「朝から夕方まで、いったい何をしているの?」。デイサービスを勧めたときに、ご本人からいちばん多く返ってくる質問です。中身が見えないから不安になる。それだけの理由で利用をためらっている方は、とても多いです。

この記事では、理学療法士・介護支援専門員として在宅の現場に関わってきた立場から、デイサービス(通所介護)の1日の流れと、利用を決める前に知っておきたいことを時間帯ごとに説明します。何時に何が行われているかが分かれば、判断はかなりしやすくなります。

この記事でわかること
  • デイサービスが何をするところか(法律上の定義)
  • 朝の送迎から帰宅までの1日の流れ
  • 半日型(3〜4時間)のデイサービスの流れ
  • 入浴・食事・機能訓練がどの時間に入るか
  • 送迎の時間は利用時間に含まれないこと
  • 利用開始までの手続きの順番
  • 持ち物と服装の目安
  • 合わなかったときに変更できること

デイサービスとは何をするところか

介護保険法は、通所介護(デイサービス)をこう定めています。

介護保険法 第8条第7項居宅要介護者について、(中略)老人デイサービスセンターに通わせ、当該施設において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うこと

ポイントは、「日常生活の世話」と「機能訓練」の両方が書かれていることです。だから1日の流れも、入浴・食事といった生活の部分と、体を動かす部分の組み合わせになります。リハビリだけをする場所でも、預かってもらうだけの場所でもありません。

デイケア(通所リハビリ)との違いデイケアは医師の指示のもとで理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がリハビリを行う医療寄りのサービスで、病院や介護老人保健施設に併設されています。デイサービスは生活支援と社会参加が中心で、機能訓練は機能訓練指導員が担当します。入浴・食事・他者との交流が目的ならデイサービス、明確なリハビリ目的ならデイケア、という選び分けが基本です。

デイサービスの1日の流れ【7〜8時間の場合】

もっとも多いのが、7時間以上8時間未満のいわゆる「1日型」です。事業所によって時刻は前後しますが、大枠は次のようになります。

8:30〜9:30送迎車で迎え・到着
9:30〜10:00健康チェック(体温・血圧・脈拍)、水分補給
10:00〜11:45入浴、順番待ちの間は体操・個別の機能訓練・談話
11:45〜12:00口腔体操、昼食の準備
12:00〜13:00昼食、服薬、口腔ケア
13:00〜14:00休憩・自由時間(横になれる事業所も多い)
14:00〜15:00レクリエーション、集団体操、個別の機能訓練
15:00〜15:30おやつ、水分補給
15:30〜16:00帰りの支度、連絡帳の記入
16:00〜17:00送迎車で自宅へ

午前:送迎・健康チェック・入浴

朝は送迎車が順番に回ります。同乗する人数と経路の関係で、到着が早い人と遅い人が出るのは避けられません。玄関先での乗り降りに介助が必要な場合も対応してもらえます。

到着後は必ず健康チェックです。体温・血圧・脈拍を測り、その日の体調を確認します。ここで血圧が高すぎる・熱があるといった場合は、入浴を見合わせる判断になります。安全のための線引きなので、「せっかく来たのに」と思わないでください。

午前の中心は入浴です。全員が同時に入れるわけではないので、順番待ちの時間ができます。その間に体操をしたり、新聞を読んだり、職員や他の利用者と話したりして過ごします。

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お風呂は入らなきゃダメなの? 人前で裸になるのが嫌みたい

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入浴は必須ではありません。利用しない選択もできますし、多くの事業所は個浴(1人ずつ入る浴槽)を用意しています。「大浴場で他人と一緒」と思い込んで断っている方が本当に多いので、見学のときに浴室を見せてもらってください。それだけで印象が変わることがあります。

昼:食事・口腔ケア・休憩

昼食の前には、誤嚥(ごえん)予防の口腔体操をする事業所が多いです。食事はきざみ食・軟菜食・ミキサー食など、噛む力や飲み込む力に応じて形態を調整してもらえます。糖尿病食などの対応可否は事業所によります。

食後は口腔ケアと服薬。薬は自宅から持参し、職員が飲み忘れを確認します。そのあとの1時間ほどは休憩時間で、横になって休める事業所が多いのもデイサービスの特徴です。ここで体力を回復させるので、午後まで持ちます。

午後:機能訓練・レクリエーション・おやつ

午後は体を動かす時間です。全員での集団体操、歌や書道などの活動、個別の機能訓練が組まれます。個別機能訓練は、事業所が作成する個別機能訓練計画にもとづいて行われます。「立ち座りを楽にする」「杖で買い物に行けるようにする」といった目標を決めて取り組む形です。

