「退院してきた利用者さんに、しっかりリハビリを提供したい。でも短期集中個別リハビリテーション実施加算って、要件はどうだったかな?」——通所リハビリ(デイケア)を運営していると、この加算は算定率も高く身近な一方で、起算日や週あたりの回数、併算定のルールでつまずく事業所が少なくありません。

この記事では、令和6年度(2024年度)介護報酬改定を反映し、通所リハビリにおける短期集中個別リハビリテーション実施加算の単位数・算定要件・起算日の考え方・算定できる例とできない例・併算定の可否までを、事業所の管理者・経営者目線で徹底的に整理します。厚生労働省の告示・解釈通知(老企第36号)をふまえ、現場でそのまま使えるレベルまで掘り下げました。

この記事でわかること
  • 短期集中個別リハビリテーション実施加算の単位数(110単位/日)と算定要件
  • 起算日(退院・退所日/要介護認定日)の正しい数え方と3か月の期間
  • 「週おおむね2日以上・1日40分以上」の実務的な満たし方
  • 算定できる例・できない例(入退院をはさむケースの考え方)
  • 認知症短期集中リハ・生活行為向上リハとの併算定不可のルール
  • 令和6年度改定で何が変わり、何が変わらなかったか

短期集中個別リハビリテーション実施加算とは?まず結論

短期集中個別リハビリテーション実施加算とは、医療機関や介護保険施設からの退院(退所)後、または要介護認定を受けた直後の利用者に対し、一定期間集中的に個別リハビリテーションを提供した場合に算定できる加算です。対象となるサービスは通所リハビリテーション(デイケア)のみで、通所介護(デイサービス)では算定できません。

退院・退所の直後は心身機能が低下しやすく、この時期に集中的なリハビリを行うことで、生活機能の回復・維持が期待できます。国はこの「早期・集中」のリハビリを評価する目的でこの加算を設けています。

ちびウルフちびウルフ

退院した人だけじゃなくて、新しく要介護認定を受けた人も対象になるんですか?

リハウルフリハウルフ

そうだよ。起算日は「退院・退所日」だけでなく「要介護認定日」も含まれるんだ。だから入院していなくても、認定を受けてから3か月以内なら算定できる場合があるんだよ。

単位数と算定要件【令和6年度・2024年度版】

結論から示します。通所リハビリにおける短期集中個別リハビリテーション実施加算の単位数と要件は次のとおりです。

項目内容
単位数110単位/日
対象サービス通所リハビリテーション(デイケア)のみ
算定期間退院・退所日、または要介護認定日から起算して3か月以内
実施頻度1週間におおむね2日以上
1日あたりの時間40分以上の個別リハビリテーション
実施内容基本的動作能力・応用的動作能力を向上させ、身体機能を回復するための集中的なリハビリ
併算定の制限認知症短期集中リハ実施加算・生活行為向上リハ実施加算を算定している場合は算定不可
ポイント「1日40分以上」は、20分以上の個別リハビリを複数回行って合計40分以上とする運用が一般的です。リハビリは医師の指示のもと、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が個別に実施します。

起算日の数え方——退院・退所日/要介護認定日の3か月

この加算でもっとも質問が多いのが「いつから3か月か」という起算日の考え方です。起算日は次のいずれかです。

  1. 退院日:利用者がリハビリを必要とする状態の原因となった疾病の治療等のための入院から退院した日
  2. 退所日:介護保険施設等を退所した日
  3. 要介護認定日:要介護認定を受けた日

この起算日から3か月(暦の月数ではなく、起算日から3か月後の前日まで)が算定可能期間です。たとえば10月15日に退院した場合、翌年1月14日までが算定対象期間となります。

注意「退院日」とは、リハビリを必要とする状態の原因となった疾病の治療のための入院から退院した日を指します。2〜3日程度の検査入院などで、入院前と同じ計画でリハビリを継続できる場合に、改めて起算日を取り直すのは不適切とされています。

算定できる例・できない例

算定できる例

退院後、連続して3か月間リハビリを利用した場合は、退院日から3か月後まで算定できます。また、退院後3か月の途中で再び入院した場合でも、原因疾患が同じなら入院期間を除いて最初の退院日から3か月後まで算定可能です。

原因疾患が異なる入退院が発生した場合は、それぞれの退院日を起算日として算定でき、結果的に算定終了日が後ろにずれます。

ケース算定可能期間の考え方
退院後3か月連続利用退院日〜3か月後まで
同一疾患で入退院あり最初の退院日〜3か月後まで(入院期間中は算定不可)
別疾患で再入院・退院各退院日を起算日として算定(後の退院日から3か月後まで)

