通所介護の若年性認知症利用者受入加算とは?

通所介護の若年性認知症利用者受入加算は、1日につき60単位です。
要件は受け入れた利用者ごとに個別の担当者を定めていることのひとつだけ。人員の上乗せも研修の修了要件もありません。
ただし、認知症加算を算定している場合は算定できません。そして通所介護の認知症加算も同じ60単位です。単位数が同額のため、どちらを取っても収入は変わりません。選択の基準は金額ではなく、要件を満たせるかどうかになります。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生労働省告示第19号)通所介護費の注16と、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)十八を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 若年性認知症利用者受入加算の単位数(60単位/日)
- 要件は「個別の担当者を定めること」ひとつ
- 認知症加算と併算定できないこと
- 認知症加算も60単位で同額であること
- どちらを算定するかの判断基準
- 「若年性認知症」の法令上の定義
ちびウルフ同じ60単位なら、どっちを取っても一緒ってことですか?
リハウルフ金額は同じです。ただ要件の重さが全然違います。認知症加算は人員配置や利用者に占める認知症の人の割合など、事業所全体の体制が問われます。若年性認知症利用者受入加算は担当者を1人決めるだけです。認知症加算の要件を満たせない事業所にとっては、こちらが現実的な選択肢になります。
通所介護の若年性認知症利用者受入加算とは?
通所介護の若年性認知症利用者受入加算は、若年性認知症の人を受け入れ、その人ごとに担当者を決めて支援した場合に算定する加算です。
若年性認知症の人がデイサービスに通うとき、周囲は自分の親より年上の利用者ばかりという状況になります。体力があり、歩行も食事も自立している。用意されたレクリエーションが自分向けではないと感じる。
「行きたがらない」という相談の背景に、この年齢のミスマッチがあることは珍しくありません。
担当者を決めるという要件は形式的に見えますが、その人に合わせた過ごし方を組み立てる責任者を明確にすることが趣旨です。就労経験や趣味を活かした役割づくりは、担当者がいなければ続きません。
通所介護の若年性認知症利用者受入加算の単位数
16 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(略)都道府県知事に対し届出を行った指定通所介護事業所において、若年性認知症利用者(介護保険法施行令第2条第6号に規定する初老期における認知症によって要介護者となった者をいう。)に対して指定通所介護を行った場合は、若年性認知症利用者受入加算として、1日につき60単位を所定単位数に加算する。ただし、認知症加算を算定している場合は、算定しない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1日につき60単位 |
| 併算定不可 | 認知症加算(注15) |
| 届出 | 必要(都道府県知事あて) |
週2回の利用で月8回なら、60単位×8回=480単位です。
通所介護の若年性認知症利用者受入加算の算定要件
大臣が定める基準は1つだけ
受け入れた若年性認知症利用者(介護保険法施行令第二条第六号に規定する初老期における認知症によって要介護者又は要支援者となった者をいう。)ごとに個別の担当者を定めていること。
- 対象者が「初老期における認知症」により要介護状態になった人であること
- その利用者ごとに個別の担当者を定めていること
- 都道府県知事に届出を行っていること
「若年性認知症」の定義に年齢の記載はない
条文が参照しているのは介護保険法施行令第2条第6号「初老期における認知症」です。条文自体に「65歳未満」という年齢の記載はありません。
これは第2号被保険者(40歳以上65歳未満)の特定疾病の一つとして掲げられているものです。結果として対象は40歳以上65歳未満の人が中心になりますが、根拠は年齢ではなく特定疾病としての位置づけです。65歳到達後の取扱いは指定権者に確認してください。
担当者に資格の限定はない
条文に職種の指定はありません。介護職員でも看護職員でも生活相談員でも要件を満たします。「ごとに個別の担当者を定めている」という書きぶりから、誰が担当かを特定できる状態が必要と読めます。
通所介護の若年性認知症利用者受入加算の注意点
注16は「ただし、認知症加算を算定している場合は、算定しない」としています。
