訪問看護の看護・介護職員連携強化加算は、1月に1回に限り250単位です。訪問介護員等がたんの吸引等を円滑に行えるよう、訪問看護師が支援した場合に算定します。

この加算には、条文を読んだだけでは気づきにくい条件が3つあります。緊急時訪問看護加算を届け出ていること、加算を付けるのは「月の初日の訪問看護実施日」であること、そして研修目的の同行では訪問看護費そのものも算定できないことです。この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)訪問看護費のヘと、老企第36号 第2の4(27)の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 看護・介護職員連携強化加算は1月に1回250単位であること
  • 連携先は登録喀痰吸引等事業者である訪問介護事業所であること
  • 支援の方法は「同行訪問」と「会議出席」の2つ
  • 緊急時訪問看護加算の届出が算定の前提であること
  • 加算を付ける日は月の初日の訪問看護実施日であること
  • 研修目的の同行では訪問看護費も算定できないこと
  • 同行で時間が延びてもケアプラン上の訪問看護費を算定すること
  • 介護予防訪問看護には設定がないこと
ちびウルフちびウルフ

ヘルパーさんに吸引を教えに行ったら算定できるんですよね?

リハウルフリハウルフ

そこが一番の落とし穴です。「教えに行く」=技術取得や研修目的の同行は、算定できません。しかも老企36号は「当該加算及び訪問看護費は算定できない」と書いています。加算だけでなく訪問看護費まで落ちる。この加算は、あくまで利用者ごとの計画書・報告書づくりと緊急時対応の助言が中心です。

訪問看護の看護・介護職員連携強化加算とは?

看護・介護職員連携強化加算は、訪問介護員等が行うたんの吸引等が安全に行われるよう、訪問看護師が助言・確認を行う連携を評価する加算です。告示19号 訪問看護費のヘに規定されています。

平成24年から、一定の研修を受けた介護職員は、医師の指示のもとでたんの吸引と経管栄養を行えるようになりました。ただし介護職員だけで安全を担保するのは難しく、看護職の関与が不可欠です。吸引の深さ、注入の速度、体調変化のサイン。こうした判断は、日々の状態を見ている看護師でなければ組み立てられません。

この加算は、その関与を報酬で支える仕組みです。訪問看護と訪問介護のあいだに、利用者ごとの具体的な手順と緊急時の道筋をつくることを評価しています。

令和6年度介護報酬改定では、この加算の単位数・要件に変更はありませんでした。

看護・介護職員連携強化加算の単位数

看護・介護職員連携強化加算 250単位
注 指定訪問看護事業所が、社会福祉士及び介護福祉士法第48条の3第1項の登録又は同法附則第27条第1項の登録を受けた指定訪問介護事業所と連携し、当該事業所の訪問介護員等が当該事業所の利用者に対し社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に掲げる医師の指示の下に行われる行為を円滑に行うための支援を行った場合は、1月に1回に限り所定単位数を加算する。

区分単位数算定頻度要支援
看護・介護職員連携強化加算250単位1月に1回×(設定なし)

介護予防訪問看護費には、この加算の規定がありません。たんの吸引等を必要とする方が要支援に該当することは想定されていない、という設計だと読めます。

「医師の指示の下に行われる行為」=5つの行為

社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号が定める行為です。

区分行為
喀痰吸引口腔内の喀痰吸引
鼻腔内の喀痰吸引
気管カニューレ内部の喀痰吸引
経管栄養胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養
経鼻経管栄養

看護・介護職員連携強化加算の算定要件

連携先は「登録喀痰吸引等事業者」であること

注は、社会福祉士及び介護福祉士法第48条の3第1項(または附則第27条第1項)の登録を受けた指定訪問介護事業所と連携することを求めています。登録喀痰吸引等事業者の登録がない訪問介護事業所との連携では算定できません。

訪問介護事業所側が登録を受けているかどうかは、都道府県のホームページで公表されています。連携を始める前に確認してください。

支援の内容(老企第36号 第2の4(27)①)

① 看護・介護職員連携強化加算は、訪問看護事業所の看護職員が、訪問介護事業所の訪問介護員等に対し、たんの吸引等の業務が円滑に行われるよう、たんの吸引等に係る計画書や報告書の作成及び緊急時等の対応についての助言を行うとともに当該訪問介護員等に同行し、利用者の居宅において業務の実施状況について確認した場合、又は利用者に対する安全なサービス提供体制整備や連携体制確保のための会議に出席した場合に算定する。なお、訪問介護員等と同行訪問した場合や会議に出席した場合は、その内容を訪問看護記録書に記録すること。

ルートやること
①同行訪問計画書・報告書の作成と緊急時対応の助言を行い、かつ訪問介護員等に同行して、居宅で業務の実施状況を確認する
②会議出席利用者に対する安全なサービス提供体制整備や連携体制確保のための会議に出席する

①は「助言」と「同行確認」の両方が必要です。助言だけ、同行だけでは足りない書き方になっています。

緊急時訪問看護加算の届出が前提

③ 当該加算は訪問看護が24時間行える体制を整えている事業所として緊急時訪問看護加算の届け出をしている場合に算定可能である。

これが条文(告示)には書かれていない、通知だけの要件です。ヘの注を読んでも出てきません。緊急時訪問看護加算を届け出ていない事業所は、他の要件をすべて満たしていても算定できません。

理由は明快で、たんの吸引等を介護職員が行う利用者は、夜間に急変する可能性が高いからです。助言をした以上、24時間つながる体制がなければ責任が完結しない、という考え方だと読めます。