レクリエーションは事業所の色がいちばん出る部分です。ゲームや歌が中心のところ、園芸や調理が入るところ、運動特化でレクをほとんどやらないところまで幅があります。ここが合うかどうかが、通い続けられるかどうかを大きく左右します。

帰り:連絡帳と送迎

帰りの前に、その日の様子・血圧・食事量・入浴の有無などを記した連絡帳が用意されます。ここは家族が事業所とやり取りできる貴重な窓口なので、気になることは書いて返してください。「夜眠れていない」「食欲が落ちた」といった家での様子が、翌週の対応に反映されます。

半日型デイサービスの1日の流れ【3〜4時間】

入浴や食事を行わず、運動に特化した半日型のデイサービスもあります。「リハビリ特化型」「機能訓練特化型」と呼ばれるタイプです。

9:00〜9:15送迎・到着、健康チェック
9:15〜9:30準備体操、水分補給
9:30〜10:30マシントレーニング、個別の機能訓練
10:30〜11:00集団体操、整理体操
11:00〜11:30お茶・休憩、送迎

午前と午後の2回転で運営していることが多く、拘束時間が短いので「1日型は長すぎる」という方に向いています。ただし入浴・食事がないため、家族の介護負担を減らす目的には向きません。目的が「介護者の休息(レスパイト)」なら1日型、「運動」なら半日型と考えてください。

利用時間と送迎の関係で知っておきたいこと

介護報酬は、3時間以上4時間未満から8時間以上9時間未満まで、時間の区分ごとに決まっています(心身の状況によっては2時間以上3時間未満の利用もあります)。この時間は「その日たまたま滞在した時間」ではなく、通所介護計画に位置づけられた標準的な時間です。

送迎の時間は利用時間に入らない通知では、通所介護を行うのに要する時間に送迎に要する時間は含まれないと定められています。「7〜8時間の利用」でも、家を出てから帰るまでは9時間近くになることがあるということです。送迎時に行う着替え・車椅子への移乗・戸締まりなどの居宅内での介助は、要件を満たす場合に1日30分以内を限度として利用時間に含めることができます。

なお、家族の出迎えの都合などで利用者が通常の時間を超えて事業所にいる場合、その分は通所介護のサービス提供とは認められず、別途「預かり」の利用料を徴収して差し支えないとされています。お迎えの時間が遅くなりがちな家庭は、契約前に確認しておくと安心です。

利用開始までの流れ

デイサービスは、自分で申し込んで明日から通えるものではありません。順番があります。

  • 要介護認定を受ける/まだの場合は市区町村の窓口か地域包括支援センターへ
  • ケアマネジャーに相談する/目的(入浴したい、家族が休みたい、運動したい)を具体的に伝える
  • 候補の事業所を見学する/可能なら本人と一緒に。雰囲気と浴室は必ず見る
  • 体験利用をする/多くの事業所が1日単位で受け付けている
  • ケアプランに位置づけ、契約する/曜日・時間・送迎の時刻を決める
  • 利用開始/最初は週1〜2回から始めることが多い

見学と体験は必ず入れてください。パンフレットでは分からない、送迎車の乗り心地、職員の声かけ、他の利用者の年齢層といった要素が、続くかどうかを決めます。

持ち物と服装

入浴する場合着替え一式(下着含む)、タオル、バスタオル ※事業所が用意する場合もあり
毎回必要なもの連絡帳、健康保険証や介護保険証の写し(初回)、内服薬
あると良いもの飲み慣れた水筒、老眼鏡、補聴器、口腔ケア用品、替えの靴下
服装脱ぎ着しやすく、動きやすい服。かかとのある靴(スリッパ・サンダルは転倒の原因)

持ち物にはすべて名前を書いてください。同じようなタオルや上着が並ぶので、紛失トラブルの大半はここで防げます。

利用前に知っておきたい5つのこと

①合わなければ変えられる

デイサービスは、一度決めたら我慢して通い続けるものではありません。ケアマネジャーに言えば事業所は変更できます。気を遣って言い出せない方が多いのですが、合わない場所に通い続けるほうが、はるかに損失が大きいです。

②食費とおやつ代は別にかかる

介護保険の対象になるのはサービスの提供部分で、食費・おやつ代・日用品費などは全額自己負担です。1日あたり数百円から千円程度が目安ですが、金額は事業所ごとに異なります。契約前に重要事項説明書で確認してください。

③最初の数回は疲れる

入浴・食事・活動が続く1日は、想像以上に体力を使います。帰宅後にぐったりするのは、最初のうちはよくあることです。慣れるまでに1〜2か月かかる方もいます。1回で判断せず、少なくとも数回は続けてみてください。

