看多機の特別管理加算とは?算定要件やポイントを解説

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の特別管理加算は、(Ⅰ)500単位・(Ⅱ)250単位です。1月につき算定します。対象になる状態は告示で列挙されており、そこに当てはまるかどうかで算定の可否が決まります。
そして看多機では、この加算がもう1つの顔を持ちます。特別管理加算を算定した利用者の割合が20%以上であることが、看護体制強化加算3,000単位の要件の1つ。逆に5%未満であることが、訪問看護体制減算2,914単位の判定指標の1つです。金額以上に、事業所の報酬全体を左右する加算です。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)複合型サービス費のワと、厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第6号・第54号の原文を確認して整理しました。
- 特別管理加算(Ⅰ)500単位・(Ⅱ)250単位の違い
- (Ⅰ)と(Ⅱ)を分ける「状態」の具体的な内容
- 気管カニューレ・留置カテーテルは(Ⅰ)であること
- 在宅酸素療法・人工肛門・真皮を越える褥瘡は(Ⅱ)であること
- 点滴注射週3日以上という状態要件の読み方
- 「計画的な管理」が算定の前提であること
- 看護体制強化加算・訪問看護体制減算の指標であること
- 訪問看護の特別管理加算との違い
ちびウルフ(Ⅰ)と(Ⅱ)って、状態の重さで分かれているんですか? 人工肛門より気管カニューレのほうが重いということ?
リハウルフ「重さ」というより管理の頻度と緊急性で分かれていると読むほうが実態に合います。気管カニューレや留置カテーテルは、閉塞や自己抜去が起きれば即対応が要る。告示は状態を列挙しているだけで理由を書いていませんが、(Ⅰ)に並ぶのは「放置が短時間で致命的になる」ものばかりです。
看多機の特別管理加算とは?
看護小規模多機能型居宅介護の特別管理加算は、特別な管理を必要とする利用者に対して、看護サービスの実施に関する計画的な管理を行った場合に算定する加算です。告示126号 複合型サービス費のワに規定されています。
看多機の基本報酬は要介護度別の月額包括なので、医療処置の有無で額が変わりません。医療的な管理に手間がかかる方を受け入れても、基本報酬だけでは評価されないという構造があります。その差を埋めるのが特別管理加算です。
対象は「別に厚生労働大臣が定める状態」に該当する方に限られます。看護師の主観的な判断ではなく、告示94号第6号が列挙する状態に当てはまるかどうかで決まる、明快な仕組みです。
令和6年度介護報酬改定では、この加算の区分・単位数に変更はありませんでした。なお対象状態には在宅強心剤持続投与指導管理が含まれており、これは令和4年度診療報酬改定で新設された管理料に対応するものです。
特別管理加算の単位数
ワ 特別管理加算
注 イについては、指定看護小規模多機能型居宅介護に関し特別な管理を必要とする利用者に対して、(略)届出を行った指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が、指定看護小規模多機能型居宅介護(看護サービスを行う場合に限る。)の実施に関する計画的な管理を行った場合は、厚生労働大臣が定める区分に応じて、1月につき次に掲げる所定単位数を加算する。(略)
(1) 特別管理加算(Ⅰ) 500単位
(2) 特別管理加算(Ⅱ) 250単位
| 区分 | 単位数 | 算定頻度 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 特別管理加算(Ⅰ) | 500単位 | 1月につき | イ(看護小規模多機能型居宅介護費) |
| 特別管理加算(Ⅱ) | 250単位 | 1月につき | 同上 |
条文は「ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない」としています。(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定はできません。(Ⅰ)と(Ⅱ)の両方の状態に当てはまる方の場合、(Ⅰ)500単位を算定することになります。
特別管理加算の算定要件
要件は「対象の状態に該当すること」と「計画的な管理を行うこと」の2つです。
特別管理加算(Ⅰ)500単位の対象状態
告示94号 第6号イに該当する方が対象です。
- 在宅麻薬等注射指導管理を受けている状態
- 在宅腫瘍化学療法注射指導管理を受けている状態
- 在宅強心剤持続投与指導管理を受けている状態
- 在宅気管切開患者指導管理を受けている状態
- 気管カニューレを使用している状態
- 留置カテーテルを使用している状態
特別管理加算(Ⅱ)250単位の対象状態
告示94号 第6号ロ・ハ・ニ・ホに該当する方が対象です。
| 号 | 状態 |
|---|---|