| 若年性認知症利用者受入加算 | 認知症加算 | |
|---|---|---|
| 単位数 | 60単位/日 | 60単位/日 |
| 要件 | 個別の担当者を定めること | 人員配置・認知症の人の割合など事業所全体の体制 |
| 対象 | 若年性認知症の利用者 | 大臣が定める利用者 |
単位数が同じなので、金額での比較は意味がありません。認知症加算の要件を満たしている事業所ならどちらでも同額、満たしていない事業所にとってはこちらが唯一の選択肢になります。
認知症加算の要件は事業所全体にかかる
通所介護の認知症加算は、利用者の総数のうち認知症の人が一定割合以上いること、人員基準を上回る介護職員・看護職員を配置していることなどが要件です。個々の利用者ではなく事業所の体制が問われます。
そのため認知症加算が算定できない事業所でも、若年性認知症の利用者がいれば60単位を算定できるという関係になります。
担当者を「決めただけ」にしない
条文上の要件は担当者を定めることですが、実地指導では担当者が実際にどう関わっているかを確認されます。通所介護計画に担当者を位置づけ、関わりの記録を残す運用にしておくと説明しやすくなります。(運用に関する記述は筆者の実務経験にもとづく整理です)
他サービスの同名加算との違い
| サービス | 単位数 |
|---|---|
| 通所介護・通所リハ | 60単位/日 |
| グループホーム・特養・老健・介護医療院 | 120単位/日 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 800単位/月 |
算定を始めるまでの流れ
- 対象者が特定疾病としての初老期認知症に該当するか確認する
- 個別の担当者を決め、誰かがわかる形で記録に残す
- 認知症加算を算定しているか確認する(算定中なら併算定不可)
- 都道府県知事に届出を行う
- 通所介護計画に担当者を位置づける
通所介護の若年性認知症利用者受入加算のQ&A
認知症加算と両方算定できますか?
できません。条文に「ただし、認知症加算を算定している場合は、算定しない」と定められています。
どちらを算定した方が得ですか?
どちらも60単位で同額です。認知症加算の要件を満たせるかどうかで判断することになります。
65歳になったら算定できなくなりますか?
基準は介護保険法施行令第2条第6号を参照しており、条文自体に年齢の記載はありません。取扱いは指定権者に確認してください。
担当者に資格は必要ですか?
条文に職種や資格の限定はありません。
担当者は1人の利用者に1人ですか?
条文は「利用者ごとに個別の担当者を定めている」としています。複数名を担当にする場合の取扱いは指定権者に確認してください。
届出は必要ですか?
必要です。基準に適合しているものとして都道府県知事への届出が求められます。
要支援の人にも算定できますか?
注16の定義は「要介護者となった者」です。予防給付での取扱いは総合事業の実施主体である市町村に確認してください。
担当者は途中で変更できますか?
変更を禁じる定めはありません。変更した場合は記録上明確にしておいてください。
- 若年性認知症利用者受入加算は1日につき60単位
- 要件は「受け入れた利用者ごとに個別の担当者を定めていること」ひとつ
- 対象は介護保険法施行令第2条第6号の初老期における認知症により要介護となった人
- 条文に年齢の記載はなく、特定疾病としての位置づけが根拠
- 認知症加算を算定している場合は算定できない
- 通所介護の認知症加算も60単位で同額
- 認知症加算は事業所全体の体制が要件で、こちらは担当者を決めるだけ
- 担当者に職種・資格の限定はない
- 都道府県知事への届出が必要
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生労働省告示第19号)別表 通所介護費の注15、注16(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)十八 若年性認知症利用者受入加算の基準(厚生労働省法令等データベース)
- 介護保険法施行令第2条第6号(初老期における認知症)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(都道府県・政令市・中核市)の解釈をご確認ください。加算の解釈や届出の運用が自治体によって異なる場合があります。65歳到達後の取扱い、複数名を担当者とする場合の取扱いについては所在自治体に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




