「親が脳梗塞で倒れて、これからリハビリの病院に移ると言われたけれど、いつまで入院できるのだろう」——そんな不安を抱えるご家族はとても多いです。リハビリ病院の入院期間は、実は病気の種類によって日数の上限が決まっていることをご存じでしょうか。

この記事では、高齢者がリハビリのために入院する「回復期リハビリテーション病棟」を中心に、疾患別の入院期間の上限、地域包括ケア病棟や療養病棟との違い、退院後の生活までを、最新の制度(令和6年度/2024年度診療報酬改定)にもとづいて正確に解説します。読み終えるころには、入院から退院までの見通しが立てられるようになります。

この記事でわかること
  • 高齢者がリハビリで入院する「回復期リハビリ病棟」とは何か
  • 疾患別の入院期間の上限(脳血管150日・骨折90日など)
  • 地域包括ケア病棟(60日)・療養病棟との違いと使い分け
  • 2024年度改定で心大血管疾患が回復期の対象に加わった最新情報
  • 入院期間が終わったあとの「在宅復帰」と退院後の備え

リハビリ病院=「回復期リハビリテーション病棟」が中心

結論から言うと、高齢者がリハビリのために入院する病棟の代表が「回復期リハビリテーション病棟」です。脳卒中や骨折などで急性期の治療を終えた後、自宅や社会へ戻るために、集中的なリハビリを行う専門の病棟です。

急性期病院(救急で運ばれて手術や治療を受ける病院)での治療が一段落すると、多くの場合、この回復期リハビリ病棟へ転院します。1日最大3時間(9単位)まで、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)による濃密なリハビリを受けられるのが特徴です。

ちびウルフちびウルフ

急性期の病院でずっとリハビリすればいいのに、どうしてわざわざ転院するの?

リハウルフリハウルフ

急性期病院は「命を救い、病気を治す」のが役割なんだ。体が落ち着いたら、今度は「生活を取り戻す」ための集中リハビリが必要になる。それを専門にしているのが回復期リハビリ病棟なんだよ。役割分担なんだね。

【最重要】回復期リハビリ病棟の入院期間は疾患別に上限がある

回復期リハビリ病棟の入院期間は、無制限ではありません。対象となる病気(疾患)ごとに、入院料を算定できる日数の上限が国によって定められています。これが「入院期間の目安」になります。主な疾患別の上限日数は次のとおりです。

対象となる主な状態入院期間の上限
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷 など150日
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷、頭部外傷を含む多部位外傷180日
大腿骨・骨盤・脊椎・股関節・膝関節の骨折、または2肢以上の多発骨折 など90日
外科手術や肺炎などの治療時の安静による廃用症候群90日
股関節・膝関節の神経・筋・靱帯損傷後 など60日
急性発症した心大血管疾患または手術後の状態
(2024年度改定で新たに追加)
90日
ポイント:日数は「発症・手術からの日数」上限日数は「入院した日から」ではなく、原則として病気を発症した日や手術をした日からの日数で数えます。急性期病院に入院していた期間も含まれるため、回復期病棟に実際に入院できる期間はこれより短くなる点に注意しましょう。
注意:上限日数まで必ず入院できるわけではない上限日数はあくまで「最大でこの日数まで入院料を算定できる」という目安です。リハビリが順調に進み、自宅で生活できる状態まで回復すれば、上限を待たずに退院となります。逆に、回復の見込みや状態によっては、上限より早く別の病棟・施設へ移ることもあります。

2024年度(令和6年度)改定で変わったこと

回復期リハビリ病棟の制度は、おおむね2年に1度の診療報酬改定で見直されます。令和6年度(2024年度)の改定では、利用者・家族にも関わる次のような変更がありました。

もっとも大きな変更は、「急性発症した心大血管疾患または手術後の状態」が回復期リハビリ病棟の対象疾患に新しく加わったことです(上限90日)。これにより、心臓の手術後などでも回復期病棟で集中的なリハビリを受けやすくなりました。あわせて、入院料の評価や、リハビリの効果を示す「実績指数」の考え方なども見直され、より質の高いリハビリと在宅復帰が重視される方向になっています。

ちびウルフちびウルフ

制度ってよく変わるんだね。家族はどうやって最新情報を知ればいいの?

