「指定申請や実地指導で求められる勤務表(勤務形態一覧表)の書き方が分からない」「どの様式を使えばいいの?」「常勤換算の欄が空欄のまま提出してしまいそう」——介護保険サービスの運営で、管理者が必ず作成する書類が勤務表(従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表)です。人員基準を満たしていることを証明する、いわば事業所の”通信簿”のような重要書類です。

この記事では、厚生労働省が公開している標準様式(令和6年度版)に基づき、勤務表の作成方法を記入項目ごとに・手順どおりに、管理者・経営者の視点でとことん詳しく解説します。記入例・チェックリスト・よくある不備までカバーしているので、これを読めば自信を持って正確な勤務表が作れます。

この記事でわかること
  • 勤務表(勤務形態一覧表)とは何か・どの様式を使うか
  • 厚労省標準様式の記入項目と、作成のステップ
  • 勤務形態の記号(A〜D)の付け方と常勤換算欄の埋め方
  • 添付が必要な「シフト記号表」など実務の注意点
  • 実地指導で指摘されやすい不備と、その防ぎ方

勤務表(勤務形態一覧表)とは?何のために作る書類か

介護保険サービスの勤務表は、正式には「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表」といいます。各職員の1か月(または4週間)分の勤務時間を一覧にし、人員基準(必要な職員数)を満たしていることを示すための書類です。

主に次の場面で提出・整備が求められます。

場面内容
指定申請(新規)事業所開設時に人員基準の充足を証明
変更届・更新体制変更や指定更新の際に最新の状況を提出
加算の届出体制要件のある加算で配置を証明
実地指導・監査日々の勤務実態と人員基準の整合を確認
ちびウルフちびウルフ

シフト表とは別に作らないといけないの?

リハウルフリハウルフ

厚労省は「必要項目を満たしていれば、各事業所で使っているシフト表をもって代替書類として差し支えない」としているよ。でも人員基準の確認欄や常勤換算が計算できる様式のほうが安心。まずは公式様式に沿うのがおすすめだね。

使う様式は「厚労省の標準様式1」が基本

勤務表には、厚生労働省が公開している標準様式1(従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表)を使うのが基本です。Excel形式で、サービス種別(訪問介護・訪問看護・通所介護・特定施設・特養 など)ごとにシートが分かれており、勤務時間を入力すると合計時間・週平均・常勤換算が自動計算されるようになっています。

ポイント様式はサービスごとに項目が異なります。たとえば通所介護にはサービス提供時間内の勤務延時間数の欄が、特定施設・特養には利用者数の欄があります。自事業所のサービス種別のシートを選ぶことが第一歩です。なお、提出先の自治体が独自様式を指定している場合は、そちらに従ってください。

勤務表の作成手順|厚労省様式の記入の流れ

標準様式に沿った作成手順は次のとおりです。上から順に埋めていけば完成します。

  1. 基本情報を入力:年月、サービス種別、事業所名を記入する
  2. 集計期間を選択:「4週」または「暦月」を選ぶ(指定基準の確認は4週分で差し支えない)
  3. 「予定/実績」を選択:作成目的に応じて選ぶ
  4. 常勤の勤務すべき時間数を入力:就業規則上の常勤の所定労働時間(例:週40時間)を入れる
  5. 職員ごとに「職種・勤務形態・資格・氏名」を記入:職種ごと、勤務形態ごとにまとめて並べる
  6. 日々の勤務時間(シフト記号)を入力:1か月分を入れる(合計・週平均は自動計算)
  7. 兼務状況を記入:他事業所・他職種との兼務先と職務内容を備考に書く
  8. 人員基準の確認欄(常勤換算)を埋める:常勤換算後の人数が基準を満たすか確認
  9. シフト記号表を作成・添付:各記号が何時〜何時の勤務かを定義して添付する

勤務形態の記号(A〜D)の付け方

各職員の勤務形態は、「常勤か非常勤か」×「専従か兼務か」の組み合わせで、次の4つの記号から選びます。

記号区分該当する職員の例
A常勤で専従所定時間を満たし、その職種だけに従事
B常勤で兼務所定時間を満たすが、管理者と看護職員を兼ねる等
C非常勤で専従時短勤務で、その職種だけに従事
D非常勤で兼務時短勤務で、複数職種を掛け持ち
注意「常勤・非常勤」は勤務時間で判断し、雇用形態(正社員・パート)は考慮しません。厚労省様式にも「常勤者は週40時間勤務とされた事業所であれば、非正規雇用であっても週40時間勤務する従業者は常勤扱い」と明記されています。「正社員だからA」と機械的に判断しないよう注意してください。

兼務職員は「職種ごとに行を分ける」

1人の職員が複数の職種を兼ねている場合は、職種ごとに行を分けて記入します。たとえば「管理者兼看護職員」なら、管理者の行と看護職員の行に分け、それぞれに充てた勤務時間を記載します。1つの行にまとめて書くと、どの職種に何時間配置したのかが分からず、人員基準の確認ができなくなります。

常勤換算欄の埋め方|ここが勤務表の山場

勤務表の最重要ポイントが、人員基準の確認(常勤換算)欄です。基本的な考え方は次のとおりです。

常勤換算の基本常勤換算後の人数 = 常勤の従業者の実人数(非常勤の勤務延時間数 ÷ 常勤が勤務すべき時間数)

