「老健には超強化型・在宅強化型・加算型・基本型・その他型の5つの区分がある」と聞いても、何がどう違うのか一目では分かりにくいものです。とくに「加算型」と「強化型」は名前が似ているうえに、料金やリハビリの手厚さにも関わるため、利用を検討するご家族からも、現場で働く専門職からも質問の多いテーマです。

この記事では、令和6年度(2024年度)介護報酬改定を反映し、老健の5類型の違いを「在宅復帰・在宅療養支援等指標」のしくみから整理します。家族の方が施設選びの判断材料にできるよう平易に説明しつつ、ケアマネ・相談員・リハ職・管理者の方が実務で使えるよう、加算要件や指標の配点まで踏み込んで解説します。

この記事でわかること
  • 老健の5類型(超強化型・在宅強化型・加算型・基本型・その他型)の位置づけ
  • 「加算型」と「強化型」の決定的な違いと、料金・在宅復帰機能の差
  • 区分を決める「在宅復帰・在宅療養支援等指標(最高90点)」10項目の中身
  • 令和6年度改定で変わったポイント(社会福祉士の評価・訪問指導割合の引き上げなど)
  • 利用者・家族が区分を見分ける方法と、施設選びでのチェックポイント

結論:「強化型」は基本報酬が高い区分、「加算型」は加算を上乗せした区分

最初に結論からお伝えします。老健の区分は、在宅復帰・在宅療養支援等指標(最高90点)の点数によって5つに分かれます。「加算型」と「強化型」の違いは、ざっくり言うと次のとおりです。

ここだけ押さえればOK 在宅強化型・超強化型=在宅復帰機能が高く、基本報酬(施設サービス費)そのものが高く設定された区分。
加算型=基本型の基本報酬に「在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅰ)」を上乗せ(加算)した区分。

つまり、在宅復帰を後押しする力が強い順に並べると、超強化型 > 在宅強化型 > 加算型 > 基本型 > その他型となります。数字が大きいほどリハビリや在宅支援に力を入れている施設、と覚えておくと分かりやすいです。

ちびウルフちびウルフ

「強化型」と「加算型」って、どっちがすごいの?名前が似てて混乱しちゃう…

リハウルフリハウルフ

在宅復帰機能でいうと「強化型」のほうが上だよ。指標の点数が60点以上だと在宅強化型、40点以上だと加算型になるんだ。順番を覚えるのがいちばんの近道だね。

老健の5類型を一覧で比較

令和6年度改定後の5類型を、在宅復帰・在宅療養支援等指標の必要点数とともに比較表にまとめました。

区分指標(最高90点)報酬上の位置づけ在宅復帰機能
超強化型70点以上在宅強化型の基本報酬+在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅱ)最も高い
在宅強化型60点以上基本報酬が高い区分(施設サービス費(ii)(iv))高い
加算型40点以上基本型の基本報酬+在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅰ)中程度
基本型20点以上基本報酬(施設サービス費(i)(iii))標準
その他型20点未満基本型の要件を満たさない限定的
注意「在宅強化型」は基本報酬そのものが高い区分(施設サービス費(ii)(iv))、「加算型」は基本型(施設サービス費(i)(iii))に加算を上乗せする区分です。同じ「在宅復帰を支援する施設」でも、報酬の組み立て方が根本的に違う点がポイントです。

区分を決める「在宅復帰・在宅療養支援等指標」とは

5類型は、施設が自己申告するのではなく、10項目の客観的なデータを点数化した合計(最高90点)で決まります。これが「在宅復帰・在宅療養支援等指標」です。在宅にどれだけ送り出せているか、リハビリや医療的ケアの体制が整っているかを総合的に評価するしくみです。

指標10項目と配点(令和6年度改定版)