| ロ | 在宅自己腹膜灌流指導管理/在宅血液透析指導管理/在宅酸素療法指導管理/在宅中心静脈栄養法指導管理/在宅成分栄養経管栄養法指導管理/在宅自己導尿指導管理/在宅持続陽圧呼吸療法指導管理/在宅自己疼痛管理指導管理/在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態 |
| ハ | 人工肛門または人工膀胱を設置している状態 |
| ニ | 真皮を越える褥瘡の状態 |
| ホ | 点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態 |
「計画的な管理」と「看護サービスを行う場合に限る」
ワの注には2つの限定が入っています。
| 限定 | 意味 |
|---|---|
| 看護サービスを行う場合に限る | 介護サービスだけを提供している月は対象にならない。看護職員による看護サービスの提供が前提 |
| 計画的な管理を行った場合 | 状態に該当するだけでは足りない。看護小規模多機能型居宅介護計画に位置づけ、管理を実施していること |
「気管カニューレが入っているから自動的に500単位」ではありません。計画に管理の内容を書き、実施し、記録を残す。この一連がそろって初めて算定できます。実地指導で確認されるのもここです。
この加算は「指標」でもある
看多機では、特別管理加算の算定状況そのものが2つの規定の判定材料になります。
| 規定 | 特別管理加算の使われ方 | 影響額(要介護5) |
|---|---|---|
| 看護体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 算定した利用者の割合が20%以上であること | +3,000単位/+2,500単位 |
| 訪問看護体制減算 | 算定した利用者の割合が5%未満であること(3指標すべて該当で減算) | △2,914単位 |
3指標のなかで、この20%はしばしば最後の関門になります。看護サービスの提供割合80%や緊急時対応加算50%は体制と説明で動かせますが、特別管理加算の対象状態にある方が登録者の2割いるかどうかは、受け入れの方針そのものに関わるからです。
担当したケースでも、状態としては真皮を越える褥瘡や留置カテーテルに該当する方がいたのに、請求に反映されていない事業所がありました。看護記録には状態が書いてあるのに、算定判断をする人がそこを見ていない。状態の把握と算定判断の担当が分かれていると、こういう抜けが必ず起きます。
訪問看護の特別管理加算との違い
| 項目 | 看多機 | 訪問看護 |
|---|---|---|
| (Ⅰ) | 500単位/月 | 500単位/月 |
| (Ⅱ) | 250単位/月 | 250単位/月 |
| 対象状態 | 告示94号第6号イ/ロ〜ホ | 同じ(告示94号第6号) |
| 根拠条文 | 告示126号 複合型サービス費のワ | 告示19号 訪問看護費の注13 |
| 区分の根拠 | 告示94号第54号 | 告示94号第7号 |
単位数も対象状態も同じです。違うのは、看多機では「看護体制強化加算・訪問看護体制減算の指標」という役割が重なっている点です。訪問看護でも看護体制強化加算の20%要件に使われますが、減算の判定指標にまではなっていません。
特別管理加算の注意点
留置カテーテルの範囲
(Ⅰ)に含まれる「留置カテーテル」がどこまでを指すかは、実務で判断に迷うところです。膀胱留置カテーテルは典型ですが、胃瘻カテーテルや在宅中心静脈栄養のカテーテルなどをどう扱うかは、告示本文の文言だけでは決まりません。解釈通知および保険者の取扱いを確認してください。在宅中心静脈栄養法指導管理はロ(Ⅱ)に別掲されている点も手がかりになります。
真皮を越える褥瘡の判定
ニの「真皮を越える褥瘡」は、DESIGN-R等の評価に照らせばd2を超えるもの、つまりD3以上が該当すると整理されるのが一般的です。ただし告示本文に評価スケールの指定はありません。判定の根拠を記録で残しておくことが重要です。
点滴注射週3日以上は「必要があると認められる状態」
ホは「点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態」です。実施した日数ではなく必要性で判断する書きぶりになっています。とはいえ実績と乖離した算定は説明がつきません。主治医の指示と実施記録をそろえておいてください。
短期利用居宅介護費には加算されない
ワの注は「イについては」と書かれています。対象は看護小規模多機能型居宅介護費であり、短期利用居宅介護費には加算されません。看護体制強化加算・訪問看護体制減算の割合を計算する際も、母集団から短期利用者は除かれます。
- 全登録者の医療処置・状態を一覧に落とす
- 告示94号第6号イ(Ⅰ)とロ〜ホ(Ⅱ)に該当する方を仕分ける
- 該当者について看護小規模多機能型居宅介護計画に管理の内容を記載する
- 計画にもとづく看護サービスの実施を記録に残す
- 算定した利用者の割合を毎月集計し、20%以上を維持できているか確認する
よくある質問
看多機の特別管理加算はいくらですか?
