「担当のケアマネージャーがむかつく」「相性が合わなくて、電話が来るだけで気が重い」。この相談は、現場にいると本当によく耳にします。そして結論から言えば、担当のケアマネジャーはいつでも変更できます。費用もかからず、回数の制限もありません。

この記事では、理学療法士・介護支援専門員として在宅の現場に関わってきた立場から、ケアマネージャーにむかつくときの対処法5選と、担当変更の進め方を整理します。「本人の問題」と「制度上どうにもならないこと」を切り分けるところから始めます。ここを混ぜたまま変更しても、次の担当でも同じ不満が出るからです。

この記事でわかること
  • 「むかつく」と感じやすい5つの瞬間と、その制度上の背景
  • 会いに来ないのは違反なのか(令和6年度改定で変わった点)
  • ケアマネジャーが抱えられる担当件数の上限
  • 本人の問題・制度の制約・伝わっていないだけ、の切り分け方
  • 角を立てずに伝える対処法5つ
  • 担当変更の具体的な手順と相談先
  • 変更に費用も回数制限もないこと
  • 変更のときに引き継いでもらうべきもの
ちびウルフちびウルフ

ケアマネさんにイライラしちゃうの、私だけかな…?我慢したほうがいいの?

リハウルフリハウルフ

我慢し続ける必要はありません。ただ、変更する前に一度だけ整理してほしいことがあります。その不満は「その人だから起きている」のか、「制度上そうなっている」のか。後者だと、担当を代えても同じ壁にぶつかります。順番に見ていきましょう。

ケアマネージャーにむかつくと感じる5つの瞬間

1. 全然、会いに来てくれない

最初は頻繁に来てくれたのに、しばらくすると顔を見せなくなる。これはよく聞く不満です。

ケアマネジャーには、少なくとも1か月に1回は利用者の居宅を訪問して面接し、モニタリングの結果を記録することが運営基準で義務づけられています。まったく来ない状態が続いているなら、それは相性の問題ではなく基準の問題です。

令和6年度改定で「オンラインでのモニタリング」が可能になったただし、令和6年度の制度改正で、一定の条件を満たせばテレビ電話装置等を活用したモニタリングが認められるようになりました。条件は次のとおりです。
・利用者の同意を得ていること
・サービス担当者会議等で、①利用者の状態が安定している ②利用者がテレビ電話等で意思疎通できる ③テレビ電話では収集できない情報を他のサービス事業者との連携で収集する、について主治医や担当者の合意を得ていること
少なくとも2か月に1回は利用者の居宅を訪問すること
つまり「毎月は来ないが2か月に1回は来る」という形も、条件を満たせば制度上あり得ます。ただし同意なしに勝手に切り替えることはできません。心当たりがなければ確認して構いません。

2. 仕事が遅い・対応が後回しにされる

デイサービスやショートステイの調整、各種申請、施設入所の手続き。これらの対応が遅いと生活に直結します。

背景として知っておくとよいのが、ケアマネジャー1人が担当できる件数です。人員基準では、要介護者の数に要支援者の数の3分の1を加えた数が44またはその端数を増すごとに1人とされ、報酬も45件以上で下がる仕組みになっています(令和6年度改定後)。

1人で40件以上を担当しているのが普通の世界だということです。とはいえ、これは「遅くていい」理由にはなりません。いつまでに何をするのかを示さないのは、件数とは別の問題です。

3. 言ったことを何度も忘れられる

同じ説明を何度もさせられる、依頼したことが伝わっていない。信頼が最も削られる場面です。

対処はシンプルで、口頭だけで伝えるのをやめることです。メールやメッセージ、連絡ノートなど記録に残る形にすれば、「言った・言わない」が消えます。これは相手を追い込むためではなく、双方の事故を防ぐためです。

4. 介護保険制度について質問しても答えられない

ケアマネジャーの前職は、介護福祉士・看護師・社会福祉士・リハビリ職などさまざまです。全員が制度の細部に等しく強いわけではありません。

ただし、「分かりません」で終わるか、「確認して折り返します」と言えるかは決定的な差です。後者なら問題ありません。前者が続くようなら、地域包括支援センターや市区町村の窓口に直接聞くという手もあります。

5. 理由はないけれど、なんとなく相性が悪い

話し方、声のトーン、距離の取り方。理由が言語化できない不快感もあります。

これは変更を申し出るのに十分な理由です。ケアマネジャーは自宅に上がり、家族関係やお金の話にも触れる相手です。相性が合わない人に本音を話せないほうが、支援としてよほど問題があります。

変更する前に切り分けたい3つのこと

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。不満は次の3つに分かれます。

①制度上、できないこと

希望どおりの回数が入れられない要介護度ごとの区分支給限度基準額の枠がある。超えた分は全額自己負担になる
頼んだサービスが使えないそもそも介護保険の給付対象外(庭の草むしり、同居家族がいる場合の家事など)
要介護度が上がらない認定するのは市町村。ケアマネジャーが決めているわけではない
希望の施設にすぐ入れない空きと入所判定の問題。事業所側の判断

