グループホームとは?費用・入居条件・特養との違いを解説

「認知症ならグループホーム」と言われて調べ始めた方が、最初につまずくのがここです。特養より安いと思っていたのに、見積もりを見たら高かった。実はこれ、制度の設計上そうなる理由がはっきりあります。
この記事では、理学療法士・介護支援専門員として在宅と施設の両方に関わってきた立場から、介護保険法と指定地域密着型サービス基準の条文にもとづいてグループホームを整理します。入居条件、5〜9人という単位の意味、費用が特養と逆転する理由まで踏み込みます。
- グループホームの法律上の位置づけ
- 入居条件(3つの要件)
- 1ユニット5〜9人という基準の中身
- 職員体制と、夜間の実際
- 費用の内訳と単位数
- 特養より高くなることがある理由
- 退去になりやすい場面
グループホームとは何か
正式名称は認知症対応型共同生活介護。介護保険法第8条第20項が定義しています。
短い条文ですが、ここにグループホームの性格がほぼ全部入っています。
- 認知症であることが前提|認知症でない人は制度上の対象になりません
- 急性期の人は対象外|原因疾患が急性の状態にある人は除かれます
- 「共同生活を営むべき住居」|施設ではなく「住まい」として設計されています
- 地域密着型サービス|指定は市町村が行います
リハウルフ「共同生活を営むべき住居」という言葉が本質です。職員が世話をする場所ではなく、一緒に暮らす場所。だから入居者が調理や洗濯に加わります。これを「働かされている」と誤解する家族が時々いますが、役割があることが認知症ケアの中核なんです。
グループホームの入居条件は3つ
認知症の診断があること
条文どおり、認知症であることが必須です。医師の診断書または意見書で確認されます。原因疾患が急性の状態にある場合は対象外とされているため、たとえば急性期の治療中である場合は、状態が落ち着いてからの検討になります。
要支援2以上であること
要介護1〜5の人は認知症対応型共同生活介護、要支援2の人は介護予防認知症対応型共同生活介護を利用します。要支援1には給付の設定がありません。介護報酬の算定構造上も、予防給付は要支援2のみです。
施設のある市町村の住民であること
グループホームは地域密着型サービスなので、指定を行うのは市町村です。そのため原則としてその市町村の被保険者しか利用できません。
ちびウルフ近くの市ならどこでもいいと思ってた……
なお、これらは制度上の下限です。加えて事業所ごとに「自力歩行または見守りで移動できること」「医療的な処置が少ないこと」などの独自条件があるのが実情です。
1ユニット5〜9人という決まり
指定地域密着型サービス基準(平成18年厚生労働省令第34号)が、設備の基準を定めています。
| 共同生活住居の数 | 1事業所あたり1以上3以下(サテライト型は1または2) |
|---|---|
| 入居定員 | 共同生活住居ごとに5人以上9人以下 |
| 居室の定員 | 1人(処遇上必要と認められる場合は2人まで) |
| 居室の床面積 | 7.43平方メートル以上 |
| 必要な設備 | 居室、居間、食堂、台所、浴室、消火設備等。居間と食堂は同一の場所とすることができる |
この「5〜9人」が、グループホームという仕組みの心臓部です。同じ顔ぶれ、同じ職員、同じ生活の流れを保つことで、記憶が保ちにくくなった人でも環境に馴染めるように設計されています。
逆に言えば、大規模施設のような多様な設備や広さは期待できません。居室7.43平方メートルは、畳4.5畳ほどです。
職員体制と夜間の現実
人員基準は同省令が定めています。
- 日中の介護従業者|利用者の数が3またはその端数を増すごとに1以上(常勤換算)
- 夜間・深夜|時間帯を通じて1以上の介護従業者に夜勤を行わせるために必要な数以上
- 3ユニットの例外|3つの共同生活住居がすべて同一階で隣接し、円滑な状況把握と速やかな対応が可能な構造で、安全対策が講じられている場合は、夜勤者を2人以上とすることができる
- 常勤者|介護従業者のうち1以上は常勤
- 計画作成担当者|事業所ごとに配置。厚生労働大臣が定める研修を修了している者で、うち1以上は介護支援専門員でなければならない
リハウルフ計画作成担当者に認知症介護の研修修了が義務づけられているのは、他のサービスにない特徴です。見学のとき、この人と話してください。ケアの質は、ほぼここで決まります。
グループホームの費用はどう決まるか
介護保険が効く部分
認知症対応型共同生活介護費は1日あたりの定額です(令和8年6月施行の算定構造・基本部分)。
| 要介護度 | (Ⅰ)/(Ⅱ) |
|---|---|
| 要介護1 | 765単位/753単位 |
| 要介護2 | 801単位/788単位 |
| 要介護3 | 824単位/812単位 |
| 要介護4 | 841単位/828単位 |
| 要介護5 | 859単位/845単位 |
| 要支援2 | 761単位/749単位(介護予防) |
(Ⅰ)と(Ⅱ)は事業所の区分による違いで、金額差は1日あたり10〜15単位程度です。どちらが適用されるかは事業所に確認してください。
1単位10円として要介護3の(Ⅰ)で計算すると、824単位×30日=24,720単位=約24万7千円。1割負担なら月およそ2万5千円です(概算。1単位の単価は地域とサービス種類で10円〜11.40円の幅があり、夜間支援体制加算や認知症専門ケア加算などが上乗せされます)。
介護保険が効かない部分
問題はこちらです。グループホームは「住まい」なので、暮らしにかかる費用は全額自己負担になります。
- 家賃(居室利用料)|物件によって大きく異なります
