短期入所生活介護(ショートステイ)の療養食加算は、1回につき8単位、1日3回を限度として算定します。1日あたり最大24単位です。特養・老健・介護医療院の療養食加算が6単位であるのに対し、ショートステイと短期入所療養介護は8単位に設定されています。

この加算でいちばん多い誤りは、「塩分を控えた食事を出したから算定する」という運用です。高血圧症に対する減塩食は、通知で明確に加算の対象外とされています。一方、心臓疾患等に対する減塩食は腎臓病食に準じて算定できますが、その場合も「総量6.0g未満」という具体的な基準があります。

さらに、この加算は要支援でも算定できます。看護体制加算や在宅中重度者受入加算のように介護予防で消える加算が多いなかで、療養食加算は介護予防短期入所生活介護にも同じ8単位で用意されている数少ない加算です。

この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費「ニ 療養食加算」の注、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第23号、厚生労働大臣が定める基準(同告示第95号)第35号、老企第40号 第二の3(21)を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 療養食加算の単位数(8単位×1日3回まで)と、施設系6単位との違い
  • 算定に必要な3つの基準と届出
  • 対象となる療養食9種類
  • 医師の食事箋がなければ算定できないこと
  • 献立表の作成が求められること
  • 高血圧症の減塩食が対象外である一方、心臓疾患等の減塩食は算定できること
  • 「総量6.0g未満」という減塩食の具体的な基準
  • 経管栄養(胃瘻など)でも算定できること
  • 貧血食・脂質異常症食・高度肥満症の数値基準
  • 要支援(介護予防短期入所生活介護)でも算定できること

療養食加算は1回8単位。1日3回まで、最大24単位

告示19号の「ニ 療養食加算 8単位」の注は、次のとおりです。

次に掲げるいずれの基準にも適合するものとして、(中略)届出を行った当該基準による食事の提供を行う指定短期入所生活介護事業所が、別に厚生労働大臣が定める療養食を提供したときは、1日につき3回を限度として、所定単位数を加算する。
イ 食事の提供が管理栄養士又は栄養士によって管理されていること。
ロ 利用者の年齢、心身の状況によって適切な栄養量及び内容の食事の提供が行われていること。
ハ 食事の提供が、別に厚生労働大臣が定める基準に適合する指定短期入所生活介護事業所において行われていること。

単位数はサービス種別で分かれています。

サービス単位数限度
短期入所生活介護(ショートステイ)8単位/回1日3回
短期入所療養介護8単位/回1日3回
介護予防短期入所生活介護8単位/回1日3回
特別養護老人ホーム(介護福祉施設サービス)6単位/回1日3回
介護老人保健施設6単位/回1日3回
介護医療院6単位/回1日3回

ショート系が8単位、入所系が6単位です。混同すると請求額がずれるので、併設事業所では特に注意してください。特養に併設のショートステイなら、同じ厨房から出す同じ療養食でも、特養の入所者は6単位、ショートの利用者は8単位になります。

「1日3回を限度」=食事の回数で数える

1日単位の加算ではなく、提供した回数で数えます。朝・昼・夕の3食すべてで療養食を提供すれば24単位、昼だけなら8単位です。

入所日・退所日で1食しか提供していない日は、その回数分だけになります。「利用日数×24単位」で機械的に計算すると過大請求になります。

3つ目の基準は「減算に該当しないこと」

ハの「別に厚生労働大臣が定める基準」は、告示95号 第35号です。中身は、定員超過利用・人員基準欠如などの減算に該当しないこと、という内容になっています。

つまり定員超過減算や人員基準欠如減算がかかっている事業所では、療養食加算は算定できません。加算単体で完結する要件ではない点に注意してください。

対象となる療養食は9種類

告示94号 第23号は、対象となる療養食を次のように定めています。

疾病治療の直接手段として、医師の発行する食事箋に基づき提供された適切な栄養量及び内容を有する糖尿病食、腎臓病食、肝臓病食、胃潰瘍食、貧血食、膵臓病食、脂質異常症食、痛風食及び特別な場合の検査食