加算を付ける日は「月の初日の訪問看護実施日」

② 当該加算は、①の訪問介護員等と同行訪問を実施した日又は会議に出席した日の属する月の初日の訪問看護の実施日に加算する

同行した日や会議に出た日に付けるのではありません。その日が属する月の、最初の訪問看護の日に付けます。

たとえば8月20日に同行訪問を行い、8月の訪問看護の初回が8月3日だった場合、加算は8月3日に付けることになります。請求ソフトで日付を誤りやすいポイントです。

看護・介護職員連携強化加算の注意点

研修目的の同行は訪問看護費まで算定できない

⑤ 当該加算は訪問介護員等のたんの吸引等の技術不足を補うために同行訪問を実施することを目的としたものではないため、訪問介護員等のたんの吸引等に係る基礎的な技術取得や研修目的で、訪問看護事業所の看護職員が同行訪問を実施した場合は、当該加算及び訪問看護費は算定できない

加算が取れないだけでなく、その訪問の訪問看護費そのものが算定できません。これは実務上かなり重い規定です。

担当したケースでも、「新しく入ったヘルパーに吸引を見てもらう」という位置づけの同行が実際にありました。気持ちとしては連携なのですが、目的が技術取得であれば算定の対象外です。訪問看護記録書に「指導」「研修」と書いてしまうと、それ自体が根拠になります。

記録の書き分け

算定できるのは「この利用者について」の計画書・報告書づくりと緊急時対応の助言、その実施状況の確認です。書くべきは、吸引の深さ・回数・注意する所見・急変時の連絡先といった、利用者個別の内容。訪問介護員の技術習熟度についての記述が中心になっていると、目的が違うと読まれます。

同行で時間が延びても訪問看護費は変わらない

④ 訪問看護事業所の看護職員が、訪問介護員等と同行し、たんの吸引等の実施状況を確認する際、通常の訪問看護の提供以上に時間を要した場合であっても、ケアプラン上に位置づけられた訪問看護費を算定する

30分の予定が1時間かかっても、算定するのは30分未満の区分(471単位)です。実際の所要時間で時間区分を上げることはできません。

1月に1回まで

月に何度同行しても、会議に何度出ても、算定できるのは1月に1回・250単位です。

算定前に確認したいこと
  • 連携先の訪問介護事業所が登録喀痰吸引等事業者か
  • 自事業所が緊急時訪問看護加算を届け出ているか
  • 同行ルートなら、助言と同行確認の両方を行ったか
  • 目的が技術取得・研修になっていないか
  • 訪問看護記録書に内容を記録したか
  • 加算を付ける日を「その月の初日の訪問看護実施日」にしているか
  • 時間が延びても時間区分を上げていないか

よくある質問

看護・介護職員連携強化加算はいくらですか?

1月に1回に限り250単位です。

どんな行為が対象ですか?

口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引と、胃ろう・腸ろう・経鼻の経管栄養です。社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に定める5つの行為です。

どの訪問介護事業所とでも連携できますか?

できません。社会福祉士及び介護福祉士法の登録を受けた事業所(登録喀痰吸引等事業者)であることが必要です。

緊急時訪問看護加算は必要ですか?

必要です。老企第36号に「緊急時訪問看護加算の届け出をしている場合に算定可能」と明記されています。

同行訪問をしなくても算定できますか?

会議出席のルートがあります。利用者に対する安全なサービス提供体制整備や連携体制確保のための会議に出席した場合も対象です。

加算はいつの日付で付けますか?

同行訪問または会議出席の日が属する月の、初日の訪問看護実施日に加算します。同行した日ではありません。

ヘルパーに吸引の手技を教える同行は対象ですか?

対象外です。基礎的な技術取得や研修目的の同行は、加算だけでなくその訪問の訪問看護費も算定できません。

同行で時間が延びたら時間区分を上げられますか?

上げられません。ケアプラン上に位置づけられた訪問看護費を算定します。

月に2回同行したら500単位ですか?

250単位です。1月に1回が限度です。

要支援の方でも算定できますか?

できません。介護予防訪問看護費にはこの加算の規定がありません。

記録は何に残しますか?

訪問看護記録書です。同行訪問や会議出席の内容を記録することが求められています。

令和6年度改定で変更はありましたか?

単位数・要件ともに変更はありません。

まとめ
  • 訪問看護の看護・介護職員連携強化加算は1月に1回250単位
  • 対象は喀痰吸引3種と経管栄養2種の計5行為
  • 連携先は登録喀痰吸引等事業者である指定訪問介護事業所に限られる
  • 支援のルートは「助言+同行確認」か「会議出席」の2つ
  • 同行ルートは助言と同行確認の両方が必要
  • 緊急時訪問看護加算の届出が前提(告示ではなく通知の要件)
  • 加算を付ける日は同行日ではなく、その月の初日の訪問看護実施日
  • 技術取得・研修目的の同行は加算も訪問看護費も算定できない
  • 記録が「指導」中心になると目的が違うと読まれる
  • 同行で時間が延びてもケアプラン上の訪問看護費のまま
  • 月に何度同行しても250単位が上限
  • 内容は訪問看護記録書に記録する
  • 介護予防訪問看護には設定がなく、要支援は対象外
  • 令和6年度改定での変更はない
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに会議出席ルートで求められる会議の要件、同行訪問における「助言」の範囲については、指定権者の取扱いによります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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