算定できない例

退院日から3か月以内であっても、本人・家族の希望や支給限度額の関係で週1日しか通所リハを利用しなかった場合は、「週おおむね2日以上・1日40分以上」の要件を満たさないため算定できません。集中的なリハビリが必要な利用者であれば、居宅サービス計画(ケアプラン)で通所リハの利用を優先的に位置づけることが想定されます。

ちびウルフちびウルフ

週2日通えない利用者さんだと、もったいないですね…。

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。だからケアマネと連携して、退院直後の大事な時期に必要な回数を確保できるよう、ケアプランに位置づけてもらうことが鍵になるよ。

認知症短期集中リハ・生活行為向上リハとの併算定は不可

短期集中個別リハビリテーション実施加算は、認知症短期集中リハビリテーション実施加算、または生活行為向上リハビリテーション実施加算を算定している場合には算定できません。利用者ごとに、どの加算がもっとも状態と目標に合うかを見極めて選択する必要があります。

ポイント身体機能の回復が主目標なら短期集中個別リハ、認知症の改善が主目標なら認知症短期集中リハ、IADL(手段的日常生活動作)など生活行為の向上が主目標なら生活行為向上リハ、と整理すると選びやすくなります。

令和6年度改定で変わったこと・変わらなかったこと

結論として、通所リハビリの短期集中個別リハビリテーション実施加算そのものの単位数・要件に、令和6年度改定での大きな見直しはありません。一方で、介護老人保健施設(老健)の「短期集中リハビリテーション実施加算」では、月1回以上のADL評価とLIFEへの情報提出が新たに要件化されるなど、リハビリ系加算全体で「アウトカム評価」「LIFE活用」を重視する方向が強まっています。

背景には、令和6年度改定の議論で示された「通所リハの計画書の目標が身体機能中心に偏り、ADL・IADLの改善を目標とする割合は2〜3割にとどまる」という現状認識があります。短期集中個別リハを算定する事業所も、単なる機能訓練にとどまらず、活動・参加につながる目標設定を意識することが、今後の改定対応としても重要です。

算定にあたっての実務ステップ(管理者向け)

  1. 退院・退所時に医療機関のリハビリテーション実施計画書等を入手し、内容を把握する(令和6年度改定で義務化)
  2. 医師の診療に基づき通所リハビリテーション計画を作成し、起算日・目標・実施頻度を明記する
  3. ケアマネと連携し、週おおむね2日以上の利用をケアプランに位置づける
  4. PT・OT・STが1日40分以上の個別リハビリを実施し、実施記録を残す
  5. 3か月以内の算定期間を管理し、入退院があれば起算日を再確認する
注意令和6年度改定では、医療機関から退院した利用者の計画作成時に、医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等を入手し内容を把握することが運営基準上義務づけられました。提供されない場合は、医療機関名と依頼日を記録に残す必要があります。

よくある質問(FAQ)

短期集中個別リハビリテーション実施加算は通所介護でも算定できますか?
いいえ。対象は通所リハビリテーション(デイケア)のみです。通所介護(デイサービス)では算定できません。
「1日40分以上」は1回で40分行う必要がありますか?
必ずしも1回である必要はありません。20分以上の個別リハビリを複数回実施し、1日合計で40分以上とする運用が一般的です。いずれも医師の指示に基づきPT・OT・STが個別に実施します。
検査入院など短期の入院でも起算日を取り直せますか?
入院期間の長短自体は要件ではありませんが、これまでのリハビリに影響せず入院前と同じ計画で継続できる場合に、新たに起算日を取り直すのは不適切とされています。あくまで「リハビリを要する状態の原因となった疾病」の治療のための入退院かどうかで判断します。
リハビリテーションマネジメント加算と併算定できますか?
短期集中個別リハと併算定が不可なのは「認知症短期集中リハ」「生活行為向上リハ」です。リハビリテーションマネジメント加算は別の加算であり、要件を満たせば併せて算定できます。詳細は関連記事をご確認ください。
算定でケアプランの変更は必要ですか?
リハビリテーションカンファレンスの結果、居宅サービス計画の変更が必要と判断された場合は、担当ケアマネを通じて変更を依頼します。週2日以上の利用が確保できるよう、退院直後の計画調整が重要です。
まとめ
  • 短期集中個別リハビリテーション実施加算は110単位/日、対象は通所リハビリのみ。
  • 起算日(退院・退所日/要介護認定日)から3か月以内週おおむね2日以上・1日40分以上の個別リハが要件。
  • 認知症短期集中リハ・生活行為向上リハとは併算定不可。利用者の主目標で使い分ける。
  • 令和6年度改定では通所リハ版の単位数・要件に大きな変更はないが、医療機関のリハ計画書の入手が義務化。ADL・IADLを意識した目標設定が今後の鍵。
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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