家族信託の費用はいくら?内訳と計算例・安くするコツ

先に結論をお伝えします。家族信託の費用は「専門家への報酬」と「実費(公正証書の手数料・信託登記の登録免許税など)」の2つに分かれます。実費は法令で計算方法が決まっていて、たとえば固定資産税評価額1,700万円の自宅と預金1,000万円を信託する例では、公正証書の手数料と登録免許税をあわせて約9万5千円です(計算は下で説明します)。一方、専門家への報酬には法令上の決まりがなく、事業者ごとに違うため、見積もりで比べる必要があります。
この記事では、公証人手数料令、登録免許税法、租税特別措置法、地方税法、信託法の条文を確認して、法令で決まる費用の計算方法を整理しました。
- 家族信託の費用の内訳
- 公正証書の手数料の計算方法
- 信託登記の登録免許税と、かからない税金
- 自宅と預金を信託した場合の計算例
- 契約後にかかる費用と、費用を抑えるコツ
家族信託の費用はいくら?内訳は大きく2つ
家族信託は、親(委託者)が自分の財産を子ども(受託者)に託し、親のために管理・処分してもらう契約です。契約を結ぶまでにかかる費用は、次のように分けられます。
| 費用 | 内容 | 金額の決まり方 |
|---|---|---|
| 専門家への報酬 | 司法書士・弁護士・専門の事業者による相談、契約書の作成、手続きの代行 | 事業者ごとに異なる(法令上の決まりなし) |
| 公正証書の手数料 | 信託契約を公正証書にする場合に公証役場に払う | 公証人手数料令で決まる |
| 信託登記の登録免許税 | 自宅など不動産を信託する場合に法務局で払う | 登録免許税法・租税特別措置法で決まる |
| その他の実費 | 登記事項証明書、印鑑証明書などの取得費用、郵送費など | 少額 |
信託法では、信託は契約によってすることができ(第3条第1号)、公正証書にすることは法律上の要件ではありません。ただし、契約の内容を明確にし、信託専用の口座(信託口口座)を開くときに金融機関から求められることもあるため、公正証書で作るのが一般的とされています。
公正証書の手数料の計算方法
公正証書の手数料は、公証人手数料令で決まっています。信託の公正証書については、次の規定があります。
信託の公正証書の作成(第十九条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)についての手数料の額は、第九条の規定による額に一万三千円を加算する。ただし、信託財産の価額が一億円を超えるときは、この限りでない。
第9条の額は、法律行為の目的の価額に応じて別表で決まります。
| 目的の価額 | 第9条の手数料 | 信託の場合(+13,000円) |
|---|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 | 16,000円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 5,000円 | 18,000円 |
| 100万円超〜200万円以下 | 7,000円 | 20,000円 |
| 200万円超〜500万円以下 | 13,000円 | 26,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 20,000円 | 33,000円 |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 26,000円 | 39,000円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 33,000円 | 46,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 49,000円 | 62,000円 |
このほか、公正証書の枚数が4枚(横書きは3枚)を超えると、1枚ごとに300円が加算されます(第25条)。目的の価額をどう算定するかは契約の内容によるため、正確な金額は公証役場で確認してください。
信託登記の登録免許税と、かからない税金
自宅などの不動産を信託すると、法務局で「所有権の移転の登記」と「信託の登記」をします。このうち税金がかかるのは信託の登記だけです。
① 所有権の移転の登記は非課税
信託による財産権の移転の登記又は登録で次の各号のいずれかに該当するものについては、登録免許税を課さない。
一 委託者から受託者に信託のために財産を移す場合における財産権の移転の登記又は登録
② 信託の登記は不動産の価額の0.4%(土地は軽減あり)
所有権の信託の登記の登録免許税は、登録免許税法の別表第一で不動産の価額の1,000分の4とされています。土地については租税特別措置法第72条で1,000分の3に軽減されていて、財務省の案内では令和11年3月31日までの時限措置とされています。不動産の価額は、固定資産課税台帳に登録された価格(固定資産税評価額)をもとにします(登録免許税法附則第7条)。
③ 不動産取得税もかからない
地方税法第73条の7第3号では、委託者から受託者に信託財産を移す場合の不動産の取得には、不動産取得税を課すことができないとされています。
④ 親が受益者なら贈与税もかからない
相続税法第9条の2では、適正な対価を負担せずに信託の受益者となる人がいるときに、贈与で取得したものとみなすとされています。親が委託者と受益者を兼ねる(財産から利益を受けるのは親のまま)一般的な家族信託では、この規定にあたる人がいないため、契約時に贈与税はかかりません。受益者を親以外にする場合は贈与税がかかる可能性があるので、税理士に確認してください。
ちびウルフ子どもに名義が変わるのに、贈与税はかからないんですか?
