通所リハビリの退院時共同指導加算は600単位/回。令和6年度介護報酬改定で新設された加算です。1回きりとはいえ600単位は大きく、退院前カンファレンスへの参加が直接評価されるようになりました。

ただし、参加すれば取れるわけではありません。要件は「退院前カンファレンスに参加」+「退院時共同指導を行う」+「その内容を通所リハビリテーション計画に反映」+「初回の通所リハビリを行う」の4段構え。カンファレンスに出ただけ、計画に反映していない、という状態では算定できません。

もうひとつ、併算定に独特のルールがあります。通所リハと訪問リハの両方を使う利用者では、それぞれの事業所で算定できる。ただし一体的に運営されている場合は併算定できない——同一法人で両方やっている事業所は、ここを必ず確認してください。

この記事では、指定居宅サービス介護給付費単位数表(厚生省告示第19号)通所リハビリテーション費 ハ、老企第36号、令和6年度介護報酬改定における改定事項についてを突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 単位数は600単位/回、当該退院につき1回限りであること
  • 令和6年度改定で新設された加算であること
  • 参加できるのは医師・PT・OT・STであること
  • 「退院時共同指導」の定義(情報共有・共同指導・計画への反映)
  • 初回の通所リハビリを行って初めて算定できること
  • テレビ電話装置等を活用してよいこと(ただし同意が必要)
  • 通所リハと訪問リハで各事業所が算定できること
  • 一体的に運営されている場合は併算定できないこと
  • 同時に義務化された「リハビリテーション実施計画書等の入手」との関係
  • 算定に向けた記録の残し方

退院時共同指導加算とは?単位数は600単位

退院時共同指導加算とは、病院・診療所に入院中の人が退院するにあたり、通所リハビリ事業所の職員が退院前カンファレンスに参加して共同指導を行い、その後に初回の通所リハビリを提供した場合に算定できる加算です。

項目内容
単位数600単位
算定の単位1回につき
回数の上限当該退院につき1回
新設令和6年度介護報酬改定
届出不要(体制届出の規定なし)
体制要件のない、めずらしい加算

通所リハビリの加算の多くは「厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして届出を行った事業所が」という書き出しで始まります。しかし退院時共同指導加算の注には、その文言がありません。

人員の割合も、LIFE提出も、体制の届出も不要。行為そのものを評価する加算です。要件を満たす場面が来たら、その都度算定できます。

告示の原文で算定要件を確認する

通所リハビリテーション費 ハです。

ハ 退院時共同指導加算 600単位

注 病院又は診療所に入院中の者が退院するに当たり、指定通所リハビリテーション事業所の医師又は理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が、退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導(病院又は診療所の主治の医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士その他の従業者との間で当該者の状況等に関する情報を相互に共有した上で、当該者又はその家族に対して、在宅でのリハビリテーションに必要な指導を共同して行い、その内容を在宅での通所リハビリテーション計画に反映させることをいう。)を行った後に、当該者に対する初回の指定通所リハビリテーションを行った場合に、当該退院につき1回に限り、所定単位数を加算する。

この1文に、4つの要素が畳み込まれています。

要素内容
①参加者通所リハ事業所の医師・PT・OT・STのいずれか
②場退院前カンファレンスに参加すること
③行為情報の相互共有+本人・家族への共同指導計画への反映
④後続初回の通所リハビリを行うこと
看護職員・介護職員では算定できない

参加できる職種は医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士に限られています。相談員や看護職員が代表して出席した場合、この加算は算定できません。

退院前カンファレンスの日程が平日日中に設定されることを考えると、リハ職のシフトをどう空けるかが実務上の課題になります。600単位=1単位10円換算で6,000円。半日リハ職を外に出す価値があるかは、事業所として一度計算しておくべきところです。

「退院時共同指導」の中身——3つがそろって初めて成立する

告示のカッコ書きが定義です。老企第36号 通所リハビリテーション費(29)①も同じ内容を繰り返しています。

通所リハビリテーションにおける退院時共同指導とは、病院又は診療所の主治の医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士その他の従業者との間で当該者の状況等に関する情報を相互に共有した上で、当該者又はその家族に対して、在宅でのリハビリテーションに必要な指導を共同して行い、その内容を在宅での通所リハビリテーション計画に反映させることをいう。

  • 情報を相互に共有する(一方的に聞くだけでは足りない)
  • 本人またはその家族に対して、在宅でのリハビリに必要な指導を共同して行う
  • その内容を通所リハビリテーション計画に反映させる
ちびウルフちびウルフ

カンファレンスに本人や家族がいなかった場合はどうなりますか?