評価項目配点の目安
①在宅復帰率50%超:20点/30%超:10点/30%以下:0点
②ベッド回転率10%以上:20点/5%以上:10点/5%未満:0点
③入所前後訪問指導割合35%以上:10点/15%以上:5点/15%未満:0点
④退所前後訪問指導割合35%以上:10点/15%以上:5点/15%未満:0点
⑤居宅サービスの実施数3サービス:5点/2サービス(訪問リハ含む):3点 ほか
⑥リハ専門職の配置割合最大5点(PT・OT・STの配置状況で評価)
⑦支援相談員の配置割合3以上かつ社会福祉士配置あり:5点/社会福祉士なし:3点 ほか
⑧要介護4・5の割合50%以上:5点/35%以上:3点/35%未満:0点
⑨喀痰吸引の実施割合10%以上:5点/5%以上:3点/5%未満:0点
⑩経管栄養の実施割合10%以上:5点/5%以上:3点/5%未満:0点

①在宅復帰率と②ベッド回転率の配点が各20点と大きいのが特徴です。「入所者をきちんと在宅に戻し、ベッドを循環させているか」が区分を大きく左右することが分かります。一方、⑨喀痰吸引・⑩経管栄養といった医療的ケアの実施割合も評価され、在宅復帰だけでなく重度者の受け入れ体制も加点対象です。

ちびウルフちびウルフ

点数が高い施設=とにかくたくさん退所させる施設、ってことなの?ちょっと不安かも…

リハウルフリハウルフ

そうじゃないんだ。退所後30日以内(要介護4・5は2週間以内)に自宅を訪問して、ちゃんと在宅生活が続いているかを確認することも要件になっている。「帰したら終わり」ではなく、帰った後まで支えるのが強化型・加算型の本来の姿だよ。

「加算型」と「強化型」を分ける4つの要件

指標の合計点に加えて、各区分には満たすべき要件があります。区分が上がるほど要件が増えていくイメージです。

要件超強化型在宅強化型加算型基本型
退所時指導等
リハビリテーションマネジメント
地域貢献活動×
充実したリハ(週3回程度以上)××

「加算型」と「在宅強化型」を分ける大きな違いが、「充実したリハ」要件の有無です。これは少なくとも週3回程度以上のリハビリテーションを実施していることを求めるもので、在宅強化型・超強化型のみに課されます。リハビリの頻度を重視するなら、在宅強化型以上を目安にするとよいでしょう。

「退所後の状況確認」も必須要件

退所時指導等の要件には、退所時の療養指導だけでなく、退所後30日以内(要介護4・5は2週間以内)に居宅を訪問するか、居宅介護支援事業者から情報提供を受けて在宅生活の継続を確認・記録することが含まれます。在宅復帰の「質」まで見るのが、現在の老健評価の考え方です。

令和6年度改定で変わったポイント

令和6年度(2024年度)の介護報酬改定では、老健の在宅復帰・在宅療養支援機能の評価が見直されました。専門職が押さえておきたい主な変更点は次のとおりです。

令和6年度改定の主なポイント
  • ③入所前後訪問指導割合・④退所前後訪問指導割合の基準を引き上げ(在宅との橋渡しをより重視)
  • ⑦支援相談員の配置割合で社会福祉士の配置を高く評価(社会福祉士ありで5点)
  • 各類型の基本報酬を機能に応じて適正化

とくに訪問指導割合の基準引き上げは、在宅復帰の「入口(入所前)」と「出口(退所後)」の両方で在宅とつながることをより強く求める方向です。区分の維持・向上をめざす施設では、入退所時の訪問体制づくりが一層重要になっています。

注意具体的な単位数(施設サービス費・加算の点数)は居室タイプ・要介護度・地域区分で異なり、改定でも見直されます。正確な金額は、利用を検討する施設または市区町村の介護保険担当窓口で最新の値を確認してください。

【専門職向け】区分を意識したマネジメントの実務

ケアマネ・相談員・リハ職・管理者の視点では、区分は「施設の収益」と「在宅復帰支援の質」の両方に直結します。現場で意識したいポイントを整理します。

  1. 指標の現在値を可視化する:在宅復帰率・ベッド回転率・訪問指導割合などを月次でモニタリングし、どの項目が区分の境目に効いているかを把握する。
  2. 退所後フォローの記録を徹底する:退所後30日以内(要介護4・5は2週間以内)の居宅訪問・情報提供の記録は、退所時指導等要件の根拠になる。
  3. 多職種で在宅復帰会議を回す:医師・看護・リハ・相談員・ケアマネが入所時から退所目標を共有し、3か月ごとに方針を更新する。
  4. 社会福祉士・リハ専門職の配置を戦略的に考える:⑦支援相談員(社会福祉士)や⑥リハ専門職の配置は加点に直結する。
ちびウルフちびウルフ

区分を上げると、利用者さんにはどんないいことがあるの?

