療養通所介護とは?対象者・人員基準・単位数を解説

療養通所介護は、難病等を有する重度要介護者やがん末期の人で、常時看護師の観察が必要な人だけが対象のデイサービスです。利用定員は18人以下、職員配置は利用者1.5人に対して1人以上、管理者は看護師。普通のデイサービスとは、対象者も体制もまったく違います。
この記事では、理学療法士・介護支援専門員として在宅の現場に関わってきた立場から、療養通所介護の対象者・人員基準・単位数を、指定地域密着型サービス基準(省令)と令和6年度改定資料に沿って整理します。
- 療養通所介護の法令上の定義と対象者
- 通所介護・通所リハ・看護小規模多機能との違い
- 人員基準(1.5対1、常勤看護師、管理者)
- 設備基準(定員18人以下、1人あたり6.4平方メートル)
- 緊急時対応医療機関を近接して確保する義務
- 安全・サービス提供管理委員会の設置と開催頻度
- 基本報酬は月額包括(令和6年度は12,785単位/月)
- 令和6年度改定で新設された短期利用と重度者ケア体制加算
療養通所介護とは
指定地域密着型サービス基準(平成18年厚生労働省令第34号)は、療養通所介護を次のように定義しています。
位置づけとしては地域密着型通所介護の一種ですが、対象者を限定した特別な類型として、人員・設備・運営の基準が別に定められています。市町村が指定する地域密着型サービスなので、原則としてその市町村の住民しか利用できません。
対象になるのはどんな人か
要件は3つの要素の組み合わせです。いずれか1つではなく、「重度またはがん末期」かつ「常時看護師の観察が必要」という読み方になります。
- 難病等を有する重度要介護者、またはがん末期の人
- サービス提供にあたり常時看護師による観察が必要な人
- 居宅で生活しており、通いで受けることが適切と判断された人
実際の利用者像としては、人工呼吸器を使用している人、気管切開をしている人、喀痰吸引が頻回に必要な人、経管栄養や中心静脈栄養を行っている人、ALSなどの神経難病で全介助の人、そして在宅で看取りの時期を迎えているがんの人などです。
ちびウルフ普通のデイサービスでは受けられないの?
リハウルフ通常のデイサービスは看護職員が1人という体制が多く、吸引が頻回に必要な人や人工呼吸器を使っている人を、安全に半日以上預かるのは難しいのが実情です。断られた末に「もう家から出られない」となっていた人が、療養通所介護なら通える。ここがこのサービスの存在価値です。家族が休める時間をつくれる意味も大きい。
通所介護・通所リハビリとの違い
| 療養通所介護 | 対象は難病等の重度要介護者・がん末期で常時看護師の観察が必要な人。定員18人以下。地域密着型。月額包括報酬 |
|---|---|
| 通所介護(デイサービス) | 対象の限定なし。定員19人以上。看護職員は1人以上。利用時間の区分ごとの報酬 |
| 地域密着型通所介護 | 対象の限定なし。定員18人以下。市町村指定 |
| 通所リハビリ(デイケア) | 医師の指示のもとでリハビリを提供。PT・OT・STが配置される |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 通い・泊まり・訪問(介護・看護)を組み合わせる。登録制 |
医療ニーズの高い人の在宅を支えるという意味では看護小規模多機能型居宅介護と近い立ち位置ですが、療養通所介護は「通い」に特化しており、泊まりの機能はありません。
療養通所介護の人員基準・設備基準
従業者は「1.5対1」
置くべき看護職員または介護職員(療養通所介護従業者)の員数は、利用者の数が1.5に対し、提供時間帯を通じて専ら療養通所介護の提供に当たる従業者が1以上確保されるために必要と認められる数以上とされています。利用者6人なら4人以上という計算です。
さらに、この従業者のうち1人以上は、常勤の看護師であって専ら療養通所介護の職務に従事する者でなければなりません。准看護師では要件を満たさない点に注意してください。
管理者は看護師
管理者は事業所ごとに専従・常勤で置きます(管理上支障がない場合は他の職務との兼務が可能)。管理者は看護師でなければならず、適切な療養通所介護を行うために必要な知識および技能を有する者であることが求められます。
管理者の責務も具体的です。従業者の管理と業務の一元的な把握に加えて、療養通所介護計画の作成そのものが管理者の役割とされ、主治医や訪問看護事業者との情報共有も管理者の義務として書かれています。
利用定員は18人以下
同時にサービスを受けられる利用者の上限は18人以下です。もともとは9人以下でしたが、平成30年度に18人以下へ引き上げられました。
