この加算の算定期間は入所日から3月以内。月1回以上の評価なら、入所時を含めて計4回程度の評価になります。
老健は他にもLIFE関連加算(科学的介護推進体制加算、褥瘡マネジメント加算、排せつ支援加算、自立支援促進加算等)を算定していることが多いはずです。ADL値は複数の加算で重なるため、評価のタイミングを揃えれば追加負担は小さくなります。
通知は、提出して終わりではないことも明記しています。LIFEへの提出情報とフィードバック情報を活用したPDCAサイクルによりサービスの質の管理を行うこと、とされています。
最大の制限——過去3月間の入所歴
当該加算は、当該入所者が過去3月間の間に、介護老人保健施設に入所したことがない場合に限り算定できることとする。ただし、以下の③及び④の場合はこの限りではない。
ちびウルフ「介護老人保健施設に」って、自分の施設だけじゃないんですか?
リハウルフ条文は「介護老人保健施設に入所したことがない場合」と書いていて、「当該」が付いていない。特養の初期加算が「当該指定介護老人福祉施設に入所したことがない場合」と書いているのと対照的だ。
素直に読めば他の老健への入所歴も含むことになる。老健から老健へ移ってきた方は、原則として算定できない。
ただ、ここは解釈が分かれうるところだと思う。入所前3月の入所歴をどこまで確認するか、確認方法を含めて指定権者に確認したほうがいい。断定は避けておく。
例外①——4週間以上の入院後の再入所
入所者が過去3月間の間に、介護老人保健施設に入所したことがあり、4週間以上の入院後に介護老人保健施設に再入所した場合であって、短期集中リハビリテーションの必要性が認められる者に限り、当該加算を算定することができる。
- 入院期間が4週間以上
- その入院後に再入所
- 短期集中リハビリテーションの必要性が認められること
例外②——4週間未満でも算定できる状態
入所者が過去3月間の間に、介護老人保健施設に入所したことがあり、4週間未満の入院後に介護老人保健施設に再入所した場合であって、以下に定める状態である者は、当該加算を算定できる。
ア 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳外傷、脳炎、急性脳症(低酸素脳症等)、髄膜炎等を急性発症した者
イ 上・下肢の複合損傷(骨、筋・腱・靭帯、神経、血管のうち3種類以上の複合損傷)、脊椎損傷による四肢麻痺(1肢以上)、体幹・上・下肢の外傷・骨折、切断・離断(義肢)、運動器の悪性腫瘍等を急性発症した運動器疾患又はその手術後の者
| 状況 | 算定 |
|---|---|
| 過去3月間に老健への入所歴なし | 算定可 |
| 入所歴あり+4週間以上の入院後の再入所+必要性あり | 算定可 |
| 入所歴あり+4週間未満の入院後+脳血管疾患等を急性発症 | 算定可 |
| 入所歴あり+4週間未満の入院後+運動器疾患等を急性発症 | 算定可 |
| 入所歴あり+入院なしの再入所 | 算定不可 |
例外に当たるかどうかは、入院日数(4週間以上か未満か)と、急性発症した疾患名で決まります。
再入所の受入れ時に、入院期間と診断名を必ず記録に残してください。診療情報提供書や退院時サマリーの写しを保管しておくのが確実です。
とくに4週間前後の入院は、1日の差で算定可否が変わります。入院日と退院日を正確に押さえてください。
認知症短期集中リハビリテーション実施加算とは別に算定できる
(注9の)短期集中リハビリテーション実施加算を算定している場合であっても、別途当該リハビリテーション(認知症短期集中リハビリテーション)を実施した場合は当該リハビリテーション加算を算定することができる。
| 加算 | 単位数 | 短期集中リハとの併算定 |
|---|---|---|
| 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ) | 240単位/日 | 可 |
| 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ) | 120単位/日 | 可 |
認知症のある入所者に、短期集中リハビリテーションと認知症短期集中リハビリテーションを別々に実施すれば、両方算定できます。(Ⅰ)どうしなら258+240=498単位/日です。
ただし「別途実施した場合」とあるとおり、同じ訓練を二重に数えることはできません。それぞれの実施記録(実施時間・訓練内容・担当者)を分けて残す必要があります。
特養・通所リハの同名加算との違い
| サービス | 加算名 | 単位数 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 老健 | 短期集中リハビリテーション実施加算 | (Ⅰ)258単位/(Ⅱ)200単位 | 入所後3月以内 |
| 通所リハビリ | 短期集中個別リハビリテーション実施加算 | 110単位 | 退院(所)日等から3月以内 |
| 介護医療院 | 短期集中リハビリテーション実施加算 | 240単位 | 入所後3月以内 |
名称が似ていますが、通所リハビリは「短期集中個別リハビリテーション実施加算」で別の加算です。単位数も期間の起算点も違います。
算定にあたっての実務ステップ
- 入所受付時に、過去3月間の老健への入所歴を確認する
- 入所歴がある場合は、入院を挟んでいるか、入院期間が4週間以上かを確認する
- 4週間未満の場合は、脳血管疾患等または運動器疾患等の急性発症に当たるかを確認する
- 入院期間と診断名を記録に残す(診療情報提供書等の写しを保管)
- 入所時にADL等の評価を行う
- 20分以上の個別リハビリを、1週におおむね3日以上実施する計画を立てる
- 月1回以上ADL等の評価を行う
- 評価結果等をLIFEへ提出する
- フィードバックを踏まえてリハビリテーション計画を見直す
- 認知症短期集中リハビリテーションを別途実施する場合は、記録を分けて残す
- 入所日から3月以内の期間について算定する
1つ目と2つ目を入所受付のチェック項目に入れてください。請求段階で入所歴が判明すると、遡って取り下げることになります。
よくある質問
単位数はいくらですか?