リハウルフリハウルフ

そこが一番の注意点だと思っている。定義には「当該者又はその家族に対して、在宅でのリハビリテーションに必要な指導を共同して行い」とはっきり書いてある。

職種間の情報交換だけで終わったカンファレンスは、「共同指導」の要件を満たしたと説明しづらい。

だから実務では、カンファレンスの案内が来た時点で「ご本人かご家族の同席をお願いします」と病院側に伝えておく。これだけで算定できるかどうかが変わる。呼ばれた側から要望を出していいんだよ。

「計画に反映させる」までが定義に含まれている

見落とされやすいのが3つ目です。計画への反映は「算定後にやること」ではなく、退院時共同指導という行為の定義そのものに含まれています。

したがって、カンファレンスで得た内容(禁忌事項、リスク管理上の注意、病院で実施していた訓練内容、目標設定など)が通所リハビリテーション計画に書かれていない場合、行為が完成していないことになります。

通知③も、端的にこう求めています。

退院時共同指導を行った場合は、その内容を記録すること。

初回の通所リハビリを行うまで算定できない

告示は「退院時共同指導を行った後に、当該者に対する初回の指定通所リハビリテーションを行った場合に」加算するとしています。

請求のタイミングに注意

カンファレンスに参加した月ではなく、初回の通所リハビリを提供した月に算定するのが素直な読み方です。

退院前カンファレンスが3月末、初回利用が4月——というケースは珍しくありません。3月分で請求すると、初回サービスがまだ提供されていないことになります。カンファレンス参加日と初回利用日を必ずセットで記録しておいてください。

また、共同指導まで行ったのに利用開始に至らなかった場合は算定できません。これは制度の建て付け上やむを得ないところです。

テレビ電話装置等の活用が認められている

通知②です。

退院時共同指導は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、テレビ電話装置等の活用について当該者又はその家族の同意を得なければならない。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

  • オンラインでの参加が認められている
  • ただし本人または家族の同意が必要(病院側の同意ではない)
  • 2つのガイドラインの遵守が求められる

リハ職を半日外に出さずに済むのがオンライン参加の利点です。遠方の病院からの退院や、複数のカンファレンスが重なった日でも対応できます。同意を得たことの記録を忘れずに残してください。

通所リハと訪問リハ——各事業所で算定できるが、一体運営なら不可

この加算に固有の、実務上もっとも重要なルールです。通知④です。

当該利用者が通所及び訪問リハビリテーション事業所を利用する場合において、各事業所の医師等がそれぞれ退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導を行った場合は、各事業所において当該加算を算定可能である。ただし、通所及び訪問リハビリテーション事業所が一体的に運営されている場合においては、併算定できない。

状況通所リハ訪問リハ
別法人・別事業所が、それぞれ参加600単位600単位
同一法人だが一体的に運営していない600単位600単位
一体的に運営されているどちらか一方のみ
医療機関併設の事業所は要注意

病院や診療所が通所リハと訪問リハを両方運営しているケースは非常に多く、同じ職員が両方を兼務している=一体的に運営されていると判断される可能性があります。

この場合、退院前カンファレンスに1人参加して両方で600単位ずつ、という請求はできません。「一体的な運営」に当たるかどうかの判断は指定権者の解釈が入るため、両方で算定する前に確認しておくのが安全です。

同時に義務化された「リハビリテーション実施計画書等の入手」

令和6年度改定では、この加算の新設とセットで、運営基準(省令)に新しい義務が加わりました。

1.(3)⑧ 医療機関のリハビリテーション計画書の受け取りの義務化

○ 退院時の情報連携を促進し、退院後早期に連続的で質の高いリハビリテーションを実施する観点から、医師等の従業者が、入院中にリハビリテーションを受けていた利用者に対し退院後のリハビリテーションを提供する際に、リハビリテーション計画を作成するに当たっては、入院中に医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等を入手し、内容を把握することを義務付ける。【省令改正】

<運営基準(省令)>(通所リハビリテーションの例)
医師等の従業者は、リハビリテーションを受けていた医療機関から退院した利用者に係る通所リハビリテーション計画の作成に当たっては、当該医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等により、当該利用者に係るリハビリテーションの情報を把握しなければならない。

加算と義務は別物

整理しておきましょう。

  • リハビリテーション実施計画書等の入手・把握全事業所の義務(加算なし。やらなければ運営基準違反)
  • 退院前カンファレンスへの参加と共同指導任意。やれば600単位

計画書をもらうだけでは加算になりません。逆に、カンファレンスに出ないからといって計画書の入手を省略することもできません。入院リハからの引継ぎは、義務のラインが底上げされたうえで、その先が加算で評価される構造になりました。

実務としては、カンファレンスに参加する際にリハビリテーション実施計画書等をその場で受け取ってしまうのが効率的です。義務の履行と加算の要件を、1回の訪問で同時に片付けられます。

訪問リハビリの退院時共同指導加算との違い

項目通所リハビリ訪問リハビリ
単位数600単位600単位
回数当該退院につき1回
参加できる職種医師・PT・OT・ST
後続の要件初回の通所リハビリの実施初回の訪問リハビリの実施
新設令和6年度改定

