退院日に訪問リハビリは算定できる?老健退所日との違いを解説

「退院日に訪問リハビリテーションは訪問できるの?」——訪問リハに関わっていると、一度はぶつかる疑問ではないでしょうか。退院直後の利用者さんの生活をいち早く確認したい、あるいはケアマネジャーから「退院日に訪問リハ入れる?」と相談された、そんな場面でこそ正確な算定ルールが問われます。
本記事では、退院日に介護保険の訪問リハビリテーション費が算定できるのかを、厚生労働省の留意事項通知(老企第36号)の原文を根拠に解説します。あわせて、なぜ算定できないのか、退院日でも訪問できる訪問看護との違い、現場での具体的な対応までまとめました。
- 退院日に介護保険の訪問リハビリが算定できるかどうか(結論)
- 算定できない根拠(老企第36号の原文)と、病院の退院日の扱い
- 退院日でも訪問できる「訪問看護」との違い
- ケアマネジャーに退院日訪問を相談されたときの対応の仕方
ここでいう訪問リハビリテーションとは、病院・診療所、介護老人保健施設、介護医療院などが提供する介護保険の訪問リハビリテーション費を指します。それでは早速、結論から見ていきましょう。
退院日に訪問リハビリは算定できる?結論から解説
結論からお伝えします。介護老人保健施設・介護医療院を退所した日と、短期入所療養介護(医療型ショート)の終了日は、介護保険の訪問リハビリテーション費を算定できません。これは通知に明記されたルールです。
一方、一般の病院・診療所(医療保険の入院)から退院した日については、通知の算定不可の列挙に含まれていません。ただし保険者によって扱いが分かれる可能性があるため、退院日に算定する予定があるときは、事前に保険者(市町村)へ確認してください。確認が取れないなら、初回訪問は翌日以降にするのが安全です。
ちびウルフえっ、「退院日」でも、どこから退院したかで違うんですか?
リハウルフそうなんだ。現場では「退院日は全部ダメ」と覚えている人も多いけど、通知に書いてあるのは老健・介護医療院などの退所日と、短期入所療養介護の終了日なんだ。原文を確認しよう。
退院日に訪問リハビリを算定できない根拠(老企第36号)
根拠は、介護報酬の留意事項通知(老企第36号)の「施設入所日及び退所日等における居宅サービスの算定について」です。原文は次のとおりです。
介護老人保健施設、介護療養型医療施設若しくは介護医療院の退所(退院)日又は短期入所療養介護のサービス終了日(退所・退院日)については、訪問看護費、訪問リハビリテーション費、居宅療養管理指導費及び通所リハビリテーション費は算定できない。訪問介護等の福祉系サービスは別に算定できるが、施設サービスや短期入所サービスでも、機能訓練やリハビリテーションを行えることから、退所(退院)日に通所介護サービスを機械的に組み込むといった居宅サービス計画は適正でない。
出典:老企第36号 第2の1(3)
介護老人保健施設の退所日/介護医療院の退所日/(旧)介護療養型医療施設の退院日/短期入所療養介護のサービス終了日
短期入所生活介護(福祉型ショート)の終了日は、この列挙に入っていません。混同しやすいので注意しましょう。
算定できないのは介護保険の訪問リハビリテーション費です。利用者さんの様子を見に行くこと自体を禁じる趣旨ではなく、その日に訪問リハビリ費を請求できないという意味で理解しておきましょう。
なぜ退所日は訪問リハビリを算定できないのか
通知が示している理由は、施設サービスや短期入所サービスでも、機能訓練やリハビリテーションを行えるからです。老健や介護医療院の利用料は、退所日も含めて施設側で算定されます。その日のリハビリは施設サービスの中で評価されているため、同じ日に在宅の医療系サービス(訪問看護・訪問リハ・居宅療養管理指導・通所リハ)を重ねて算定しない、という整理です。
病院(医療保険)の退院日も、入院料は退院日まで算定され、病棟でリハビリを受けられる日です。そのため「同じ考え方で算定不可」と運用している保険者や事業所もあります。ただし、これは通知の文言そのものではありません。病院の退院日に訪問リハを入れたい場合は、保険者の判断を確認したうえで、記録に根拠を残しておきましょう。
ちびウルフなるほど!老健の退所日はダメ、病院の退院日は保険者に確認、ですね。
リハウルフその理解でばっちりだよ。迷ったら退院翌日以降に初回訪問を設定するのが、いちばんトラブルがないんだ。
訪問看護は退院日に訪問できる場合がある(訪問リハとの違い)
ここで押さえておきたいのが、同じ在宅サービスでも訪問看護には例外があるという点です。訪問リハビリと混同しやすいので、違いを整理しておきましょう。
| サービス | 退院日の算定 | ポイント |
|---|---|---|
| 介護保険の訪問リハビリ | 老健・介護医療院の退所日、短期入所療養介護の終了日は算定不可 | 例外規定なし。病院の退院日は保険者に確認 |
| 介護保険の訪問看護 | 原則不可だが例外あり | 厚生労働大臣が定める状態(特別管理加算の対象となる状態)にある利用者、または主治医が退院日の訪問が必要と認めた利用者は算定できる(医療機関からの退院日も含む) |
| 医療保険の訪問看護 | 原則不可だが例外あり | 退院支援指導加算に該当する場合などに算定できる |
