特別障害者手当は、在宅で暮らす20歳以上の著しく重度の障害がある方に、月額30,450円(令和8年4月分から)が支給される国の手当です。障害者手帳がなくても、寝たきりや重い認知症で常時介護が必要な高齢者が受け取れることがあります。

介護保険とは別の制度なので、ケアマネジャーからも案内されないまま申請していない家庭が少なくありません。この記事では、特別児童扶養手当等の支給に関する法律の原文と、厚生労働省・自治体の案内を確認して、対象者・金額・所得制限・施設に入ったときの扱いを整理しました。

この記事でわかること

  • 特別障害者手当の対象者と、高齢者が対象になる理由
  • 手当の月額と支払い月
  • 本人と扶養義務者の所得制限
  • 有料老人ホームやグループホームに入っても受け取れるか
  • 申請の流れと、介護保険の利用者が押さえておきたい点

特別障害者手当とは?

特別障害者手当は、重い障害のために日常生活で特別な介護が必要な方の負担を軽くするための手当です。根拠は「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」で、窓口は住んでいる市区町村です。

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第2条第3項(原文)

「この法律において『特別障害者』とは、二十歳以上であつて、政令で定める程度の著しく重度の障害の状態にあるため、日常生活において常時特別の介護を必要とする者をいう。」

ポイントは、障害者手帳の有無や等級ではなく、障害の状態で判定することです。原因が病気でも加齢でも構いません。脳梗塞の後遺症で寝たきりになった方、重い認知症で食事や排せつに常に介助が必要な方なども、基準を満たせば対象になります。

板橋区の案内(原文)

「要介護の方(主に要介護4や5の方)は、障害者手帳を持っていなくても、必要とされる介護の状態により、手当を受給できる可能性があります。」

要介護4・5であれば自動的に受け取れるわけではありません。判定は所定の診断書をもとに行われ、市区町村の窓口でも「該当するかどうかは判定医が判断する」と案内しています。要介護4・5の在宅の方は、一度は申請を検討する価値があると考えてください。

特別障害者手当の金額と支払い月

手当の月額は、物価の変動にあわせて毎年4月に改定されます。

期間月額
令和8年3月分まで29,590円
令和8年4月分から30,450円

年額にすると365,400円です。支払いは年4回で、原則として2月・5月・8月・11月に、それぞれ前月分までの3か月分がまとめて振り込まれます。

手当は申請した月の翌月分から支給されます。さかのぼって受け取ることはできないため、該当しそうなら早めに申請するほど受け取れる総額が増えます。市区町村によっては、独自の手当を上乗せしているところもあります。

ちびウルフちびウルフ

年に36万円以上って大きいね。どうしてあまり知られていないの?

リハウルフリハウルフ

障害福祉の制度なので、介護保険の窓口やケアマネの業務からは見えにくいんです。名前に「障害者」とあるので、手帳がない高齢者の家族は自分には関係ないと思ってしまいます。在宅で重い介護をしている家庭ほど、知っておいてほしい手当です。

本人と扶養義務者の所得制限

本人か、配偶者・扶養義務者(同居している子など)の前年の所得が限度額を超えると、手当は支給されません。

扶養親族等の数本人(令和8年8月から)配偶者・扶養義務者
0人3,758,000円6,287,000円
1人4,138,000円6,536,000円
2人4,518,000円6,749,000円
3人4,898,000円6,962,000円

※金額は所得額で、収入額ではありません。医療費控除や障害者控除などを差し引いた後の額で判定します。

年金だけで暮らしている高齢の方で、本人の所得が限度額を超えることはあまりありません。注意したいのは扶養義務者のほうで、同居している子の所得が限度額を超えていると支給されません。扶養義務者として所得を見られるのは、本人と生計を同じくしている親族です。別居している子がどう扱われるかは、市区町村に確認してください。

施設に入ったとき・入院したとき

特別障害者手当は、在宅の方のための手当です。法律で次の場合は支給しないと定めています。

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第26条の2(原文の要点)

次のいずれかに該当するときは支給しない。

一 障害者支援施設に入所しているとき(生活介護を受けている場合に限る)
二 障害者支援施設に類する施設で厚生労働省令で定めるものに入所しているとき
三 病院又は診療所に「継続して三月を超えて入院するに至つたとき」

高齢者の施設について、自治体は次のように案内しています。

住まい扱い
自宅対象
有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅在宅扱いで対象
軽費老人ホーム(ケアハウス)・グループホーム在宅扱いで対象
ショートステイの利用対象
特別養護老人ホーム・養護老人ホーム在宅扱いにならず対象外
病院・老健・介護医療院継続して3か月を超えると対象外