リハウルフ名義は子どもに移りますが、財産から利益を受ける「受益者」が親のままなら、贈与にはあたらない仕組みです。ただ、受益者を誰にするかで税金の扱いが変わるので、契約書の中身は専門家と一緒に確認したほうが安心ですね。
自宅と預金を信託した場合の計算例
実費がどれくらいになるか、次の条件で計算してみます。
- 土地の固定資産税評価額:1,200万円
- 建物の固定資産税評価額:500万円
- 預金:1,000万円
- 公正証書の目的の価額を、信託財産の合計2,700万円とした場合
| 費用 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 公正証書の手数料 | 1,000万円超〜3,000万円以下の26,000円+13,000円 | 39,000円 |
| 登録免許税(土地) | 1,200万円×1,000分の3 | 36,000円 |
| 登録免許税(建物) | 500万円×1,000分の4 | 20,000円 |
| 所有権の移転の登記・不動産取得税 | 非課税 | 0円 |
| 合計(実費) | 95,000円 |
これに、公正証書の枚数による加算、登記事項証明書などの取得費用、専門家への報酬が加わります。預金だけを信託する場合は、不動産の登記がないので登録免許税はかかりません。
専門家への報酬が変わる要素
専門家への報酬は法令で決まっておらず、事業者ごとに料金体系が違います。見積もりを比べるときは、次の点で金額が変わることを知っておくと比較しやすくなります。
- 信託する財産の額と種類:財産の額に応じた料金体系にしている事業者が多い。不動産が複数あると登記の手間も増える
- 契約内容の複雑さ:受益者が親の死後に誰になるか(二次受益者)、賃貸物件の管理を含むかなど
- どこまで任せるか:契約書の作成だけか、公証役場・法務局・金融機関の手続きまで代行するか
- 契約後のサポート:信託財産の管理の相談や、帳簿づくりの支援を月額で行うサービスもある
見積もりを受けるときは、報酬と実費が分けて書かれているか、登記の司法書士報酬が含まれているかを確認しましょう。
費用の内訳は、
相談の段階で確かめておけます
専門家への報酬は事業者ごとに違うため、何にいくらかかるかを最初に確認しておくことが大切です。おやとこは家族信託を専門にしたサービスで、司法書士などの専門家に無料で相談できます。
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無料で家族信託を相談する※家族信託を結べるかどうかは、本人の判断能力によります。相談は無料です。契約の費用は財産の内容によって変わります。詳しくは公式サイトでご確認ください
ちびウルフ見積もりが高いのか安いのか、正直よくわからないです…
リハウルフ金額だけで比べると判断しにくいですよね。まず「報酬」と「実費」が分けて書かれているかを見てください。実費は法令で決まるので、どこに頼んでもほぼ同じです。差が出るのは報酬の部分なので、そこに何が含まれているかを聞くと比べやすくなりますよ。
契約後にかかる費用
- 受託者への報酬:信託法第54条により、受託者が信託財産から報酬を受けられるのは、信託契約に報酬の定めがある場合に限られる。家族が受託者になる場合は無報酬にすることもできる
- 信託口口座の手数料:金融機関によって、口座開設や管理に手数料がかかる場合がある
- 信託の終了時の費用:親が亡くなるなどで信託が終わり、不動産の名義を変えるときに、改めて登記の費用がかかる
成年後見制度では、後見が始まると後見人等への報酬が本人の財産から継続的に支払われます。家族信託は最初に費用がかかる一方、家族が受託者なら継続的な報酬をゼロにできる点が違いです。制度の違いは、関連記事で詳しく解説しています。
家族信託の費用を抑えるコツ
- 信託する財産を絞る:管理が必要な自宅や、施設費用に使う預金など、目的に必要な財産だけを信託する
- 目的をはっきりさせてから相談する:「実家を売れるようにしたい」「施設費用を払えるようにしたい」など目的が決まっていると、契約がシンプルになる
- 複数の事業者で見積もりを取る:報酬の体系が違うため、同じ内容でも金額が変わる
- 判断能力があるうちに始める:親の判断能力が低下すると契約自体が難しくなり、成年後見しか選べなくなることがある
よくある質問
家族信託は自分でできますか?