(Ⅰ)は1日258単位、(Ⅱ)は1日200単位です。いずれも入所日から起算して3月以内の期間について算定します。
改定前より下がっているのですか?
改定前は240単位の1区分でした。ADL評価とLIFE提出を行わない場合は(Ⅱ)の200単位となり、改定前より40単位低くなります。
(Ⅰ)と(Ⅱ)は両方算定できますか?
できません。(Ⅰ)を算定している場合は(Ⅱ)は算定しないとされています。
「集中的なリハビリテーション」とは?
20分以上の個別リハビリテーションを、1週につきおおむね3日以上実施する場合をいいます。
集団リハビリでも算定できますか?
できません。個別リハビリテーションであることが要件です。
(Ⅰ)に必要な評価の頻度は?
原則として入所時および1月に1回以上ADL等の評価を行い、その結果をLIFEへ提出します。
過去に老健に入所していた人は算定できませんか?
原則として、過去3月間に介護老人保健施設に入所したことがない場合に限られます。ただし入院を挟んだ再入所には例外があります。
4週間以上入院していた場合は?
過去3月間に入所歴があっても、4週間以上の入院後に再入所し、短期集中リハビリテーションの必要性が認められる場合は算定できます。
4週間未満の入院では算定できませんか?
脳梗塞・脳出血等を急性発症した者、または上下肢の複合損傷や骨折等の運動器疾患を急性発症した者・その手術後の者であれば算定できます。
他の老健からの入所も入所歴に含まれますか?
条文は「介護老人保健施設に入所したことがない場合」としており、自施設に限定する文言はありません。確認の範囲や方法については指定権者にご確認ください。
認知症短期集中リハビリテーション実施加算と併算定できますか?
できます。通知は「別途当該リハビリテーションを実施した場合は当該リハビリテーション加算を算定することができる」としています。ただし記録は分けて残す必要があります。
通所リハビリの同名加算と同じですか?
違います。通所リハビリは「短期集中個別リハビリテーション実施加算」(110単位)という別の加算です。
- 老健の短期集中リハビリテーション実施加算は(Ⅰ)258単位・(Ⅱ)200単位
- 令和6年度改定で240単位の1区分から2区分になった
- ADL評価とLIFE提出をしなければ改定前より40単位低い200単位
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない
- 算定期間は入所日から起算して3月以内
- 集中的なリハビリとは20分以上の個別リハを週おおむね3日以上
- 集団リハビリは対象外
- (Ⅰ)は入所時と月1回以上のADL等の評価が必要
- 評価結果はLIFEへ提出する
- フィードバックを活用した計画の見直しが求められる
- 原則として過去3月間に老健への入所歴がないこと
- 4週間以上の入院後の再入所は例外として算定できる
- その場合は短期集中リハビリの必要性が認められることが条件
- 4週間未満でも脳血管疾患等の急性発症なら算定できる
- 運動器疾患の急性発症・手術後も同様
- 入院期間と診断名の記録が算定根拠になる
- 認知症短期集中リハビリテーション実施加算と併算定できる
- ただし記録を分けて残す必要がある
- 通所リハビリの短期集中個別リハビリテーション実施加算とは別の加算
- 入所受付時の入所歴確認が取りこぼしを防ぐ鍵
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号) 介護保健施設サービス イ及びロの注10・注11(全国老人保健施設協会 法令Q&A検索システム)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第40号) 介護保健施設サービス(14)短期集中リハビリテーション実施加算について、(15)認知症短期集中リハビリテーション実施加算について
- 令和6年度介護報酬改定における改定事項について(PDF) 2.(1)⑬ 介護老人保健施設における短期集中リハビリテーション実施加算の見直し(厚生労働省)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示、老企第40号の留意事項通知および令和6年度介護報酬改定の資料にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。「過去3月間に介護老人保健施設に入所したことがない場合」について、他の介護老人保健施設への入所歴を含むかどうか、また入所歴の確認方法については、本文中でも断定を避けています。必ず指定権者にご確認ください。「短期集中リハビリテーションの必要性が認められる者」の判断、急性発症した疾患の該当性についても指定権者によって取扱いが異なる場合があります。LIFEへの提出情報・提出頻度は「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」によります。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。記録や受付手順に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。
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