主任ケアマネ(主任介護支援専門員)は、70時間以上の主任介護支援専門員研修を修了したケアマネジャーです。受講には原則として専任ケアマネとして通算5年(60か月)以上の経験が必要で、修了証明書の有効期間は5年です。

居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネでなければならず、一部の事業所に認められている経過措置は令和9年3月31日で終わります。この記事では、厚生労働省の「介護支援専門員資質向上事業実施要綱」と指定居宅介護支援等基準の原文を確認して、受講要件・研修時間・更新・管理者要件を整理しました。

この記事でわかること

  • 主任ケアマネの役割と、普通のケアマネとの違い
  • 主任介護支援専門員研修の受講要件と時間数
  • 有効期間5年と、更新研修の受講要件
  • 居宅介護支援の管理者要件と、令和9年3月31日までの経過措置
  • 主任ケアマネが必要になる場面(地域包括・特定事業所加算)

主任ケアマネ(主任介護支援専門員)とは?

主任ケアマネは、ほかのケアマネジャーへの助言・指導や、地域のネットワークづくりを担う立場のケアマネジャーです。資格としては、介護保険法施行規則第140条の66第1号イ(3)に「主任介護支援専門員」として規定され、主任介護支援専門員研修を修了した人がこれにあたります。

研修の目的は、国の実施要綱で次のように書かれています。

主任介護支援専門員研修実施要綱「目的」(原文)

「介護保険サービスや他の保健・医療・福祉サービスを提供する者との連絡調整、他の介護支援専門員に対する助言・指導などケアマネジメントが適切かつ円滑に提供されるために必要な業務に関する知識及び技術を修得するとともに、地域包括ケアシステムの構築に向けた地域づくりを実践できる主任介護支援専門員の養成を図ることを目的とする。」

つまり主任ケアマネは「担当件数をこなす人」ではなく、事業所の後輩を育て、地域の課題を拾い上げる人として位置づけられています。ケアプランを作る業務そのものは、普通のケアマネジャーと変わりません。

比べる点介護支援専門員主任介護支援専門員
なり方試験合格+実務研修修了実務経験+主任研修修了
主な役割利用者のケアマネジメントそれに加えて、ケアマネへの助言・指導、事業所の人材育成、地域づくり
有効期間介護支援専門員証は5年主任研修修了証明書も5年
配置が求められる場所各サービスの基準による居宅介護支援の管理者、地域包括支援センター など

研修の受講要件

受講要件は、国の「介護支援専門員資質向上事業実施要綱」(別添5)で決められています。まず前提として、次の両方が必要です。

  • 居宅サービス計画などを提出し、自立支援に資するケアマネジメントが実践できていると研修実施機関に認められること
  • 専門研修課程Ⅰ・Ⅱ、または実務経験者向けの介護支援専門員更新研修を修了していること

そのうえで、次の①〜④のいずれかにあてはまる必要があります。

受講要件①〜④(実施要綱の原文の要点)

①「専任の介護支援専門員として従事した期間が通算して5年(60ヶ月)以上である者(ただし、管理者との兼務は期間として算定できるものとする。)」

②ケアマネジメントリーダー養成研修の修了者または日本ケアマネジメント学会の認定ケアマネジャーで、専任の介護支援専門員として通算3年(36か月)以上従事した者

③主任介護支援専門員に準ずる者として、現に地域包括支援センターに配置されている者

④その他、介護支援専門員の業務に関し十分な知識と経験を有する者であり、都道府県が適当と認める者

①の「専任の介護支援専門員として従事した期間」には、居宅介護支援だけでなく、次の場所でケアマネとして働いた期間も含まれます。

  • 地域包括支援センター
  • 特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 地域密着型介護老人福祉施設・介護保険施設

注意したいのは、実施要綱に「都道府県において実情に応じた受講要件を設定することは差し支えない」とあることです。都道府県によっては、5年に加えて独自の条件(事例提出の様式、所属長の推薦、法定外研修への参加実績など)を設けています。受講する年度の募集要項を必ず確認してください。

ちびウルフちびウルフ

ケアマネになって5年たったら、自動的に主任になれるの?