リハウルフリハウルフ

区分が高い施設は、リハビリの頻度や在宅復帰の支援体制が手厚い傾向があるんだ。一方で基本報酬が高い分、利用料も上がりやすい。「手厚さ」と「費用」のバランスを本人・家族と一緒に考えるのが相談員やケアマネの腕の見せどころだね。

利用者・家族が区分を見分ける方法

入所を検討する家族の方は、施設区分を次の方法で確認できます。

家族ができる確認方法
  • 施設に直接「こちらは超強化型・在宅強化型・加算型・基本型のどれですか?」と尋ねる
  • 重要事項説明書や料金表で施設サービス費・加算の種類を確認する
  • 「リハビリは週何回ありますか」「在宅復帰の支援はどうしていますか」と具体的に質問する

長期の生活の場を探している場合は、そもそも老健(在宅復帰を目的とした施設)ではなく特養などが向いていることもあります。「在宅復帰をめざすのか」「長く暮らす場を探すのか」という目的を整理したうえで、区分やリハビリ体制を比べると失敗が少なくなります。

よくある質問(FAQ)

加算型と在宅強化型では、利用料はどちらが高いですか?
一般に、基本報酬そのものが高い在宅強化型・超強化型のほうが、加算型・基本型より施設サービス費が高くなる傾向があります。ただし居室タイプ(多床室・個室)や要介護度、地域区分によって金額は変わるため、正確な額は各施設で確認してください。
「その他型」は質が低い施設という意味ですか?
必ずしもそうとは言えません。その他型は在宅復帰・在宅療養支援等指標が20点未満で基本型の要件を満たさない区分ですが、医療的ケアや看取りなど別の役割を担っている施設もあります。区分だけでなく、その施設が何に力を入れているかを確認しましょう。
区分は固定ですか?途中で変わることはありますか?
区分は在宅復帰率やベッド回転率などの実績にもとづくため、一定期間ごとに見直され、上がることも下がることもあります。入所時点の区分が入所中ずっと続くとは限りません。
超強化型ならどんな状態でも在宅に戻れますか?
区分が高いほど在宅復帰の支援体制は手厚い傾向にありますが、在宅復帰の可否は本人の状態・家族の介護力・住環境などで総合的に判断されます。区分は「施設の支援力の目安」であって、復帰を保証するものではありません。
リハビリ重視で選ぶなら、どの区分が目安ですか?
「充実したリハ(週3回程度以上)」要件があるのは在宅強化型・超強化型です。リハビリの頻度を重視するなら、まず在宅強化型以上を目安に、実際の提供回数を施設に確認するとよいでしょう。
まとめ
  • 老健は在宅復帰・在宅療養支援等指標(最高90点)で超強化型・在宅強化型・加算型・基本型・その他型の5つに分かれる
  • 在宅強化型=基本報酬が高い区分加算型=基本型に加算を上乗せした区分という組み立ての違いがある
  • 在宅復帰機能の強さは「超強化型>在宅強化型>加算型>基本型>その他型」の順
  • 「充実したリハ(週3回程度以上)」要件があるのは在宅強化型・超強化型のみ
  • 令和6年度改定で訪問指導割合の基準引き上げ・社会福祉士配置の評価が変更された
  • 具体的な単位数・料金は最新の値を施設や市区町村で確認するのが確実

参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」関連資料、介護老人保健施設の5類型(在宅復帰・在宅療養支援機能に対する評価)算定要件等。具体的な単位数・要件は最新の告示・通知をご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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