看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の総合マネジメント体制強化加算は、令和6年度介護報酬改定で(Ⅰ)1,200単位・(Ⅱ)800単位の2区分に再編されました。いずれも1月につき算定します。

注意が要るのは(Ⅱ)です。従来の1,000単位が800単位に下がっているため、体制を変えずにいると200単位のマイナスになります。新設された(Ⅰ)を取りにいくか、200単位の減を受け入れるか。改定の意図がはっきり出ている加算です。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)複合型サービス費のツと、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第79号の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)の単位数と改定前との対応
  • (Ⅰ)の6要件と(Ⅱ)の3要件
  • 看多機だけにある「関係施設への情報提供」という要件
  • 小規模多機能型居宅介護の(Ⅱ)とは要件の数が違うこと
  • (Ⅰ)の6つ目の要件は4択であること
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できないこと
  • 200単位のマイナスを回避する考え方
  • 実地指導で確認されやすい記録
ちびウルフちびウルフ

(Ⅱ)が下がったのなら、(Ⅰ)を取らないと損ですよね。要件は大変なんですか?

リハウルフリハウルフ

追加されるのは3つですが、性質が違います。住民の相談に応じる体制と、保険外サービスまで含めた計画の作成。これは日々の運営の中身そのものです。書類を1つ作れば済む話ではないので、(Ⅰ)を狙うなら早めに動いたほうがいい。

看多機の総合マネジメント体制強化加算とは?

看護小規模多機能型居宅介護の総合マネジメント体制強化加算は、利用者の状況の変化に応じて計画を随時見直し、地域とのつながりのなかで支援する体制を評価する加算です。告示126号 複合型サービス費のツに規定されています。

看多機は、通い・訪問・泊まり・訪問看護を組み合わせて一体的に支えるサービスです。組み合わせの自由度が高い一方、状況が変われば計画も随時変えていかなければ機能しません。決まった曜日に決まったサービスを提供するだけなら、看多機である意味が薄くなります。

この加算は、その「随時の組み替え」と「地域との接続」を評価するものです。看多機の理念に最も近い加算といえます。

令和6年度介護報酬改定で、従来の1区分が2区分に再編されました。上に新しい区分を積むと同時に、従来の区分は引き下げるという構成です。

総合マネジメント体制強化加算の単位数

ツ 総合マネジメント体制強化加算
注 イについては、(略)届出を行った指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が、利用者に対し、指定看護小規模多機能型居宅介護を行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、1月につき所定単位数を加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
(1) 総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ) 1,200単位
(2) 総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ) 800単位

区分単位数算定頻度対象
総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ)1,200単位1月につきイ(看護小規模多機能型居宅介護費)
総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ)800単位1月につき同上

令和6年度改定での組み替え

改定後改定前増減
総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ)1,200単位新設
総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ)800単位1,000単位△200単位

従来どおりの体制のままだと、1人あたり月200単位のマイナスです。登録者25人なら月5,000単位、年間で約60万円。逆に(Ⅰ)に上げれば従来比+200単位となり、差は月400単位に開きます。

基本報酬に対する比率

要介護度基本報酬(Ⅰ)を加えた場合上乗せ率
要介護112,447単位13,647単位約9.6%
要介護324,481単位25,681単位約4.9%
要介護531,408単位32,608単位約3.8%

総合マネジメント体制強化加算の算定要件

告示95号 第79号が定める要件です。

要件内容(Ⅰ)(Ⅱ)
(1) 計画の随時見直し利用者の心身の状況または家族等を取り巻く環境の変化に応じ、随時、介護支援専門員・看護師・准看護師・介護職員その他の関係者が共同し、看護小規模多機能型居宅介護計画の見直しを行っていること
(2) 関係施設への情報提供地域の病院、診療所、介護老人保健施設その他の関係施設に対し、事業所が提供できる看多機の具体的な内容に関する情報提供を行っていること
(3) 地域住民等との交流利用者の地域における多様な活動が確保されるよう、日常的に地域住民等との交流を図り、利用者の状態に応じて地域の行事や活動等に積極的に参加していること
(4) 地域住民等の相談対応日常的に利用者と関わりのある地域住民等の相談に対応する体制を確保していること
(5) 包括的な計画の作成必要に応じて、多様な主体により提供される登録者の生活全般を支援するサービスが包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること
(6) 4つのいずれか後述の4項目のいずれかに適合すること

(6)は4つのうちどれか1つ

選択肢内容
(一)地域住民等との連携により、地域資源を効果的に活用し、利用者の状態に応じた支援を行っていること
(二)障害福祉サービス事業所、児童福祉施設等と協働し、地域において世代間の交流の場の拠点となっていること
(三)地域住民等、他の指定居宅サービス事業者、他の指定地域密着型サービス事業者等と共同で事例検討会、研修会等を実施していること
(四)市町村が実施する介護保険法第115条の45第1項第2号・第2項第4号に掲げる事業等に参加していること

4つのうち1つで足ります。実務上いちばん現実的なのは(三)の事例検討会・研修会の共同実施か、(四)の市町村事業への参加だと思います。どちらも既に行っている事業所が多く、記録の残し方を整えるだけで要件を満たせる場合があります。

小規模多機能型居宅介護との違い

要件は似ていますが、同じではありません。

項目看多機(第79号)小多機(第56号)
(Ⅰ)の要件数6つ5つ
関係施設への情報提供あり((2))なし
(Ⅱ)の要件イ(1)〜(3)の3つイ(1)(2)の2つ
(Ⅰ)の単位数1,200単位1,200単位
(Ⅱ)の単位数800単位800単位

単位数は同じですが、看多機には「地域の病院、診療所、介護老人保健施設その他の関係施設に対する情報提供」という要件が1つ多く入っています。そしてこの項目は(2)、つまり(Ⅱ)の要件にも含まれます。