リハウルフリハウルフ

なれません。5年は受講の入口で、そこから研修に申し込んで修了する必要があります。しかも「専任」での5年なので、ほかの職種と兼務していた期間は数えられないことがあります。自分の経歴を数え直してから申し込むのが安全です。

研修の時間数と有効期間

研修の時間数と有効期間は、実施要綱で次のように決められています。

研修時間数主な対象
主任介護支援専門員研修合計70時間以上受講要件①〜④のいずれかにあてはまる人
主任介護支援専門員更新研修合計46時間以上修了証明書の有効期間がおおむね2年以内に満了する人

有効期間(実施要綱の原文)

「主任介護支援専門員研修修了証明書については、主任介護支援専門員研修修了証明書の有効期間を設けることとし、その期間は5年とする。」

70時間は、講義と演習を合わせて数か月かけて受けるのが一般的です。研修の日程は都道府県ごとに年1回程度のことが多く、申込みの時期を逃すと1年待つことになります。

更新研修の受講要件

主任ケアマネの更新研修は、時間をかければ誰でも受けられる研修ではありません。実施要綱(別添6)で、次の①〜⑤のいずれかにあてはまることが求められています。

  • ①介護支援専門員に係る研修の企画、講師やファシリテーターの経験がある
  • ②地域包括支援センターや職能団体等が開催する法定外の研修等に年4回以上参加した
  • ③日本ケアマネジメント学会の研究大会等で演題発表等の経験がある
  • ④日本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャーである
  • ⑤主任介護支援専門員の業務に十分な知識と経験を有する者で、都道府県が適当と認める

現場でいちばん使われるのは②です。5年間の途中で、地域包括主催の事例検討会や職能団体の研修にどれだけ出たかを記録しておくことが、更新のときに効いてきます。参加証や修了証はまとめて保管してください。

多くの都道府県では、主任更新研修を修了すると介護支援専門員証の更新にも使えるとしています。一方、新規の主任研修は介護支援専門員証の更新研修にはなりません。ケアマネ証と主任の有効期限が別々に動くので、両方の期限を確認しておく必要があります。

居宅介護支援の管理者要件と経過措置

主任ケアマネがいちばん求められているのが、居宅介護支援事業所の管理者です。指定居宅介護支援等基準第3条は次のように定めています。

指定居宅介護支援等基準 第3条第2項(原文)

「前項に規定する管理者は、介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号)第百四十条の六十六第一号イ(3)に規定する主任介護支援専門員でなければならない。ただし、主任介護支援専門員の確保が著しく困難である等やむを得ない理由がある場合については、介護支援専門員(主任介護支援専門員を除く。)を前項に規定する管理者とすることができる。」

そのうえで、附則に経過措置があります。対象は限られています。

管理者に係る経過措置(附則の要点)

令和3年3月31日時点で、主任ケアマネでない人が管理者だった事業所は、その人が引き続き管理者である限り、令和9年3月31日まで主任ケアマネでない管理者のままでよい。

この経過措置には条件が2つあります。

  • 令和3年3月31日時点ですでに指定を受けていた事業所であること
  • そのときの管理者が、そのまま続けて管理者を務めていること

管理者が交代した時点で、経過措置は使えなくなります。新しい管理者は原則として主任ケアマネでなければなりません。令和9年3月31日まで残り5か月ほどです。経過措置で運営している事業所は、管理者本人の受講か、主任ケアマネの採用・配置換えを急ぐ必要があります。

本則のただし書にある「確保が著しく困難である等やむを得ない理由」について、解釈通知(老企第22号)を受けた市町村の案内では、主任ケアマネの管理者が死亡・長期療養・急な退職や転居などで続けられなくなった「不測の事態」の場合に、理由と管理者確保計画書を保険者に届け出ることで、1年間要件の適用が猶予されるとしています(地域にほかの事業所がないなど特に必要な場合は保険者の判断で延長可)。特別地域居宅介護支援加算または中山間地域等における小規模事業所加算を算定する事業所も、例外として挙げられています。

認められるかどうかは指定権者(市町村)の判断です。「研修に申し込み忘れた」は、やむを得ない理由にはなりにくいと考えてください。

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令和9年の3月に、今の管理者さんが研修を修了できなかったらどうなるの?