このように、訪問看護では特別管理加算の対象者など一定の条件を満たせば退院日でも訪問・算定が可能です。一方、訪問リハビリにはこうした退院日の例外が設けられていません。「訪問看護はOKでも、訪問リハビリはNG」という違いを、現場ではっきり区別しておくことが大切です。
退院日に関わる加算・要件は介護報酬/診療報酬改定で見直されることがあります。実際の算定可否は、厚生労働省の通知や自治体(保険者)の取り扱いで最終確認してください。
ケアマネに「退院日に訪問リハ入れる?」と聞かれたときの対応
ケアマネジャーから退院日訪問を相談される場面は珍しくありません。そんなときは、次のように対応すると安心です。
- 老健・介護医療院の退所日や短期入所療養介護の終了日なら、訪問リハビリ費は算定できないことを根拠(老企第36号)とともに伝える。病院の退院日なら、保険者の扱いを確認する
- 退院後の生活をいち早く確認したい場合は、退院翌日以降の初回訪問を提案する
- 退院日にどうしても看護的な対応が必要なら、訪問看護で対応できないか(特別管理加算の対象かなど)を主治医・ケアマネと共有する
「できません」で終わらせず、代替案までセットで示すと、ケアマネジャーや利用者家族からの信頼につながります。
退院“翌日以降”なら訪問リハビリは可能
退院日が算定不可でも、退院の翌日以降であれば訪問リハビリを通常どおり提供・算定できます。退院直後の生活状況を確認したい場合は、退院翌日や数日以内に初回訪問を設定するとよいでしょう。住環境の確認、福祉用具の適合、家族指導など、退院直後だからこそ評価したい項目はたくさんあります。
退院前カンファレンスに参加できる場合は、退院前に住環境やADLの情報を得ておき、退院後の初回訪問をスムーズに始められるよう準備しておくのがおすすめです。
リハ職(PT・OT・ST)が押さえる実務ポイント
最後に、訪問リハに関わるPT・OT・STが現場で迷わないためのポイントを整理します。
① 退院日=医療保険の日、と覚える(介護保険の訪問リハは不可)
② 初回訪問は退院翌日以降に設定する
③ 退院日対応が必要なケースは、訪問看護や医療側との連携で代替できないか検討する
制度を正しく理解していれば、ケアマネジャーや家族に対しても自信を持って説明でき、結果として利用者さんにとって最適なサービス調整につながります。
よくある質問(FAQ)
退院日に訪問リハビリで自宅を訪問して、評価だけ行うことはできますか?
老健・介護医療院の退所日や短期入所療養介護の終了日は、評価目的でも訪問リハビリ費は算定できません。病院の退院日は通知の列挙に入っていませんが、保険者によって扱いが異なる可能性があるため、事前に確認してください。確認できない場合は、初回訪問を退院翌日以降に設定するのが安全です。
なぜ訪問看護は退院日に算定できて、訪問リハビリはできないのですか?
老企第36号では、訪問看護についてだけ「厚生労働大臣が定める状態にある利用者または主治医が必要と認める利用者は、退所・退院日でも算定できる」という例外が定められています。訪問リハビリには、こうした例外規定がありません。
退院日の翌日なら訪問リハビリを算定できますか?
はい。退院翌日以降であれば、通常どおり訪問リハビリを提供・算定できます。退院直後の生活確認をしたい場合は、翌日や数日以内の初回訪問を計画しましょう。
ショートステイの退所日も同じ扱いですか?
短期入所療養介護(医療型ショート)のサービス終了日は、訪問リハビリ費を算定できません(老企第36号)。短期入所生活介護(福祉型ショート)の終了日は、この算定不可の列挙に含まれていません。
- 老健・介護医療院の退所日と短期入所療養介護の終了日は、介護保険の訪問リハビリ費を算定できない
- 根拠は老企第36号 第2の1(3)。施設・短期入所でもリハビリを行えるため
- 一般病院の退院日は通知の列挙外。扱いは保険者に事前確認する
- 訪問看護は特別管理加算の対象者など一定条件で退院日も算定できる場合があり、訪問リハとは扱いが異なる
- 退院翌日以降であれば訪問リハビリは通常どおり提供・算定できる
- ケアマネに相談されたら、根拠+代替案(翌日訪問・訪問看護での対応)をセットで提案する
リハウルフこの記事の内容は、YouTubeでも動画で解説しているよ!
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準…の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年老企第36号)第2の1(3)・訪問看護費(24) 全老健 法令・Q&A検索
- 東大和市「介護保険給付に関するQ&A」(退所日の居宅サービス算定)
※本記事の算定可否は、老企第36号の原文にもとづいて整理したものです。一般病院からの退院日の訪問リハビリ費については通知に明記がなく、保険者によって取扱いが異なる可能性があるため、必ず所管の市町村にご確認ください。制度に関する記述は2026年10月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。



-320x180.png)