看多機は退院直後の受け皿になることが多いサービスです。病院や老健に「この事業所は何ができるのか」を知らせておかないと、そもそも紹介が来ない。この要件は、看多機の役割を踏まえて置かれたものと読めます。

担当したケースでも、看多機が地域の病院の地域連携室に定期的に資料を届けているところは、退院調整の相談が明らかに多く入っていました。加算の要件である以前に、事業所の稼働を左右する活動です。

総合マネジメント体制強化加算の注意点

(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない

ツの注のただし書きにより、いずれかを算定している場合はその他を算定できません。当然ながら(Ⅰ)を算定するほうが有利です。

記録がなければ体制がないのと同じ

この加算の要件は、どれも「行っていること」「確保していること」という活動・体制の要件です。数値基準がないぶん、実地指導では記録で判断されます。

残しておきたい記録
  • 計画を見直した日付・きっかけ・参加した職種((1))
  • 病院・診療所・老健等に配布した資料と訪問記録((2))
  • 地域行事への参加記録・写真((3))
  • 地域住民からの相談に応じた記録と、相談窓口の周知方法((4))
  • 保険外サービスを組み込んだ居宅サービス計画の実例((5))
  • 事例検討会・研修会の開催記録、市町村事業への参加記録((6))

(5)の「多様な主体により提供されるサービス」

告示は、介護給付費等対象サービス以外の保健医療サービス・福祉サービス、地域住民による自発的な活動によるサービス等と定義しています。配食、見守り、住民主体の通いの場、ボランティアによる家事支援などが該当します。介護保険サービスだけで組んだ計画では、この要件を満たしません。

「随時」の見直しとは

(1)は「随時」であり、頻度の数値基準はありません。定期のモニタリングとは別に、状況が変わったときに動いた記録があるかが問われます。月1回の定例会議の議事録だけでは、随時の見直しを示したことにならない可能性があります。

短期利用居宅介護費には加算されない

ツの注は「イについては」と書かれています。対象は看護小規模多機能型居宅介護費であり、短期利用居宅介護費には加算されません。

よくある質問

看多機の総合マネジメント体制強化加算はいくらですか?

(Ⅰ)が1,200単位、(Ⅱ)が800単位です。いずれも1月につき算定します。

令和6年度改定で何が変わりましたか?

1区分から2区分になりました。(Ⅰ)1,200単位が新設され、従来の1,000単位は(Ⅱ)800単位に引き下げられています。

体制を変えないとどうなりますか?

従来の要件のままだと(Ⅱ)800単位となり、改定前の1,000単位から200単位のマイナスになります。

(Ⅱ)の要件は何ですか?

計画の随時見直し、関係施設への情報提供、地域住民等との交流の3つです。

(Ⅰ)で追加される要件は?

地域住民等の相談に対応する体制の確保、保険外サービスを含む包括的な居宅サービス計画の作成、4つの選択肢のいずれかへの適合の3つです。

4つの選択肢とは何ですか?

地域資源の活用、障害福祉・児童福祉との協働による世代間交流の拠点、他事業者等との共同での事例検討会・研修会の実施、市町村が実施する事業への参加です。いずれか1つで足ります。

小多機と要件は同じですか?

違います。看多機には「地域の病院、診療所、介護老人保健施設その他の関係施設への情報提供」という要件が1つ多く、(Ⅱ)の要件も3つ(小多機は2つ)です。

(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できますか?

できません。いずれかを算定している場合はその他を算定できません。

「随時」の見直しに頻度の基準はありますか?

ありません。定期のモニタリングとは別に、状況が変わったときに見直した記録が求められます。

保険外サービスを組み込まないと(Ⅰ)は取れませんか?

(5)は「必要に応じて」とされています。ただし介護保険サービスだけの計画しかない状態では、要件を満たしていることを示しにくくなります。

届出は必要ですか?

必要です。市町村長に対し、老健局長が定める様式による届出を行った事業所が対象です。

短期利用の利用者にも算定できますか?

できません。ツの注は「イについては」とあり、対象は看護小規模多機能型居宅介護費です。

まとめ
  • 看多機の総合マネジメント体制強化加算は(Ⅰ)1,200単位・(Ⅱ)800単位
  • 令和6年度改定で1区分から2区分に再編された
  • (Ⅰ)は新設、(Ⅱ)は従来の1,000単位から200単位の引き下げ
  • 体制を変えないままだと1人あたり月200単位のマイナスになる
  • (Ⅱ)の要件は計画の随時見直し・関係施設への情報提供・地域住民等との交流の3つ
  • (Ⅰ)はこれに住民の相談対応体制・包括的な計画・4択の1つが加わる6要件
  • (6)の4択は地域資源の活用/世代間交流の拠点/共同の事例検討会・研修会/市町村事業への参加
  • 看多機には小多機にない「関係施設への情報提供」という要件がある
  • その要件は(Ⅱ)にも含まれるため、看多機の(Ⅱ)は3要件(小多機は2要件)
  • 関係施設への情報提供は、退院調整の紹介につながる実務上も重要な活動
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない
  • 数値基準がないため、実地指導では記録で判断される
  • (5)の対象は介護保険サービス以外の保健医療・福祉サービスや住民の自発的活動
  • 「随時」の見直しに頻度の基準はなく、状況変化に応じた記録が求められる
参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、解釈や運用が自治体によって異なる場合があります。とくに「随時」の見直しに求められる頻度、情報提供の方法と頻度、地域住民等の相談に対応する体制の水準、(6)の各選択肢に該当するかの判断については告示本文に明記がなく、留意事項通知および市町村の取扱いによります。所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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