単位数も要件もほぼ同じです。違いは「その後に何を提供するか」だけ。だからこそ、両方を提供する事業所では一体運営の論点が出てきます。

算定にあたっての実務ステップ

  • 病院・ケアマネから退院前カンファレンスの案内を受けた時点で、本人または家族の同席を依頼する
  • 参加者を医師・PT・OT・STのいずれかで確保する(オンライン参加も可)
  • オンラインで参加する場合は、本人または家族から同意を得て記録する
  • カンファレンスで病院の主治医・リハ職と情報を相互に共有する
  • 本人・家族に対して、在宅でのリハビリに必要な指導を病院側と共同して行う
  • その場でリハビリテーション実施計画書等を入手し、内容を把握する(運営基準上の義務)
  • 共同指導の内容を記録に残す
  • 指導内容を通所リハビリテーション計画に反映させる
  • 初回の通所リハビリを提供する
  • 訪問リハも提供している場合は、一体的な運営に当たらないかを確認してから請求する

8つ目と9つ目が抜けると算定できません。カンファレンス参加日・計画への反映日・初回利用日の3点セットを、1枚の記録にまとめておくのが確実です。

よくある質問

退院時共同指導加算は何回まで算定できますか?

当該退院につき1回限りです。

体制の届出は必要ですか?

告示の注に届出の規定は置かれていません。行為そのものを評価する加算です。ただし請求上の取扱いは指定権者にご確認ください。

誰が参加すれば算定できますか?

指定通所リハビリテーション事業所の医師、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士です。看護職員や生活相談員の参加では要件を満たしません。

カンファレンスに参加しただけで算定できますか?

できません。病院側と情報を相互に共有したうえで、本人または家族に対して共同で指導を行い、その内容を通所リハビリテーション計画に反映させることまでが「退院時共同指導」の定義です。

本人・家族が同席していない場合はどうなりますか?

定義に「当該者又はその家族に対して、在宅でのリハビリテーションに必要な指導を共同して行い」とあるため、職種間の情報交換のみでは要件を満たしていると説明しにくくなります。事前に同席を依頼することをおすすめします。

オンラインで参加してもよいですか?

よいとされています。ただしテレビ電話装置等の活用について、本人またはその家族の同意を得る必要があります。

いつの月に算定しますか?

共同指導を行った後に初回の通所リハビリを行った場合に算定します。カンファレンスと初回利用が別の月にまたがる場合は、初回利用の実施を確認したうえで請求してください。

共同指導をしたのに利用開始に至らなかった場合は?

算定できません。初回の指定通所リハビリテーションを行うことが要件となっています。

通所リハと訪問リハの両方で算定できますか?

各事業所の医師等がそれぞれ退院前カンファレンスに参加し共同指導を行った場合は、各事業所で算定可能です。ただし両事業所が一体的に運営されている場合は併算定できません。

「一体的に運営されている」とはどういう状態ですか?

通知に明確な定義は示されていません。人員や運営の実態から指定権者が判断することになるため、同一法人で両方を運営している場合は事前に確認してください。

リハビリテーション実施計画書をもらえば算定できますか?

できません。計画書等の入手・把握は令和6年度改定で運営基準上の義務となったもので、加算の対象ではありません。加算にはカンファレンスへの参加と共同指導が必要です。

いつ新設された加算ですか?

令和6年度介護報酬改定です。訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションに同時に新設されました。

まとめ
  • 通所リハビリの退院時共同指導加算は600単位/回
  • 当該退院につき1回限り
  • 令和6年度介護報酬改定で新設された
  • 体制の届出を要する規定は置かれていない
  • 参加できるのは事業所の医師・PT・OT・STのいずれか
  • 看護職員や生活相談員の参加では要件を満たさない
  • 退院前カンファレンスへの参加が前提
  • 病院側と情報を相互に共有することが必要
  • 本人または家族に対して共同で指導を行うことが必要
  • 指導内容を通所リハビリテーション計画に反映させることまでが定義に含まれる
  • 共同指導の内容を記録する
  • 初回の通所リハビリを行って初めて算定できる
  • 利用開始に至らなかった場合は算定できない
  • テレビ電話装置等の活用が認められている
  • オンライン活用には本人または家族の同意が必要
  • 通所リハと訪問リハで各事業所がそれぞれ算定できる
  • ただし一体的に運営されている場合は併算定できない
  • 同時に、医療機関のリハビリテーション実施計画書等の入手・把握が義務化された
  • 義務の履行だけでは加算にならない
  • カンファレンスの場で計画書を受け取ると、義務と加算を同時に片付けられる
  • 訪問リハビリの同名加算も600単位で、要件はほぼ同じ
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示、老企第36号の留意事項通知および令和6年度介護報酬改定の資料にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。「一体的に運営されている場合」の判断、請求月の取扱い、本人・家族の同席がない場合の可否については、通知に明示のない部分があり、指定権者によって解釈が異なる可能性があります。判断に迷う場合は必ず事前に指定権者へ確認してください。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。カンファレンスの進め方や記録に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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