「訪問看護には回数制限はありますか?」
「訪問看護の回数制限について医療保険と介護保険のそれぞれのルールを教えてください。」
「訪問看護のリハビリの回数制限はありますか?」
このような疑問を解決できる記事です。
・訪問看護の回数制限(医療保険・介護保険)
・訪問看護(リハビリ)の回数制限(医療保険・介護保険)
訪問看護(介護保険)の回数制限(上限)
看護師等(保健師、看護師、准看護師、助産師)による介護保険の訪問看護は回数制限はありません。
1度の訪問時間は下記のような区分があります。
1度の訪問看護の訪問時間
- 20分未満
- 30分未満
- 30分以上60分未満
- 60分以上90分未満
その中から選択して訪問回数や訪問時間を決めていきます。
介護保険ですので、ケアマネジャーが立てるケアプランのもとに訪問看護を提供することになります。
また、介護保険の支給限度額内で提供することになります。支給限度額を超えてしまった場合は10割請求となってしまいます。
その点を注意すれば、看護師等の介護保険の訪問看護には回数制限はありません。
訪問看護(医療保険)の回数制限(上限)
看護師等(保健師、看護師、准看護師、助産師)による医療保険の訪問看護は、1度の訪問時間は下記のような区分があります。
1度の訪問看護の訪問時間
- 30分以上90分以内
訪問看護は、原則、1〜3回/週までとなります。
【特例】訪問看護(医療保険)で週4回以上可能な場合
医療保険の訪問看護においても週4回以上可能な場合があります。
週4回以上可能な場合は下記に該当する者です。
- 厚生労働大臣が定める疾病等の場合
- 特掲診療料の施設基準等・別表第八に掲げる疾病等の者
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患
・進行性核上性麻痺
・大脳皮質基底核変性症
・パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る) - 多系統萎縮症
・線条体黒質変性症
・オリーブ橋小脳萎縮症
・シャイ・ドレーガー症候群 - プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
- 在宅悪性腫瘍等患者指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者
- 以下のいずれかを受けている状態にある者
・在宅自己腹膜灌流指導管理
・在宅血液透析指導管理
・在宅酸素療法指導管理
・在宅中心静脈栄養法指導管理
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
・在宅自己導尿指導管理
・在宅人工呼吸指導管理
・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
・在宅自己疼痛管理指導管理
・在宅肺高血圧症患者指導管理 - 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者
- 真皮を超える褥瘡の状態にある者
- 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
【特例】訪問看護(医療保険)で毎日訪問可能な場合
特別訪問看護指示書の交付を受けた場合は、14日間に限り、毎日訪問看護を受けることができます。
詳しくは下記の記事を読んでください。
訪問看護Ⅰ5(リハビリ・介護保険)の回数制限
介護保険の訪問看護からの理学療法士等による訪問看護の回数制限はあります。
週6回(120分間)というルールがあります。
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の訪問について
- 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置付けのものである。なお、言語聴覚士による訪問において提供されるものは、あくまで看護業務の一部であることから、言語聴覚士の業務のうち保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)の規定にかかわらず業とすることができるとされている診療の補助行為(言語聴覚士法(平成9年法律第132号)第42条第1項)に限る。
- 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護は、1回当たり20分以上訪問看護を実施することとし、1人の利用者につき週に6回を限度として算定する。
出典)厚生労働省
また、1日に2回を超えて訪問看護を行う場合(60分以上)は、訪問看護の料金が、要介護者は10%OFF、要支援者では50%OFFとなります。
利用者さん側としては、「料金が安く」なりますが、事業者側としては「収入が低下」してしまうため、事業所側からは1日に2回(60分)以上の訪問看護は行わないように自主制限をかけている可能性が高いです。
法律的には、1日に6回(120分間)を連続で実施しても問題ありません。
しかし、そのように対応すると訪問看護ステーション側の収入が減少してしまうため、実施してくれる事業所は少ないと思います。
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護は、1日2回を超えて(3回以上)行う場合には1回につき所定単位数の100分の90に相当する単位数を算定する。
なお、当該取扱いは、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が連続して3回以上訪問看護を行った場合だけでなく、例えば午前中に2回、午後に1回行った場合も、同様である。
(例)1日の訪問看護が3回である場合の訪問看護費
1回単位数×(90/100)×3回
出典)厚生労働省
介護予防訪問看護Ⅰ5については、令和3年度介護報酬改定から90/100ではなく、50/100になりました。
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による介護予防訪問看護は、1日2回(3回以上)を超えて行う場合には1回につき所定単位数の100分の50に相当する単位数を算定すること。
なお、当該取扱いは、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が連続して3回以上介護予防訪問看護を行った場合だけでなく、例えば午前中に2回、午後に1回行った場合も、同様である。
(例)1日の介護予防訪問看護が3回である場合の介護予防訪問看護費
1回単位数×(50/100)×3回
出典)厚生労働省
訪問看護Ⅰ5(リハビリ、介護保険)の回数制限に関するQ&A(厚生労働省)
厚生労働省の訪問看護Ⅰ5(リハビリ、介護保険)の回数制限に関するQ&Aのまとめです。
理学療法士等による訪問看護は、1回の訪問看護につき1回分の報酬しか算定できないのか。
理学療法士等による訪問看護については、20分以上を1回として、1度の訪問で複数回の実施が可能である。例えば、1度で40分以上の訪問看護を行った場合は2回分の報酬を算定できる。
理学療法士等による訪問看護は、連続して3回以上訪問看護を行った場合だけでなく、午前中に2回、午後に1回行った場合にも90/100に相当する単位数を算定するのか。
1日に3回以上行う場合には、連続して行った場合に限らず、1日の各訪問看護費の100分の90に相当する単位数を算定する。
理学療法士等による訪問看護は、1日に2回を超えて行う場合に1回につき90/100に相当する単位数を算定するとなっているが、何回行った場合に90/100に相当する単位数を算定するのか。
1日に3回以上の訪問看護を行った場合に、1日の各訪問看護費の100分の90に相当する単位数を算定する。
(例)1日の訪問看護が3回以上の場合の訪問看護費
1回単位数×(90/100)×3回
理学療法士等の訪問については、訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健師又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされてもよいのか。
リハビリテーションのニーズを有する利用者に対し、病院、老人保健施設等が地域に存在しないこと等により訪問リハビリテーションを適切に提供できず、その代替えとしての訪問看護ステーションからの理学療法士等の訪問が過半を占めることもあることから、理学療法士等の訪問が保健師又は看護師による訪問の回数を上回るような設定もあると考える。
訪問看護(リハビリ・医療保険)の回数制限
医療保険の理学療法士等による訪問看護は、看護師等による医療保険の訪問看護のルールと同様です。
原則、1〜3回で、条件を満たせば毎日訪問することも可能です。
訪問看護の回数制限のまとめ(医療保険、介護保険、リハビリ)
訪問看護の回数制限のまとめ(医療保険、介護保険、リハビリ)は下記の通りです。
- 看護師等による介護保険の訪問看護は回数制限なし
- 理学療法士等による介護保険の訪問看護は週6回までの回数制限あり
- 医療保険の訪問看護は、原則1〜3回。ただし、条件により毎日訪問することも可能
回数制限がある場合とない場合がありますが、その人にとって必要な頻度だけ訪問看護を提供するようにしましょう!