ここで間違えやすいのが、常勤職員(記号A・B)は常勤換算をせず「実人数」で数える点です。様式にも「常勤の従業者については常勤換算方法によらず、実人数で計算する」と明記されており、記号A・Bの職員は『常勤換算方法対象外の常勤の従業者の人数』欄に手入力します。一方、非常勤(記号C・D)は勤務時間を合計して常勤の所定時間で割ります。

注意常勤換算後の人数は、小数点第2位以下を切り捨てて小数点第1位まで(例:2.49→2.4)で表します。四捨五入ではありません。基準ギリギリの事業所は、切り捨てで基準を下回らないか必ず確認してください。

育児・介護の短時間勤務は「常勤扱い」にできる

育児・介護休業法による短時間勤務制度を利用する職員は、週30時間以上の勤務であれば常勤として取り扱い(1人とカウント)できます。この場合、勤務形態はAまたはBとし、常勤換算対象外の常勤人数に「1」を入れ、兼務状況欄に「短時間勤務制度利用」と記入します。両立支援を人員基準上も認める特例です。

添付書類「シフト記号表」を忘れずに

勤務表とセットで「シフト記号表(勤務時間帯)」の添付が必須です。これは、勤務表に書いた「a」「b」などの記号が、それぞれ何時〜何時の勤務で、休憩が何分かを定義する一覧表です。たとえば「a=9:00〜18:00(休憩1:00/実働8時間)」のように設定します。

ポイント記号を使わず、勤務時間数を直接入力する欄も用意されています。シフトを記号で表しにくい職種は、勤務時間数のみを入力する方法でも構いません。いずれの場合も、勤務表とシフト記号表の整合(記号と時間が一致しているか)を確認しましょう。

実地指導で指摘されやすい不備チェックリスト

勤務表は、実地指導で必ずと言ってよいほど確認される書類です。次の点をセルフチェックしておきましょう。

チェック項目確認内容
勤務時間の上限1人あたりの算入時間が常勤の所定時間を超えていないか
常勤換算の端数四捨五入せず、第2位以下を切り捨てているか
勤務形態の記号雇用形態でなく勤務時間でA〜Dを判定しているか
兼務の分割兼務職員を職種ごとに行分けし、時間を按分しているか
実績との整合タイムカード・賃金台帳・サービス提供記録と矛盾しないか
シフト記号表添付され、記号と勤務時間が一致しているか
ちびウルフちびウルフ

勤務表は「予定」で出してもいいの?それとも「実績」じゃないとダメ?

リハウルフリハウルフ

新規指定申請のように開設前なら「予定」でOK。すでに運営していて実地指導などで体制を見せるときは「実績」が基本だよ。様式の冒頭で「予定・実績・予定/実績」を選べるから、目的に合わせて選んでね。大事なのは、出した数字が日々の勤務記録と矛盾しないことなんだ。

よくある質問(FAQ)

勤務表は毎月作る必要がありますか?
指定申請や変更届の都度のほか、人員基準の充足を日常的に管理する観点から、月単位で勤務実績を整理しておくのが望ましいです。実地指導では直近の勤務実態を確認されるため、シフト表・タイムカードと一体で保管しておきましょう。
常勤の所定労働時間が週38時間です。分母は40で計算しますか?
いいえ、38時間で計算します。分母は事業所が就業規則で定めた常勤の所定労働時間です。ただし週32時間を下回る場合のみ、32時間を下限とします。
管理者は勤務表に書く必要がありますか?
はい。申請する事業に係る従業者には管理者も含めて記入します。管理者が他職種を兼務する場合は、職種ごとに行を分けて勤務時間を記載します。
休憩時間は勤務時間に含めますか?
原則として実勤務時間で記入します。ただし通所介護などでは、確保すべき勤務延時間数に労働基準法上最低限確保すべき休憩時間を含めてよいとする取り扱いがあるなど、サービスにより細部が異なります。様式の注記と解釈通知を確認してください。
自社のシフト表で代用できますか?
必要項目を満たしていれば、各事業所で使用するシフト表をもって代替書類として差し支えないとされています。ただし常勤換算の確認がしやすい厚労省様式の使用が無難です。提出先自治体の指定がある場合はそれに従ってください。
まとめ
  • 勤務表=「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表」。人員基準の充足を示す書類
  • 厚労省の標準様式1(サービス種別ごと)を使い、上から順に記入していく
  • 勤務形態はA〜Dの記号。常勤・非常勤は勤務時間で判断(雇用形態は問わない)
  • 常勤は実人数、非常勤は時間を割って常勤換算。端数は第2位以下切り捨て
  • シフト記号表の添付を忘れず、タイムカード等の実績と必ず整合させる

出典:厚生労働省「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表(標準様式1)」および各サービスの記入方法、平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)ほか。様式・取り扱いは制度改正や自治体の運用により変わる場合があるため、最新の様式と所管自治体の案内を必ずご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
PR

リハビリ職の転職・求人なら
レバウェルリハビリ

リハノメ 無料で求人を見る ▶
PR

PT・OT・STのオンラインセミナー
リハノメ

リハノメ セミナーを詳しく見る ▶