④送迎の範囲と時刻には制約がある

送迎は決まったルートを回るため、時刻の細かい指定は難しいことが多いです。通院日と重ならないか、朝の準備が間に合うかを、曜日を決める段階で確認しておきましょう。

⑤本人が納得して行くことがいちばん効く

家族が良かれと思って決めても、本人が「行かされている」と感じていると続きません。「入浴が楽になる」「同年代の話し相手ができる」など、本人にとっての利点を一緒に確認するところから始めてください。見学と体験は、そのための材料です。

よくある質問
デイサービスは何時から何時までですか?
もっとも多い1日型で、おおむね9時ごろから16時ごろまでです。介護報酬上は3時間以上4時間未満から8時間以上9時間未満まで区分があり、事業所とケアプランによって決まります。運動特化の半日型では3〜4時間程度です。
送迎の時間は利用時間に含まれますか?
含まれません。通知で、通所介護を行うのに要する時間に送迎に要する時間は含まれないと定められています。ただし送迎時の着替えや車椅子への移乗などの居宅内での介助は、要件を満たす場合に1日30分以内を限度として含めることができます。
お風呂に入りたくない場合はどうなりますか?
入浴は必須ではありません。利用しないこともできますし、個浴を備えている事業所も多くあります。ただし入浴を目的に利用している場合はケアプランの目的とずれるため、ケアマネジャーに相談して見直すのが適切です。
昼寝はできますか?
昼食後に休憩時間を設けている事業所が多く、横になれるスペースがあるところもあります。ただし全事業所で確保されているわけではないため、必要な場合は見学時に確認してください。
薬は預けられますか?
自宅から持参し、食後に職員が飲み忘れの確認をする形が一般的です。事業所によって預かり方や管理の方法が異なるため、契約時に取り決めます。1回分ずつ小分けにして持たせると間違いが起きにくくなります。
週に何回まで利用できますか?
回数の上限は一律に決まっておらず、要介護度ごとの区分支給限度基準額の範囲内で、ケアプランに位置づけた回数を利用します。他のサービスとの組み合わせで決まるため、ケアマネジャーと相談してください。
食費はいくらかかりますか?
食費・おやつ代は介護保険の対象外で全額自己負担です。金額は事業所ごとに設定されており、1日あたり数百円から千円程度が目安です。正確な金額は重要事項説明書で確認してください。
お迎えが遅くなっても預かってもらえますか?
家族の出迎えの都合などで通常の時間を超えて事業所にいる場合、その時間は通所介護のサービス提供とは認められず、別途利用料を徴収して差し支えないとされています。8時間以上9時間未満の利用の前後には延長サービスの仕組みもあります。対応の可否は事業所によるため、事前に確認してください。
まとめ
  • デイサービス(通所介護)は、入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話と、機能訓練を行うサービス。
  • もっとも多いのは7時間以上8時間未満の1日型で、9時ごろ〜16時ごろが目安。
  • 1日の流れは、送迎→健康チェック→入浴→昼食・口腔ケア→休憩→機能訓練・レク→おやつ→送迎。
  • 午前は入浴が中心で、順番待ちの時間は体操や談話にあてられる。
  • 昼食後には休憩時間があり、横になって休める事業所も多い。
  • 午後は集団体操・レクリエーションと、個別機能訓練計画にもとづく機能訓練。
  • 運動特化の半日型(3〜4時間)は入浴・食事がなく、拘束時間が短い。
  • 介護報酬上の利用時間に送迎の時間は含まれない。居宅内の介助は1日30分以内を限度に含められる。
  • 利用開始は、要介護認定→ケアマネ相談→見学→体験→ケアプラン・契約→利用開始の順。
  • 持ち物には必ず名前を書く。靴はかかとのあるものを選ぶ。
  • 食費・おやつ代・日用品費は介護保険の対象外で自己負担。
  • 合わなければケアマネジャーに相談して事業所を変更できる。我慢して通い続ける必要はない。
参考にした情報
  • 介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第7項(通所介護の定義)
  • 厚生省老人保健福祉局企画課長通知「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日老企第36号)第二の7(1)・(4)・(5)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(告示・通知・Q&A等の一次情報の掲載ページ)

※記事中のタイムスケジュールは、一般的な事業所の例として整理したものです。開始・終了の時刻、入浴や休憩の有無、レクリエーションの内容は事業所ごとに大きく異なるため、実際の内容は見学・体験と重要事項説明書でご確認ください。食費等の自己負担額も事業所ごとに設定されています。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用上の留意点に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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