これらは担当を代えても結果は変わりません。むしろ、ここをはっきり説明してくれるケアマネジャーのほうが誠実です。「できません」の後に理由と代替案が出てくるかどうかで判断してください。

②伝わっていないだけのこと

「察してくれるはず」で止まっている要望は、驚くほど多いです。「月1回ではなく、様子が変わったときはすぐ連絡がほしい」「決まったことはメールで送ってほしい」。具体的に言えば、たいていは通ります。

③本当に問題がある対応

  • 何か月も訪問がなく、モニタリングの記録も残っていない
  • 依頼したことに期限を示さず、放置される
  • 特定の事業所のサービスばかりを一方的に勧めてくる
  • 説明もなく、本人・家族の意向と違うケアプランが組まれている
  • 高圧的な態度をとる、家族を責める

これらは相性ではなく支援の質の問題です。遠慮せずに動いてください。なお、居宅介護支援事業所には契約時に、訪問介護・通所介護・福祉用具貸与・地域密着型通所介護がケアプランに位置づけられた割合や、同一事業者が占める割合を説明するよう努めることが求められています(令和6年度改定で努力義務として整理)。気になる場合は「うちの事業所の集中割合を教えてください」と聞いて構いません。

ケアマネージャーがむかつくときの対処法5選

いきなり変更に動く前に、段階を踏める手段があります。上から順に試す必要はなく、状況で選んでください。

①要望を具体的に伝える改善で解決しそうなとき。「こまめに」ではなく「変化があった当日に電話がほしい」と数字と場面で伝える
②やりとりを記録に残す伝えたことが繰り返し流れるとき。メール・メッセージ・連絡ノートに切り替える
③サービス事業所の担当者に相談する直接言いづらいとき。デイや訪問看護のスタッフが間に入ってくれる
④居宅介護支援事業所の管理者に相談する同じ事業所内で別のケアマネジャーに代えてほしいとき
⑤地域包括支援センター・市区町村窓口に相談する事業所ごと変えたいとき、どこに言えばいいか分からないとき。要支援の方はまず地域包括支援センター
ちびウルフちびウルフ

本人に「合わないから代えて」って直接言うのは、さすがに気まずいよ…

リハウルフリハウルフ

本人に直接言う必要はありません。④の管理者か⑤の窓口に伝えれば、そこから話が進みます。ケアマネジャー側も「合わない相手を担当し続ける」のはつらいので、実は双方にとって悪い話ではありません。担当変更は現場では珍しいことではなく、事務的に処理されます。気に病まないでください。

担当変更はいつでもできる

改めて、はっきり書きます。担当のケアマネジャーは、利用者側からいつでも変更を申し出られます。回数の制限はなく、理由を細かく説明する義務もありません。「相性が合わない」で十分です。

費用かからない。居宅介護支援(ケアプラン作成)は介護保険から全額給付され、利用者の自己負担はない
回数制限なし。新しい担当とも合わなければ、再度相談できる
理由の説明不要。「相性」で足りる
今使っているサービス原則そのまま継続できる
不利益変更したこと自体による不利益はない

担当変更の進め方

  • 相談先を決める/同じ事業所内で代えたいなら管理者、事業所ごと代えたいなら地域包括支援センターか市区町村窓口
  • 「担当を変更したい」と伝える/理由は「相性が合わない」程度でよい
  • 新しい担当・事業所の候補を案内してもらう/市区町村には居宅介護支援事業所の一覧がある
  • 新しいケアマネジャーと顔合わせをする/契約前に一度話してみる
  • 契約し、経緯とケアプランを引き継いでもらう
  • サービス事業所へ担当変更を連絡してもらう
切り替えのタイミングに注意変更の途中でサービスが止まらないよう、できるだけ新しい担当が決まってから切り替えてください。月の途中で担当が空白になると、翌月のサービス調整が滞ることがあります。月末〜月初は避け、余裕をもって動くのが実務的なコツです。

変更のときに引き継いでもらうもの

引き継ぎが浅いと、新しい担当に一から説明し直すことになります。次のものを引き継いでもらうよう伝えておくと、負担がぐっと減ります。

  • 居宅サービス計画書(ケアプラン第1表〜第3表)とサービス利用票
  • これまでのアセスメント・モニタリングの記録
  • 主治医の情報、直近の受診状況、服薬の内容
  • 要介護認定の有効期間と、更新・区分変更の予定
  • 福祉用具の貸与内容、住宅改修の利用履歴(20万円の残額)
  • 本人・家族の意向、これまでの経緯で押さえてほしい点