信託法上は契約で信託をすることができ、専門家に頼むことは要件ではありません。ただし、契約書の内容に不備があると目的どおりに使えないおそれがあり、不動産の登記や信託口口座の開設も必要になるため、専門家に相談するのが一般的です。
預金だけを信託する場合、登録免許税はかかりますか?
かかりません。登録免許税は不動産の信託の登記にかかるもので、預金だけなら登記はありません。公正証書にする場合の手数料はかかります。
公正証書の手数料はいくらですか?
公証人手数料令で、目的の価額に応じた額に13,000円を加えた額とされています。たとえば目的の価額が1,000万円超〜3,000万円以下なら39,000円です。枚数による加算もあります。
家族信託をすると贈与税がかかりますか?
親が委託者と受益者を兼ねる形なら、契約時に贈与税はかかりません。受益者を親以外の人にする場合は贈与とみなされる可能性があるため、税理士に確認してください。
家族信託と成年後見はどちらが安いですか?
単純には比べられません。家族信託は最初に専門家の報酬と実費がかかりますが、家族が受託者なら継続的な報酬は不要にできます。成年後見は申立ての費用は少額ですが、後見が始まると後見人等への報酬が継続的にかかります。
親が認知症と診断されたら、もう家族信託はできませんか?
家族信託は契約なので、親に契約内容を理解できる判断能力が必要です。診断名だけで決まるわけではありませんが、判断能力が低下すると難しくなるため、早めに専門家に相談してください。
- 家族信託の費用は、専門家への報酬と、公正証書の手数料・登録免許税などの実費に分かれる
- 公正証書の手数料は、目的の価額に応じた額に13,000円を加えた額
- 信託登記の登録免許税は不動産の価額の0.4%(土地は0.3%に軽減)。所有権の移転登記と不動産取得税は非課税
- 親が受益者なら、契約時に贈与税はかからない
- 専門家への報酬は事業者ごとに違うので、報酬と実費を分けて見積もりを比べる
- 信託する財産を目的に必要なものに絞ると、費用を抑えやすい
- 公証人手数料令(e-Gov法令検索)(第9条・別表、第22条の2、第25条)
- 登録免許税法(e-Gov法令検索)(第7条、別表第一 第一号(十)、附則第7条)
- 登録免許税の概要(財務省)(土地の売買等に係る登録免許税の特例)
- 租税特別措置法(e-Gov法令検索)(第72条)
- 地方税法(e-Gov法令検索)(第73条の7)
- 相続税法(e-Gov法令検索)(第9条の2)
- 信託法(e-Gov法令検索)(第3条、第54条)
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。公正証書の手数料・登録免許税・不動産取得税・贈与税の扱いは、各法令の条文と財務省の案内にもとづいて整理しています(2026年10月確認)。計算例は仮の条件による概算で、実際の金額は財産の評価額・契約の内容・公正証書の枚数によって変わります。土地の登録免許税の軽減は時限措置です。個別の税務判断は税理士に、登記は司法書士に、公正証書の手数料は公証役場にご確認ください。専門家への報酬が変わる要素と費用を抑えるコツに関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、法令上の定めではありません。




