特養の夜勤職員基準減算は、所定単位数の100分の97、つまり3%の減算です。基準は老健と違って「1日平均」ではなく、入所者数に応じた実数の階段で定められています。25人以下なら1人、26〜60人なら2人、61〜80人なら3人、81〜100人なら4人。見守り機器等の活用でこれを0.8倍にできる仕組みもあります。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)、厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)の原文を確認して、減算率・必要な夜勤職員数・0.8倍の要件・ユニット型の基準を整理しました。

この記事でわかること

  • 特養の夜勤職員基準減算は3%(所定単位数の97%)だということ
  • 入所者数に応じた必要人数の階段(25人以下=1人、以降の段階)
  • 101人以上は「4人+25人ごとに1人」で増えること
  • 見守り機器等の活用で必要人数を0.8倍にできること
  • 0.8倍を使う場合でも常時配置の下限があること
  • ユニット型は「2ユニットごとに1人」だということ
  • ショートステイの利用者を分母に含めること
  • 夜勤職員配置加算との基準の違い

特養の夜勤職員基準減算とは?

夜勤職員基準減算は、夜勤を行う介護職員・看護職員の人数が基準に満たない場合に、基本報酬を減額する仕組みです。加算が取れなくなるのではなく、介護福祉施設サービス費そのものが97%になります。

特養の夜勤に関する規定は2段構えです。基本報酬を満額もらうための基準があり、これを割ると3%減算。その上に、さらに手厚い配置を評価する夜勤職員配置加算((Ⅰ)〜(Ⅳ)、イ・ロで8区分)があります。減算を回避できていることと、加算が取れることは別の話です。

ちびウルフちびウルフ

老健の記事では「1日平均で計算する」とありましたが、特養も同じですか。

リハウルフリハウルフ

基準の書き方が違います。特養は入所者数に応じた実数で「何人以上」と決まっています。人数の階段が細かいので、定員に近い稼働だと1人の増減で必要人数が変わることがあります。

夜勤職員基準減算の減算率

告示第21号の介護福祉施設サービスの注の但し書きに定められています。

区分減算後の単位数実質の減算率
夜勤職員基準を満たさない場合所定単位数の97%3%減

要介護3・多床室の基本報酬を仮に1日800単位とすると24単位の減。100床が1か月満床なら約72,000単位、金額にして70万円前後の影響になります。

減算は基本報酬にかかる

「所定単位数の100分の97」なので、基本報酬に直接かかります。特養の減算のなかでは身体拘束廃止未実施減算(10%)に次いで重い部類です。

夜勤職員基準減算にならないための基準

基準は告示第29号の第5号にあり、第1号ロの規定を準用する形で書かれています。従来型とユニット型で内容が違います。

従来型(介護福祉施設サービス費)

入所者等の数必要な夜勤職員数
25人以下1人以上
26〜60人2人以上
61〜80人3人以上
81〜100人4人以上
101人以上4人に、100を超えて25またはその端数を増すごとに1を加えた数以上

101人以上の計算を具体化すると次のようになります。

入所者等の数必要な夜勤職員数
101〜125人5人以上
126〜150人6人以上
151〜175人7人以上

100人と101人で1人違う

81〜100人は4人ですが、101人になると5人です。ショートステイの併設で「入所者等の数」が100を超える施設は、稼働状況によって必要人数が変わります。定員100床+ショート数床という構成の特養は、この境界線上にいます。

「入所者等の数」にショートステイを含める

告示は「指定短期入所生活介護の利用者の数及び当該特別養護老人ホームの入所者の数の合計数」としています。併設・空床利用のショートステイ利用者は分母に入ります。

ユニット型

ユニット型は考え方が変わり、「2つのユニットごとに夜勤を行う介護職員または看護職員の数が1人以上」です。入所者数ではなくユニット数で決まります。

ユニット数必要な夜勤職員数
2ユニット1人以上
4ユニット2人以上
6ユニット3人以上
10ユニット5人以上

1ユニットは概ね10人以下とされているため、10ユニット=約100人で5人となり、従来型の101人以上(5人)と近い水準になります。

見守り機器等による0.8倍の緩和

告示第29号は、従来型について必要人数を0.8倍にできる規定を置いています。

f bからeまでの規定にかかわらず、次に掲げる要件のいずれにも適合する場合は、(中略)合計数に応じてbからeまでの規定に基づき算出される数に十分の八を乗じて得た数以上

入所者等の数原則0.8倍を適用した場合
26〜60人2人以上1.6人以上
61〜80人3人以上2.4人以上
81〜100人4人以上3.2人以上

25人以下(1人以上)には適用されません。「bからeまで」=26人以上の区分が対象です。

0.8倍を使うための4つの要件

  • 夜勤時間帯を通じて、利用者の動向を検知できる見守り機器を利用者の数以上設置していること
  • 夜勤時間帯を通じて、夜勤を行うすべての介護職員または看護職員が情報通信機器を使用し、職員同士の連携促進が図られていること
  • 見守り機器等を活用する際の安全体制・ケアの質の確保・職員の負担軽減に関する5つの事項を実施し、かつ委員会を設置して介護職員・看護職員その他の職種と共同で必要な検討等を行い、実施を定期的に確認していること
  • 入所者等の数が60以下の場合は1人以上、61以上の場合は2人以上の介護職員または看護職員が、夜勤時間帯を通じて常時配置されていること