有料老人ホームやグループホームに住んでいても受け取れる、という点は見落とされがちです。一方で、特養に入所したときや、入院が3か月を超えたときは、市区町村に届け出る必要があります。届け出が遅れて受け取りすぎた分は、返還を求められます。

申請の流れと必要なもの

申請先は、住んでいる市区町村の障害福祉の窓口です。一般的な流れは次のとおりです。

  • 市区町村の障害福祉の窓口に相談し、所定の診断書の用紙を受け取る
  • 主治医に診断書を書いてもらう(障害の部位によって様式が分かれていることが多い)
  • 認定請求書、診断書、本人名義の口座の情報などを窓口に提出する
  • 市区町村・都道府県で審査され、結果が通知される
  • 認定されれば、申請した月の翌月分から支給される

診断書は、手帳の診断書とは別の様式です。作成には費用がかかり、医療機関によって金額が違います。障害者手帳をすでに持っている方は、手帳の写しの提出を求められることがあります。

受給が始まった後も、毎年8月ごろに所得の状況を届け出る手続きがあります。届け出をしないと手当が止まるので注意してください。

介護保険を使っている方が押さえておきたい点

理学療法士・ケアマネジャーとして在宅の重度の方を担当していると、この手当を知らずにいた家庭によく出会います。介護保険と組み合わせるときのポイントをまとめます。

  • 介護保険のサービスを使っていても、手当の支給には影響しない
  • 障害者手帳がなくても申請できる。要介護4・5で在宅なら一度は窓口に相談する
  • 障害者控除対象者認定書(税の控除)とは別の制度で、両方使える
  • 特養への入所が決まったら、手当の届け出も忘れずに行う

税の障害者控除については障害者控除対象者認定書のデメリットは?、難病の方が使える手当や年金は難病でもらえるお金は?で解説しています。

ちびウルフちびウルフ

申請して認められなかったら、診断書代がもったいない気がする…

リハウルフリハウルフ

その不安はもっともです。診断書を頼む前に、窓口で認定の基準表を見せてもらい、主治医やケアマネと「この状態なら届きそうか」を相談してから進めると、空振りを減らせます。

よくある質問

特別障害者手当はいくらもらえますか?

令和8年4月分から月額30,450円です。年4回、2月・5月・8月・11月に前月分までがまとめて支払われます。

障害者手帳がなくても申請できますか?

できます。手帳の有無ではなく障害の状態で判定します。要介護4・5の方は手帳がなくても受給できる可能性があると案内している自治体があります。

要介護5なら必ずもらえますか?

必ずではありません。所定の診断書をもとに、著しく重度の障害で常時特別の介護が必要な状態かどうかを判定します。

有料老人ホームに入っていても対象ですか?

対象です。有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、軽費老人ホーム、グループホームは在宅扱いとされています。

特養に入所したらどうなりますか?

特別養護老人ホームは在宅扱いにならないため、支給されなくなります。入所したら市区町村に届け出てください。

入院したら止まりますか?

病院・診療所に継続して3か月を超えて入院すると支給されなくなります。3か月以内の入院であれば対象のままです。

所得制限はありますか?

あります。本人のほか、配偶者や同居の扶養義務者の前年の所得が限度額を超えると支給されません。

いつから支給されますか?

申請した月の翌月分からです。さかのぼっての支給はないため、早めの申請が大切です。

介護保険のサービスを使っていても受け取れますか?

受け取れます。介護保険のサービスの利用は、手当の支給に影響しません。

まとめ

  • 特別障害者手当は、在宅の20歳以上で著しく重度の障害がある方への国の手当
  • 月額30,450円(令和8年4月分から)で、申請した月の翌月分から支給
  • 障害者手帳がなくても、要介護4・5の高齢者が対象になることがある
  • 有料老人ホーム・サ高住・グループホームは在宅扱い。特養と3か月超の入院は対象外
  • 本人と配偶者・扶養義務者に所得制限がある

参考にした情報

※本記事の対象者・支給しない場合は特別児童扶養手当等の支給に関する法律の条文に、手当の月額・支払月・所得制限限度額・施設の扱いは厚生労働省および自治体の案内にもとづいて整理したものです。所得制限限度額は扶養親族等の数が0〜3人の場合を掲載しています。手当額は毎年4月、所得制限限度額は改定されることがあります。在宅扱いとなる施設の範囲、老健・介護医療院の扱い、診断書の様式・費用、自治体独自の上乗せ手当は市区町村によって異なります。制度に関する記述は2026年11月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実際の申請にあたっては、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。申請の進め方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味