  • 糖尿病食
  • 腎臓病食
  • 肝臓病食
  • 胃潰瘍食(流動食は除く)
  • 貧血食
  • 膵臓病食
  • 脂質異常症食
  • 痛風食
  • 特別な場合の検査食

この9種類が、加算の対象のすべてです。嚥下調整食、刻み食、ミキサー食、high・lowカロリー食、アレルギー除去食などは、療養食加算の対象になりません。形態を変えた食事と、疾病治療のための治療食は別物です。

食事箋がなければ算定できない。献立表も必要

老企第40号(21)①は、算定の前提を次のように定めています。

療養食の加算については、利用者の病状等に応じて、主治の医師より利用者に対し疾患治療の直接手段として発行された食事箋に基づき、利用者等告示に示された療養食が提供された場合に算定すること。なお、当該加算を行う場合は、療養食の献立表が作成されている必要があること。

  • 主治医が食事箋を発行する
    疾患治療の直接手段として発行されたものであること。事業所側の判断で療養食にしても算定できません。
  • 食事箋に基づいて療養食を提供する
    告示94号第23号の9種類のいずれかであること。
  • 療養食の献立表を作成する
    通知が明文で求めています。通常の献立表とは別に、療養食としての献立が残っていることが必要です。
ショートステイでいちばん詰まるのは食事箋

入所施設と違い、ショートステイは数日単位で入れ替わる利用者ごとに食事箋を用意する必要があります。利用のたびに主治医から取り直すのか、有効な食事箋をどう管理するのか。ここが実務上の壁です。

「糖尿病だから糖尿病食を出している」だけでは算定できません。担当したケースでも、実地指導で見られたのは食事箋の日付と、その期間に提供した療養食の記録が対応しているかどうかでした。

経管栄養(胃瘻)でも算定できる

老企第40号(21)③は、次のとおりです。

前記の療養食の摂取の方法については、経口又は経管の別を問わないこと。

胃瘻や経鼻胃管から注入している利用者でも、食事箋に基づいて対象の療養食(に相当する栄養剤・流動食)が提供されていれば算定できます。「口から食べていないから対象外」ではありません。

ただし胃潰瘍食については、告示の括弧書きで「流動食は除く」とされています。胃潰瘍食に限っては流動食が除外されている点に注意してください。

減塩食は「心臓疾患等ならOK、高血圧症ならNG」

この加算でもっとも判断を誤りやすいのが減塩食です。老企第40号(21)④は、こう定めています。

心臓疾患等に対して減塩食療法を行う場合は、腎臓病食に準じて取り扱うことができるものであるが、高血圧症に対して減塩食療法を行う場合は、加算の対象とはならないこと。また、腎臓病食に準じて取り扱うことができる心臓疾患等の減塩食については、総量6.0g未満の減塩食をいうこと。

対象疾患減塩食の扱い算定
心臓疾患等腎臓病食に準じる(総量6.0g未満であること)
高血圧症加算の対象とはならない×

高齢者施設の利用者で「減塩」の指示が出ている方のうち、実際には高血圧症を理由とするケースは相当多いはずです。病名が高血圧症であれば、どれだけ厳密に減塩していても算定できません。

逆に心臓疾患等が理由なら算定できますが、その場合も食塩総量6.0g未満という基準を満たす必要があります。「6g程度」ではなく「6.0g未満」です。献立表の栄養価計算で確認できる状態にしておいてください。

ちびウルフちびウルフ

高血圧で減塩している人と、心不全で減塩している人で、出てくる食事は同じかもしれないのに扱いが違うんですか?

