「令和8年度(2026年度)の診療報酬改定で、リハビリの加算はどう変わったの?」——2026年6月1日に施行された今回の改定は、リハビリテーション分野にとって過去最大級の見直しになりました。早期リハビリテーション加算の起算日や点数が大きく変わり、急性期リハの加算は4系統に整理され、新しい加算や減算も登場しています。

この記事では、病院(医療保険)のリハビリにかかわるPT・OT・ST、リハ科医師、医事課・経営者の方に向けて、令和8年度診療報酬改定のリハビリ関連の変更点を公式資料(厚生労働省の告示・通知・疑義解釈)にもとづいてまとめて解説します。「どの加算が、いつから、何点に変わったのか」を一気に整理しましょう。

この記事でわかること
  • 令和8年度診療報酬改定の施行日と、リハビリ全体の見直しの方向性
  • 4系統に整理された急性期リハ加算(早期リハ/初期/急性期リハ/早期離床・リハ)の点数と算定期間
  • 新設された「休日リハビリ加算」と「離床を伴わないリハの減算」の中身
  • 院外リハの上限・1日9単位の対象患者・リハ計画書の説明者など、見落としやすい変更点
  • 回復期リハ病棟の実績指数(37→42)など、急性期から回復期への影響
ちびウルフちびウルフ

令和8年度の改定って、介護報酬の話じゃないんですか?

リハウルフリハウルフ

いい質問だね。診療報酬は「医療保険」、介護報酬は「介護保険」で、改定の年も別なんだ。今回まとめるのは病院などの医療保険のリハビリ。診療報酬は西暦の偶数年に改定で、令和8年(2026年)が改定の年なんだよ。

令和8年度診療報酬改定とは|施行日と全体像

令和8年度診療報酬改定は、2026年6月1日に施行されました。診療報酬本体の改定率はプラス2.41%で、物価・賃金上昇への対応や、病院機能の分化・強化が大きなテーマです。根拠となる告示・通知は次のとおりです。

根拠となる主な公式資料 診療報酬の算定方法の一部改正(令和8年厚生労働省告示第69号・令和8年3月5日)、実施上の留意事項通知(保医発0305第6号)、施設基準通知(保医発0305第8号)、および疑義解釈資料(その2ほか)。本記事の数値・要件はこれらにもとづいています。

リハビリ分野では、次の4つの方向性で見直しが行われました。いずれも「早く・離床して・切れ目なく」リハビリを進めることを後押しする内容です。

見直しの柱具体的な中身
発症早期リハの推進早期リハビリテーション加算を「入院日起算・初期増点」に再設計
「離床」の重視ベッド上の他動的訓練のみには減算を新設、休日リハ加算を新設
急性期→回復期の連続性回復期リハ病棟の実績指数基準を引き上げ、急性期の早期介入を評価
リハ・栄養・口腔の一体化多職種での評価・計画を促進、計画書様式を統一
注意 疾患別リハビリテーション料そのものの「基本点数(1単位あたり)」は、前回改定から大きな変更はありません。今回の改定で動いたのは加算・減算と算定ルールが中心です。点数表の数字だけ見て「変わっていない」と判断しないようにしましょう。

急性期リハの加算が4系統に整理|早期リハ・初期・急性期リハ・早期離床

ちびウルフちびウルフ

加算が「4系統」って、どう分かれているんですか?

リハウルフリハウルフ

起算日(数え始める日)と算定できる場所がそれぞれ違うんだ。下の表で、点数・期間・起算日をセットで覚えると混乱しないよ。

令和8年度改定で、急性期リハビリテーションにかかる加算は次の4系統に整理されました。とくに早期リハビリテーション加算(系統A)は、点数・算定期間・起算日のすべてが変わっています。

系統加算名点数算定期間起算日
A早期リハビリテーション加算
(疾患別リハ料 注2)
1〜3日目:60点/単位
4〜14日目:25点/単位
入院から14日入院した日
B初期加算
(疾患別リハ料 注3)
45点/単位発症等から14日発症・手術・急性増悪の日
C急性期リハビリテーション加算
(新設・注4)
50点/単位入院中の重症者等に14日入院した日
D早期離床・リハビリテーション加算
(特定集中治療室管理料等)
500点/日入室から14日入室した日

系統A:早期リハビリテーション加算(今回の目玉)

最も大きく変わったのが早期リハビリテーション加算です。令和6年度までは「発症・手術・急性増悪から30日、一律25点」でしたが、令和8年度からは次のように変わりました。