設備は、療養通所介護を行うのにふさわしい専用の部屋が必要で、その面積は6.4平方メートルに利用定員を乗じた面積以上と定められています。定員18人なら115.2平方メートル以上です。通常の通所介護(3平方メートル×利用定員)の倍以上の広さが要ります。ストレッチャーや車椅子のまま過ごす人が多いことを踏まえた基準です。
緊急時対応医療機関を近接して確保する
あわせて、利用者ごとに主治医とともに緊急時等の対応策を検討して定めておき、本人と家族に十分説明することも義務です。急変が起きてから考えるのでは間に合わない対象者だからこその基準です。
安全・サービス提供管理委員会を設置する
安全かつ適切なサービス提供を確保するため、安全・サービス提供管理委員会の設置が義務づけられています。構成員は、地域の医療関係団体に属する者、地域の保健・医療・福祉の専門家などです。
| 開催頻度 | おおむね6月に1回以上 |
|---|---|
| やること | 事故事例等、安全管理に必要なデータの収集/それを踏まえた方策の検討/検討結果の記録の作成 |
| 開催方法 | テレビ電話装置等の活用が可能 |
| 結果の扱い | 検討結果を踏まえ、必要に応じて対策を講じる |
なお、地域密着型通所介護に義務づけられている運営推進会議に相当する会議については、療養通所介護では「おおむね12月に1回以上」と読み替えられています。安全・サービス提供管理委員会と混同しやすいので、別物として管理してください。
療養通所介護の単位数【令和6年度】
療養通所介護の基本報酬は、利用回数や時間ではなく1月あたりの包括報酬です。令和3年度改定で、それまでの1日あたりの報酬から月額包括に変わりました。
| 療養通所介護費 | 12,785単位/月(令和6年度改定後。改定前は12,691単位/月) |
|---|---|
| 短期利用療養通所介護費 | 1,335単位/日(令和6年度に新設) |
| 重度者ケア体制加算 | 150単位/月(令和6年度に新設) |
| 入浴介助を行わない場合 | 所定単位数の95/100で算定 |
| 過少サービスの場合 | 所定単位数の70/100で算定 |
1単位10円の地域なら月額約127,850円、利用者の自己負担は1割で約12,785円です(地域区分により単価が異なるため目安)。回数を増やしても報酬は増えない包括報酬なので、必要な人に必要なだけ提供する設計になっています。
令和6年度改定で新設された2つの区分
短期利用療養通所介護費(1,335単位/日)
月額包括報酬だと、初めて利用するときに判断が難しく、登録者以外が緊急に利用したい場合にも使いにくい。この課題への対応として、1日あたりで算定できる短期利用型が新設されました。
- 利用者の状態や家族等の事情により、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが緊急に利用することが必要と認めた場合であること
- 利用の開始にあたって、あらかじめ7日以内(家族等の疾病等やむを得ない事情がある場合は14日以内)の利用期間を定めること
- 指定地域密着型サービス基準第40条に定める従業者の員数を置いていること
- その事業所が療養通所介護費の減算(入浴介助を行わない場合、過少サービスの場合)を算定していないこと
「ケアマネが緊急に必要と認めた場合」が入口である点が実務上のポイントです。家族の入院や急な事情で在宅の介護が回らなくなったときに、医療ニーズの高い人の受け皿として使えます。
重度者ケア体制加算(150単位/月)
介護度にかかわらず一律の包括報酬であるため、特に重度の人を受け入れる事業所の体制を評価する加算として新設されました。要件は3つすべてです。
| 人員の上乗せ | 基準第40条第2項に規定する看護師の員数に加え、看護職員を常勤換算方法で3以上確保していること |
|---|---|
| 研修修了者 | 保健師助産師看護師法第37条の2第2項第5号に規定する指定研修機関において行われる研修等を修了した看護師を1以上確保していること(認定看護師教育課程、専門看護師教育課程、特定行為研修) |
| 訪問看護との一体的実施 | 指定訪問看護事業者の指定を併せて受け、かつ、一体的に事業を実施していること |
看護職員を常勤換算3以上の上乗せ、かつ特定行為研修等の修了者、かつ訪問看護との一体運営。ハードルは相当高い加算です。訪問看護ステーション併設型の事業所を想定した設計だと読めます。
利用するにはどうすればよいか
入口は他の介護サービスと同じで、ケアマネジャーへの相談からです。ただし前提として、療養通所介護は全国的に事業所数が非常に少なく、住んでいる市町村に1か所もないことも珍しくありません。
