「認知症の在宅看護のポイントってどんなことがあるのだろう?」
この記事ではこのような疑問に答えます。
認知症は、記憶や思考、判断力などが次第に衰え、日常生活が困難になる病状を指します。
年々、高齢化に伴い、認知症の人は増加しています。
そしてその数は今後さらに増えると予想されています。この状況を考えると、家族を含む社会全体が認知症についての理解を深め、適切な対応を取る必要があります。
在宅で認知症の利用者さんをケアする際には、さまざまな困難が伴います。しかし、適切な知識と理解をもって対応すれば、利用者さんが安心して生活できる環境を作ることができます。
この記事では、認知症の利用者さんを在宅でケアするための7つのポイントを紹介します。
認知症の在宅看護のポイント
看護の目的は、利用者さんが自身の能力を最大限に活用し、安全に快適に生活できるよう支援することです。
しかし、認知症の症状は人それぞれ異なるため、一概にこれが正しいとは言えません。
それでも、以下の7つのポイントを抑えることで、認知症の利用者さんとその家族がより良い生活を送るための援助となるでしょう。
認知症の在宅看護のポイントで代表的なものを紹介します。
- 認知症の人の否定をしない
- 安全確保する(危険なものを置かない、危険な場所を作らない)
- 家族のメンタル面もリフレッシュする
- 認知症の薬を正しく内服する
- 介護者がいつでも相談できる人を作る
- 日常生活のサポートをする
- 何か困ったことがあったらすぐに主治医に相談
一つずつ解説していきます。
認知症の人の否定をしない
認知症の利用者さんは、現実と自身の認識がズレることがあります。
これは病状によるもので、否定や論理的な説明で解決するものではありません。
否定されると利用者さんは混乱し、ストレスを感じることがあります。
それは、自分の現実が理解されていないと感じるためです。
では、どのように対応すべきでしょうか?
例えば、利用者さんが「昨日、故郷の友人が訪ねてきた」と話したとします。
しかし、現実ではその友人はすでに亡くなっていて、訪ねてきたことはありません。
この時、否定するのではなく、利用者さんの感情に寄り添うような対応を心がけましょう。
「それは楽しかったですね、何を話しましたか?」というように、利用者さんの感情や体験を大切にする対応を行います。
安全確保する(危険なものを置かない、危険な場所を作らない)
認知症の利用者さんは、物の使い方を忘れたり、場所や方向感覚を失ったりすることがあります。
そのため、彼らの生活環境を整えることは非常に重要です。
それにより、事故を予防し、安全に生活できる環境を提供します。
家の中は常に整理整頓を心掛け、転倒のリスクを最小限に抑えましょう。
不要な物は片付け、通路は広く確保します。
また、危険な物は利用者さんの手の届かない場所に保管します。
これには、鋭利な刃物やガラス製品、毒性を持つ洗剤などが含まれます。
さらに、ドアや窓には安全ロックを取り付け、利用者さんが外出して迷子になることを防ぎます。
また、暗い場所は利用者さんにとって不安を感じる原因となりますので、十分な照明を確保しましょう。
家族のメンタル面もリフレッシュする
認知症の利用者さんをケアするという責任は大きなストレスとなります。
家族や介護者自身の心の健康を維持するためにも、定期的な休息とリフレッシュは必要です。そのためには以下のような方法があります。
自分自身の趣味や好きなことに時間を割くことで、心に余裕を持つことができます。
これは、映画を見る、散歩をする、読書をするなど、自分が楽しめる活動であれば何でも構いません。
また、友人や信頼できる人々との会話は、ストレスを軽減する効果があります。
その中で、自分の気持ちを語ったり、相手の話を聞いたりすることで、精神的な負担を減らすことができます。
必要な場合は、プロのカウンセラーや心理療法士と話すことも有効です。
これにより、自分の感情や考えを整理し、心の健康を保つことができます。
認知症の薬を正しく内服する
認知症の薬は、症状の進行を遅らせたり、一部の症状を軽減したりする効果があります。
しかし、これらの薬を正しく使用しなければ、その効果は得られません。
以下に、認知症の薬を正しく内服するためのポイントをいくつか紹介します。
まず、薬は指示通りに正確に服用しましょう。
一部の薬は食事と一緒に服用する必要があるかもしれませんし、他の薬は食事とは別に服用する必要があります。
これらの指示は、薬の有効性と安全性に影響を与えます。
次に、薬の効果や副作用に注意を払いましょう。
新たな症状や不快な副作用が現れた場合は、すぐに医師に連絡することが重要です。
最後に、薬の在庫管理を適切に行い、薬がなくなる前に再度処方してもらうことが重要です。
これにより、薬を断続的に服用することを防ぎます。
介護者がいつでも相談できる人を作る
介護者が孤立することは、心身の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、質の高いケアを維持することも困難になります。
そのため、相談できる人を作ることは重要です。
これには、医療専門家、家族、友人、地域の支援者などが含まれます。
相談できる人がいれば、問題を共有し、アドバイスを求めることができます。
これにより、問題を解決する新たな視点を得たり、単純に気持ちを吐き出すことで心が軽くなったりします。
日常生活のサポートをする
認知症の利用者さんは、日常生活のさまざまな部分で支援を必要とします。
これには、食事の準備、清潔の維持、適切な睡眠時間の確保などが含まれます。
以下に、日常生活のサポートの一部を紹介します。
食事は、利用者さんが必要とする栄養を摂取する重要な機会です。
食事の準備では、利用者さんの好きな食べ物を提供し、食事を楽しみながら栄養を摂取できるようにします。
また、食事は社会的な活動でもあるため、可能な限り一緒に食事をすることで、利用者さんの孤独感を減らすことができます。
清潔の維持は、利用者さんの健康と尊厳を保つためにも重要です。
これには、定期的な入浴、適切な洗濯、定期的なベッドリネンの交換などが含まれます。
また、適切な睡眠は、認知症の症状を悪化させることを防ぐためにも重要です。
リラクゼーション技術、一貫した就寝時間、快適な寝具などを使用して、利用者さんが安心して眠ることができる環境を作ります。
何か困ったことがあったらすぐに主治医に相談
認知症の症状は、人それぞれ異なります。
それらは時間とともに変化することもあります。
そのため、何か問題が発生したり、利用者さんの状態に変化があったりしたら、すぐに主治医に相談することが重要です。
主治医は、利用者さんの健康状態を評価し、適切な治療計画を作成します。
これには、薬の調整、治療法の変更、または新たな介護の提案などが含まれることがあります。
また、介護者自身が困難に直面している場合も、主治医に相談することが重要です。
これにより、主治医は適切なリソースやサポートを提供することができます。
まとめ
認知症の在宅看護は、利用者さん本人だけでなく、その家族や周囲にも多大な影響を与えます。
しかし、上記の5つのポイントを意識することで、認知症の在宅看護の質を向上させることができます。
自分自身の心身の健康を維持すること、薬を正しく内服すること、相談できる人を作ること、日常生活のサポートを行うこと、そして何か困ったことがあったらすぐに主治医に相談すること。これらを念頭に置くことで、利用者さんに対する最善のケアを提供し続けることが可能になります。
認知症の在宅看護は容易なことではありませんが、これらのポイントを実践することで、その難易度を少しでも軽減することができます。
それにより、利用者さんはより良い生活を送ることができ、介護者自身もより良いケアを提供することができます。
ぜひ、役に立てていただければ幸いです。
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