ショートステイ(短期入所生活介護)の口腔連携強化加算は、1月に1回・50単位です。事業所の従業者が口腔の健康状態を評価し、歯科医療機関と介護支援専門員の両方に情報提供した場合に算定します。

要件で最も見落とされやすいのが、歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関との、文書による取り決めです。相談できる体制を確保するだけでは足りず、「文書等で取り決めていること」が明記されています。口約束の連携では要件を満たしません。

この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費のハと、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第34号の6の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 口腔連携強化加算50単位の算定要件
  • 歯科医療機関との文書による取り決めが要件であること
  • 連携先は歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関であること
  • 情報提供先が歯科医療機関とケアマネジャーの両方であること
  • 利用者の同意が必要であること
  • 算定できなくなる3つのケース
  • 口腔・栄養スクリーニング加算との調整
  • 他事業所で算定していると算定できないこと
ちびウルフちびウルフ

評価するのは歯科衛生士じゃなくてもいいんですか? 介護職員でも?

リハウルフリハウルフ

条文は「指定短期入所生活介護事業所の従業者が」としか書いていません。介護職員でも看護職員でも構いません。その代わり、判断に迷ったときに歯科医師や歯科衛生士に相談できる体制を、あらかじめ文書で作っておけというのが要件の趣旨です。

ショートステイの口腔連携強化加算とは?

短期入所生活介護の口腔連携強化加算は、事業所の従業者が利用者の口腔の健康状態を評価し、その結果を歯科医療機関と介護支援専門員に情報提供した場合に算定する加算です。告示19号 短期入所生活介護費のハに規定されています。

口腔の問題は、本人からの訴えが出にくい領域です。義歯が合っていない、歯が痛い、口の中が乾く。これらは食事量の低下、低栄養、誤嚥性肺炎へとつながっていきますが、日常の介護のなかでは見過ごされがちです。

ショートステイは、口腔の状態に気づける貴重な場面です。食事・口腔ケア・就寝前の義歯の扱いまで、短期間でも生活の全場面を見ることができます。そこで気づいたことを、歯科とケアマネジャーの両方に届ける。この加算はその流れを評価します。

令和6年度介護報酬改定で新設された加算です。

口腔連携強化加算の単位数

口腔連携強化加算 50単位
注 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(略)届出を行った指定短期入所生活介護事業所の従業者が、口腔の健康状態の評価を実施した場合において、利用者の同意を得て歯科医療機関及び介護支援専門員に対し、当該評価の結果の情報提供を行ったときは、口腔連携強化加算として、1月に1回に限り所定単位数を加算する。

項目内容
単位数50単位
算定頻度1月に1回に限り
実施者事業所の従業者(職種の指定なし)
情報提供先歯科医療機関および介護支援専門員(両方)
同意利用者の同意が必要
届出都道府県知事等への届出が必要
新設令和6年度介護報酬改定

年間の規模感

対象となる利用者数1月あたり年間
10人500単位6,000単位
20人1,000単位12,000単位
30人1,500単位18,000単位

口腔連携強化加算の算定要件

告示95号 第34号の6が定める要件です。イ(体制)とロ(他加算との重複がないこと)に分かれています。

イ 歯科医療機関との連携体制

イ 指定短期入所生活介護事業所の従業者が利用者の口腔の健康状態に係る評価を行うに当たって、歯科診療報酬点数表の区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料の算定の実績がある歯科医療機関の歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士に相談できる体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていること。

要素内容
連携先歯科訪問診療料(C000)の算定実績がある歯科医療機関
相談相手歯科医師、または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士
体制相談できる体制を確保していること
形式文書等で取り決めていること

「歯科訪問診療料の算定実績がある」という限定が入っています。近所の歯科医院なら何でもよいわけではありません。訪問診療を実際に行っている歯科医療機関であることが必要です。

また歯科衛生士に相談する場合も、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士に限られます。事業所が独自に歯科衛生士と契約している場合、その方が該当するかは確認が要ります。

ロ 算定できなくなる3つのケース

区分内容
(1)他の介護サービスの事業所において、その利用者について口腔・栄養スクリーニング加算を算定していること(栄養状態のスクリーニングを行い口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)を算定している場合を除く)
(2)その利用者について、口腔の健康状態の評価の結果、居宅療養管理指導が必要であると歯科医師が判断し、指定居宅療養管理指導事業所が歯科医師または歯科衛生士が行う居宅療養管理指導費を算定していること(初回の居宅療養管理指導を行った日の属する月を除く)
(3)当該事業所以外の介護サービス事業所において、その利用者について口腔連携強化加算を算定していること

これら3つのいずれにも該当しないことが要件です。

(1)の例外に注意

(1)には重要なかっこ書きがあります。他事業所で口腔・栄養スクリーニング加算を算定していても、それが「栄養状態のスクリーニングを行い(Ⅱ)を算定している」場合であれば、口腔連携強化加算を算定できます。

口腔・栄養スクリーニング加算との住み分け
  • 他事業所で(Ⅰ)20単位=口腔と栄養の両方 → 算定できない
  • 他事業所で(Ⅱ)5単位=栄養のみ算定できる
  • 他事業所で(Ⅱ)5単位=口腔のみ → 条文上、除外の対象にならない