- 要介護認定を受ける/未申請なら市区町村の窓口か地域包括支援センターへ
- ケアマネジャーに相談する/医療的ケアの内容(吸引の頻度、呼吸器の有無など)を具体的に伝える
- 市町村内に事業所があるか確認する/地域密着型サービスのため、原則として住民のみ利用可
- 主治医・訪問看護と情報を共有する/サービス担当者会議で提供の適否を検討する
- 見学・契約/緊急時等の対応策を主治医とともに定め、本人・家族へ説明を受ける
- 利用開始/療養通所介護計画は訪問看護計画書との整合を図って作成される
事業所が見つからない場合の代替としては、看護小規模多機能型居宅介護、訪問看護の回数を増やす、医療型のショートステイ(短期入所療養介護)などが選択肢になります。「通い」にこだわらず、目的(家族の休息か、入浴か、社会参加か)から考え直すほうが道が開けることが多いです。
療養通所介護は誰が利用できますか?
普通のデイサービスと何が違いますか?
単位数はいくらですか?
利用回数が多いほど費用は上がりますか?
准看護師でも人員基準を満たしますか?
安全・サービス提供管理委員会はどのくらいの頻度で開きますか?
緊急時対応医療機関はどこでもよいですか?
他の市町村の事業所は使えますか?
- 療養通所介護は、難病等を有する重度要介護者またはがん末期の人で、常時看護師による観察が必要な人を対象とする地域密着型通所介護の一類型。
- 入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話と機能訓練を、療養通所介護計画に基づいて提供する。
- 従業者は、利用者の数1.5に対し提供時間帯を通じて専従の従業者1以上。うち1人以上は常勤の看護師で専従。
- 管理者は専従・常勤で、看護師であることが必要。療養通所介護計画の作成も管理者の役割。
- 利用定員は18人以下。専用の部屋は6.4平方メートル×利用定員以上の面積が必要。
- 緊急時対応医療機関を、同一敷地内・隣接または近接して確保し、あらかじめ必要事項を取り決めておく。
- 安全・サービス提供管理委員会を設置し、おおむね6月に1回以上開催して記録を作成する。
- 基本報酬は月額包括で、令和6年度改定後は12,785単位/月(改定前12,691単位/月)。
- 令和6年度に短期利用療養通所介護費(1,335単位/日)が新設。ケアマネジャーが緊急に必要と認めた場合に、あらかじめ7日以内(やむを得ない事情がある場合14日以内)の期間を定めて利用する。
- 令和6年度に重度者ケア体制加算(150単位/月)が新設。看護職員の常勤換算3以上の上乗せ、特定行為研修等の修了看護師1以上、訪問看護との一体的実施がすべて必要。
- 入浴介助を行わない場合は95/100、過少サービスの場合は70/100で算定。
- 市町村指定の地域密着型サービスであり、事業所数が少ない。ない場合は看護小規模多機能型居宅介護などの代替を検討する。
- 「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年3月14日厚生労働省令第34号)第2章第6節(第38条〜第40条の16)
- 厚生労働省老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(1.(3)④ 療養通所介護における医療ニーズを有する中重度者の短期利用の促進、1.(3)⑤ 療養通所介護における重度者への安定的なサービス提供体制の評価、各サービスの基本報酬)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(告示・通知・Q&A等の一次情報の掲載ページ)
※本記事の基準および単位数は、指定地域密着型サービス基準(省令)および厚生労働省の令和6年度介護報酬改定資料にもとづいて整理したものです。実際の運営・算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。地域密着型サービスは市町村が条例で基準を定めるため、地域によって取扱いが異なる場合があります。ここに記載した以外の要件が定められている場合があります。地域区分により1単位あたりの単価が異なるため、金額は単位数から一律には算出できません。令和6年度改定の内容は2026年8月時点で有効なものとして整理していますが、その後の改定・通知により取扱いが変わる可能性があります。利用者像や代替サービスに関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。
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