ショートステイ(短期入所生活介護)で夜勤職員の勤務条件に関する基準を満たさない場合、基本報酬は所定単位数の100分の97で算定します。3%減です。

この規定でつまずきやすいのは、夜勤職員配置加算(13〜20単位)とまったく別物であるという点です。加算のほうは「基準より手厚く配置したら加算」、こちらは「最低基準を割ったら減算」。名前が似ているうえ、どちらも同じ告示29号を参照するため、現場では混同されがちです。

この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)短期入所生活介護費の注1と、厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)第1号の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 夜勤職員基準を満たさない場合は97%で算定すること
  • 単独型・併設型・ユニット型それぞれの必要人数
  • 利用者25人以下なら1人以上という基準
  • 併設型は本体施設の入所者数と合算して数えること
  • ユニット型は2ユニットごとに1人以上であること
  • 見守り機器の導入で0.8倍に緩和される仕組み
  • 夜勤職員配置加算との違い
  • ユニット型の施設基準未達(注2)との違い
ちびウルフちびウルフ

併設型だと、特養の入所者も一緒に数えるんですか? それだと人数が一気に増えますよね。

リハウルフリハウルフ

合算します。条文は「指定短期入所生活介護の利用者の数及び当該特別養護老人ホームの入所者の数の合計数」と書いています。ただし必要人数も合算した数で判定するので、夜勤者を別々に置く必要はありません。本体の夜勤体制でまとめて満たす形です。

ショートステイの夜勤職員基準を満たさない場合の減算とは?

短期入所生活介護の夜勤職員基準を満たさない場合の減算は、夜間に配置すべき介護職員または看護職員の人数を下回った場合に、基本報酬を減額する仕組みです。告示19号 短期入所生活介護費の注1のただし書きに規定されています。

ショートステイは宿泊を伴うサービスです。夜間は職員の数が最も少なくなる時間帯であり、転倒・誤嚥・急変などのリスクが集中します。利用者にとっては慣れない環境で過ごす夜でもあり、日中以上に見守りが必要な場面が生じます。

そのため、夜勤に配置する職員数は最低基準として定められています。この基準を割った場合は、サービスの安全性が確保されていないとみなされ、報酬が減額されます。加算ではなく報酬の減額という形をとっているのは、これが「守るべき最低線」だからです。

令和6年度介護報酬改定では、見守り機器の導入等による夜勤職員配置基準の緩和が引き続き整理されています。

夜勤職員基準を満たさない場合の減算率

1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、かつ、別に厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たすものとして、(略)届出を行った指定短期入所生活介護事業所(略)において、指定短期入所生活介護を行った場合に、(略)それぞれ所定単位数を算定する。ただし、当該夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たさない場合は、所定単位数の100分の97に相当する単位数を算定する。

項目内容
算定方法所定単位数の100分の97で算定(3%減)
根拠注1のただし書き
対象イ(従来型)・ロ(ユニット型)とも

金額の影響

類型(要介護3)通常97%で算定
併設型745単位722単位△23単位
単独型787単位763単位△24単位
併設型ユニット型847単位821単位△26単位
単独型ユニット型891単位864単位△27単位

※端数処理により実際の請求額とは異なります。

1日あたりでは20〜30単位ですが、全利用者に適用されるため、定員20人の事業所で1か月続けば1万数千単位の減収になります。

夜勤職員の勤務条件に関する基準

告示29号 第1号が、短期入所生活介護の基準を定めています。類型ごとに4パターンあります。

単独型(従来型)

利用者の数夜勤を行う介護職員または看護職員の数
25以下1以上
26〜602以上
61〜803以上
81〜1004以上
101以上4に、100を超えて25またはその端数を増すごとに1を加えて得た数以上

看護職員は「看護師または准看護師」を指します。介護職員でも看護職員でもよく、職種の指定はありません。

単独型ユニット型

2のユニットごとに夜勤を行う介護職員又は看護職員の数が1以上であること。

ユニット型は利用者数ではなくユニット数で判定します。2ユニットにつき1人以上。3ユニットあれば2人以上が必要という計算になります。

併設型(従来型)

ショートステイ利用者数+特養入所者数の合計夜勤を行う介護職員または看護職員の数
25以下1以上
26〜602以上
61〜803以上
81〜1004以上
101以上4に、100を超えて25またはその端数を増すごとに1を加えて得た数以上

併設型は本体の特別養護老人ホームの入所者数と合算して判定します。人数の区分は単独型と同じですが、母数が大きくなります。

見守り機器による緩和

併設型には、要件を満たす場合に必要人数を0.8倍にできる規定があります。

0.8倍の要件(抜粋)

夜勤時間帯を通じて、利用者の動向を検知できる見守り機器を、短期入所生活介護事業所の利用者の数以上設置していることなど、複数の要件をいずれも満たす場合。

見守り機器を全利用者分導入するなど条件は軽くありませんが、夜勤者を確保できない事業所にとっては現実的な選択肢になります。具体的な要件は告示29号の原文と留意事項通知を確認してください。

夜勤職員配置加算との違い

項目夜勤職員基準を満たさない場合(注1)夜勤職員配置加算(注14)
性質減算(97%算定)加算(13〜20単位/日)
見ているもの最低基準を下回っていないか基準を上回って配置しているか
届出基準を満たすことを届出加算の届出が別途必要
区分なし(Ⅰ)〜(Ⅳ)の4区分