項目令和6年度(旧)令和8年度(新)
点数1単位25点(一律)入院1〜3日目60点/4〜14日目25点
算定期間発症・手術・急性増悪から30日入院した日から14日
起算日発症・手術・急性増悪の日入院した日(転院時は前医の入院日)
注意|転院患者の起算日 他院から転院してきた患者の起算日は、自院への入院日ではなく「転院前の医療機関に入院した日」です。前医の入院日を確認せずに算定すると、すでに14日を超えているのに加算し続けてしまい、過誤請求の原因になります。

系統B:初期加算

初期加算は1単位45点、発症・手術・急性増悪の日から14日で、令和6年度から変更ありません。起算日のトリガーが「入院日」ではなく「医学的な事象(発症等)」である点が系統Aとの違いです。系統A・Bはそれぞれの要件を満たせば同一日に併算定が可能で、発症当日に入院した患者なら、入院1〜3日目は「疾患別リハ料+早期リハ加算60点+初期加算45点」で最大105点の上乗せができます。

系統C:急性期リハビリテーション加算(新設)

令和8年度で新設された加算です。1単位50点で、入院中の重症患者等に対し入院日から14日を限度に算定します。施設基準として「リハビリテーション科の常勤医師1名以上の配置」が求められる点が、系統A・Bにはない追加要件です。

系統D:早期離床・リハビリテーション加算

ICU等で算定する加算で、1日500点、入室から14日が限度です。算定できる入院料は、救命救急入院料・特定集中治療室管理料・ハイケアユニット入院医療管理料・脳卒中ケアユニット入院医療管理料・小児特定集中治療室管理料などに限られます。

注意|系統Dと疾患別リハは同一日に併算できない 系統D(早期離床・リハ加算)を算定した日は、疾患別リハビリテーション料(系統A・B・Cを含む)は算定できません。ICU退室後に一般病棟へ移ったら、速やかに系統A・Bへ切り替えます。

新設①:休日リハビリテーション加算

令和8年度改定で新設された加算です。土日祝日にリハビリを実施した場合に、1単位につき25点を加算できます。算定できる期間は、「発症・手術・急性増悪から7日目」または「治療開始日」のいずれか早い日から起算して30日までで、入院患者が対象です。週末にリハビリが途切れることによる「週末廃用」を防ぐ狙いがあります。

新設②:離床を伴わないリハビリの減算

ちびウルフちびウルフ

ベッドの上でリハビリすると、減算されちゃうんですか?

リハウルフリハウルフ

「ベッド上で、ポジショニングや拘縮予防などの他動的な訓練だけ」を行った場合が対象だよ。離床(端坐位・立位・車いす移乗・歩行など)や、それ以外の能動的な訓練が入っていれば、通常どおり算定できるんだ。

離床を伴わず、ベッド上でポジショニングまたは拘縮予防等を主たる目的とした他動的な訓練のみを行った入院患者については、所定点数の100分の90(10%減算)で、1日2単位までの算定に制限されます。漫然と離床しないリハビリを続けることを抑える趣旨です。

厚生労働省の疑義解釈では、次のような具体例が示されています。ポイントは「ベッド上のみか」「他動的な訓練だけか」の2点です。

場面取り扱い
ベッド上で、拘縮・褥瘡予防目的の他動的な関節可動域訓練やポジショニングのみ減算対象(90%・1日2単位まで)
1単位はベッド上で他動的訓練、2単位目の途中から車いす移乗して計6単位離床あり=通常算定(最大6〜9単位)
肺炎でベッド上、自ら膝の曲げ伸ばしや排痰を促す訓練他動的訓練「以外」=通常算定
ベッド上でギャッジアップし、言語療法を実施他動的訓練「以外」=通常算定
離床を目指して臥位から座位へ移行を試みたが、端坐位に至らず終了他動的訓練「以外」=通常算定
ポイント|除外される患者 ICU系の早期離床・リハ加算等を算定している患者、15歳未満で移動が困難な小児患者(重症心身障害児など)、脊髄損傷など医師が長時間のリハを特に必要と認めた患者などは、この減算の対象外です。ただし医学的理由・訓練内容をカルテとレセプト摘要欄に記載することが求められます。

見落としやすい変更点|院外リハ・1日9単位・計画書の説明者

院外(医療機関外)での疾患別リハ上限の見直し

退院後の生活・社会復帰を見据えた院外リハを後押しするため、1日に3単位を超えて院外で疾患別リハを実施する必要がある場合は、一連の入院で合計3単位(厚生労働大臣が定める患者は6単位)までを限度に、院外でのリハを疾患別リハとみなして算定できるようになりました。