リハウルフリハウルフ

そうです。通知が疾患名で切り分けています。この加算が評価しているのは食事の中身ではなく「疾病治療の直接手段としての治療食かどうか」だからです。

だから食事箋の病名欄が決定的に効きます。心不全があるのに、食事箋に「高血圧」とだけ書かれていて算定できなかった、という話は現場でよくあります。算定の可否は厨房ではなく、食事箋の記載で決まると考えたほうが正確です。

疾患別の細かい取扱い。数値基準があるものに注意

老企第40号(21)は、種類ごとの取扱いも定めています。判断に迷いやすいものを整理します。

療養食通知による取扱い
肝臓病食肝庇護食、肝炎食、肝硬変食、閉鎖性黄疸食(胆石症・胆嚢炎による閉鎖性黄疸の場合を含む)等をいう
胃潰瘍食十二指腸潰瘍も胃潰瘍食として扱ってよい。手術前後の高カロリー食は対象外。ただし侵襲の大きな消化管手術の術後に胃潰瘍食に準ずる食事を提供する場合は算定可
低残さ食クローン病、潰瘍性大腸炎等により腸管の機能が低下している利用者に対する低残さ食は、療養食として扱ってよい
貧血食血中ヘモグロビン濃度が10g/dl以下で、その原因が鉄分の欠乏に由来する者が対象
脂質異常症食空腹時定常状態におけるLDLコレステロール値140mg/dl以上、またはHDLコレステロール値40mg/dl未満、または血清中性脂肪値150mg/dl以上の者が対象
高度肥満症肥満度が+70%以上またはBMI35以上の場合、脂質異常症食に準じて扱える
特別な場合の検査食潜血食のほか、大腸X線検査・大腸内視鏡検査のために特に残さの少ない調理済食品を使用した場合も含む
数値基準があるのは貧血食と脂質異常症食

この2つは検査値で対象者が線引きされています。貧血食はヘモグロビン10g/dl以下かつ鉄欠乏が原因であること。脂質異常症食はLDL140以上/HDL40未満/中性脂肪150以上のいずれか。

ショートステイの利用者で直近の採血データが手元にないことは珍しくありません。食事箋とあわせて、判断の根拠になる検査値を確認しておく必要があります。原因が鉄欠乏でない貧血(腎性貧血など)は対象外である点も見落とされがちです。

要支援でも算定できる、数少ない加算

介護予防サービスの報酬を定める平成18年厚生労働省告示第127号にも、介護予防短期入所生活介護費の「ニ 療養食加算 8単位」が置かれています。要件も1日3回を限度とする点も、介護給付と同じ構造です。

加算要支援での算定
療養食加算○(8単位・1日3回まで)
看護体制加算×
医療連携強化加算×
在宅中重度者受入加算×
看取り連携体制加算×
緊急短期入所受入加算×
夜勤職員配置加算×

ショートステイの加算は、要支援になると多くが消えます。そのなかで療養食加算は残る側です。要支援1・2の利用者でも、食事箋に基づく療養食を提供していれば算定できます。予防だからと一律に外していないか、確認してみてください。

短期入所療養介護(老健ショート等)も同じ8単位

短期入所療養介護の療養食加算も8単位・1日3回限度で、対象となる療養食も告示94号第23号を準用しています(同第27号)。老健や介護医療院のショートを利用した場合も、同じ扱いです。

一方、同じ建物の入所者に提供する療養食は6単位です。同じ施設のなかで、入所は6単位、ショートは8単位という並びになります。請求ソフト上は分かれていますが、算定漏れ・二重計上の確認ポイントになります。

よくある質問
療養食加算はいくらですか?

短期入所生活介護は1回8単位で、1日3回を限度とします。1日あたり最大24単位です。特養・老健・介護医療院の入所者に対する療養食加算は6単位です。

1日1食しか療養食を出していない場合はどうなりますか?

その回数分だけ算定します。1食なら8単位です。「1日3回を限度」とあるとおり、提供した回数で数えます。

どんな食事が対象になりますか?

糖尿病食、腎臓病食、肝臓病食、胃潰瘍食(流動食を除く)、貧血食、膵臓病食、脂質異常症食、痛風食、特別な場合の検査食の9種類です。嚥下調整食やアレルギー除去食は対象になりません。

医師の食事箋は必ず必要ですか?

必要です。「主治の医師より利用者に対し疾患治療の直接手段として発行された食事箋に基づき」提供された場合に算定するとされています。あわせて療養食の献立表の作成も求められています。

高血圧の方に減塩食を出しました。算定できますか?

