看多機の栄養改善加算とは?

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の栄養改善加算は、1回につき200単位・3月以内の期間に限り1月に2回を限度として算定します。低栄養状態にある方、またはそのおそれのある方への栄養改善サービスが対象です。
「3月以内」という制限が目を引きますが、条文にはその後に続きがあります。3月ごとの評価で低栄養状態が改善せず、引き続きサービスが必要と認められる方については、継続して算定できます。3か月で機械的に打ち切る加算ではありません。ここを読み落とすと、必要な支援を報酬の都合で止めることになります。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)複合型サービス費のチの原文を確認して整理しました。
- 栄養改善加算200単位の算定要件と算定回数
- 3月を超えて継続算定できる条件
- 管理栄養士は外部との連携でもよいこと
- 必要に応じて居宅を訪問することが要件に入っていること
- 栄養ケア計画の作成・実施・評価という流れ
- 栄養アセスメント加算との切り替え
- 口腔・栄養スクリーニング加算との関係
- LIFEへの提出が要件になっていないこと
ちびウルフ3か月で切れるなら、そのあとはどうするんですか? 低栄養が続いている人もいますよね。
リハウルフ条文に例外が書いてあります。「3月ごとの評価の結果、低栄養状態が改善せず、引き続き行うことが必要と認められる利用者については、引き続き算定することができる」。つまり評価さえきちんとしていれば継続できます。3か月で自動的に終わると思い込んで、算定をやめている事業所は多いはずです。
看多機の栄養改善加算とは?
看護小規模多機能型居宅介護の栄養改善加算は、低栄養状態にある利用者やそのおそれのある利用者に対して、栄養ケア計画にもとづく栄養改善サービスを行った場合に算定する加算です。告示126号 複合型サービス費のチに規定されています。
栄養アセスメント加算が「把握」を評価するのに対して、この加算は「把握したうえで、実際に改善に向けて動くこと」を評価します。計画を立て、サービスを提供し、定期的に記録し、進捗を評価する。一連のサイクルが要件になっています。
看多機は通い・訪問・泊まりを通じて食事場面に関われるサービスです。通所系サービスでは把握しにくい自宅での食事の実態にも、訪問を通じて手が届きます。栄養改善サービスを提供する条件としては恵まれた立場にあります。
令和6年度介護報酬改定では、この加算の単位数・要件に変更はありませんでした。
栄養改善加算の単位数
チ 栄養改善加算 200単位
注 イについて、次に掲げるいずれの基準にも適合しているものとして市町村長に届け出て、低栄養状態にある利用者又はそのおそれのある利用者に対して、栄養改善サービスを行った場合は、栄養改善加算として、3月以内の期間に限り1月に2回を限度として1回につき所定単位数を加算する。ただし、栄養改善サービスの開始から3月ごとの利用者の栄養状態の評価の結果、低栄養状態が改善せず、栄養改善サービスを引き続き行うことが必要と認められる利用者については、引き続き算定することができる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 200単位 |
| 算定頻度 | 1回につき、1月に2回を限度 |
| 期間 | 3月以内(評価により継続可) |
| 1月あたりの上限 | 200単位×2回=400単位 |
| 対象 | イ(看護小規模多機能型居宅介護費) |
| 届出 | 市町村長への届出が必要 |
3月分をフルに算定した場合
| 期間 | 回数 | 単位数 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 2回 | 400単位 |
| 2か月目 | 2回 | 400単位 |
| 3か月目 | 2回 | 400単位 |
| 合計 | 6回 | 1,200単位 |
栄養アセスメント加算が月50単位であることと比べると、改善サービスに移行したときの評価は8倍になります。
栄養改善加算の算定要件
告示126号 チの注が、5つの基準を直接定めています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| (1) 管理栄養士の配置 | 当該事業所の従業者としてまたは外部との連携により、管理栄養士を1名以上配置していること |
| (2) 栄養ケア計画の作成 | 利用者の栄養状態を利用開始時に把握し、管理栄養士等が共同して、利用者ごとの摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮した栄養ケア計画を作成していること |
| (3) サービスの提供と記録 | 栄養ケア計画に従い、必要に応じて当該利用者の居宅を訪問し、管理栄養士等が栄養改善サービスを行い、栄養状態を定期的に記録していること |