3つ目の「5つの事項」は次のとおりです。

事項内容
(1)夜勤職員による居室への訪問を個別に必要とする利用者への訪問と、適切なケア等による利用者の安全およびケアの質の確保
(2)夜勤を行う職員の負担の軽減および勤務状況への配慮
(3)夜勤時間帯における緊急時の体制整備
(4)見守り機器等の定期的な点検
(5)見守り機器等を安全かつ有効に活用するための職員研修

4つ目の「常時配置」の下限を見落とさない

0.8倍の計算だけを見て人を減らすと、この要件で引っかかります。入所者等が61人以上なら、常に2人以上が夜勤時間帯を通じて配置されていなければなりません。81〜100人なら計算上は3.2人ですが、常時2人を切る時間帯があると要件を満たしません。

ちびウルフちびウルフ

見守りセンサーを入れれば人を減らせる、という話ではないんですね。

リハウルフリハウルフ

機器を入所者数以上そろえて、全員がインカムを使って、委員会で5項目を回して、それでようやく0.8倍です。しかも常時2人の下限がある。緩和というより、条件付きの調整だと考えたほうがいいと思います。

夜勤職員基準減算の注意点

介護職員・看護職員のどちらでも数える

告示は「夜勤を行う介護職員又は看護職員(看護師又は准看護師をいう)」としており、職種の内訳は問われません。

夜勤職員配置加算とは基準が別

区分根拠効果
基本報酬の夜勤職員基準告示第29号 第5号イ満たさないと97%
夜勤職員配置加算告示第29号 第5号ロ(Ⅰ)〜(Ⅳ)イ・ロの8区分で加算

同じ告示の中で条文が分かれています。減算を回避できているだけでは、加算は取れません。

共生型短期入所生活介護を行う場合

共生型短期入所生活介護の事業を行う事業所については、夜勤を行う生活支援員の数が指定障害者支援施設として必要とされる生活支援員の数以上であることという別の基準が置かれています。

稼働率の変動に注意する

必要人数は入所者等の数で決まります。100人と101人、60人と61人、80人と81人。この境界をまたぐと必要人数が1人増えます。ショートステイの受け入れ状況によって日々変動するため、定員に近い運営をしている施設ほど注意が必要です。

夜勤職員基準減算のQ&A

入所者100人の特養では何人必要ですか?

4人以上です。101人になると5人以上になります。

ショートステイの利用者は数に含めますか?

含めます。「指定短期入所生活介護の利用者の数及び当該特別養護老人ホームの入所者の数の合計数」で判定します。

ユニット型の基準は何ですか?

2つのユニットごとに夜勤を行う介護職員または看護職員が1人以上です。入所者数ではなくユニット数で決まります。

見守り機器を入れると何人まで減らせますか?

原則の人数に0.8を乗じた数以上です。ただし入所者等が61人以上の場合は常時2人以上(60人以下は常時1人以上)の配置が別途必要です。

見守り機器は何台必要ですか?

利用者の数以上です。加えて夜勤者全員が情報通信機器を使用していること、委員会での検討と定期確認が必要です。

25人以下でも0.8倍を使えますか?

使えません。0.8倍の規定は26人以上の区分(bからeまで)が対象です。

看護職員だけで基準を満たせますか?

告示は「介護職員又は看護職員」としており、職種の内訳は問われません。

准看護師も数えられますか?

数えられます。告示は看護職員を「看護師又は准看護師」と定義しています。

減算中でも夜勤職員配置加算は算定できますか?

できません。夜勤職員配置加算はより高い基準を満たす必要があるため、基本報酬の基準を割っている状況では算定できません。

まとめ

  • 特養の夜勤職員基準減算は所定単位数の97%(3%減)
  • 加算が取れなくなるのではなく、基本報酬そのものが下がる
  • 従来型の基準は入所者等の数に応じた実数(1日平均ではない)
  • 25人以下=1人、26〜60人=2人、61〜80人=3人、81〜100人=4人
  • 101人以上は4人に、100を超えて25またはその端数ごとに1を加えた数
  • 100人と101人、60人と61人、80人と81人で必要人数が変わる
  • ショートステイの利用者も「入所者等の数」に含める
  • ユニット型は2つのユニットごとに1人以上
  • 見守り機器等の要件を満たせば必要人数を0.8倍にできる
  • 0.8倍は26人以上の区分が対象で、25人以下には適用されない
  • 見守り機器は利用者の数以上、夜勤者全員が情報通信機器を使用する
  • 委員会で5つの事項を検討し、実施を定期的に確認する
  • 0.8倍を使う場合でも、61人以上なら常時2人以上(60人以下は常時1人以上)が必要
  • 介護職員・看護職員(看護師・准看護師)のどちらでも数える
  • 夜勤職員配置加算の基準はこれより高く、別の条文に定められている

参考にした情報

※本記事の減算率・基準は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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