口腔の評価が重複していないかを見ている規定です。栄養だけを他事業所が見ているなら、口腔はこちらで担当してよい、という整理になります。

(2)の初回月の例外

評価の結果、歯科医師が居宅療養管理指導の必要を判断し、実際に居宅療養管理指導が始まった場合、その事業所が居宅療養管理指導費を算定している月は口腔連携強化加算を算定できません。

ただし「初回の居宅療養管理指導を行った日の属する月を除く」とあります。評価から歯科につながった最初の月は算定できるということです。この加算が目指しているのは、まさにその「つなぐ」動きなので、そこをペナルティにしない配慮といえます。

情報提供は2か所に行う

提供先意味
歯科医療機関治療・専門的なケアにつなげるため
介護支援専門員ケアプランに反映し、他サービスと共有するため

条文は「歯科医療機関及び介護支援専門員に対し」です。どちらか一方では要件を満たしません。両方に情報提供した記録を残してください。

口腔連携強化加算の注意点

実施者に職種の指定はない

ハの注は「事業所の従業者が」としています。歯科衛生士や看護職員でなければならないという定めはありません。介護職員が評価を実施できます。

評価の様式・項目

告示は「口腔の健康状態の評価」とのみ定めており、使用する様式や評価項目までは書かれていません。留意事項通知で様式が示されている場合があります。指定権者の取扱いを確認してください。

1月に1回まで

月に複数回評価を行っても、算定できるのは1回です。ショートステイは月に複数回利用する方もいますが、加算は月1回が上限です。

他事業所との調整が必須

ロの(1)(3)は、いずれも他の介護サービス事業所での算定状況を問題にしています。担当ケアマネジャーに確認するのが確実です。通所介護や訪問介護など、併用しているサービスでの算定状況を把握してください。

利用者の同意

注は「利用者の同意を得て」情報提供を行うとしています。情報提供に対する同意の記録が必要です。

算定前に確認したいこと
  • 都道府県知事等への届出を済ませているか
  • 連携先が歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関か
  • 相談できる体制を文書で取り決めているか
  • 利用者の同意を記録に残しているか
  • 歯科医療機関とケアマネジャーの両方に情報提供したか
  • 他事業所で口腔・栄養スクリーニング加算や口腔連携強化加算を算定していないか
  • 居宅療養管理指導費を算定していないか(初回月を除く)

よくある質問

ショートステイの口腔連携強化加算はいくらですか?

50単位です。1月に1回に限り算定します。

誰が評価しますか?

事業所の従業者です。職種の指定はなく、介護職員でも算定できます。

連携先の歯科医療機関に条件はありますか?

あります。歯科診療報酬点数表C000の歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関であることが要件です。

口約束の連携でもよいですか?

いけません。相談できる体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていることが要件です。

情報提供はどこに行いますか?

歯科医療機関と介護支援専門員の両方です。どちらか一方では要件を満たしません。

利用者の同意は必要ですか?

必要です。注は「利用者の同意を得て」情報提供を行うとしています。

他事業所で口腔・栄養スクリーニング加算を算定していると?

原則として算定できません。ただし栄養状態のスクリーニングを行い(Ⅱ)を算定している場合は除かれます。

居宅療養管理指導を受けている方は算定できませんか?

評価の結果、歯科医師が必要と判断して居宅療養管理指導費を算定している場合は算定できません。ただし初回の居宅療養管理指導を行った日の属する月は除かれます。

他の事業所でも口腔連携強化加算を算定している場合は?

算定できません。同じ利用者について複数の事業所が算定することは認められていません。

月に複数回利用した場合は?

算定できるのは1月に1回です。

評価の様式は決まっていますか?

告示本文に定めはありません。留意事項通知および指定権者の取扱いを確認してください。

いつ新設された加算ですか?

令和6年度介護報酬改定で新設されました。

まとめ
  • ショートステイの口腔連携強化加算は50単位、1月に1回に限り算定
  • 令和6年度介護報酬改定で新設された
  • 評価するのは事業所の従業者で、職種の指定はない
  • 連携先は歯科訪問診療料(C000)の算定実績がある歯科医療機関に限られる
  • 相談相手は歯科医師または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士
  • 相談できる体制を文書等で取り決めていることが要件
  • 情報提供先は歯科医療機関と介護支援専門員の両方
  • 利用者の同意が必要
  • 他事業所で口腔・栄養スクリーニング加算を算定していると原則算定できない
  • ただし栄養のスクリーニングで(Ⅱ)を算定している場合は除かれる
  • 歯科の居宅療養管理指導費を算定している月は算定できない
  • 初回の居宅療養管理指導を行った月は例外として算定できる
  • 他事業所で口腔連携強化加算を算定している場合も算定できない
  • 他事業所での算定状況は担当ケアマネジャーに確認するのが確実
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに口腔の健康状態の評価に用いる様式・項目、「文書等」で取り決める内容、他事業所での算定状況を確認する方法については告示本文に明記がなく、留意事項通知および指定権者の取扱いによります。指定権者にご確認ください。歯科訪問診療料は診療報酬の項目であり、算定実績の有無は歯科医療機関にご確認ください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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