| (4) 進捗の評価 | 利用者ごとの栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価していること |
| (5) 定員超過等でないこと | 別に厚生労働大臣が定める基準に適合している事業所であること |
管理栄養士は外部連携でよい
(1)は栄養アセスメント加算と同じく「外部との連携により」を認めています。同一法人内の他事業所、協力医療機関、栄養ケア・ステーションなどとの連携で要件を満たせます。
「摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮した」計画
(2)は、単なる栄養量の計画ではなく摂食・嚥下機能と食形態への配慮を明示的に求めています。看多機には看護職員が配置されているため、嚥下の評価に関わりやすい環境があります。言語聴覚士がいる法人なら、その知見も計画に反映できます。
必要に応じて居宅を訪問する
(3)の「必要に応じて当該利用者の居宅を訪問し」は、看多機と相性のよい要件です。通所介護でも同じ文言が入っていますが、通所系サービスにとって訪問は例外的な動きになります。
看多機は訪問がもともと基本機能に入っているため、この要件を無理なく満たせます。冷蔵庫の中身、調理の状況、買い物の手段。自宅に行かなければ見えない情報は多く、それが栄養改善の実効性を左右します。
担当したケースでも、通いでは完食していた方が、自宅では朝食を抜いていたことが訪問でわかったことがあります。通所の記録だけを見ていたら、低栄養の原因を取り違えていました。
LIFEへの提出は要件になっていない
栄養アセスメント加算には(3)としてLIFEへの提出が入っていますが、栄養改善加算の5要件にLIFEへの提出は含まれていません。ここは条文の違いとして押さえておいてください。
3月を超えて算定するには
ただし書きの条件を整理します。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ①評価の実施 | 栄養改善サービスの開始から3月ごとに利用者の栄養状態を評価すること |
| ②評価の結果 | 低栄養状態が改善していないこと |
| ③必要性の判断 | 栄養改善サービスを引き続き行うことが必要と認められること |
3つがそろえば継続できます。逆にいえば、3月ごとの評価を行っていなければ継続の根拠を示せません。評価の日付・指標・判断の理由を記録に残してください。
- 評価を実施した日付と実施者
- 体重・BMI・食事摂取量・血液検査値などの指標の推移
- 低栄養状態が改善していないと判断した根拠
- 引き続きサービスが必要と認めた理由
- 栄養ケア計画の見直し内容
他の栄養・口腔関連加算との関係
| 加算 | 単位数 | 栄養改善サービス提供中の扱い |
|---|---|---|
| 栄養アセスメント加算 | 50単位/月 | 算定できない(提供中および終了月) |
| 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ) | 20単位/回 | 算定できない |
| 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ) | 5単位/回 | 口腔のみで算定できる場合がある |
| 口腔機能向上加算 | 150/160単位/回 | 告示に併算定を制限する定めはない |
栄養に関する加算は重ならないよう整理されていますが、口腔機能向上加算との併算定を制限する定めは、告示のうえでは見当たりません。低栄養と口腔機能低下は同時に起きることが多いので、両方の要件を満たせる方は少なくないはずです。取扱いは市町村に確認してください。
栄養改善加算の注意点
対象は「低栄養状態にある又はそのおそれのある利用者」
すでに低栄養になっている方だけでなく、そのおそれのある方も対象です。予防的な介入が認められています。ただし「おそれ」の判断基準は告示に書かれていないため、栄養アセスメントの結果を根拠として記録に残す必要があります。
1月に2回まで
月に3回以上サービスを提供しても、算定できるのは2回までです。回数の上限を超えた請求は返還の対象になります。
「1回」の定義
何をもって1回の栄養改善サービスとするかは、告示本文に定めがありません。訪問による指導1回を1回と数えるのか、期間内の一連の関与を1回とするのかは、留意事項通知および市町村の取扱いによります。
短期利用居宅介護費には加算されない
チの注は「イについて」と書かれています。対象は看護小規模多機能型居宅介護費であり、短期利用居宅介護費には加算されません。
- 市町村長への届出を済ませているか
- 管理栄養士を雇用または外部連携で確保しているか
- 利用開始時に栄養状態を把握しているか
- 摂食・嚥下機能と食形態に配慮した栄養ケア計画を作成しているか
- 必要に応じて居宅を訪問しているか
- 3月ごとの評価を行い、継続の根拠を記録しているか
- 1月2回の上限を超えていないか
よくある質問
看多機の栄養改善加算はいくらですか?