(Ⅰ)が500単位、(Ⅱ)が250単位です。いずれも1月につき算定します。
(Ⅰ)の対象になる状態は何ですか?
在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理、在宅強心剤持続投与指導管理、在宅気管切開患者指導管理を受けている状態、または気管カニューレ・留置カテーテルを使用している状態です。
(Ⅱ)の対象になる状態は何ですか?
在宅酸素療法・在宅中心静脈栄養法・在宅自己導尿など9つの指導管理を受けている状態、人工肛門または人工膀胱を設置している状態、真皮を越える褥瘡の状態、点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態です。
(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できますか?
できません。両方の状態に当てはまる場合は(Ⅰ)500単位を算定します。
状態に該当すれば自動的に算定できますか?
できません。看護サービスを行う場合に限られ、かつ計画的な管理を行っていることが要件です。
介護サービスだけを提供した月も算定できますか?
できません。条文は「看護サービスを行う場合に限る」としています。
真皮を越える褥瘡はどう判定しますか?
告示本文に評価スケールの指定はありません。一般にはDESIGN-RのD3以上が該当すると整理されますが、判定の根拠を記録に残し、保険者の取扱いを確認してください。
点滴注射は実施日数で判定しますか?
条文は「週3日以上行う必要があると認められる状態」と書いており、必要性による判断です。主治医の指示と実施記録をそろえてください。
看護体制強化加算とどう関係しますか?
看護体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)は、特別管理加算を算定した利用者の割合が20%以上であることを要件としています。
算定しないと減算されますか?
直接の減算はありませんが、算定した利用者の割合が5%未満であることは訪問看護体制減算の判定指標の1つです。他の2指標も該当すると減算になります。
短期利用の利用者にも算定できますか?
できません。ワの注は「イについては」とあり、対象は看護小規模多機能型居宅介護費です。
訪問看護の特別管理加算と単位数は同じですか?
同じです。(Ⅰ)500単位・(Ⅱ)250単位で、対象状態も告示94号第6号で共通です。
- 看多機の特別管理加算は(Ⅰ)500単位・(Ⅱ)250単位(1月につき)
- 対象はイ(看護小規模多機能型居宅介護費)で、短期利用は対象外
- (Ⅰ)は気管カニューレ・留置カテーテル・在宅麻薬等注射指導管理などの状態
- (Ⅱ)は在宅酸素療法など9つの指導管理、人工肛門・人工膀胱、真皮を越える褥瘡、点滴注射週3日以上
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない
- 状態に該当するだけでは足りず、計画的な管理が要件
- 看護サービスを行う場合に限られる
- 市町村長への届出が必要
- 看護体制強化加算は、この加算の算定割合20%以上を要件とする
- 訪問看護体制減算は、この加算の算定割合5%未満を判定指標の1つとする
- 3指標のなかで20%要件は最後の関門になりやすい
- 状態の把握と算定判断の担当が分かれていると算定漏れが起きる
- 留置カテーテルの範囲や褥瘡の判定は告示本文だけでは決まらず、保険者の取扱いによる
- 単位数・対象状態は訪問看護の特別管理加算と同じ
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年3月14日厚生労働省告示第126号)別表「複合型サービス費」ワ、レ、注14(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年3月23日厚生労働省告示第94号)第6号(厚生労働大臣が定める状態)、第54号(複合型サービス費のワの注の厚生労働大臣が定める区分)(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日厚生労働省告示第95号)第75号、第78号(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・対象状態は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに「留置カテーテル」に含まれる範囲、「真皮を越える褥瘡」の判定方法、「点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態」の判断、月途中で状態が変化した場合の取扱いについては告示本文に明記がなく、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