とくに住宅改修の残額と認定の有効期間は、引き継ぎ漏れが起きやすい項目です。自分でもメモを取っておいてください。

やってはいけない対応

本人に感情をぶつける引き継ぎまでの期間が気まずくなる。改善要望は冷静に伝えるほうが通る
我慢してため込み続ける必要な調整が滞り、結局困るのは利用者本人になる
連絡を一切断つケアプランやサービスの継続に支障が出る。変更が決まるまで最低限の連絡は保つ
先にサービス事業所を辞めてしまう順番が逆。担当変更とサービスの継続は別の話。まず担当の相談から
「責める」のではなく「整える」誰が悪いという話にすると、感情の応酬になって時間だけが過ぎます。目的は「合う体制に整えること」であって、相手を負かすことではありません。この姿勢で相談すると、窓口の対応も驚くほどスムーズになります。
よくある質問
ケアマネージャーの変更にお金はかかりますか?
かかりません。居宅介護支援(ケアプラン作成)の費用は介護保険から全額給付され、利用者の自己負担はありません。担当の変更そのものにも料金は発生しません。
変更に理由の説明は必要ですか?
必要ありません。「相性が合わない」で十分です。理由を詳しく述べる義務はありません。
何回まで変更できますか?
回数の制限はありません。新しい担当ともどうしても合わなければ、再度相談できます。
本人に伝わって気まずくなりませんか?
事業所の管理者、地域包括支援センター、市区町村の窓口を通せば、あなたから直接伝える必要はありません。担当変更は現場では珍しくなく、事務的に処理されます。
ケアマネージャーが毎月来ないのは違反ですか?
原則として、少なくとも1か月に1回は居宅を訪問して面接し、記録することが運営基準で義務づけられています。ただし令和6年度の改正で、利用者の同意とサービス担当者会議等での合意など一定の条件を満たせば、テレビ電話装置等を活用したモニタリングが認められるようになりました。その場合でも、少なくとも2か月に1回は居宅を訪問する必要があります。訪問も連絡もない状態が続いているなら、事業所の管理者か市区町村に相談してください。
デイサービスや訪問看護はそのまま使えますか?
原則そのまま継続できます。新しいケアマネジャーがこれまでのケアプランを引き継ぐため、生活が大きく変わることはありません。
特定の事業所ばかり勧められている気がします
居宅介護支援事業所は契約時に、訪問介護・通所介護・福祉用具貸与・地域密着型通所介護がケアプランに位置づけられた割合や、同一事業者が占める割合について説明するよう努めることとされています。気になる場合は説明を求めて構いません。納得できなければ、市区町村の窓口に相談してください。
要介護度を上げてくれないのですが
要介護度を決めるのは市町村であり、ケアマネジャーではありません。状態が変わっているなら、区分変更申請という手続きがあります。まずは現状を具体的に伝えて、区分変更を相談してください。
要支援の場合はどこに相談すればよいですか?
要支援1・2の方のケアプランは、地域包括支援センターが担当します(委託されている場合もあります)。担当の変更については、まず地域包括支援センターに相談してください。
まとめ
  • ケアマネジャーに「むかつく」と感じるのは自然なこと。我慢し続ける必要はない。
  • 変更の前に、①制度上できないこと ②伝わっていないだけのこと ③本当に問題がある対応 に切り分ける。
  • 限度額の枠、給付対象外のサービス、要介護度、施設の空き状況は、担当を代えても変わらない。
  • ケアマネジャーには、少なくとも1か月に1回、居宅を訪問して面接し記録する義務がある。
  • 令和6年度の改正で、条件を満たせばテレビ電話等でのモニタリングが可能になった。ただし少なくとも2か月に1回は訪問が必要で、利用者の同意も要る。
  • 担当件数は、要介護者+要支援者の3分の1が44またはその端数を増すごとに1人が基準。1人40件超は珍しくない。
  • 対処法は、①具体的に伝える ②記録に残す ③サービス事業所に間に入ってもらう ④管理者に相談 ⑤地域包括支援センター・市区町村窓口に相談。
  • 担当変更はいつでも可能。費用も回数制限もなく、理由の説明義務もない。
  • 本人に直接言う必要はない。管理者や窓口を通せばよい。
  • 切り替えは、新しい担当が決まってから。月末〜月初は避ける。
  • 引き継ぎでは、ケアプラン、記録、主治医情報、認定の有効期間、住宅改修の残額まで確認する。
  • 感情をぶつける・連絡を断つ・先にサービスを辞める、は避ける。目的は「責める」ことではなく「整える」こと。
参考にした情報
  • 「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年3月31日厚生省令第38号)第13条(指定居宅介護支援の具体的取扱方針)
  • 厚生労働省老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(1.(1)③ 他のサービス事業所との連携によるモニタリング、3.(3)⑮⑯ 介護支援専門員1人当たりの取扱件数)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(告示・通知・Q&A等の一次情報の掲載ページ)

※本記事の制度に関する内容は、厚生労働省の省令および令和6年度介護報酬改定資料にもとづいて整理したものです。モニタリングの実施方法や取扱件数の取扱いには細かな要件があり、個別の事業所の運用は指定権者の解釈によって異なる場合があります。担当変更の具体的な手続きや相談窓口の名称も、市町村によって異なります。詳細はお住まいの市町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターにご確認ください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。対応の進め方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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