1回につき200単位です。3月以内の期間に限り、1月に2回を限度として算定します。
3か月で必ず終了しますか?
終了しません。3月ごとの評価で低栄養状態が改善せず、引き続きサービスが必要と認められる方については、継続して算定できます。
継続するには何が必要ですか?
3月ごとの栄養状態の評価、低栄養状態が改善していないという結果、引き続き必要と認めた判断の3つです。いずれも記録に残してください。
管理栄養士を雇用する必要がありますか?
ありません。外部との連携により管理栄養士を1名以上配置していれば要件を満たします。
居宅を訪問する必要がありますか?
条文は「必要に応じて当該利用者の居宅を訪問し」としています。看多機は訪問が基本機能に含まれるため、この要件を満たしやすい立場にあります。
栄養ケア計画に何を含めますか?
摂食・嚥下機能および食形態にも配慮した内容とすることが要件です。管理栄養士等が共同して作成します。
LIFEへの提出は必要ですか?
栄養改善加算の5要件にLIFEへの提出は含まれていません。栄養アセスメント加算とは条文が異なります。
栄養アセスメント加算と併算定できますか?
できません。栄養改善サービスを受けている間および終了した日の属する月は、栄養アセスメント加算を算定できません。
口腔機能向上加算と併算定できますか?
告示に併算定を制限する定めは見当たりません。取扱いは市町村に確認してください。
月に3回サービスを提供したら3回算定できますか?
できません。1月に2回が限度です。
低栄養のおそれがある段階でも算定できますか?
できます。条文は「低栄養状態にある利用者又はそのおそれのある利用者」を対象としています。判断の根拠は記録に残してください。
短期利用の利用者にも算定できますか?
できません。チの注は「イについて」とあり、対象は看護小規模多機能型居宅介護費です。
- 看多機の栄養改善加算は1回につき200単位
- 3月以内の期間に限り、1月に2回を限度として算定する
- 3か月フルに算定すると6回・1,200単位
- 対象はイ(看護小規模多機能型居宅介護費)で、短期利用は対象外
- 3月ごとの評価で改善せず必要と認められれば、引き続き算定できる
- 継続には評価の実施・改善していないという結果・必要性の判断の記録が要る
- 要件は管理栄養士の配置・栄養ケア計画の作成・サービス提供と記録・進捗評価・定員超過等でないことの5つ
- 管理栄養士は外部との連携でもよい
- 栄養ケア計画は摂食・嚥下機能と食形態にも配慮した内容とする
- 必要に応じて居宅を訪問することが要件に含まれる
- 看多機は訪問が基本機能のため、この要件を満たしやすい
- 栄養改善加算の要件にLIFEへの提出は含まれていない
- 対象は低栄養状態にある方だけでなく、そのおそれのある方も含む
- 栄養アセスメント加算はサービス提供中と終了月に算定できない
- 口腔機能向上加算との併算定を制限する定めは告示に見当たらない
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年3月14日厚生労働省告示第126号)別表「複合型サービス費」チ、ト、リ、ヌ(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日厚生労働省告示第95号)第19号の2(口腔・栄養スクリーニング加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに「1回」の栄養改善サービスとして数えられる範囲、「低栄養状態のおそれ」の判断基準、3月ごとの評価に用いる指標、口腔機能向上加算との併算定の可否については告示本文に明記がなく、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