1日9単位まで算定できる対象患者の明確化

通常は1日6単位までのところ、対象患者では1日9単位まで算定できる「上限緩和」について、脳血管疾患等の患者は「発症日・手術日または急性増悪の日から60日以内」と明確化されました(従前は「発症後」60日以内)。また、入院病棟で早期歩行・ADL自立等を目的に運動器リハ料(I)を算定する入院患者は対象から除外されます。

リハビリ計画書の様式統一と「説明者」の拡大

複数あったリハビリ計画書の様式が統一され、リハビリテーション総合計画評価料は「初回」と「2回目以降」に区分されました。さらに、回復期リハビリ病棟・特定機能病院リハビリ病棟「以外」では、計画書の説明を医師だけでなく医師の指示を受けた看護師・PT・OT・STが行えるようになりました(従来の「医師による説明」からの解釈変更)。患者本人の署名は不要です。

ポイント|療法士の働き方も柔軟に 1日18単位が標準とされる療法士1人あたりの実施単位数について、リハ以外の業務(医学管理・在宅医療・介護施設への助言など)に従事した時間も、20分を1単位とみなして算定要件上カウントできるようになりました。専従療法士の兼務の取り扱いも見直され、病棟患者の退院支援などで院外業務に従事することも明確に認められています。

急性期から回復期への影響|実績指数37→42へ

急性期での早期介入は、回復期リハ病棟での評価にも直結します。令和8年度改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料1の実績指数の基準が37から42へ引き上げられ、これまでの「80歳以上を計算から除外できる」取り扱いも廃止されました。あわせて回復期リハ強化体制加算が新設され、急性期でのADL改善の「伸びしろ」を確保することが、回復期での実績指数達成のカギになります。

このほか、退院時リハビリテーション指導料は算定対象が「入院中にリハ関連項目を算定した患者」に限定され、リンパ浮腫複合的治療料は実態に合わせて点数が細分化(重症:60分以上500点/40分以上60分未満350点、それ以外150点)されました。

注意|改定前から算定中の患者の経過措置 2026年5月31日以前から早期リハビリ加算を算定していた患者は、改定後も起算日を変更しません。6月1日以降の算定期間は「起算日から14日間」となり、6月1日時点で15日目以降に達している場合は、6月1日以降の早期リハ加算は算定できません。切り替え時期の患者は、起算日と残り日数を1人ずつ確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

令和8年度診療報酬改定はいつから施行されましたか?
2026年6月1日施行です。診療報酬は西暦の偶数年に改定され、令和8年(2026年)が改定の年にあたります。告示は令和8年3月5日(厚生労働省告示第69号)です。
早期リハビリテーション加算の起算日はどう変わりましたか?
「発症・手術・急性増悪の日」から「入院した日」に変わりました。算定期間も30日から14日に短縮され、入院1〜3日目は60点、4〜14日目は25点です。転院患者は前医の入院日が起算日になります。
初期加算は今回変わりましたか?
初期加算は1単位45点、発症・手術・急性増悪の日から14日で、令和6年度から変更ありません。早期リハ加算(系統A)と初期加算(系統B)は要件を満たせば同一日に併算定できます。
ベッド上のリハビリはすべて減算になりますか?
いいえ。「ベッド上で、ポジショニングや拘縮予防等の他動的な訓練だけ」を行った場合が対象です。離床を試みた、能動的な訓練や言語療法を行った、車いすに移乗した等のケースは通常どおり算定できます。カルテに具体的な訓練内容を記載することが重要です。
疾患別リハビリ料の基本点数も上がりましたか?
疾患別リハビリ料の1単位あたりの基本点数は、前回改定から大きな変更はありません。今回動いたのは加算・減算と算定ルールが中心です。
まとめ
  • 令和8年度診療報酬改定は2026年6月1日施行。リハビリは「早く・離床して・切れ目なく」が大方針。
  • 急性期リハ加算は4系統に整理。早期リハ加算は入院日起算・14日・1〜3日目60点/4〜14日目25点に変更。
  • 急性期リハ加算(50点・新設)、休日リハ加算(25点・新設)、離床を伴わないリハの減算(90%・1日2単位)が登場。
  • 院外リハ上限・1日9単位の対象明確化・計画書の説明者拡大など、実務に効く見直しも多い。
  • 回復期リハ病棟入院料1の実績指数は37→42に引き上げ。急性期の早期介入が回復期の成果に直結。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定」関連告示・通知(令和8年厚生労働省告示第69号、保医発0305第6号・第8号、令和8年3月5日)、同「診療報酬改定の概要【医学管理・リハビリテーション】」、同「疑義解釈資料(その2ほか)」。最新の取り扱いは厚生労働省および地方厚生局の公表資料をご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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