- 食材料費|3食+おやつ
- 水道光熱費
- 共益費・管理費
- おむつ代|特養と違い、原則自己負担です
- 理美容代、日用品費、医療費、レクリエーション費など
これらの水準は事業所ごとに大きく異なり、全国一律の基準はありません。重要事項説明書と料金表で個別に確認してください。
ちびウルフ介護のお金だけ見てちゃダメなんだね
特養との違い
ここが本題です。
| グループホーム | 介護保険法の地域密着型サービス。認知症が必須。要支援2以上。定員5〜9人/ユニット。指定は市町村。原則その市町村の住民のみ |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 老人福祉法の老人福祉施設であり、介護保険法上は介護老人福祉施設(定員30人以上)。原則要介護3以上。認知症は必須でない。市町村をまたいで申し込める |
費用が逆転する理由
介護保険法第51条の3は、所得と資産の状況に応じて食費と居住費を軽減する給付(特定入所者介護サービス費、いわゆる補足給付)を定めています。対象として列挙されているのは次の6つです。
認知症対応型共同生活介護は、この列挙に入っていません。つまり、グループホームでは食費・居住費の軽減制度が使えません。
ちびウルフ介護の値段じゃなくて、家賃と食費のほうで差がつくんだ
なお、高額介護サービス費(自己負担が上限を超えた分の払い戻し)は、グループホームの介護サービス費も対象です。ただし家賃・食費・光熱費は対象外なので、ここも軽減されません。
向いている人・慎重に考えたい人
| 向いている | 認知症はあるが身体は比較的動く/少人数の落ち着いた環境が合う/家事など役割があると安定する/自宅での見守りが限界だが、大規模施設には早いと感じる |
|---|---|
| 慎重に考えたい | 常時の医療的な処置が必要/夜間に頻回な対応が必要/身体介護量が非常に多い/経済的に補足給付の適用を前提に考えている |
退去の理由として実務で多いのは、入院の長期化、医療的処置の増加、他の入居者への強い他害行為です。契約前に「どうなったら退去になるか」を文書で確認してください。グループホームは看護職員の配置が必須ではないため、医療面の対応力は事業所ごとの差が非常に大きくなります。
リハウルフ訪問リハビリで伺っていると、台所から音がして、洗濯物をたたんでいるホームは、だいたい落ち着いています。逆に日中ずっと全員がテレビの前に座っているところは、少し考えます。見学は昼食の時間帯に行ってください。いちばん生活が見えます。
要支援1でも入居できますか?
認知症の診断がなくても入れますか?
他の市町村のグループホームには入れませんか?
特養とグループホーム、どちらが安いですか?
看取りまでお願いできますか?
- グループホームの正式名称は認知症対応型共同生活介護。介護保険法第8条第20項にもとづく地域密着型サービス。
- 入居条件は、認知症の診断があること(原因疾患が急性の状態にある人は除く)、要支援2以上であること、その市町村の被保険者であること。
- 共同生活住居は1事業所あたり1〜3、定員は1住居あたり5〜9人、居室は原則1人で7.43平方メートル以上。
- 日中の介護従業者は利用者3人につき1以上(常勤換算)。夜間は原則1ユニットにつき1人。
- 計画作成担当者は厚生労働大臣が定める研修の修了者で、うち1人以上は介護支援専門員。
- 介護費は1日定額。要介護3で824単位/日(Ⅰ)、要支援2で761単位/日(Ⅰ)。
- 家賃・食材料費・水道光熱費・おむつ代などは全額自己負担で、事業所ごとに大きく異なる。
- 介護保険法第51条の3の補足給付(食費・居住費の軽減)の対象に、グループホームは含まれていない。
- そのため所得が低い方ほど、特養と比べて総額が高くなりやすい。
- 高額介護サービス費は介護サービス費が対象。家賃・食費は対象外。
- 看護職員の配置は必須ではないため、医療的対応の可否は事業所差が大きい。退去条件は契約前に文書で確認する。
- e-Gov法令検索「介護保険法(平成9年法律第123号)」(第8条第20項:認知症対応型共同生活介護、第8条第27項:介護老人福祉施設、第51条の3:特定入所者介護サービス費)
- e-Gov法令検索「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)」(認知症対応型共同生活介護の人員基準・設備基準)
- e-Gov法令検索「老人福祉法(昭和38年法律第133号)」(第20条の5:特別養護老人ホーム)
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造(令和8年6月改定)」(認知症対応型共同生活介護費、介護予防認知症対応型共同生活介護費)
※本記事の制度に関する記述は、介護保険法、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準、老人福祉法の条文にもとづきます。条文は要旨として整理しており、正確な文言は原典をご確認ください。単位数は令和8年6月改定の算定構造の基本部分であり、各種加算・減算は含みません。金額の試算は1単位10円として計算した概算で、実際の1単位の単価は地域とサービス種類により異なります。家賃・食材料費・水道光熱費等の水準は事業所ごとに大きく異なり、全国一律の基準は存在しません。実務に関する記述は筆者(理学療法士・介護支援専門員)の経験にもとづくものです。個別の判断は担当ケアマネジャー・地域包括支援センター・市町村の介護保険担当課にご相談ください。内容は2026年8月時点で確認できた情報です。