できません。通知は「高血圧症に対して減塩食療法を行う場合は、加算の対象とはならない」と明記しています。心臓疾患等に対する減塩食であれば、腎臓病食に準じて算定できます。

心臓疾患の減塩食に基準はありますか?

あります。腎臓病食に準じて扱える心臓疾患等の減塩食は「総量6.0g未満」のものとされています。

胃瘻から注入している場合も算定できますか?

できます。通知は「療養食の摂取の方法については、経口又は経管の別を問わない」としています。ただし胃潰瘍食については、告示上「流動食は除く」とされています。

貧血があれば貧血食として算定できますか?

できるとは限りません。対象は血中ヘモグロビン濃度が10g/dl以下で、かつその原因が鉄分の欠乏に由来する方です。鉄欠乏以外が原因の貧血は対象外です。

肥満の方への食事療法は対象になりますか?

高度肥満症(肥満度+70%以上またはBMI35以上)であれば、脂質異常症食に準じて取り扱うことができます。それ以下の肥満に対する食事療法は対象になりません。

手術後の高カロリー食は算定できますか?

手術前後に与える高カロリー食は対象外です。ただし侵襲の大きな消化管手術の術後において、胃潰瘍食に準ずる食事を提供する場合は算定が認められています。

定員超過減算がかかっていても算定できますか?

できません。基準ハが求める告示95号第35号は、定員超過利用・人員基準欠如などの減算に該当しないことを内容としています。

要支援でも算定できますか?

できます。介護予防短期入所生活介護にも療養食加算8単位(1日3回限度)が設けられています。ショートステイの加算のなかでは、要支援でも残る数少ない加算です。

まとめ
  • ショートステイの療養食加算は1回8単位、1日3回を限度(最大24単位)
  • 特養・老健・介護医療院の入所者に対する療養食加算は6単位で、ショート系より低い
  • 1日単位ではなく、提供した食事の回数で数える
  • 基準は①管理栄養士・栄養士による管理、②年齢・心身の状況に応じた栄養量と内容、③減算に該当しないこと
  • 定員超過減算・人員基準欠如減算がかかっていると算定できない
  • 対象は糖尿病食・腎臓病食・肝臓病食・胃潰瘍食・貧血食・膵臓病食・脂質異常症食・痛風食・特別な場合の検査食の9種類
  • 嚥下調整食やアレルギー除去食は対象外
  • 主治医が発行した食事箋に基づくことが必須
  • 療養食の献立表の作成も通知で求められている
  • ショートは利用者の入れ替わりが早く、食事箋の管理が実務上の壁になる
  • 経口・経管の別を問わず算定できる(胃瘻でも可)
  • ただし胃潰瘍食は流動食が除かれている
  • 心臓疾患等の減塩食は腎臓病食に準じて算定できる(総量6.0g未満)
  • 高血圧症に対する減塩食は加算の対象にならない
  • 十二指腸潰瘍は胃潰瘍食として扱ってよい
  • 手術前後の高カロリー食は対象外だが、侵襲の大きな消化管手術後の胃潰瘍食に準ずる食事は算定可
  • クローン病・潰瘍性大腸炎等の低残さ食は療養食として扱える
  • 貧血食はヘモグロビン10g/dl以下かつ鉄欠乏が原因の場合に限る
  • 脂質異常症食はLDL140以上/HDL40未満/中性脂肪150以上のいずれかが対象
  • 高度肥満症(+70%以上またはBMI35以上)は脂質異常症食に準じる
  • 要支援(介護予防短期入所生活介護)でも8単位で算定できる
  • 短期入所療養介護も同じ8単位・1日3回限度
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。食事箋の有効期間の扱いや献立表の様式、疾患名の判断は、都道府県・指定都市によって運用が異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の検査値・基準値は通知の記載をそのまま示したものであり、個々の利用者に対する食事療法の適否は主治医の判断によります。食事箋の管理方法に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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