リハウルフリハウルフ

基準を満たさない状態になるので、まずは指定権者の市町村に早めに相談するしかありません。研修は日程が決まっているので、今年度の募集に間に合うかどうかが勝負です。管理者の交代を予定しているなら、交代のタイミングもあわせて検討してください。

管理者以外で配置が求められる場面

管理者以外にも、主任ケアマネの配置が要件になっている場面があります。

地域包括支援センター

地域包括支援センターには、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員(またはそれに準ずる者)を置くことが求められています(介護保険法施行規則第140条の66)。主任ケアマネは、地域のケアマネジャーからの相談対応や、困難事例への助言、事例検討会の企画などを担います。

居宅介護支援の特定事業所加算

居宅介護支援の特定事業所加算は、区分ごとに常勤・専従の主任ケアマネの配置が要件になっています。主任ケアマネが退職すると加算を算定できなくなるため、事業所にとっては複数配置が安定運営の鍵です。要件の詳細は居宅介護支援の特定事業所加算とは?で解説しています。

そのほかの加算・減算の全体像は居宅介護支援の加算・減算一覧にまとめています。

よくある質問

主任ケアマネになるには何年の経験が必要ですか?

原則として、専任の介護支援専門員として通算5年(60か月)以上です。認定ケアマネジャーなどは通算3年(36か月)以上で受講できます。都道府県が独自の要件を加えている場合があります。

管理者と兼務していた期間は5年に含まれますか?

含まれます。実施要綱で「管理者との兼務は期間として算定できる」とされています。

施設ケアマネの経験も5年に入りますか?

入ります。介護保険施設、特定施設、グループホーム、小規模多機能、看多機、地域包括支援センターでケアマネとして従事した期間も含まれます。

主任ケアマネ研修は何時間ですか?

合計70時間以上です。更新研修は合計46時間以上です。

主任ケアマネの資格に有効期限はありますか?

あります。主任介護支援専門員研修修了証明書の有効期間は5年で、更新研修を修了して更新します。

更新研修は誰でも受けられますか?

受けられません。研修の講師経験、法定外研修への年4回以上の参加、学会での発表、認定ケアマネジャーなどの要件のいずれかが必要です。

居宅介護支援の管理者は必ず主任ケアマネですか?

原則として主任ケアマネでなければなりません。確保が著しく困難であるなどやむを得ない理由がある場合は例外が認められます。

管理者の経過措置はいつまでですか?

令和9年3月31日までです。令和3年3月31日時点で主任ケアマネでない人が管理者だった事業所で、その人が引き続き管理者を務めている場合に限られます。

管理者が交代した場合も経過措置は使えますか?

使えません。経過措置は令和3年3月31日時点の管理者が引き続き管理者である場合の特例です。

まとめ

  • 主任ケアマネは、ケアマネへの助言・指導と地域づくりを担う、主任研修を修了したケアマネジャー
  • 受講は原則、専任ケアマネとして通算5年(60か月)以上。都道府県の独自要件もある
  • 主任研修は70時間以上、更新研修は46時間以上で、有効期間は5年
  • 更新研修には法定外研修への年4回以上の参加などの要件がある
  • 居宅介護支援の管理者は原則主任ケアマネ。経過措置は令和9年3月31日で終わる

参考にした情報

※本記事の受講要件・研修時間・有効期間・管理者要件は、厚生労働省の「介護支援専門員資質向上事業実施要綱」と指定居宅介護支援等基準の条文にもとづいて整理したものです。実際の受講・運営にあたっては原文および都道府県・指定権者の解釈をご確認ください。受講要件の追加、研修の日程・費用、主任更新研修と介護支援専門員証の更新の関係、管理者要件の「やむを得ない理由」の判断は都道府県・市町村によって異なります。制度に関する記述は2026年11月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。研修や更新の準備に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味