リハウルフリハウルフ

一番確実なのは、入院先の「医療ソーシャルワーカー(MSW)」に聞くことだよ。退院支援の専門職で、入院期間の見通しや退院後の選択肢を一緒に考えてくれる頼れる存在なんだ。遠慮せず相談してね。

回復期以外の選択肢|地域包括ケア病棟・療養病棟との違い

高齢者が入院してリハビリを受けられる病棟は、回復期リハビリ病棟だけではありません。状態や目的に応じて、次のような病棟も選択肢になります。

病棟の種類入院期間の目安主な役割
回復期リハビリテーション病棟疾患別に60〜180日集中的なリハビリで在宅復帰を目指す
地域包括ケア病棟最大60日急性期治療後の状態安定・在宅復帰の準備。回復期の対象でない病気にも対応
療養病棟(医療療養病床)比較的長期医療的なケアが継続的に必要な人の長期療養

地域包括ケア病棟は最大60日まで入院でき、回復期リハビリ病棟の対象とならない病気の人でもリハビリを受けながら退院準備ができます。リハビリは1日平均2単位(40分)以上が提供されるのが目安です。一方、医療的なケアが長く必要な場合は療養病棟が選択肢になります。どの病棟が適しているかは、本人の状態と退院後の生活設計によって変わります。

ポイント「回復期に入れなかった=リハビリができない」ではありません。地域包括ケア病棟でもリハビリは受けられますし、退院後は外来リハビリ・通所リハビリ・訪問リハビリへとつなげていくことができます。大切なのは、入院から在宅までを切れ目なくつなぐことです。

入院期間が終わったあと|在宅復帰と退院後の備え

リハビリ病院の入院には期限があるからこそ、「退院後の生活をどう支えるか」を早めに考え始めることが何より大切です。退院が近づいてから慌てないために、入院中から準備を進めましょう。

  1. 退院後の生活の場を決める:自宅に戻るのか、施設を検討するのか。家族で方針を共有します。
  2. 要介護認定を申請する:退院後に介護保険サービスを使うには認定が必要。入院中から申請できます。
  3. ケアマネジャーを決め、ケアプランを作る:退院後の訪問リハビリ・デイサービスなどを組み立てます。
  4. 自宅の環境を整える:手すりの設置や段差解消など、住宅改修・福祉用具を準備します。
  5. 退院後のリハビリにつなぐ:外来・通所・訪問リハビリで、回復した力を維持・向上させます。

退院後は、自宅という実際の生活環境でリハビリを続けられる訪問リハビリテーションが大きな助けになります。段差の上り下りやトイレ・浴室での動作など、「自宅でできるようになりたい動き」を、その場で練習できるのが強みです。病院でのリハビリと在宅でのリハビリをうまくつなぐことで、退院後の生活がぐっと安定します。

よくある質問(FAQ)

上限日数を過ぎたら、すぐに退院しなければいけませんか?
上限日数は「回復期リハビリ病棟入院料を算定できる期間」の目安です。これを超えると同じ条件での入院継続は難しくなり、退院や、地域包括ケア病棟・療養病棟・施設などへの移行を検討することになります。早めに医療ソーシャルワーカーへ相談しましょう。
入院期間は誰がどう決めるのですか?
疾患別の上限は国の制度で定められていますが、実際の退院時期は、本人の回復状況・自宅の環境・家族の支援体制などを踏まえ、医師・リハビリ職・ソーシャルワーカーらが本人・家族と相談しながら決めていきます。
急性期病院にいた期間も日数に含まれますか?
はい。上限日数は原則として発症日・手術日から数えるため、急性期病院での入院期間も含まれます。そのため、回復期病棟に転院してから実際にリハビリできる期間は、上限日数より短くなります。
費用が心配です。負担を軽くする制度はありますか?
医療費が高額になった場合は「高額療養費制度」で自己負担に上限が設けられます。所得に応じて限度額が決まり、超えた分は払い戻されます。入院前に「限度額適用認定証」を用意しておくと窓口負担を抑えられます。詳しくは加入している健康保険へご確認ください。
退院後もリハビリは続けられますか?
続けられます。外来リハビリ、通所リハビリ(デイケア)、訪問リハビリなどに切り替えて継続できます。介護保険の対象になる場合は、ケアマネジャーがプランに組み込んでくれます。
まとめ
  • 高齢者がリハビリで入院する病棟の中心は「回復期リハビリテーション病棟」で、1日最大3時間の集中リハビリを受けられる。
  • 入院期間は疾患別に上限があり、脳血管疾患150日(重症は180日)、骨折・廃用症候群・心大血管疾患は90日などと決まっている。
  • 上限日数は発症日・手術日から数えるため、急性期病院の入院期間も含まれる点に注意。
  • 2024年度改定で「急性発症した心大血管疾患」が回復期の対象に追加された(最新情報)。
  • 回復期以外に地域包括ケア病棟(最大60日)・療養病棟もあり、退院後は訪問・通所リハビリへつないで切れ目なく支えることが大切。

出典:厚生労働省 令和6年度診療報酬改定関連資料(A308 回復期リハビリテーション病棟入院料・別表第九)、地域包括ケア病棟入院料 関連通知 等を参考に作成。算定要件・上限日数は今後の制度改定で変わる可能性があるため、最新の取り扱いは入院先の医療機関・医療ソーシャルワーカーにご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
PR

リハビリ職の転職・求人なら
レバウェルリハビリ

リハノメ 無料で求人を見る ▶
PR

PT・OT・STのオンラインセミナー
リハノメ

リハノメ セミナーを詳しく見る ▶