両者は同じ告示29号を参照しますが、参照する号が違います。減算は第1号の基準、加算は加算用の別の基準です。「夜勤職員配置加算を算定しているから減算はない」という関係ではなく、そもそも減算に該当しない前提で加算を算定します。

ユニット型の施設基準未達(注2)との違い

規定内容対象
注1ただし書き夜勤職員の勤務条件に関する基準を満たさない場合に97%イ・ロとも
注2ユニット型の施設基準を満たさない場合に97%ロ(ユニット型)のみ

どちらも97%ですが、別々の規定です。ユニット型で両方に該当した場合の計算方法は告示から読み取れません。指定権者に確認してください。

夜勤職員基準を満たさない場合の減算の注意点

「利用者の数」の考え方

告示は「利用者の数」とのみ定めており、定員なのか実際の利用者数なのか、いつの時点で数えるのかまでは書かれていません。留意事項通知および指定権者の取扱いを確認してください。

1人でも欠けた日は該当する

基準は日ごとに判定されます。職員の急な欠勤で1日だけ人数を割った場合も、その日は基準を満たさないことになります。やむを得ない事情がある場合の取扱いについては、指定権者に確認してください。

宿直勤務は夜勤に含まれない

告示29号の他の規定では、夜間および深夜の勤務について「宿直勤務を除く」と明示されています。宿直と夜勤は別の勤務形態です。宿直者を夜勤職員として数えることはできません。

届出の対象

注1は「基準を満たすものとして届出を行った事業所」を前提としています。基準を満たさなくなった場合は、その旨を届け出る必要があります。届出をせずに満額請求を続ければ、返還の対象になります。

確認しておきたいこと
  • 自事業所の類型(単独型・併設型・ユニット型)を確認したか
  • 併設型なら本体施設の入所者数と合算して判定しているか
  • ユニット型なら2ユニットごとに1人以上を確保しているか
  • 宿直者を夜勤職員として数えていないか
  • 基準を割った日がないか、勤務表で確認しているか
  • 基準を満たさなくなった場合の届出を行っているか

よくある質問

夜勤職員の基準を満たさないとどうなりますか?

注1のただし書きにより、所定単位数の100分の97で算定します。3%減です。

単独型では何人必要ですか?

利用者25人以下で1人以上、26〜60人で2人以上、61〜80人で3人以上、81〜100人で4人以上です。101人以上は4に25人ごとに1を加えます。

併設型はどう数えますか?

ショートステイの利用者数と本体の特別養護老人ホームの入所者数を合算した数で判定します。人数の区分は単独型と同じです。

ユニット型の基準は?

2つのユニットごとに夜勤を行う介護職員または看護職員が1人以上です。利用者数ではなくユニット数で判定します。

介護職員でないとだめですか?

介護職員または看護職員(看護師・准看護師)のいずれでも構いません。

見守り機器で人数を減らせますか?

併設型には、見守り機器を利用者数以上設置しているなど複数の要件を満たす場合に必要人数を0.8倍にできる規定があります。

夜勤職員配置加算と同じものですか?

違います。こちらは最低基準を下回った場合の減算、加算のほうは基準を上回って配置した場合の評価です。

宿直者は夜勤職員に数えられますか?

夜間および深夜の勤務からは宿直勤務が除かれます。宿直と夜勤は別の勤務形態です。

1日だけ人数を割った場合は?

基準は日ごとに判定されます。その日は基準を満たさないことになります。やむを得ない事情がある場合の取扱いは指定権者に確認してください。

ユニット型の施設基準未達(注2)と同じですか?

違います。どちらも97%ですが別々の規定です。両方に該当した場合の計算方法は指定権者に確認してください。

「利用者の数」はいつの時点ですか?

告示本文に定めはありません。留意事項通知および指定権者の取扱いを確認してください。

届出は必要ですか?

注1は基準を満たすものとして届出を行った事業所を前提としています。満たさなくなった場合は届け出る必要があります。

まとめ
  • 夜勤職員の勤務条件に関する基準を満たさない場合は所定単位数の97%で算定
  • 根拠は短期入所生活介護費の注1のただし書き
  • 従来型・ユニット型のいずれも対象
  • 要介護3では1日あたり23〜27単位の影響
  • 単独型は利用者25人以下で1人以上、26〜60人で2人以上
  • 併設型は本体の特別養護老人ホームの入所者数と合算して判定する
  • ユニット型は2ユニットごとに1人以上(利用者数では判定しない)
  • 介護職員でも看護職員(看護師・准看護師)でもよい
  • 併設型には見守り機器の設置等により必要人数を0.8倍にできる規定がある
  • 夜勤職員配置加算とは別物で、こちらは最低基準を下回った場合の減算
  • ユニット型の施設基準未達(注2)とも別の規定
  • 宿直勤務は夜勤に含まれない
  • 基準は日ごとに判定される
  • 基準を満たさなくなった場合は届出が必要
参考にした情報

※本記事の減算率・基準は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・指定都市・中核市)の解釈をご確認ください。とくに「利用者の数」を数える時点と方法、見守り機器による緩和の詳細な要件、1日だけ基準を割った場合の取扱い、注1ただし書きと注2の両方に該当した場合の計算方法については告示本文だけでは確定できず、留意事項通知および指定権者の取扱いによります。指定権者にご確認ください。見守り機器による緩和の要件は複数あり、本記事では一部のみを示しています。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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